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第四章 契約満了の朝と、永遠の鎖
第25話:揺り籠の牢獄と、甘美なる胎動
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懐妊という事実は、ゼノスの狂気を「完成」へと導いた。 もはやエルシアがベッドから下りることは許されず、彼女の四肢はゼノスの腕という名の鎖によって、二十四時間休むことなく拘束されていた。
「……あ、……ぁ、……っ、ゼノス、様……っ」
エルシアは、ゼノスの膝の上で浅い呼吸を繰り返していた。 胎内に宿った小さな命は、彼女の微かな「聖女の力」を苗床に、ゼノスの濃厚な「呪い」を吸い上げて急速に成長している。その異質な胎動があるたび、エルシアの全身には、神経を逆なでするような鋭い疼きと、脳を麻痺させる快感が同時に奔った。
「苦しいか、エルシア。それとも、この子が欲しがっているのか?……俺の魔力を」
ゼノスはエルシアの背後から、彼女のわずかに膨らみ始めた腹部を、大きな掌で愛おしげに、それでいて威圧的になぞった。 彼の指先が動くたび、腹の奥で何かが呼応するように蠢く。それは母体であるエルシアの意思を無視し、父であるゼノスの魔力を盲目的に求める、不浄なる命の形。
「……熱い、です……。お腹が、……あなたの、魔力で……、焦げてしまいそう……っ」 「焦がせばいい。お前の内側をすべて、俺とこの子の色に染め上げるんだ。……もう、お前の中に『お前自身』など一滴も残させない」
ゼノスは、エルシアの首輪に繋がれた短い鎖をぐいと引き寄せ、彼女の項(うなじ)に深く鼻腔を押し付けた。 懐妊したことで、エルシアの体臭は、ゼノスの魔力と混ざり合い、濃厚な芳香を放っている。それは吸い込むだけで理性を溶かす、背徳の蜜の匂い。
ゼノスは彼女の服を寛げ、膨らみかけた乳房を乱暴に、しかし壊さないような絶妙な力加減で蹂躙した。
「ひ、あ、……ぁぁぁああああっ!!」
エルシアはのけ反り、ゼノスの腕の中で身をよじった。 足首の金の鈴が、もはや狂気とも言える激しさでチリン、チリンと鳴り響く。 視界は目隠しによって塞がれ、聴覚はゼノスの囁きに占領され、触覚は彼の指先と、内側から突き上げてくる子供の胎動だけに支配されている。
エルシアの精神は、もはや「自分」という個を保てていなかった。 彼女は今、ゼノスという巨木に寄生し、その栄養で命を繋ぎ、彼の分身を育むためだけの、生ける苗床と化している。
「……ねえ、ゼノス様。……私、……生きていますか……?それとも、もう……あなたの、一部に……なりましたか……?」 「お前は、俺の肋骨の一本だ。俺が呼吸をすればお前も震え、俺が止まればお前も死ぬ。……お前が望んだ、永遠の一体化だろう?」
ゼノスは彼女の涙を舌で掬い取り、そのまま深く、逃げ場のない口づけを交わした。 口内へ流れ込んでくる濃厚な毒。 エルシアは、自らの腹の中で暴れる「小さな呪い」を感じながら、自分という存在がゼノスの海へ沈み、溶けて消えていくのを、この上ない悦楽とともに受け入れていた。
城の外では、季節が何度巡ったかも分からない。 けれど、この暗闇の揺り籠の中では、ただ一つの「支配」だけが、永遠に続いていく。
【作者より】面白いと思ったら、ぜひ「いいね」「感想」「エール」をお願いします!
「……あ、……ぁ、……っ、ゼノス、様……っ」
エルシアは、ゼノスの膝の上で浅い呼吸を繰り返していた。 胎内に宿った小さな命は、彼女の微かな「聖女の力」を苗床に、ゼノスの濃厚な「呪い」を吸い上げて急速に成長している。その異質な胎動があるたび、エルシアの全身には、神経を逆なでするような鋭い疼きと、脳を麻痺させる快感が同時に奔った。
「苦しいか、エルシア。それとも、この子が欲しがっているのか?……俺の魔力を」
ゼノスはエルシアの背後から、彼女のわずかに膨らみ始めた腹部を、大きな掌で愛おしげに、それでいて威圧的になぞった。 彼の指先が動くたび、腹の奥で何かが呼応するように蠢く。それは母体であるエルシアの意思を無視し、父であるゼノスの魔力を盲目的に求める、不浄なる命の形。
「……熱い、です……。お腹が、……あなたの、魔力で……、焦げてしまいそう……っ」 「焦がせばいい。お前の内側をすべて、俺とこの子の色に染め上げるんだ。……もう、お前の中に『お前自身』など一滴も残させない」
ゼノスは、エルシアの首輪に繋がれた短い鎖をぐいと引き寄せ、彼女の項(うなじ)に深く鼻腔を押し付けた。 懐妊したことで、エルシアの体臭は、ゼノスの魔力と混ざり合い、濃厚な芳香を放っている。それは吸い込むだけで理性を溶かす、背徳の蜜の匂い。
ゼノスは彼女の服を寛げ、膨らみかけた乳房を乱暴に、しかし壊さないような絶妙な力加減で蹂躙した。
「ひ、あ、……ぁぁぁああああっ!!」
エルシアはのけ反り、ゼノスの腕の中で身をよじった。 足首の金の鈴が、もはや狂気とも言える激しさでチリン、チリンと鳴り響く。 視界は目隠しによって塞がれ、聴覚はゼノスの囁きに占領され、触覚は彼の指先と、内側から突き上げてくる子供の胎動だけに支配されている。
エルシアの精神は、もはや「自分」という個を保てていなかった。 彼女は今、ゼノスという巨木に寄生し、その栄養で命を繋ぎ、彼の分身を育むためだけの、生ける苗床と化している。
「……ねえ、ゼノス様。……私、……生きていますか……?それとも、もう……あなたの、一部に……なりましたか……?」 「お前は、俺の肋骨の一本だ。俺が呼吸をすればお前も震え、俺が止まればお前も死ぬ。……お前が望んだ、永遠の一体化だろう?」
ゼノスは彼女の涙を舌で掬い取り、そのまま深く、逃げ場のない口づけを交わした。 口内へ流れ込んでくる濃厚な毒。 エルシアは、自らの腹の中で暴れる「小さな呪い」を感じながら、自分という存在がゼノスの海へ沈み、溶けて消えていくのを、この上ない悦楽とともに受け入れていた。
城の外では、季節が何度巡ったかも分からない。 けれど、この暗闇の揺り籠の中では、ただ一つの「支配」だけが、永遠に続いていく。
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