ゴーストスロッター

クランキー

文字の大きさ
15 / 138
【第2章】

■第15話 : 食っていくための道、模索

しおりを挟む
(あれ……?
 俺、なんでこんなトコにいるんだろう……)

気付くと、そこは見慣れない街並み。
状況がわからず、優司はただキョロキョロと周囲を見渡した。

その時だった。

「優司君!」

背後から、懐かしい声が聞こえた。

「……え? ゆ、由香ゆか……?」

そこにいたのは、優司が初めてまともに交際した相手、飯島由香。
優司の告白がきっかけで、高校2年の冬から付き合い始め、約8ヶ月付き合った後に別れた女だった。

「な、なんでこんなとこに………? つうか、ここはどこなんだ……?」

「そんなことはどうでもいいじゃない。
 それより、私は話があってここに来たの」

「話……?」

「うん……」

顔を赤らめながらうつむく飯島由香。
その様子を見て、どんどん期待と興奮の度合いが高まる優司。

それもそのはず、別れた時、優司はまだ未練タラタラだったのだ。
なんなら、今でも「できればヨリを戻したい」とすら考えていた。



優司は、美形とまではいかないものの、決して悪くはない容姿の持ち主。
その上、勉強・運動と何をやらせても卒なくこなせるので、決してモテない方の人間ではなかった。

しかし、なんでもそこそこ上手くこなせてしまう反面、「これだけは人に負けない」というものがなかった。

要は器用貧乏。
一見なんでもできるように見えるが、裏を返せば強烈な強み・魅力を持たないということにもなる。

こんな優司に、女の子も最初こそ好印象を持つが、しばらくするとなんとなく飽きられてしまう。
今までも、何度か軽く付き合ったことはあるが、由香とのように半年以上も付き合ったのは初めてのことだった。

では、そんな彼女とどうして別れてしまったのか?

それは、優司が「大学へ行く」と口では言いながらも、全く勉強しようとせず、由香との遊びやパチスロに没頭していたからだった。

奇しくも、由香と付き合った直後に覚えてしまったパチスロ。

覚えたての頃の優司は、今現在悩まされているような病的なヒキ弱はなく、高設定に座ればしっかりと勝てていたため、パチスロへののめり込み方は激しかった。

基本的に、言動と行動が一致しない男を好む女は少ない。
「大学に進学する」と言っているのに、全く勉強せずにスロばかり打っているようでは、愛想をつかされて当然なのだ。



何かを期待させるような由香の態度を見て、たまらず自分から話を切り出す優司。

「話って……
 もしかして、俺ともう一度、みたいなことがあったり……?」

「……うん」

早鐘を打つ心臓。紅潮する顔。
首のあたりがゾワゾワっとし、自然と顔がニヤけてしまう。

「ほ、ほんとにっ?」

「……うん。やっぱり私、優司君じゃなきゃダメみたい」



◇◇◇◇◇◇



(……だよな。やっぱそうだよな。分かっちゃいたけどさ)

朝目覚めるとそこは、最近常宿となっているマンガ喫茶。
さっきまでの出来事が、すべて夢だったと気づくのにそう時間はかからなかった。

(せめて夢ぐらいは楽しい方がいいなんて言うけど、あれは嘘だな。
 逆に虚しいよ……)

見た夢が楽しければ楽しいほど、覚めた時がつらい。

(ま、いいや。
 今の俺にはなんの関係もないことだ)

ズルズルと余計なことを考えていても虚しいだけ。
もはや、居場所すら分からない元彼女のことを考えてもしょうがないこと。

優司は、すぐに割り切った。

(そっか。昨日も日高たちと飲んで泥酔したんだっけ。
 結局何時頃寝たんだろう。
 ……って、そんなことより、早くこの先どうするか決めないと)

自分は今後どうしていくべきなのか。
このことについて散々悩んでみてはいるが、一向に答えは出なかった。

(せっかく細かいホールデータをまとめたノートもあるんだし、やっぱりもう1回だけまともにスロで食おうとしてみようかな。
 この間の日高との勝負で北斗の6を打った時も、ショボかったとはいえ一応プラス収支にできたわけだし)

確かに、一応はプラスになっていた。
たったのプラス4000円だが……



◇◇◇◇◇◇



日も暮れだした頃、優司はあるホールへと入っていった。

しばらくホール内をウロウロしていると、なんと偶然にも『設定5・6確定』の札がついた花火百景が目の前で空き台になった。
履歴的にも、完全に高設定の挙動を示していた。

当然、迷わず座る優司。

(よくこんな台が空いてたな!
 こんなあっさりと百景の5・6確定台が取れるなんて……本当にツイてる!設定5でも、機械割は124.2%だぞ。
 これはもしや……流れが変わったんじゃないか? 普通に勝てるんじゃないか?)

自然と笑みがこぼれる。

(よくよく考えてみると、俺って『ヒキ弱』って部分を除けばそこそこ運がいい方なんだよな。何事に対しても。
 家を出るまでは経済的に恵まれてる環境だったし、受験も苦労したことないし。
 今だって、サクっと百景の5・6に座れたりしたし。
 なんでヒキだけはダメになっちゃったんだろう……?)

ふと湧き出る疑問。

だが、この疑問を解くようなヒントはどこにもなかった。
こればっかりは、まさに『神のみぞ知る』というような問題なのだから。

(まあいいや。今はそんなことはどうでもいい。
 とりあえずはこの百景で運試しだ!
 閉店まで5時間もないけど、百景の5・6なら5時間近く回せれば充分!)

演出などフルキャンセルで、とにかく回転数を稼ぐことに集中しながら回す優司。

すると、投資わずか5000円で見事BIGを手にすることに成功。

(よし! 俺にしてはかなり早い喰い付きだ!
 目標は閉店までに2000枚!
 多くは望まない、2000枚あれば充分だ!)
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...