身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん

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第四章:没落家族の再来と、真の幸福編

第四十話 世界が彼女を求めている

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 エルフォート家が永久追放され、国内の「汚れ」が掃き清められてから数週間。ヴォルフェン公爵城の事務局は、悲鳴を上げるほどの忙しさに追われていた。

「閣下! 隣国の聖王国から『聖域の浄化』を求める親書が届いております!」
「こちらには自由貿易都市から、原因不明の疫病(瘴気)を掃除してほしいとの嘆願書が!」

 山積みになった書状を前に、アレクシスは眉間に深い皺を刻んでいた。
 彼にとって、レティシアの力が認められることは誇らしい。だが、それ以上に「自分の妻が世界中に連れ回される」という状況が、彼の独占欲を激しく刺激していた。

「……すべて却下だ。レティシアは俺の妻であり、ヴォルフェン公爵夫人だ。見世物でもなければ、便利なお掃除道具でもない」

「でも、アレクシス様。困っている方がそんなにたくさんいらっしゃるなら、私、お役に立ちたいです」

 ひょっこりと顔を出したレティシアが、アレクシスの袖をそっと引く。
 アレクシスは瞬時に表情を緩ませたが、抱き寄せる腕の力は強かった。

「レティシア、君は優しすぎる。世界中のゴミを君一人が拾う必要はないんだ」

「一人じゃありません。アレクシス様が一緒にいてくださるでしょう? それに、私に名案があるんです!」

 レティシアは目を輝かせ、一枚の地図を広げた。

「私が各地へ行くのではなく、このヴォルフェン領を『世界浄化の拠点センター』にするんです。ここに来れば誰でも浄化の魔法が受けられるようにして、ついでに他国の神官さんたちにお掃除のコツを教えれば、世界はもっと早く綺麗になります!」

 その提案は、アレクシスを驚かせた。
 レティシアを城に留めつつ、世界を救う。これならば彼女の安全も確保でき、アレクシスの側からも離れずに済む。

「……なるほど。それならば、この領地を世界で最も清浄な『聖都』として再開発する必要があるな。いいだろう、俺が全面バックアップしよう」

 こうして、ヴォルフェン領は「お掃除聖女」の拠点として、世界中の人々が憧れる地へと変貌を遂げ始めた。

 しかし、この動きを苦々しく見つめる者たちがいた。
 伝統ある聖教会の高位司教たちは、突如現れた一介の公爵夫人が「至聖女」として崇められることを、権威への挑戦と受け取ったのだ。

「……ただのお掃除だと? ふん、そのようなまやかし、我ら教会の権威をもって暴いてくれる。その女の力が『偽り』であることを証明し、教会に従属させるのだ」

 レティシアの清らかな光を曇らせようとする、古く腐敗した「権威」という名の汚れが、静かに動き出そうとしていた。

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