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ミニ番外編
一番の特効薬
生来頑丈に生まれついたフェリックス。
結婚して以来、何度か風邪気味という症状が出た事はあったが、この度初めて高熱を出して寝込むほどの大風邪を引いた。
幸い危険な程の高い熱は一日で下がったが、それでもまだ熱は高く、それに伴い頭痛にも悩まされ、フェリックスはいつになく弱気になっていた。
普段から病気一つしない者ほど、いざ病になると精神的に弱ってしまうアレだ。
フェリックスは力なくベッドに横たわり、ハノンに甲斐甲斐しく世話をされている。
……彼の場合はただ単に妻に甘えたいだけかもしれないが。
「ハノン……頭が痛くて割れそうだ……」
「大丈夫よフェリックス、人間の頭はそう簡単には割れないわ」
「ハノン……熱が高いのに手足が氷のように冷たいんだ……俺はもう全身が凍りついて死んでしまうのだろか……」
「それはねフェリックス、まだこれから熱が上がろうとしているのよ。体の中に入り込んだ悪いものを排除する為に体温を上げようと頑張っているの。熱が上がりきったら今度はおそらく汗をかくほど暑くなるわよ?大丈夫、魔術に掛けられた訳でもないのに人の体は凍ったりしないわ」
と、こんな調子で体の不調を訴えるフェリックスにハノンは淡々と答えてやっていた。
フェリックスは尚もハノンに慰めて欲しくて弱気な発言を繰り返す。
「ハノン……俺はもう、このまま二度と剣を握れなくなるんじゃないだろうか……」
「何を言っているの。今でもこんなにしっかりとわたしの手を握っているじゃない」
元魔法薬剤師であり、ある程度の医学の知識もあるハノンは夫の“俺はもうダメだ”発言を一蹴する。
「病を治すのには、キミの手を握るのが一番効果的だと思うんだ。本当はキスをしてくれたら一発で治りそうだが、キミに風邪を伝染してはいけないから我慢するよ……」
「もう、フェリックスったら……。でももしわたしに風邪が伝染っても、母乳に影響しない魔法薬を調合するから大丈夫よ。かと言って感染りたいわけではないけれど……」
フェリックスは少し間を置いてハノンに言った。
「……思えば俺はキミが調剤した薬を服用した事がないな……」
「言われてみればそうね。王太子殿下の持病のお薬の調剤を側で見ているだけだったものね」
フェリックスはまたまた間を置いて悔しそうに呟いた。
「くそっ……、そういえばクリフの奴はハノンの薬を服用した事があるんだったな……」
「どうしてそんなに悔しそうなのよ」
「妻の手製のものを他の男に先を越されて喜ぶ夫なんていない」
「もう……変なところにこだわって……」
「変なものか、俺にとっては一大事…「はいはい」
ハノンは尚もブツブツと言い続けそうな夫の言葉を遮った。
「今はとにかく温かくしてよく休んで。起きたらエッグノッグを作ってあげるから」
「……ラム酒入りがいい」
「ふふ、分かったわ」
ハノンはそう言ってフェリックスの額にキスを落とした。
「……」
「早く良くなるおまじない」
はそう言ってハノンは部屋を出て行った。
一人残されたフェリックスがひとり言ちる。
「……一番の特効薬を処方されたな……」
フェリックスにとってはどんな高価な薬よりも、ハノンに触れられる事が何よりの薬となるのだ。
現に先ほどまで感じていた頭痛が和らいでゆく。
(気のせい)
もうすっかり熱も下がったようだ。(気のせい)
とても穏やかな気持ちにもなれ、いつの間にかフェリックスは眠りに落ちていった。
そして次に目が覚めた時、
ラム酒入りのエッグノッグと
ラム酒と服用しても大丈夫なように調剤されたハノン謹製の風邪薬が用意されていた。
フェリックスの風邪が一遍に治ったのは、言うまでもないだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ばったばたしておりまして、
すみません、次の更新はまた来週となります。
