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ミニ番外編
バスターの結婚 ①
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ルシアンが従妹のミシェルに対して淡い恋心を認識し、招かれざる客としてフェリックスが襲来したお茶会からふた月後。
ワイズ侯爵家の次男であり、双子の弟であるバスターが結婚した。
お相手は伯爵家の末娘で、令嬢でありながらバスターと同じく魔法文官として王宮に勤めていたエルシィという女性だ。
二人は同い年で、今年21歳。
魔術学校の同級だったそうだ。
嫡男として次期ワイズ侯爵となるキースとは違い、バスターには婚約者なる者が居なかった。
バスター本人が嫌がった為だ。
ワイズ侯爵家の男にしては珍しく、複数の女の子と楽しく接したいと考えるタイプのバスター。
誰か一人を唯一と決めて、その一人に時間や行動を縛られるのがイヤだと思っていたのだ。
そんな暇があるのなら、一冊でも多く魔法書を読みたいし魔法学の勉強をしたい。
なんなら一生独身でも良いと考えていたバスターだが、その考えがコロッと変わってしまったのが、そのエルシィと再会した時からだった。
バスターとエルシィは魔術学校魔法学部の主席と次席を競い合っていたが、ライバル関係という訳ででもなく、これと言って特に付き合いはなかった。
いや、むしろエルシィはバスターを毛嫌いしていた。
見目も頭も出自もよいバスターに群がる女子生徒達と、その女子生徒全てに上っ面のいい顔をして調子を合わせるバスターに侮蔑の眼差しを向けていたのだ。
そんな二人が卒業後、古代魔法薬復元のチームの一員として配属され再会した。
相変わらずキラキラモテ男然としたバスターを、エルシィは地味で陰鬱な自分とは別の世界の生き物だと一線を引く。
だけどバスターは貴族令嬢でありながら職業婦人として自立するエルシィに興味を示した。
そして控えめでありながらも自身の考えをしっかりと持ち、バスターの見た目ではなく中身を見て「嫌いだから近寄るな」オーラを発するエルシィをますます面白いと思ったのだ。
今まで周りにいた令嬢は皆、バスターの顔や将来性しか見ていなかった。
なのにエルシィはバスターの為人をちゃんと見てくれる。
そして「このチャラ男が……」とジト目を向けてくるのが堪らなく可愛いと思ったのだ。
それを認識した時から、バスターの猛アプローチが始まった。
自分の唯一を見つけた後のワイズ侯爵家の男の一途さは知る人ぞ知る、というところであろう。
エルシィにどれほど拒絶されようとも、バスターは様々な手を使って押しまくった。
花やスイーツ、アクセサリーや装飾品などの贈り物は勿論、観劇や植物園、そして人気のカフェなどにも誘ったりしてバスターはエルシィに構いまくった。
しかしそれらの物よりも、たった一冊の魔導書を贈った時の方が心底喜んでくれた時には思わず笑ってしまう。
彼女はどこまで俺を夢中にさせる気だ。
バスター自身もどんな高価な宝石などの装飾品よりも、魔導書や魔法関連の書を贈られるのが一番嬉しい。
だからエルシィのその気持ちはとても良く分かる。
そしてますます、そんなエルシィが自分にとってどれほど得難い、大切な存在であるかを認識した。
エルシィ、キミが好きだよ。
俺の妻になるのはキミしかいない。
だからどうか、この手を取って欲しい……バスターは切望した。
しかしバスターがエルシィに夢中になればなるほど、周囲の人間が騒ぎ出す。
バスターに想いを寄せ、自分こそがバスター=ワイズに相応しいと勘違いをする令嬢たちの嫉妬の炎があちこちで火柱を立たせる。
その火の粉がエルシィに降りかかろうとしていた。
そして一方的な誹りや陰口、そして執拗な嫌がらせをエルシィはその一身に受ける事に……………は、ならなかった。
エルシィは仕事仲間として、常に行動を共にするようになったとある魔法薬剤師に守られたからだ。
