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ミニ番外編
破滅の足音④ 挿話 ハノン、医務室に来たる
「ハノン様、こちらですわ」
娘ポレットの身に起きた事件をイヴェットから知らされたハノンは急ぎ魔術学園へと駆けつけた。
ルシアンとフェリックスが直ぐに危険を察知しポレットの元へと駆けつけたので事なきを得たとは聞いていても、それでも無事な顔をみるまでは不安は拭いきれない。
ハノンはポレットが待つという医務室へと足を急がせた。
その途中、夫フェリックスがハノンの元へとやって来た。
「ハノン」
「フェリックス」
フェリックスを指揮官として既に学園は王国騎士団の管理下にあると聞いている。
彼はどうやら妻が学園に着いたと知らせを受け、直ぐにこちらに来たのだろう。
側に来たフェリックスにハノンは訊ねた。
「あの子は?ポレットは大丈夫なの?」
フェリックスがハノンを安心させるために大きく頷き肩に手を添える。
「大丈夫だ。ルシアンとミシェルのおかげでかすり傷一つない」
「良かった……無事とは聞いていたけれど、やっぱり不安で……」
「わかるよ」
フェリックスはそう言って優しく妻の手を握った。
そして真剣な面持ちでハノンに告げる。
「今回のことでのポレットの精神的なショックはかなり大きいはずだ。生まれて初めて他者から害意を向けられ実際に攻撃を受けたのだから。ルシアンや護衛騎士に屋敷まで送らせてもよいのだが、側に一番安心出来る者がついていると心強いはずだ」
「そうね、すぐにあの子の元に行くわ」
「頼む」
ハノンはそれに小さく頷き、イヴェットと共に医務室へと向かうべく踵を返した。
が、すぐに立ち止まり夫に告げる。
「あ、フェリックス」
「なんだ?」
「既に怒り心頭なのでしょうけれど、やり過ぎはダメよ?」
「……善処する」
「でも、決して容赦はしないで」
ハノンの瞳の奥にある静かな怒りを感じ取り、フェリックスは不敵な笑みを浮かべる。
「当然だ」
自分たちの大切な娘が傷つけられようとしたのだ。
実際に心は傷ついている。
その事への怒りはフェリックスもハノンも同じであった。
部下に指示を飛ばしながら学園長室へと向かう夫の頼もしい背中を見送り、ハノンは再び医務室へと歩き出した。
魔術学園の医務室には今、ハノンの無二の心友が勤めている。
ポレットとミシェル、自分にとっても娘同然の二人を有象無象から守るのだと言って、上手く伝手を使いその職をゲットした頼もしい心友。
そう、昔からハノンを支え、いつだって味方でいてくれたかけ替えのない心友、メロディが………。
ハノンが医務室に到着すると、半開きになっていたドアの向こうから賑やかな声が聞こえてきた。
「そしたらさぁ!ハノンたら旦那が浮気したと思ってアタシの家に家出してきたのヨっ?まだ幼いルッシーとバブバブだったポレッテイを連れて!」
「…………」
───おい心友。
「モ~この世の終わりだーみたいな、死にそうな顔してさぁ!」
ハノンはツカツカと医務室の中を闊歩して唯一無二の心友のこめかみを後ろから拳でグリグリした。
そしてドスの利いた低い声でメロディに言う。
「死にそうな顔をしてたのは二日酔いで緑の顔色をしていたあなたでしょ!このゲロディめぇぇっ……!」
「ア゛アダダダダッ!やだハノン!もう来たのっ?」
「もう来たの?じゃないわよっ!なに娘たちに暴露してくれちゃってんのよぉぉっ」
「アダダダダッ!メンゴメンゴッ!ていうかゲロディって呼ばないでヨっ!確かにあん時は二日酔いで吐いちゃったけどさっ!」
「巨大な酒樽かと思ったわよ!酒臭いったらなかったんだから!」
ハノンはそう言ってからメロディのこめかみを解放した。
まさかかつての珍騒動を娘たちに話しているとは思わなかった。
しかしその時、ジト目でメロディを睨めつけるハノンの胸にポレットが飛び込んだ。
「母さまっ!」
「ポレットっ……」
ハノンは自分より少しだけ背の低いその体を優しく抱えこむ。
「無事でよかった……」
「母さま……」
妃教育を受けてきたポレットの事だ。
取り乱したり、怖いからと泣いてはいけないと自分を律していたのだろう。
それが母親の顔を見て一気に崩れた。
小刻みに震え小さく嗚咽を漏らす娘の体を、ハノンはぎゅっと力を込めて抱きしめた。
もう大丈夫だと。安心させてやりたくて。
「ポレット……」
そんなポレットを見てミシェルがが涙を浮かべている。
察しがよく優しいミシェル。
ハノンはポレットを抱きしめる片方の手をミシェルに向かって広げた。
「ミシェル」
「っ叔母様……」
ミシェルもハノンの胸の中にそっと入ってきた。
ハノンは娘二人をぎゅっと抱きしめる。
