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ミニ番外編
破滅の足音⑥ 元聖女断罪
「やっ……冷たい……い、痛いっ……!」
聖女……いや、元聖女リリスは連れて来られた騎士団の牢の中で一人呻き声を上げていた。
あの憎たらしいポレット=ワイズの父親……ワイズ卿に氷漬けにされた手を抱え込み、冷たいのか痛いのか分からない感覚に苛まれている。
「どうして……?どうしてこんな事にっ……」
全て上手くいっていたはずだ。
前世の記憶を取り戻してからというもの、前世よく読んだラノベのテンプレの知識を活かして行動して、まんまと上手くいっていたはずなのに。
自らのチートを発揮するべく身につけた魅了指輪を使い、学園の男子生徒や教師たちを虜にして意のままに操っていたというのに。
そして最も自分のものにしたかったディビッドの心も、魅了により手に入れたのだ。
そう、あの日確かにディビッドの瞳にはリリスしか映っていなかった。
魅了指輪で彼に触れ、瞳をじっと見て心理の奥深くに入りこんだはずなのだ。
だからリリスはポレットではなく自分を婚約者にしてくれと王子にねだった。
あの時、デイビッドは確かにぎこちないながらも頷いてくれたように見えたのに……。
それが何故か次の日、王子は急に公務のために他国に行ってしまった。
王宮の者に自分も行きたい、デイビッドの側にいたいと王子の行先を訊ねたのだが誰も教えてはくれない。
リリスは不貞腐れ、仕方がないからと暇つぶしとして学園の男子生徒たちに魅了をかけてチヤホヤさせた。
誰もが恋人や婚約者よりもリリスの事を優先してくれた。
それは当たり前の事だ。
自分にはその価値があって彼らはリリスのものなのだから。
人の心を操る罪悪感?
そんなもの、あるわけがない。
魅了を操る事が出来るのはごく一部の選ばれた人間だけだ。
リリスは選ばれたのだ。
選ばれた者が選ばれた能力を使って何が悪い。
リリスは心からそう思っていた。
そうして学園はどんどんリリスにとって居心地のよい場所となっていった。
ここにデイビッドが戻ってきたら……それはもう完璧なリリスの世界。
リリスだけの王国だ。
「ワタシってば勝ち組~!早くディビッド様が帰って来ないかなぁ~」
と、自分の輝かしい未来に期待を膨らませていたというのに……どうしてこうなってしまったのか。
前触れもなく、急に転落するように状況が変わってしまった。
「もうっ……どうしてよっ……」
魅了にかけた、あの教師が勝手に暴走なんかするからだ。
でも自分は何もしていない。
ポレット=ワイズに害を与えろと示唆した覚えはないのだからきっとすぐに無罪放免になる。
デイビッドが戻って来たらここから救い出してくれるはずだ。
そしてあの憎たらしいワイズ家の連中に罰を与えてくれるはずだ。
「国外追放にしてもらおうかしら……それとも……っえ?」
独房の中でそんな事を考えたその時、魅了指輪をしている手を拘束していた氷が一瞬にして消えた。
しかし次の瞬間、
「きゃあっ!!」
いきなり電流のようなものが走り、指輪が吹き飛んだ。
その衝撃でリリスは指に火傷を負い、強烈な痛みに襲われる。
「いやぁっ!!……い、痛いぃぃっ……!」
リリスは痛みに耐えられず悲鳴に近い声で泣いた。
だけど誰も来ない。
誰も来てくれない。
いつもリリスに周りにいた優しいみんなは、誰一人としてここに来てはくれなかった。
そしてどれくらい時間が経ったのだろう。
リリスが入れられていた独房に、ワイズ卿が入ってきた。
リリスは彼に縋るように訴える。
「ねぇ!見て!ワタシ、ケガをしたのよっ!早くお医者様を連れてきて!いいえ、今すぐワタシをここから出して!デイビッド様が帰ってきたらあなたをうんと叱ってもらうんだからぁ!」
そうワイズ卿に居丈高に告げた。
王子の心を虜にした今、何も怖いものはない。
しかし次に返ってきた言葉にリリスのその希望はいとも簡単に打ち砕かれた。
「お前はもう二度と日の目を見る事はないだろう。
言っている意味が分かるか?二度と生きては牢からは出られないという事だ。当然だ、王子を禁忌とされる術で殺しかけたのだからな」
「え……な、なにそれ、そんなの知らないわっ……え?キンキ?え?コロシ……?え?牢から出られない……?」
言われた意味が理解出来ずにオウム返しをするリリスに、ワイズ卿が凍てつくように冷たい眼差しを向けてきた。