こうなる事を想定していたバスターが古代魔法薬の復元の為と銘打って、協力者としてそのとある魔法薬剤師を王宮に口寄せ…いや召喚…いや招いた。
その魔法薬剤師の名はメロディ=フレゲ。
その最強の刺客を古代魔法薬解明の担当であったエルシィの側に配置して、常に彼女を守らせたのだった。
本当は自分が常に側にいてガードをしたかったバスター。
しかしまだエルシィに想いを受け入れて貰えた訳でもなく、自分のこれまでの軽い行いの所為でエルシィに迷惑を掛けているのは自覚している。
なのでそれは出来ないと判断した。
そこで絶大な信頼を寄せ、エルシィの側を任せられるメロディに協力を願い出たのだった。
当然、かの姐御は
「諾っ!!諾ダクの諾っ!!」
と、一瞬の太い声を発して快諾してくれた。
今はフリーで子ども服を作りながら、趣味で(趣味!?)魔法薬剤師の仕事をこなしているメロディ。
知り合いの魔法薬調剤店に手伝い程度に入っている状態なので王宮での仕事を引き受けても問題ないのだそうだ。
「イヤン♡バスターってばナニナニっ!?真の愛に目覚めちゃったのっ!?トゥルっトゥルのトゥルーラブなのっ!?」
と言って、やはりかなり面白がられはしたが。
バスターはメロディに言った。
「今までワイズ家の唯一なんて、そんなものに興味はなかったんだけどね。とうとう俺も見つけてしまったようだよ」
「ハイ!キターーーっ!!ッシャアアっ!!バスターの恋物語、特等席ゲットぉぁぉーーっ!!」
メロディは両手を天に突き上げて絶叫した。
「ぶはっ、はいはい。どうぞ見届けてくれよ。だから頼むメロディ。彼女を、エルシィを有象無象から守ってくれ……」
「モチのロン♡承リングよっ!!」
そしてメロディは約束通りに、達観した生暖かい目をしながらムフムフとエルシィの側で令嬢や女性文官達の嫌がらせなどを撃退してくれた。
古くからバスターを知っている令嬢の中には、
一時バスターや双子の兄であるキースの会話によく出ていた“メロディ”なる人物がこのような人物であった事に驚愕する者もいた。
こうして、メロディも巻き込んでのバスターのエルシィ攻略作戦は引き続き敢行されたのであった。
つづく♡
ワイズ侯爵家の次男であり、双子の弟であるバスターが結婚した。
お相手は伯爵家の末娘で、令嬢でありながらバスターと同じく魔法文官として王宮に勤めていたエルシィという女性だ。
二人は同い年で、今年21歳。
魔術学校の同級だったそうだ。
嫡男として次期ワイズ侯爵となるキースとは違い、バスターには婚約者なる者が居なかった。
バスター本人が嫌がった為だ。
ワイズ侯爵家の男にしては珍しく、複数の女の子と楽しく接したいと考えるタイプのバスター。
誰か一人を唯一と決めて、その一人に時間や行動を縛られるのがイヤだと思っていたのだ。
そんな暇があるのなら、一冊でも多く魔法書を読みたいし魔法学の勉強をしたい。
なんなら一生独身でも良いと考えていたバスターだが、その考えがコロッと変わってしまったのが、そのエルシィと再会した時からだった。
バスターとエルシィは魔術学校魔法学部の主席と次席を競い合っていたが、ライバル関係という訳ででもなく、これと言って特に付き合いはなかった。
いや、むしろエルシィはバスターを毛嫌いしていた。
見目も頭も出自もよいバスターに群がる女子生徒達と、その女子生徒全てに上っ面のいい顔をして調子を合わせるバスターに侮蔑の眼差しを向けていたのだ。
そんな二人が卒業後、古代魔法薬復元のチームの一員として配属され再会した。
相変わらずキラキラモテ男然としたバスターを、エルシィは地味で陰鬱な自分とは別の世界の生き物だと一線を引く。
だけどバスターは貴族令嬢でありながら職業婦人として自立するエルシィに興味を示した。
そして控えめでありながらも自身の考えをしっかりと持ち、バスターの見た目ではなく中身を見て「嫌いだから近寄るな」オーラを発するエルシィをますます面白いと思ったのだ。
今まで周りにいた令嬢は皆、バスターの顔や将来性しか見ていなかった。
