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ミニ番外編
過去を振り返って…… るちあん、王都へ移り住む③
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王都に移り住んだルシアンが、ワイズ侯爵家の面々へ雷に似た衝撃を与えた同じ日。
孫の愛くるしさに血圧が急上昇した為に寝室へとドナドナされたアルドンとアメリアだったが、
寝てばかりいては孫が帰ってしまうと早々に起き出した。
アメリアはお化粧や髪を結い直してから再びルシアンの元へ戻ったのだが、
既にそこに孫の姿はなくフェリックスとハノンが居るばかり。
「あら?ルシちゃんはどこに行ったの?そういえばアルドンも見かけないけれど……」
部屋の中を見渡すアメリアにハノンが答えた。
「お義父さまならルシアンに見せたいものがあるとか仰って、二人で別室に行かれましたよ」
「まぁそうなの?あの人ったらルシちゃんを一人占めしてズルいわ。でもいいの、ハノンさんともゆっくりお話をしたかったから。二人でティールームでお茶にしましょう」
「はい。喜んで」
どこかの世界の居酒屋のような返事をハノンが返したその時、廊下の方から大きな声で泣くルシアンの声が聞こえた。
「ルシーっ?」
それに反応し、いち早く部屋を飛び出したのは父親であるフェリックスだった。
ワイズ侯爵家の広く長い廊下の向こう、声がした方に視線を向けるとそこには泣きべそをかくルシアンを困り果てた様子で抱きながらこちらへ向かってくるアルドンの姿が見えた。
「父上?ルシーはどうしたのですか?」
ぱぱが来たのを見て、ルシアンは泣きながらフェリックスに手を伸ばす。
「ぱぱぁ……っ」
フェリックスはアルドンから息子を抱き直し、泣いているルシアンを優しく宥めた。
「ルシー?どうした?何をそんなに泣いているんだ?どこか痛いところでもあるのか?」
「うっ…ぐしゅ…ひっく…くましゃんのおばけっ…」
「クマのオバケ?」
「くましゃんおばけ、こわいよぅ……っ」
ルシアンはそう言ってフェリックスの肩に顔をぎゅうっとくっ付けてまた「ひーん」と泣き出した。
ルシアンの言葉だけでは要領を得ないフェリックスがアルドンに問いかける。
「父上、ルシーは一体どうしたんですか?何故こんなに怯えて?」
アルドンは気不味そうに頭をかきながらそれに答えた。
「いやその……ルシアンが大の熊好きだと聞いていたものだから、それならきっと本物が見たいだろうと私が猟で仕留めた超巨大なアデリオールエンシェントベアの剥製をだな……」
「見せたんですかっ?こんな小さな子に?あのどデカい熊の剥製をっ!?」
「だって喜ぶと思って……」
「そんなわけないでしょう。あんなの大人が見てもビビりますよ!」
「えーんっ、くましゃんおばけきらいっ……」
「す、すまんルシアン……」
孫を怖がらせてしまった事で、祖父はもうシオシオである。
体長三メートルは優に越すアデリオールエンシェントベアを一太刀で仕留めた男と同一人物とは思えない。
話を聞いていたアメリアが呆れ果てたようにこめかみを押さえていた。
「だからあれほど言ったのに……クマと熊は違うのです!……どうせご自分が仕留めた熊を見せてルシーちゃんに『おじぃたましゅごい!』と言って貰いたかっただけでしょうっ?」
「め、面目ない……」
その後、結局ハノンの腕の中に戻ってルシアンはようやく泣き止んだ。
3しゃいの孫に腕自慢をし、尊敬してもらいたいというアルドンの目論見は見事失敗に終わったのだった……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だからじーさん熊はやめろと言ったでしょーが。
るちあんはこの後、初対面したキースとバスターに思いっきり遊んで貰ってすぐにまたご機嫌になったそうな。
孫の愛くるしさに血圧が急上昇した為に寝室へとドナドナされたアルドンとアメリアだったが、
寝てばかりいては孫が帰ってしまうと早々に起き出した。
アメリアはお化粧や髪を結い直してから再びルシアンの元へ戻ったのだが、
既にそこに孫の姿はなくフェリックスとハノンが居るばかり。
「あら?ルシちゃんはどこに行ったの?そういえばアルドンも見かけないけれど……」
部屋の中を見渡すアメリアにハノンが答えた。
「お義父さまならルシアンに見せたいものがあるとか仰って、二人で別室に行かれましたよ」
「まぁそうなの?あの人ったらルシちゃんを一人占めしてズルいわ。でもいいの、ハノンさんともゆっくりお話をしたかったから。二人でティールームでお茶にしましょう」
「はい。喜んで」
どこかの世界の居酒屋のような返事をハノンが返したその時、廊下の方から大きな声で泣くルシアンの声が聞こえた。
「ルシーっ?」
それに反応し、いち早く部屋を飛び出したのは父親であるフェリックスだった。
ワイズ侯爵家の広く長い廊下の向こう、声がした方に視線を向けるとそこには泣きべそをかくルシアンを困り果てた様子で抱きながらこちらへ向かってくるアルドンの姿が見えた。
「父上?ルシーはどうしたのですか?」
ぱぱが来たのを見て、ルシアンは泣きながらフェリックスに手を伸ばす。
「ぱぱぁ……っ」
フェリックスはアルドンから息子を抱き直し、泣いているルシアンを優しく宥めた。
「ルシー?どうした?何をそんなに泣いているんだ?どこか痛いところでもあるのか?」
「うっ…ぐしゅ…ひっく…くましゃんのおばけっ…」
「クマのオバケ?」
「くましゃんおばけ、こわいよぅ……っ」
ルシアンはそう言ってフェリックスの肩に顔をぎゅうっとくっ付けてまた「ひーん」と泣き出した。
ルシアンの言葉だけでは要領を得ないフェリックスがアルドンに問いかける。
「父上、ルシーは一体どうしたんですか?何故こんなに怯えて?」
アルドンは気不味そうに頭をかきながらそれに答えた。
「いやその……ルシアンが大の熊好きだと聞いていたものだから、それならきっと本物が見たいだろうと私が猟で仕留めた超巨大なアデリオールエンシェントベアの剥製をだな……」
「見せたんですかっ?こんな小さな子に?あのどデカい熊の剥製をっ!?」
「だって喜ぶと思って……」
「そんなわけないでしょう。あんなの大人が見てもビビりますよ!」
「えーんっ、くましゃんおばけきらいっ……」
「す、すまんルシアン……」
孫を怖がらせてしまった事で、祖父はもうシオシオである。
体長三メートルは優に越すアデリオールエンシェントベアを一太刀で仕留めた男と同一人物とは思えない。
話を聞いていたアメリアが呆れ果てたようにこめかみを押さえていた。
「だからあれほど言ったのに……クマと熊は違うのです!……どうせご自分が仕留めた熊を見せてルシーちゃんに『おじぃたましゅごい!』と言って貰いたかっただけでしょうっ?」
「め、面目ない……」
その後、結局ハノンの腕の中に戻ってルシアンはようやく泣き止んだ。
3しゃいの孫に腕自慢をし、尊敬してもらいたいというアルドンの目論見は見事失敗に終わったのだった……。
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だからじーさん熊はやめろと言ったでしょーが。
るちあんはこの後、初対面したキースとバスターに思いっきり遊んで貰ってすぐにまたご機嫌になったそうな。
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