「魅了が禁術と知らずに掛けていたのか。未成年とはいえ、無知とはあまりにも罪だな……」
「キンジュツってなに?そんなのラノベにあったっ?」
尚も訳のわからない発言をするリリスに、ワイズ卿は硬質な声で告げる。
「お前の罪状に名がつくのはこれからだ。幾つか法を犯しているが、一番大きな罪としては国家反逆罪となるだろう。その場合、間違いなく斬首刑だ」
「ザンシュって……?」
目の前の男は自身の首に手刀を当てながら言う。
「首を切り落とされるんだよ」
「ヒッ……!?えっ!い、いやよそんなのっ!!」
「嫌だろうがなんだろうが犯した罪はそれ相応に償わねばならない。王族に術をかけ、多くの人間の心を弄び、人生を台無しにしたお前はその命で償わねばならない。あぁだが良かったな、この国は人権を重んじる。お前のような奴にでもきちんと公正な裁判は開かれる。それに多少は未成年である事も考慮されるだろう……」
「だからと言って、私は娘を傷付けたお前を許すつもりはない」と温度を感じさせない声色で吐き捨てた言葉を残し、ワイズ卿は独房から出て行った。
その後には知らされた事実に、
これから自分が辿るであろう非情な末路に、
茫然自失とするリリスが残された。
「ウソよ……いや……首をきられちゃうなんてイヤぁぁっ……」
それから彼女は三日三晩、死ぬのは嫌だ死にたくない、なぜ、どこで間違えたのだと言い、泣き叫び続けた。
魅了を用いた副作用か鎮静魔法を施しても効果はなかったらしい。
そして四日目の朝。
完全に気を遣ってしまったリリスが、独房の中で無垢な赤ん坊のように笑っていたという。
知能を失い、言葉を忘れ、廃人となった彼女に裁判員たちと裁判長は斬首ではなく生涯懲役の判決を下した。
未成年の若気の至り…という言葉に済ます訳にはいかないほど彼女の罪は深く重いものではあったが、死への恐怖から精神が壊れた愚かな娘への最大限の温情であったのだろう。
それからすぐに、元聖女リリスは追い立てられるように北の監獄所へと送られたのであった。
彼の地の環境は厳しい。
そこで逞しく生き延びた末に、
いつしか正気を取り戻したリリスが己の罪を心から悔い改め、それを償いながら人生をやり直せる日がくれば良いのだが。
彼女の両親のためにも……。
事の顛末をフェリックスから聞かされたハノンはそう思ったのであった。
───────────────────────
補足です。
リリスに魅了指輪を渡しておきながらトカゲのシッポ切りの如く、リリス一人に罪を擦り付け打ち捨てた国教会の上層部はその後、不正や違憲行為が明るみになり失脚、捕縛、処断されたそうです。
度重なる聖女や聖職者の不祥事に、国教会の権威はもはや地に落ちたといえるでしょう。
しかし、純粋に聖女とその癒しの力を信仰する一部の良心を持つ敬虔な聖職者たちの手により、一から生まれ変わろうと動き初めているとの事です。
次回、デイくんが帰ってくる?
聖女……いや、元聖女リリスは連れて来られた騎士団の牢の中で一人呻き声を上げていた。
あの憎たらしいポレット=ワイズの父親……ワイズ卿に氷漬けにされた手を抱え込み、冷たいのか痛いのか分からない感覚に苛まれている。
「どうして……?どうしてこんな事にっ……」
全て上手くいっていたはずだ。
前世の記憶を取り戻してからというもの、前世よく読んだラノベのテンプレの知識を活かして行動して、まんまと上手くいっていたはずなのに。
自らのチートを発揮するべく身につけた魅了指輪を使い、学園の男子生徒や教師たちを虜にして意のままに操っていたというのに。
そして最も自分のものにしたかったディビッドの心も、魅了により手に入れたのだ。
そう、あの日確かにディビッドの瞳にはリリスしか映っていなかった。
魅了指輪で彼に触れ、瞳をじっと見て心理の奥深くに入りこんだはずなのだ。
だからリリスはポレットではなく自分を婚約者にしてくれと王子にねだった。
あの時、デイビッドは確かにぎこちないながらも頷いてくれたように見えたのに……。
それが何故か次の日、王子は急に公務のために他国に行ってしまった。
王宮の者に自分も行きたい、デイビッドの側にいたいと王子の行先を訊ねたのだが誰も教えてはくれない。
リリスは不貞腐れ、仕方がないからと暇つぶしとして学園の男子生徒たちに魅了をかけてチヤホヤさせた。
誰もが恋人や婚約者よりもリリスの事を優先してくれた。
それは当たり前の事だ。
自分にはその価値があって彼らはリリスのものなのだから。
人の心を操る罪悪感?