なのにエルシィはバスターの為人をちゃんと見てくれる。
そして「このチャラ男が……」とジト目を向けてくるのが堪らなく可愛いと思ったのだ。
それを認識した時から、バスターの猛アプローチが始まった。
自分の唯一を見つけた後のワイズ侯爵家の男の一途さは知る人ぞ知る、というところであろう。
エルシィにどれほど拒絶されようとも、バスターは様々な手を使って押しまくった。
花やスイーツ、アクセサリーや装飾品などの贈り物は勿論、観劇や植物園、そして人気のカフェなどにも誘ったりしてバスターはエルシィに構いまくった。
しかしそれらの物よりも、たった一冊の魔導書を贈った時の方が心底喜んでくれた時には思わず笑ってしまう。
彼女はどこまで俺を夢中にさせる気だ。
バスター自身もどんな高価な宝石などの装飾品よりも、魔導書や魔法関連の書を贈られるのが一番嬉しい。
だからエルシィのその気持ちはとても良く分かる。
そしてますます、そんなエルシィが自分にとってどれほど得難い、大切な存在であるかを認識した。
エルシィ、キミが好きだよ。
俺の妻になるのはキミしかいない。
だからどうか、この手を取って欲しい……バスターは切望した。
しかしバスターがエルシィに夢中になればなるほど、周囲の人間が騒ぎ出す。
バスターに想いを寄せ、自分こそがバスター=ワイズに相応しいと勘違いをする令嬢たちの嫉妬の炎があちこちで火柱を立たせる。
その火の粉がエルシィに降りかかろうとしていた。
そして一方的な誹りや陰口、そして執拗な嫌がらせをエルシィはその一身に受ける事に……………は、ならなかった。
エルシィは仕事仲間として、常に行動を共にするようになったとある魔法薬剤師に守られたからだ。
こうなる事を想定していたバスターが古代魔法薬の復元の為と銘打って、協力者としてそのとある魔法薬剤師を王宮に口寄せ…いや召喚…いや招いた。
その魔法薬剤師の名はメロディ=フレゲ。
その最強の刺客を古代魔法薬解明の担当であったエルシィの側に配置して、常に彼女を守らせたのだった。
本当は自分が常に側にいてガードをしたかったバスター。
しかしまだエルシィに想いを受け入れて貰えた訳でもなく、自分のこれまでの軽い行いの所為でエルシィに迷惑を掛けているのは自覚している。
なのでそれは出来ないと判断した。
そこで絶大な信頼を寄せ、エルシィの側を任せられるメロディに協力を願い出たのだった。
当然、かの姐御は
「諾っ!!諾ダクの諾っ!!」
と、一瞬の太い声を発して快諾してくれた。
今はフリーで子ども服を作りながら、趣味で(趣味!?)魔法薬剤師の仕事をこなしているメロディ。
知り合いの魔法薬調剤店に手伝い程度に入っている状態なので王宮での仕事を引き受けても問題ないのだそうだ。
「イヤン♡バスターってばナニナニっ!?真の愛に目覚めちゃったのっ!?トゥルっトゥルのトゥルーラブなのっ!?」
と言って、やはりかなり面白がられはしたが。
バスターはメロディに言った。
「今までワイズ家の唯一なんて、そんなものに興味はなかったんだけどね。とうとう俺も見つけてしまったようだよ」
「ハイ!キターーーっ!!ッシャアアっ!!バスターの恋物語、特等席ゲットぉぁぉーーっ!!」
メロディは両手を天に突き上げて絶叫した。
「ぶはっ、はいはい。どうぞ見届けてくれよ。だから頼むメロディ。彼女を、エルシィを有象無象から守ってくれ……」
「モチのロン♡承リングよっ!!」
そしてメロディは約束通りに、達観した生暖かい目をしながらムフムフとエルシィの側で令嬢や女性文官達の嫌がらせなどを撃退してくれた。
古くからバスターを知っている令嬢の中には、
一時バスターや双子の兄であるキースの会話によく出ていた“メロディ”なる人物がこのような人物であった事に驚愕する者もいた。
こうして、メロディも巻き込んでのバスターのエルシィ攻略作戦は引き続き敢行されたのであった。
つづく♡
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