無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳

キムラましゅろう

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ミニ番外編

転生夫人対転生聖女!

「シャラップですわっ!そこの小娘っ!!小娘の戯言にはこのわたくし、イヴェット=ワイズが受けて立ちますわっ!!」


デイビットにちょっかいを出している聖女リリスがとうとうポレットに絡んできた。

それをポレットの従兄であるキース=ワイズの妻イヴェットが待ったをかけたのである。


イヴェットは腕を組み直し、リリスをジト目でめつけた。

「聖女様、貴女に少しお話がございますの。こちらへいらしてくださる?」

リリスは突然現れたイヴェットに最初は面食らいながらもすぐに通常モードになった。

「え~?実技の講師せんせいがなんのお話ですかぁ~?でもワタシぃ、デイビット殿下のお側にいなくてはいけないんです~」

「今、側を離れてそこに居るじゃないの、お黙りなさい。さぁ、行きますわよっ」

「きゃ~ちょっと強引~やめてやめてたぁすけて~」

イヴェットは聖女の腕を強引に取り、ぐいぐい引いてその場を離れた。

そして後に残されたポレットとミシェルは、ポカンとしてそれを見送るしかなかった。

「……一体なんだったのかしら……?」

ポレットがぽつり、つぶやいた。



◇◇◇◇◇


イヴェットはリリスを人気ひとけのない鍛錬場へと連れて行った。

その場に着くなりリリスが文句を言う。

「も~一体なんなんですか~ぁ?ワタシは聖女ですよ~こんな事してゆるされると思ってるんですか~ぁ」

「許されるわ。わたくしは学園の講師。授業に関する事だと言えばそれが通りますからね」

「え~横暴~」

「横暴なのはどちらなのかしら?王子殿下の婚約者であるポレットにあんな言い掛かりをつけるなんて」

イヴェットのその言葉にリリスは反応を示した。

「あらぁ?先生ってばワイズ家のご令嬢と知り合い~?呼び捨てなんかしちゃったりして~」

「ポレットはわたくしの可愛い義従妹ですわ」

それを聞き、リリスは顎に手をあて考えを巡らす仕草をした。

「悪役令嬢ものに義従姉の設定なんてあったかしらぁ?でもそういう作品もあるのかもしれないわね~」

そうブツブツと言うリリスの言葉をイヴェットは聞き逃さなかった。

「悪役令嬢ものって……設定って……」

「でも!この世界のヒロインはワタシ♡外野が何を言おうが関係ないわ~」

「貴女!もしかして、転生者……?」

イヴェットの呟きにリリスは目を見開いた。

「えっ!?転生者というワードを知ってる先生も転生者ぁ?」

「やっぱり!異世界の学園といえば聖女っ!昔、わたくしが学生だった頃には異世界召喚された聖女と出会いましたけれど、やはりテンプレの転生聖女もこの世界にいましたのね!」

「え~?先生ってばぁ、かつては悪役令嬢だったんですかぁ?」

「失礼な!わたくしはヒロインの友人ポジションにいましたわよ!ホントに偶然でしたけどもっ」

「でもあらヤダぁ、転生者としてはパイセンじゃないですかぁ~」

「貴女のような後輩なんて願い下げですわっ」

「え~、ドイヒ~~!パイセンそんなコト言わないで、悪役令嬢時代の話を聞かせてください~♡」

「だから悪役令嬢ではありませんわよっ」


と、そんな会話を二人は一気に繰り広げる。

リリスはその後もイヴェットの学生時代の話を聞きたがった。

イヴェットは自身が出会ったかつての聖女の話をすれば、王子への横恋慕が如何に無駄であるという事が伝わるかもしれないと思い、面倒くさいながらもリリスに語って聞かせてやる。


「わかりまして?貴女だって転生者で、多くのラノベや乙女ゲームをご存知ならご自分のやっている事が無駄だとわかりましたでしょう?大人しく諦めなさいな」

冷静に諭すようにイヴェットが告げるも、リリスはきょとんと不思議そうに首を傾げて言った。

「どーして諦めなくちゃダメなんですかぁ~?せっかくヒロインポジに転生出来たのにぃ~。ラノベの聖女たちはみんなバカでやり方が悪かったんですよぉ~。ワタシならぁ、彼女たちを反面教師にして上手くやれますぅ~♡」

「な、なんですって!?」

「先生もぉ、このまま悪役令嬢であるポレット様サイドにいたら破滅しますよぉ~?同じ転生者のヨシミですぅ、今なら敵認定せずにいてあげますよぉ~」

諦めさせるどころか全く意図が理解されていない事にイヴェットは驚く。
しかし直ぐに冷静になり、リリスに言った。

「貴女の方こそ行いを改めるなら今のうちですわよ?この世界は貴女が想像している異世界とは少し違いますの。貴女が仰る悪役令嬢には頼もしい味方が沢山おりますのよ?ムダな事はおやめなさい。第一、王子殿下はポレットにぞっこんですからね」

イヴェットが忠告の意味も込めた言葉も、リリスは満面の笑みを浮かべて返した。

「きゃ~♡それでこそ攻略のし甲斐があるというものですぅ~♡あいにく、王子は悪役令嬢ではなくヒロインである聖女と結ばれるのがテンプレなんですからね~」

「あ、貴女という人は……!」

「きゃ~怒らないでくださぁい。とにかくワタシはぁ、ワタシのやりたいようにやらせていただきますね~♡せっかく神聖力なんてチートもあるんだから活用しなくっちゃ~♪」

「ちょっと待ちなさい!話はまだ終わっていませんわよっ!」

「もう午後のチャイムが鳴りますもの~♪それにあまりお側を離れたらぁ、デイビット殿下が心配しちゃう~」

そう言ってスキップしながらその場を去って行った。

「な、なんてポジティブでアグレッシブな転生聖女なのっ……?それに彼女、チートって……」


リリスが言い残した言葉に、イヴェットは言いようのない不安を感じた。


「……これはワイズ侯爵家の権力ちからを持って策を講じなくてはなりませんわっ」


そしてイヴェットの不安はその後すぐに的中する。

学園内に聖女リリスに傾倒する学生たちが一気に増え、それが一大勢力となったのであった。



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