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ミニ番外編
医務室の裏ボス
「ホントにメロディちゃんだ……」
「メロディちゃんがいる……」
「有言実行、凄すぎるな」
「アラ♡アタシの可愛いガキんちょ達じゃない♡会いに来てくれたのネ~!」
魔術学園の放課後、
前日に終えた入学式からさらに心機一転。
本日から授業やオリエンテーリングが始まったルシアン、ポレット、ミシェルが医務室へ訪れて、メロディ=フレゲが医務室にいるのかを確かめに来たのであった。
ポレットとミシェルが入学するにあたりメロディはこう言った。
「キラキラルッシーとキラキラ王子の最愛であるポレとミッシーが入学して、二人が無事でいられるとは思えないワ……」と。
そしてルシアンと王子の隣を狙う女子生徒共に酷い目に遭わされるに違いない、学園内はある意味外界とは隔たれた隔離空間……そんな場所に二人が放り込まれるなど危険すぎる、と危惧したのであった。
そこでメロディは決意した。
「決めた!!アタシ、医務室のお姐さんになるワ!そしてポレとミッシーを陰ながら守るのヨ!」
その考えを耳にしたハノンが呆れ顔で、
「そんな限られたポスト、なりたいからとなれるわけないでしょう」
と言うとメロディは、
「使えるものは何でも使う、使える権力は何でも使う……ヨ♡」
と言ってニヤリと笑った。
「あなた……一体どうする気なの……?」
このとき既にハノンはメロディなら本当に何とかするのだろうと思ったらしい。
そして実際にメロディはやってのけた。
ポレットを守り、支える人間は一人でも多い方がイイでしょ?とデイビッド王子に直談判して……。
デイビッドは「もちろんです」と言い、魔法薬剤師メロディ=フレゲの魔術学園医務室勤務を手配した。
元々いた魔法薬剤師には王宮魔法薬剤師という新たなポストを用意して、その後釜にメロディを据えたのだ。
こうして使える権力…ポレット至上主義の王子、という権力を利用して(利用されるのはどちらか)メロディは医務室勤務となったのであった。
もともと、四歳になる娘のリズムを託児所に預けて魔法薬剤師として勤めに出ていたので特に生活の変化はない。
いざとなればパートナーのダンノも親友のハノンもサポートしてくれるのでメロディは後顧の憂いなく、いずれ伏魔殿と化すであろう学園に意気揚々と馳せ参じたのである。
「本来なら医務室の長って医療魔術師の医師だよね?だけどメロディちゃんの方が主感があるのはどうしてだろう……」
ルシアンがそう言うとメロディが笑いながら返した。
「やだルッシーてば褒めないでヨっ!」
「うん?褒め言葉になるのかな?」
そのやり取りを笑いながらポレットとミシェルが言った。
「ふふ。でもメロディちゃんが学園にいてくれるなんて嬉しい」
「そうね、とっても安心できます」
「困った事があったら…ううん、困った事がなくてなんでも言ってネ。アタシはいつでもココにいるからサ」
「うん」
「はい、わかりました」
妹たちを慈愛に満ちた目で見つめるメロディを見て、ルシアンは懐かしい気持ちになった。
遠い記憶、もの心つく前からこの優しい瞳に守られてきた。
母と自分をずっと支えてくれた人。
母と二人だけの暮らしでも寂しいと感じた事はなかったと朧げながらも覚えている。
いつでもこの明るく、懐深い人が側にいたから。
そして今も変わらずこうして側にいてくれる。
しかもこうやって自ら学園に乗り込んでまで……
きっと鼻息を荒くしてやって来たのだろうと思うと、ルシアンは思わず吹き出していた。
「……ふ、ふふっ」
「なぁに?ルッシーったら急に笑いだして」
メロディが不思議そうにルシアンを見る。
「ごめん、なんでもない」
「まぁいいワ♪これからは医務室にメロディちゃん在りだからネ♡」
「頼りにしてるよ」
「まっかせんしゃーーい!」
メロディが広い胸をドーーンと叩くのを見て、三人は笑った。
その様子を見てメロディがニヤリと笑う。
「でも~頼もしい味方はアタシだけじゃナイみたいヨ?」
「え?どういう事?」
「アタシとおんなじように、可愛い姫たちを守りたいという人がいるってコトよ♡」
「え?うん?」
ルシアンが首を傾げるとメロディは愉快そうに笑った。
そしてその“もう一人の人物”が誰なのか、
それはポレットとミシェルが初めての護身術の授業でわかる事となる。
「……イヴェットお姉さま……?」
特別講師として現れたその人を見てポレットが目を丸くした。
「オーホッホッホッ!わたくしが来たからにはもう安心ですわよーーっ!ポレットを悪役令嬢なんかにはさせませんわーーっ!!どこからでも掛かって来なさい転生令嬢ーー!」
ポレットとルシアンの従兄である次期ワイズ侯爵キース=ワイズの妻、
イヴェット=ワイズの姿がそこにあった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご存知ない方のために補足を。
キースの妻イヴェット自身が転生令嬢です。
いや、転生夫人か。
詳しくは作者の他作品「夫婦にまつわるすれ違い、または溺愛を描く短編集」の中にあるお話「鎧の姫」をご参照くださいマセ♡
