文字の大きさ
大
中
小
66 / 138
【第4章】
■第66話 : やめられない
「へぇ、昨日、日高君たちとそんなことがあったんスか」
「ああ。
あいつら、とにかく勝負すんなの一点張りでさ。
話になんないからそのまま店を出てやったよ」
「……」
小島は、昨日の日高たちとの諍いの詳細を聞き、悲しそうな顔をしながらうつむいた。
それに気付き、慌ててフォローに入る優司。
「わ、悪かったよ小島……。
ちょっとダークなトーンで話しすぎたな。
もちろん、あの二人に対して本気でムカついたりしてるわけじゃないんだよ。
なんだかんだで、俺のことを心配して言ってくれてるのはわかるしさ」
途端に明るい表情へと変わる小島。
「そ、そうッスよ!
あの二人だって、もちろん夏目君にトップ獲ってもらいたいはずなんです!
でも、やっぱりリスキーだし、それだったらこのままみんなで楽しくスロってた方がいいじゃないッスか!」
「……そうだな」
「でしょ?
よかったぁ~、やっぱ夏目君は夏目君だ!
最後はわかってくれるんスもんね!」
「ああ。悪かったよ。
とりあえずは和気あいあいとやってくのもいいかもね」
「おお~っ! そうッスよ! まさにそうッス!
スロ勝負は一旦やめて、皆でワイワイやりましょうよ!
いやぁ、ホント良かった~! 日高さんたちも喜びますよ!」
「…………」
◇◇◇◇◇◇
23:00。
小島と別れ、一人マンガ喫茶へと向かう優司。
(……悪いな小島。
でも、あの場でいくら言っても無駄だし、お前にも悲しい思いさせるしな)
言うまでもなく、優司はスロ勝負をやめることに対し納得などしていなかった。
あくまで方便として小島に合わせただけ。
(もう駄目なんだよ……
ここまできたら、いくとこまでいかないと気が済まないんだ……)
悲愴な覚悟を滲ませる。
(でも、負けたらタダじゃ済まないのもわかってる。
きっと、しばらくは誰とも会いたくなくなるだろうな。
いや、しばらくどころか下手したら……
なんなんだろう、この感情……。味わったことのない気持ちだ。
スロ勝負始めた頃は、負けることにここまでビビってはいなかった。
負けたって、これでスロ勝負終わりだな、くらいにしか思わなかったはずだ
それなのに…………)
自分の中に芽生えだしている不思議な感情に戸惑う。
「勝負」とは、「負けること」よりも、「勝ち続けること」の方が遥かに負荷がかかるもの。
このことに薄々優司は気付きだしていた。
(とにかく、ここで引き下がることはできない。
明日は乾を探しにいこう。
それで、勝負を吹っかけてやるんだ)
軽く体が震えている。
できれば優司も、こんな神経を張り詰める勝負はやめたい。
それが本心なのだ。
しかし、やめられない。
別に無理矢理勝負なんてしなくてもよいと頭ではわかっているのに、やらなければ気が済まない。
理屈では、「もうこれ以上スロ勝負にこだわっても仕方がない、仲間たちと楽しくスロっていく方がいいに決まっている」とわかりつつも、この数ヶ月間ライフワークとしてきたスロ勝負生活をいきなりやめてしまうことに漠然とした不安・抵抗感があるのだ。
とにかく勝負しなければ気が済まない。
勝負できないまでも、勝負に向けて動いていないと気が済まない。
そんな心境だった。
自分のこの感情が奇異なものであると感じつつも、引き下がることがどうしてもできなかった。
(とりあえず早く寝なくちゃ。
明日は乾を探すために歩き回ることになりそうだし。
話によると、神出鬼没なヤツらしいからな……)
「ああ。
あいつら、とにかく勝負すんなの一点張りでさ。
話になんないからそのまま店を出てやったよ」
「……」
小島は、昨日の日高たちとの諍いの詳細を聞き、悲しそうな顔をしながらうつむいた。
それに気付き、慌ててフォローに入る優司。
「わ、悪かったよ小島……。
ちょっとダークなトーンで話しすぎたな。
もちろん、あの二人に対して本気でムカついたりしてるわけじゃないんだよ。
なんだかんだで、俺のことを心配して言ってくれてるのはわかるしさ」
途端に明るい表情へと変わる小島。
「そ、そうッスよ!
あの二人だって、もちろん夏目君にトップ獲ってもらいたいはずなんです!
でも、やっぱりリスキーだし、それだったらこのままみんなで楽しくスロってた方がいいじゃないッスか!」
「……そうだな」
「でしょ?
よかったぁ~、やっぱ夏目君は夏目君だ!
最後はわかってくれるんスもんね!」
「ああ。悪かったよ。
とりあえずは和気あいあいとやってくのもいいかもね」
「おお~っ! そうッスよ! まさにそうッス!
スロ勝負は一旦やめて、皆でワイワイやりましょうよ!
いやぁ、ホント良かった~! 日高さんたちも喜びますよ!」
「…………」
◇◇◇◇◇◇
23:00。
小島と別れ、一人マンガ喫茶へと向かう優司。
(……悪いな小島。
でも、あの場でいくら言っても無駄だし、お前にも悲しい思いさせるしな)
言うまでもなく、優司はスロ勝負をやめることに対し納得などしていなかった。
あくまで方便として小島に合わせただけ。
(もう駄目なんだよ……
ここまできたら、いくとこまでいかないと気が済まないんだ……)
悲愴な覚悟を滲ませる。
(でも、負けたらタダじゃ済まないのもわかってる。
きっと、しばらくは誰とも会いたくなくなるだろうな。
いや、しばらくどころか下手したら……
なんなんだろう、この感情……。味わったことのない気持ちだ。
スロ勝負始めた頃は、負けることにここまでビビってはいなかった。
負けたって、これでスロ勝負終わりだな、くらいにしか思わなかったはずだ
それなのに…………)
自分の中に芽生えだしている不思議な感情に戸惑う。
「勝負」とは、「負けること」よりも、「勝ち続けること」の方が遥かに負荷がかかるもの。
このことに薄々優司は気付きだしていた。
(とにかく、ここで引き下がることはできない。
明日は乾を探しにいこう。
それで、勝負を吹っかけてやるんだ)
軽く体が震えている。
できれば優司も、こんな神経を張り詰める勝負はやめたい。
それが本心なのだ。
しかし、やめられない。
別に無理矢理勝負なんてしなくてもよいと頭ではわかっているのに、やらなければ気が済まない。
理屈では、「もうこれ以上スロ勝負にこだわっても仕方がない、仲間たちと楽しくスロっていく方がいいに決まっている」とわかりつつも、この数ヶ月間ライフワークとしてきたスロ勝負生活をいきなりやめてしまうことに漠然とした不安・抵抗感があるのだ。
とにかく勝負しなければ気が済まない。
勝負できないまでも、勝負に向けて動いていないと気が済まない。
そんな心境だった。
自分のこの感情が奇異なものであると感じつつも、引き下がることがどうしてもできなかった。
(とりあえず早く寝なくちゃ。
明日は乾を探すために歩き回ることになりそうだし。
話によると、神出鬼没なヤツらしいからな……)
感想 5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagaseこの物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。