「ミシェル、ポレットを守ってくれてありがとう。でもあなたは大丈夫?どこも怪我していない?」
「はい、大丈夫です……」
静かに答えるミシェルにハノンは「そう、本当に良かったわ……」と言って額にキスをした。
もちろんポレットの額にもキスを落とす。
その母と娘、叔母と姪の仲睦まじい光景を見て、
メロディはスカラップレースが縁取る大判のハンカチーフを取り出して目元を拭っていた。
「泣けるわぁぁ……!やっぱり家族愛って素敵よネぇぇ!下手な三文芝居よりよっぽど泣けるわぁぁ……!抜けるんじゃないのヨ?泣けるのヨ?」
「うるさいわよエロディ。娘たちに変なことを聞かせないで」
ポレットとミシェルを抱いたままハノンが言うと、メロディは体をクネらせた。
「ンもうハノンのイヂワル!でもやっぱり娘たちはカワイイわよネ♡アタシからも母乳が噴射されそう♡」
「いや出ないから」
「ぷ……ふふ」「ふふふ」
ポレットとミシェルがハノンとメロディの会話に思わず吹き出す。
笑顔が戻った事にハノンは安堵した。
そして感極まって興奮したのがイヴェットである。
「こ、これがお話に聞いていたお二人の掛け合いなのですね!ボケとツッコミ!ホントに女漫才師みたいですわーー!」
イヴェットは夫からハノンとメロディがボケとツッコミのような会話をすることを聞いていたらしい。
それを実際に目の当たりに出来て感激しているのだ。
メロディが超絶いい笑顔でイヴェットに言った。
「イヤン♡ツッコミだなんてエッチぃわ!でもアタシもハノンもホントはツッコまれる方…「お黙りエロディ」
最後まで言わせるものかとぶった切るハノンにイヴェットは大喜びだ。
「出ましたわ~!カミソリのようにキレッキレ!お見事ですわ~♡♡♡」
「「ふふふふふ」」
ポレットもミシェルも鈴を転がすように笑い続けている。
いつの間にかその場の空気が明るく楽しいものへと変化していた。
ハノンは柔らかい笑みを浮かべ、心友に言う。
「メロディ、ポレットとミシェルの側にいてやってくれて、本当にありがとう」
そして場を和ませ、二人の気持ちを明るくさせてくれたことも。
メロディはニヤリと微笑む。
「ナニ言ってんのヨ。なんてことないわヨ」
「それでも……ありがとう」
そしてハノンは護衛騎士に守られ、娘たちと共に帰宅していった。
その馬車を見送りながらメロディがひとり言ちる。
「さてと、じゃあアタシは小悪党どもの末路を見届けましょうかネ」
学園の大掃除は既に始まっていた。
娘ポレットの身に起きた事件をイヴェットから知らされたハノンは急ぎ魔術学園へと駆けつけた。
ルシアンとフェリックスが直ぐに危険を察知しポレットの元へと駆けつけたので事なきを得たとは聞いていても、それでも無事な顔をみるまでは不安は拭いきれない。
ハノンはポレットが待つという医務室へと足を急がせた。
その途中、夫フェリックスがハノンの元へとやって来た。
「ハノン」
「フェリックス」
フェリックスを指揮官として既に学園は王国騎士団の管理下にあると聞いている。
彼はどうやら妻が学園に着いたと知らせを受け、直ぐにこちらに来たのだろう。
側に来たフェリックスにハノンは訊ねた。
「あの子は?ポレットは大丈夫なの?」
フェリックスがハノンを安心させるために大きく頷き肩に手を添える。
「大丈夫だ。ルシアンとミシェルのおかげでかすり傷一つない」
「良かった……無事とは聞いていたけれど、やっぱり不安で……」
「わかるよ」
フェリックスはそう言って優しく妻の手を握った。
そして真剣な面持ちでハノンに告げる。
「今回のことでのポレットの精神的なショックはかなり大きいはずだ。生まれて初めて他者から害意を向けられ実際に攻撃を受けたのだから。ルシアンや護衛騎士に屋敷まで送らせてもよいのだが、側に一番安心出来る者がついていると心強いはずだ」
「そうね、すぐにあの子の元に行くわ」
「頼む」
ハノンはそれに小さく頷き、イヴェットと共に医務室へと向かうべく踵を返した。
が、すぐに立ち止まり夫に告げる。
「あ、フェリックス」
「なんだ?」
「既に怒り心頭なのでしょうけれど、やり過ぎはダメよ?」
「……善処する」
「でも、決して容赦はしないで」
ハノンの瞳の奥にある静かな怒りを感じ取り、フェリックスは不敵な笑みを浮かべる。
「当然だ」
自分たちの大切な娘が傷つけられようとしたのだ。
実際に心は傷ついている。
その事への怒りはフェリックスもハノンも同じであった。
部下に指示を飛ばしながら学園長室へと向かう夫の頼もしい背中を見送り、ハノンは再び医務室へと歩き出した。
魔術学園の医務室には今、ハノンの無二の心友が勤めている。
