死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん

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第9話:二度目の夜会

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王宮で開催される、年に一度の大夜会。 前世の私は、この日を一生忘れることができない。 予算を削られ、数年前の古臭いドレスを身に纏った私は、マリアや父の「引き立て役」として笑い者にされた。挙句の果てには、父の借金の清算として、ボルマン伯爵との婚約を衆人環視の中で発表された、最悪の夜。

けれど、今世の私は違う。

「……準備はいいか、エルゼ」

公爵家の屋敷の裏手。密かに迎えに来たシオンが、馬車の中から手を差し伸べていた。 私は、彼の用意してくれた深い真紅のドレスを身に纏い、その手を取った。  このドレスは、公爵家の名義で注文し、私が個人口座から支払いを済ませた「私の私物」だ。一方、マリアたちは――。



王宮の広間に、アデナウアー公爵家の馬車が到着した。 降りてきた父とマリア、ディートリヒの姿に、周囲の貴族たちがざわめき立つ。

「見て、アデナウアー公爵家のあのお姿……」 「宝石もドレスも、去年の使い回しではなくて?」 「ディートリヒ様も、あんなにくたびれた顔をして……。不渡りの噂は本当かしら」

必死に体面を保とうとしているが、ハンスがわざと不味い飯を出しているせいで、彼らの肌には艶がなく、顔色は悪い。 そこへ、ファンファーレと共に「隣国の皇太子、シオン・フォン・ルナリア殿下」の入場が告げられた。

広間の巨大な扉が開き、私とシオンが姿を現す。

「なっ……エルゼ!?お前、なぜそこに!」

父の驚愕の叫びが響いた。 シオンのエスコートを受け、光を反射して輝く最高級の絹と、私の瞳と同じ色をした大粒のルビーを身につけた私は、誰の目にも王国のどの令嬢より美しく映ったはずだ。

「ご機嫌よう、お父様。シオン様が、ぜひ私をパートナーにと仰ってくださったの」

「隣国の皇太子殿下だと……!?馬鹿な、エルゼのような女に!」

マリアが顔を真っ赤にして叫ぶが、彼女の着ているドレスは、よく見れば生地が薄くなり、裾が解れかけている。私が事前に、屋敷の洗濯係に命じて「魔法の洗剤」を使い、生地をボロボロに劣化させておいたのだ。

「公爵、君の娘さんは素晴らしい。……我が国の経済顧問として迎えたいほどにね」

シオンが不敵に微笑みながら父を牽制する。 周囲の貴族たちは、没落の噂がある公爵家よりも、絶大な力を誇る隣国の皇太子と親密な私に、媚びるような視線を送り始めた。

「エルゼ、お前……!そのドレスと宝石はどうした!まさか、家の金を勝手に!」

「あら、これは私自身の『報酬』で買ったものですわ。お父様がサインしてくださった契約書、お忘れではありませんよね?」

「……っ、あの時の端金が、こんなものに化けるはずがない!」

父は気づいていない。 私が公爵家の名前で行った数々の投資が、すでに数倍、数十倍の利益を上げ、そのすべてが「私名義」の口座に吸い込まれていることを。

その時、広間の反対側から、脂ぎった顔をした初老の男――ボルマン伯爵が歩み寄ってきた。

「アデナウアー公爵。話が違うではないか。エルゼ嬢は、我が家へ嫁ぐ予定ではなかったのかね?」

「あ、ああ、ボルマン伯爵!もちろんです、今すぐこいつを連れ戻して……」

「お断りしますわ、ボルマン伯爵」

私はシオンの腕をぎゅっと抱き寄せ、冷たく言い放った。

「私が嫁ぐのは、私を『便利屋』や『商品』としてではなく、一人の人間として正当に評価してくださる方の元だけです。……ねえ、シオン様?」

「当然だ。君を害する者がいるなら、我が国が黙ってはいない」

シオンの金色の瞳が鋭く光り、ボルマン伯爵と父を射抜く。 その圧倒的な威圧感に、二人は言葉を失って後退りした。

広間の中心で、光り輝く私。 端っこで、古びた衣装を纏い、周囲から嘲笑される家族。 前世の構図が、今、完全に逆転した。

「ああ、愉快ですわ。お父様、マリア。……これが、あなたたちが望んだ『公爵家の威光』の結果ですのよ」

私はシャンパングラスを掲げ、心の中で勝利の祝杯を上げた。  夜会はまだ始まったばかり。 そして、公爵家が本当の意味で「もぬけの殻」になる決別の日も、すぐそこまで迫っていた。
















定期アナウンス↓

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本日は数多ある素敵な作品の中から、本作を最後までお読みいただきまして、
心より、、本当に、心からの感謝を申し上げます……!!✨
。・゜・(ノД`)・゜・。

「この先、一体どんな運命が待ち受けているの……!?」
「物語の続きが気になって、もう待ちきれない!」
「なんだか面白そう! もっとこの世界に浸っていたい!」

もし、あなたの心にそんな小さな灯がともったのであれば、
作者としてこれほど光栄で、幸せなことはございません。

そこで、皆様にお願いがございます……!🙏✨
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