身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん

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第二章 幸せな領地生活

第十一話 奇跡の収穫祭

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 水源が浄化された翌朝。ヴォルフェン公爵領の全土で、信じられないような光景が広がっていた。  昨日までひび割れていた大地は瑞々しい湿り気を取り戻し、一晩のうちに、膝丈までしかなかった麦の穂が、黄金色に輝きながら頭を垂れていたのである。

「……信じられん。一晩で一年分の収穫が完了してしまったぞ」

 アレクシス様が馬を止め、目の前に広がる黄金の海を見渡して呟く。  土地に染み付いていた呪いが、私の『お掃除』の光で完全に洗い流された結果、眠っていた土地の生命力が爆発したのだ。

「レティシア様! レティシア様だ!」 「聖女様! ありがとうございます!」

 畑から次々と領民たちが駆け寄ってくる。  かつては飢えに震えていた彼らの顔は、今や希望に満ち溢れていた。彼らは馬車を囲み、私に向かって深く膝を突き、まるで神様を拝むように感謝を捧げてくれる。

「皆様、そんな……私はただ、お掃除をしただけで……」 「いいえ! あなたが掃除をしてくださらなければ、私たちは冬を越せなかった。あなたは私たちの命の恩人です!」

 一人の少年が、採れたての真っ赤なリンゴを差し出してくれた。  実家では、果物の一切れすら「無能には贅沢だ」と奪われていた私が、ここでは領民全員から感謝を込めた収穫物を受け取っている。

「……受け取ってやれ、レティシア。これは君が勝ち取った、君への敬意だ」

 アレクシス様が優しく背中を押してくれる。  私は震える手でリンゴを受け取り、その一口をかじった。……甘い。これまでの人生で、一番甘い味がした。

 その日の夜、城下町では数年ぶり、いえ、この領地が始まって以来の盛大な『収穫祭』が開催された。  広場には大きな焚き火が焚かれ、人々が歌い踊る。

「レティシア、今日は君が主役だ」

 アレクシス様は、大勢の領民の前で私の手を取り、高く掲げた。 「我が妻、レティシアに乾杯を! 彼女こそが、このヴォルフェンを死から救い、光をもたらした真の主だ!」

「「「レティシア様に乾杯!! ヴォルフェンの女神様に乾杯!!」」」

 領民たちの地響きのような歓声が夜空に響く。  私は、あまりの幸福感に涙を堪えることができなかった。

 一方その頃。  バーンズ伯爵領では、ひどい凶作きょうさくに見舞われていた。 「どうして!? 隣のヴォルフェン領はあんなに輝いているのに、うちは泥しか採れないじゃない!」  ミランダが泥だらけのジャガイモを投げ捨てて喚くが、その泥は彼女の豪華だったドレスを汚すだけだった。  富も、食料も、愛も。  彼女たちがレティシアから奪ってきたものは、今すべて、あるべき場所へと還っていったのだ。


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