ゴーストスロッター

クランキー

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【第3章】

■第45話 : 陰謀渦巻く勝負ルール②

「おい! いきなり絡むような真似はよせよな!」

挑発的な八尾の言葉に反応し、日高が怒鳴りつけた。

日高と八尾の間に、険悪な空気が流れる。
慌てて優司が割って入った。

「日高、落ち着こうよ!
 ここで揉めてもしょうがないって。
 おい八尾、ちょっとは気をつけてくれよな!
 いきなりそんなバカにするようなこと言われりゃ、誰だって気分悪いだろ?」

それまで険しい表情で日高を睨み続けていた八尾だが、ここで急に視線をはずし、表情を崩しながら喋りだした。

「……ふっ。わりいわりい。冗談だよ冗談!
 大体、バカになんてしてねぇって。ヌルいホールを掴むのも技術のうちだしな。
 そんなことより、早速だけどルールの説明に入っていいか?」

喋りながら、優司の席の前に座る八尾。
信次は、日高の正面に座った。

優司が八尾に話を促す。

「さっさと説明に入ってくれよ」

「ああ。
 まず、概要はこの紙にまとめてきた。
 一応2部持ってきたよ。こっちで保管する用とそっちに渡す用。
 内容は同じだから。
 とりあえず一読してみてくれ」

2枚の紙を取り出した八尾は、そのうちの1枚を優司たちに渡す。
そこには、以下のような内容が記されていた。

===========

■最終的に、より負債が多い方が勝ちとなる逆出玉勝負。
つまり、設定1を積極的に狙いに行く勝負になる。

■勝負ホールは東口の『ベガス』(等価交換、持ちコインでの台移動・出玉共有可能)

■台移動は1日3回まで。
ストック機で薄いゾーンだけを渡り歩く、といったような行動を防ぐため。 
薄いゾーンを見つけたモン勝ち、みたいになるのを避ける。

■トータルで5000G以上回すこと。
5000G未満の場合、その時点で負け。

■相手がいくら投資したか、どれだけ稼動したかをカウントする監視員を一人つける。

■プレイ中、明らかに損をする行為はNG。
例えば、ストック機でのボーナス後0Gヤメや、天井間近でヤメる、といった行為など。
これは、機種情報について知らなかった時でも反則となる。
よって、自分が打つ機種についてはしっかりと把握しておくこと。
この反則を犯した時は、ペナルティとして1回につき+3000円とする。
(負債が多い方が勝ちとなるルールなので)

===========

一読後、日高が小声で優司に耳打ちする。

「夏目、ちょっと席をはずそうぜ。こいつらのいないところで話したい」

優司は静かにうなづき、八尾にそのことを伝える。

「わるい、ちょっと俺ら席をはずすよ。このルールについて吟味したいからさ」

「ああ、わかった。
 ……ったく、ここでやりゃいいのに」

八尾のボヤキを無視して席を立つ二人。
そのまま店の外へと出た。



外へ出るなり、日高が口を開く。

「夏目、この最後の項目が厄介そうだぞ」

「え? この『ペナルティ+3000円』ってやつ?」

「ああ。
 ストック機でのボーナス後0Gヤメはダメとか書いてあるけど、例えば吉宗の場合どうする?」

少し考え込む優司。
そして、直後に何か気付く。

「……あッ! そうか、1G連があった場合……」

「そうだ。このペナルティを利用した方が得になる。
 本来等価なら14000円のプラスになっちまうBIGの1G連だけど、たった3000円のプラスに抑えられるんだ。
 台移動は3回までってなってるけど、それでも威力はかなりのモンだぜ」

「なるほどね……
 俺みたいなヒキ弱じゃ吉宗の1G連なんてそうそう拝めないから、実質八尾のメリットがでかいわけだ」

「……ヒキうんぬんについて語るのは抵抗があるけど、実際に夏目が1G連してるとこなんか見たことないしな。
 となると、やっぱ不利にはなるんじゃないかと思ってさ」

「だね!
 いやぁ、よく一瞬で気づいたなぁ。さすが日高だよ」

「バカ! お前ももうちょっと気を張り詰めろ!
 ちょっと緩んでんじゃねぇのか?
 本来のお前ならすぐに気付いたはずだぞ」

「だ、大丈夫だよ。緩んでなんかいないって」

軽く動揺する優司。

言われてみればその通りだ。
同じくらいのスロ力を持つ者同士なのに、当事者の自分が気付かなくて部外者に近いような日高が真っ先にトラップに気付く。

散漫な部分があったことは否めない。

「問題は、今みたいな理由をつけてこのルールを無効にするか、それとも黙認してこっちもこのルールを利用するかだな。うまいこと考えりゃ逆手にとれるかもしれないし。
 どうすんだ夏目? ここは、勝負するお前が決めるところだぜ」

「うーん……
 これは、あっちから仕掛けてきた小細工だし、既に相応の戦略を練ってると思うんだよね」

「ああ。何企んでるかわかったもんじゃないな」

「やっぱそうだよね。
 ……よし、これは却下で!
 で、他のルールは大体OKっぽいね」

「ああ。まあこんなもんだろ」

「よし、じゃあこれで決まりだね!
 サンキュー、日高!」

そして、二人は再び店内に戻っていった。 
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