「メロディちゃんがいる……」
「有言実行、凄すぎるな」
「アラ♡アタシの可愛いガキんちょ達じゃない♡会いに来てくれたのネ~!」
魔術学園の放課後、
前日に終えた入学式からさらに心機一転。
本日から授業やオリエンテーリングが始まったルシアン、ポレット、ミシェルが医務室へ訪れて、メロディ=フレゲが医務室にいるのかを確かめに来たのであった。
ポレットとミシェルが入学するにあたりメロディはこう言った。
「キラキラルッシーとキラキラ王子の最愛であるポレとミッシーが入学して、二人が無事でいられるとは思えないワ……」と。
そしてルシアンと王子の隣を狙う女子生徒共に酷い目に遭わされるに違いない、学園内はある意味外界とは隔たれた隔離空間……そんな場所に二人が放り込まれるなど危険すぎる、と危惧したのであった。
そこでメロディは決意した。
「決めた!!アタシ、医務室のお姐さんになるワ!そしてポレとミッシーを陰ながら守るのヨ!」
その考えを耳にしたハノンが呆れ顔で、
「そんな限られたポスト、なりたいからとなれるわけないでしょう」
と言うとメロディは、
「使えるものは何でも使う、使える権力は何でも使う……ヨ♡」
と言ってニヤリと笑った。
「あなた……一体どうする気なの……?」
このとき既にハノンはメロディなら本当に何とかするのだろうと思ったらしい。
そして実際にメロディはやってのけた。
ポレットを守り、支える人間は一人でも多い方がイイでしょ?とデイビッド王子に直談判して……。
デイビッドは「もちろんです」と言い、魔法薬剤師メロディ=フレゲの魔術学園医務室勤務を手配した。
元々いた魔法薬剤師には王宮魔法薬剤師という新たなポストを用意して、その後釜にメロディを据えたのだ。
こうして使える権力…ポレット至上主義の王子、という権力を利用して(利用されるのはどちらか)メロディは医務室勤務となったのであった。
もともと、四歳になる娘のリズムを託児所に預けて魔法薬剤師として勤めに出ていたので特に生活の変化はない。
いざとなればパートナーのダンノも親友のハノンもサポートしてくれるのでメロディは後顧の憂いなく、いずれ伏魔殿と化すであろう学園に意気揚々と馳せ参じたのである。
「本来なら医務室の長って医療魔術師の医師だよね?だけどメロディちゃんの方が主感があるのはどうしてだろう……」
ルシアンがそう言うとメロディが笑いながら返した。
「やだルッシーてば褒めないでヨっ!」
「うん?褒め言葉になるのかな?」
そのやり取りを笑いながらポレットとミシェルが言った。
「ふふ。でもメロディちゃんが学園にいてくれるなんて嬉しい」
「そうね、とっても安心できます」
「困った事があったら…ううん、困った事がなくてなんでも言ってネ。アタシはいつでもココにいるからサ」
「うん」
「はい、わかりました」
妹たちを慈愛に満ちた目で見つめるメロディを見て、ルシアンは懐かしい気持ちになった。
遠い記憶、もの心つく前からこの優しい瞳に守られてきた。
母と自分をずっと支えてくれた人。
母と二人だけの暮らしでも寂しいと感じた事はなかったと朧げながらも覚えている。
いつでもこの明るく、懐深い人が側にいたから。
そして今も変わらずこうして側にいてくれる。
しかもこうやって自ら学園に乗り込んでまで……
きっと鼻息を荒くしてやって来たのだろうと思うと、ルシアンは思わず吹き出していた。
「……ふ、ふふっ」
「なぁに?ルッシーったら急に笑いだして」
メロディが不思議そうにルシアンを見る。
「ごめん、なんでもない」
「まぁいいワ♪これからは医務室にメロディちゃん在りだからネ♡」
「頼りにしてるよ」
「まっかせんしゃーーい!」
メロディが広い胸をドーーンと叩くのを見て、三人は笑った。
その様子を見てメロディがニヤリと笑う。
「でも~頼もしい味方はアタシだけじゃナイみたいヨ?」
「え?どういう事?」
「アタシとおんなじように、可愛い姫たちを守りたいという人がいるってコトよ♡」
「え?うん?」
ルシアンが首を傾げるとメロディは愉快そうに笑った。
そしてその“もう一人の人物”が誰なのか、
それはポレットとミシェルが初めての護身術の授業でわかる事となる。
「……イヴェットお姉さま……?」
特別講師として現れたその人を見てポレットが目を丸くした。
「オーホッホッホッ!わたくしが来たからにはもう安心ですわよーーっ!ポレットを悪役令嬢なんかにはさせませんわーーっ!!どこからでも掛かって来なさい転生令嬢ーー!」
ポレットとルシアンの従兄である次期ワイズ侯爵キース=ワイズの妻、
イヴェット=ワイズの姿がそこにあった。
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ご存知ない方のために補足を。
キースの妻イヴェット自身が転生令嬢です。
いや、転生夫人か。
詳しくは作者の他作品「夫婦にまつわるすれ違い、または溺愛を描く短編集」の中にあるお話「鎧の姫」をご参照くださいマセ♡
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