ポレットとミシェル、自分にとっても娘同然の二人を有象無象から守るのだと言って、上手く伝手を使いその職をゲットした頼もしい心友。
そう、昔からハノンを支え、いつだって味方でいてくれたかけ替えのない心友、メロディが………。
ハノンが医務室に到着すると、半開きになっていたドアの向こうから賑やかな声が聞こえてきた。
「そしたらさぁ!ハノンたら旦那が浮気したと思ってアタシの家に家出してきたのヨっ?まだ幼いルッシーとバブバブだったポレッテイを連れて!」
「…………」
───おい心友。
「モ~この世の終わりだーみたいな、死にそうな顔してさぁ!」
ハノンはツカツカと医務室の中を闊歩して唯一無二の心友のこめかみを後ろから拳でグリグリした。
そしてドスの利いた低い声でメロディに言う。
「死にそうな顔をしてたのは二日酔いで緑の顔色をしていたあなたでしょ!このゲロディめぇぇっ……!」
「ア゛アダダダダッ!やだハノン!もう来たのっ?」
「もう来たの?じゃないわよっ!なに娘たちに暴露してくれちゃってんのよぉぉっ」
「アダダダダッ!メンゴメンゴッ!ていうかゲロディって呼ばないでヨっ!確かにあん時は二日酔いで吐いちゃったけどさっ!」
「巨大な酒樽かと思ったわよ!酒臭いったらなかったんだから!」
ハノンはそう言ってからメロディのこめかみを解放した。
まさかかつての珍騒動を娘たちに話しているとは思わなかった。
しかしその時、ジト目でメロディを睨めつけるハノンの胸にポレットが飛び込んだ。
「母さまっ!」
「ポレットっ……」
ハノンは自分より少しだけ背の低いその体を優しく抱えこむ。
「無事でよかった……」
「母さま……」
妃教育を受けてきたポレットの事だ。
取り乱したり、怖いからと泣いてはいけないと自分を律していたのだろう。
それが母親の顔を見て一気に崩れた。
小刻みに震え小さく嗚咽を漏らす娘の体を、ハノンはぎゅっと力を込めて抱きしめた。
もう大丈夫だと。安心させてやりたくて。
「ポレット……」
そんなポレットを見てミシェルがが涙を浮かべている。
察しがよく優しいミシェル。
ハノンはポレットを抱きしめる片方の手をミシェルに向かって広げた。
「ミシェル」
「っ叔母様……」
ミシェルもハノンの胸の中にそっと入ってきた。
ハノンは娘二人をぎゅっと抱きしめる。
「ミシェル、ポレットを守ってくれてありがとう。でもあなたは大丈夫?どこも怪我していない?」
「はい、大丈夫です……」
静かに答えるミシェルにハノンは「そう、本当に良かったわ……」と言って額にキスをした。
もちろんポレットの額にもキスを落とす。
その母と娘、叔母と姪の仲睦まじい光景を見て、
メロディはスカラップレースが縁取る大判のハンカチーフを取り出して目元を拭っていた。
「泣けるわぁぁ……!やっぱり家族愛って素敵よネぇぇ!下手な三文芝居よりよっぽど泣けるわぁぁ……!抜けるんじゃないのヨ?泣けるのヨ?」
「うるさいわよエロディ。娘たちに変なことを聞かせないで」
ポレットとミシェルを抱いたままハノンが言うと、メロディは体をクネらせた。
「ンもうハノンのイヂワル!でもやっぱり娘たちはカワイイわよネ♡アタシからも母乳が噴射されそう♡」
「いや出ないから」
「ぷ……ふふ」「ふふふ」
ポレットとミシェルがハノンとメロディの会話に思わず吹き出す。
笑顔が戻った事にハノンは安堵した。
そして感極まって興奮したのがイヴェットである。
「こ、これがお話に聞いていたお二人の掛け合いなのですね!ボケとツッコミ!ホントに女漫才師みたいですわーー!」
イヴェットは夫からハノンとメロディがボケとツッコミのような会話をすることを聞いていたらしい。
それを実際に目の当たりに出来て感激しているのだ。
メロディが超絶いい笑顔でイヴェットに言った。
「イヤン♡ツッコミだなんてエッチぃわ!でもアタシもハノンもホントはツッコまれる方…「お黙りエロディ」
最後まで言わせるものかとぶった切るハノンにイヴェットは大喜びだ。
「出ましたわ~!カミソリのようにキレッキレ!お見事ですわ~♡♡♡」
「「ふふふふふ」」
ポレットもミシェルも鈴を転がすように笑い続けている。
いつの間にかその場の空気が明るく楽しいものへと変化していた。
ハノンは柔らかい笑みを浮かべ、心友に言う。
「メロディ、ポレットとミシェルの側にいてやってくれて、本当にありがとう」
そして場を和ませ、二人の気持ちを明るくさせてくれたことも。
メロディはニヤリと微笑む。
「ナニ言ってんのヨ。なんてことないわヨ」
「それでも……ありがとう」
そしてハノンは護衛騎士に守られ、娘たちと共に帰宅していった。
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