ゴメンチャイ_:(´ཀ`」 ∠):
結婚して以来、何度か風邪気味という症状が出た事はあったが、この度初めて高熱を出して寝込むほどの大風邪を引いた。
幸い危険な程の高い熱は一日で下がったが、それでもまだ熱は高く、それに伴い頭痛にも悩まされ、フェリックスはいつになく弱気になっていた。
普段から病気一つしない者ほど、いざ病になると精神的に弱ってしまうアレだ。
フェリックスは力なくベッドに横たわり、ハノンに甲斐甲斐しく世話をされている。
……彼の場合はただ単に妻に甘えたいだけかもしれないが。
「ハノン……頭が痛くて割れそうだ……」
「大丈夫よフェリックス、人間の頭はそう簡単には割れないわ」
「ハノン……熱が高いのに手足が氷のように冷たいんだ……俺はもう全身が凍りついて死んでしまうのだろか……」
「それはねフェリックス、まだこれから熱が上がろうとしているのよ。体の中に入り込んだ悪いものを排除する為に体温を上げようと頑張っているの。熱が上がりきったら今度はおそらく汗をかくほど暑くなるわよ?大丈夫、魔術に掛けられた訳でもないのに人の体は凍ったりしないわ」
と、こんな調子で体の不調を訴えるフェリックスにハノンは淡々と答えてやっていた。
フェリックスは尚もハノンに慰めて欲しくて弱気な発言を繰り返す。
「ハノン……俺はもう、このまま二度と剣を握れなくなるんじゃないだろうか……」
「何を言っているの。今でもこんなにしっかりとわたしの手を握っているじゃない」
元魔法薬剤師であり、ある程度の医学の知識もあるハノンは夫の“俺はもうダメだ”発言を一蹴する。
「病を治すのには、キミの手を握るのが一番効果的だと思うんだ。本当はキスをしてくれたら一発で治りそうだが、キミに風邪を伝染してはいけないから我慢するよ……」
「もう、フェリックスったら……。でももしわたしに風邪が伝染っても、母乳に影響しない魔法薬を調合するから大丈夫よ。かと言って感染りたいわけではないけれど……」
フェリックスは少し間を置いてハノンに言った。
「……思えば俺はキミが調剤した薬を服用した事がないな……」
「言われてみればそうね。王太子殿下の持病のお薬の調剤を側で見ているだけだったものね」
フェリックスはまたまた間を置いて悔しそうに呟いた。
「くそっ……、そういえばクリフの奴はハノンの薬を服用した事があるんだったな……」
「どうしてそんなに悔しそうなのよ」
「妻の手製のものを他の男に先を越されて喜ぶ夫なんていない」
「もう……変なところにこだわって……」
「変なものか、俺にとっては一大事…「はいはい」
ハノンは尚もブツブツと言い続けそうな夫の言葉を遮った。
「今はとにかく温かくしてよく休んで。起きたらエッグノッグを作ってあげるから」
「……ラム酒入りがいい」
「ふふ、分かったわ」
ハノンはそう言ってフェリックスの額にキスを落とした。
「……」
「早く良くなるおまじない」
はそう言ってハノンは部屋を出て行った。
一人残されたフェリックスがひとり言ちる。
「……一番の特効薬を処方されたな……」
フェリックスにとってはどんな高価な薬よりも、ハノンに触れられる事が何よりの薬となるのだ。
現に先ほどまで感じていた頭痛が和らいでゆく。
(気のせい)
もうすっかり熱も下がったようだ。(気のせい)
とても穏やかな気持ちにもなれ、いつの間にかフェリックスは眠りに落ちていった。
そして次に目が覚めた時、
ラム酒入りのエッグノッグと
ラム酒と服用しても大丈夫なように調剤されたハノン謹製の風邪薬が用意されていた。
フェリックスの風邪が一遍に治ったのは、言うまでもないだろう。
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ばったばたしておりまして、
すみません、次の更新はまた来週となります。
ゴメンチャイ_:(´ཀ`」 ∠):
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