そんなもの、あるわけがない。
魅了を操る事が出来るのはごく一部の選ばれた人間だけだ。
リリスは選ばれたのだ。
選ばれた者が選ばれた能力を使って何が悪い。
リリスは心からそう思っていた。
そうして学園はどんどんリリスにとって居心地のよい場所となっていった。
ここにデイビッドが戻ってきたら……それはもう完璧なリリスの世界。
リリスだけの王国だ。
「ワタシってば勝ち組~!早くディビッド様が帰って来ないかなぁ~」
と、自分の輝かしい未来に期待を膨らませていたというのに……どうしてこうなってしまったのか。
前触れもなく、急に転落するように状況が変わってしまった。
「もうっ……どうしてよっ……」
魅了にかけた、あの教師が勝手に暴走なんかするからだ。
でも自分は何もしていない。
ポレット=ワイズに害を与えろと示唆した覚えはないのだからきっとすぐに無罪放免になる。
デイビッドが戻って来たらここから救い出してくれるはずだ。
そしてあの憎たらしいワイズ家の連中に罰を与えてくれるはずだ。
「国外追放にしてもらおうかしら……それとも……っえ?」
独房の中でそんな事を考えたその時、魅了指輪をしている手を拘束していた氷が一瞬にして消えた。
しかし次の瞬間、
「きゃあっ!!」
いきなり電流のようなものが走り、指輪が吹き飛んだ。
その衝撃でリリスは指に火傷を負い、強烈な痛みに襲われる。
「いやぁっ!!……い、痛いぃぃっ……!」
リリスは痛みに耐えられず悲鳴に近い声で泣いた。
だけど誰も来ない。
誰も来てくれない。
いつもリリスに周りにいた優しいみんなは、誰一人としてここに来てはくれなかった。
そしてどれくらい時間が経ったのだろう。
リリスが入れられていた独房に、ワイズ卿が入ってきた。
リリスは彼に縋るように訴える。
「ねぇ!見て!ワタシ、ケガをしたのよっ!早くお医者様を連れてきて!いいえ、今すぐワタシをここから出して!デイビッド様が帰ってきたらあなたをうんと叱ってもらうんだからぁ!」
そうワイズ卿に居丈高に告げた。
王子の心を虜にした今、何も怖いものはない。
しかし次に返ってきた言葉にリリスのその希望はいとも簡単に打ち砕かれた。
「お前はもう二度と日の目を見る事はないだろう。
言っている意味が分かるか?二度と生きては牢からは出られないという事だ。当然だ、王子を禁忌とされる術で殺しかけたのだからな」
「え……な、なにそれ、そんなの知らないわっ……え?キンキ?え?コロシ……?え?牢から出られない……?」
言われた意味が理解出来ずにオウム返しをするリリスに、ワイズ卿が凍てつくように冷たい眼差しを向けてきた。
「魅了が禁術と知らずに掛けていたのか。未成年とはいえ、無知とはあまりにも罪だな……」
「キンジュツってなに?そんなのラノベにあったっ?」
尚も訳のわからない発言をするリリスに、ワイズ卿は硬質な声で告げる。
「お前の罪状に名がつくのはこれからだ。幾つか法を犯しているが、一番大きな罪としては国家反逆罪となるだろう。その場合、間違いなく斬首刑だ」
「ザンシュって……?」
目の前の男は自身の首に手刀を当てながら言う。
「首を切り落とされるんだよ」
「ヒッ……!?えっ!い、いやよそんなのっ!!」
「嫌だろうがなんだろうが犯した罪はそれ相応に償わねばならない。王族に術をかけ、多くの人間の心を弄び、人生を台無しにしたお前はその命で償わねばならない。あぁだが良かったな、この国は人権を重んじる。お前のような奴にでもきちんと公正な裁判は開かれる。それに多少は未成年である事も考慮されるだろう……」
「だからと言って、私は娘を傷付けたお前を許すつもりはない」と温度を感じさせない声色で吐き捨てた言葉を残し、ワイズ卿は独房から出て行った。
その後には知らされた事実に、
これから自分が辿るであろう非情な末路に、
茫然自失とするリリスが残された。
「ウソよ……いや……首をきられちゃうなんてイヤぁぁっ……」
それから彼女は三日三晩、死ぬのは嫌だ死にたくない、なぜ、どこで間違えたのだと言い、泣き叫び続けた。
魅了を用いた副作用か鎮静魔法を施しても効果はなかったらしい。
そして四日目の朝。
完全に気を遣ってしまったリリスが、独房の中で無垢な赤ん坊のように笑っていたという。
知能を失い、言葉を忘れ、廃人となった彼女に裁判員たちと裁判長は斬首ではなく生涯懲役の判決を下した。
未成年の若気の至り…という言葉に済ます訳にはいかないほど彼女の罪は深く重いものではあったが、死への恐怖から精神が壊れた愚かな娘への最大限の温情であったのだろう。
それからすぐに、元聖女リリスは追い立てられるように北の監獄所へと送られたのであった。
彼の地の環境は厳しい。
そこで逞しく生き延びた末に、
いつしか正気を取り戻したリリスが己の罪を心から悔い改め、それを償いながら人生をやり直せる日がくれば良いのだが。
彼女の両親のためにも……。
事の顛末をフェリックスから聞かされたハノンはそう思ったのであった。
───────────────────────
補足です。
リリスに魅了指輪を渡しておきながらトカゲのシッポ切りの如く、リリス一人に罪を擦り付け打ち捨てた国教会の上層部はその後、不正や違憲行為が明るみになり失脚、捕縛、処断されたそうです。
度重なる聖女や聖職者の不祥事に、国教会の権威はもはや地に落ちたといえるでしょう。
しかし、純粋に聖女とその癒しの力を信仰する一部の良心を持つ敬虔な聖職者たちの手により、一から生まれ変わろうと動き初めているとの事です。
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