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ミニ番外編
書籍発売記念番外編 〜もう1つの番外編〜 心の声が聞こえる
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今回も書籍発売の御礼として番外編をお届けします。
レジーナのサイトで公開している番外編の途中からのifストーリーです。
サイトの方ではイグリードがそれぞれ皆に予言を呈し、そして幼いるちあんに加護を与えて終わりましたが、今回のお話はその別パターンで考えていたお話です。
文字数が制限を超えそうでしたのでボツにしました。
楽しんでいただけましたら幸いです。
○レジーナのサイトの番外編をお読みでない方へ。
お話としてはるちあんがまだ三歳の頃、メロディとファビアンと公園に遊びにきていたルシアンはお腹を空かせた青い髪に黒い目をした不思議な青年と出会いました。
お腹を空かせたその青年にサンドイッチをあげた事により……?といった感じです☆
───────────────────────
「美味しいサンドイッチと、楽しいピクニックの仲間に入れてくれたお礼に……ふむふむ、君たち共通の大切な人に数時間だけ特殊な能力を授けよう☆」
青い髪をした青年がそう言った。
「特別な能力?ナニよソレ」
メロディが不思議そうに青い髪の青年に訊ねる。
「特殊な能力って言えば特殊~な能力だよ☆」
「ナニよイイ加減な事言っちゃって、この腹ぺこ青虫!」
「あはは☆上手いこと言うね☆」
「アタシたちの共通の大切な人って……ハノンしかいないじゃないっ、アンタ一体ナニをするつもりヨ!」
「悪い魔法じゃないよ?……いや、相手次第なのかな?」
「ナニよソレ!」
「とにかくふよふよ~って付与しとくよ☆」
青い髪の青年がそう言った同時刻、ハノンはなんだか耳がムズムズとむず痒くなった。
今は自宅アパートでフェリックスと一緒にいる。
息子のルシアンを兄とメロディが公園に連れて行ってくれたので二人っきりなのだ。
ハノンは朝に焼いたビスケットをお皿に盛りながらフェリックスをチラと見た。
彼はベランダから下町の風景を眺めている。
侯爵家の子息の目にこんな下町がどう映るのか。
生活音や人々が話す声がガヤガヤしていて騒がしいと思うのではないだろうか。
愛する息子の父親と……長年の想い人と結婚する事になったのは嬉しいけれど、きっとおそらく間違いなくフェリックスとは生活習慣や価値観が違う。
ハノンにとっては慣れ親しんだ平民としての暮らしは、フェリックスにとっては屋敷の使用人たちの暮らしだ。
───……やっぱりいきなり人に傅かれる貴族の生活になるのかしら……。
貧乏子爵家の出であるハノンは昔も今もそんな暮らしをした事がない。
ハノンが幼い頃には使用人が家にいたが、それでもメイドが一人にあとは一応は執事と呼ばれる雑用係の下男だけであった。
それがフェリックスと結婚する事になっていきなり「奥様」と呼ばれて大勢の人間に傅かれるなんて……
───不安しかないわ。
でもこんな貧乏じみた考えなんて、きっとフェリックスには理解して貰えない。
どうしたら良いものかとハノンは思い悩みながらお茶の支度を調えた。
「フェリックス様、お茶の用意が出来ましたよ」
ハノンが声を掛けるとベランダに居たフェリックスが「ありがとう」といいながら室内に入ってきた。
「……お茶もお菓子も安物しかないのが申し訳ないのだけれど……」
──我慢してもらうしかない。
絶対にいつも最高級のものを口にしているであろう侯爵家次男二十三歳にそう思いながら告げると、フェリックスは何でもない事のように返してくる。
「気にしないで。学生時代や騎士見習い時代には色んなものを口にしているから」
それでも絶対に今出しているものより品質がいいに決まっている……。
お茶を口に含むフェリックスを見ながらハノンがそう思った時、頭の中に声が響いた。
『ハノンが煎れてくたお茶と手作りのお菓子……最高だな』
「え?」
「ん?どうした?」
「い、いえ……なにも」
今、確かにフェリックスの声が聞こえた。
でもフェリックスはお茶を口にしていて話す事なんで出来なかった。
それに今の声は耳に聞こえたというより頭の中に響いた感じだった……。
───どういう事?
訝しげにするハノンの頭の中にまたフェリックスの声が響く。
『美味い。ハノンが淹れたお茶はなぜこんなにも美味いんだ?それにこのビスケットも初めて食べたがなんて美味いんだ。こんな美味いものをあの細くて繊細な指で作ったのか?なんて尊い……』
「………」
どういう訳だろう。
やはりフェリックスの声が直接頭の中に聞こえる。
本人は喋っていないのに。
───まさか、フェリックス様の心の声がわたしに聞こえている……?
そんなバカな。なぜ急に?
心を読むという高難度な魔法があるとは聞いた事があるがハノンにそんなものが扱えるわけが無い。
本当に何故こんな事になったのかはわからない。
わからないがフェリックスの心の声はどんどんハノンの頭の中に流れ込んでくる。
『ハノンとこうしてゆっくりとお茶が飲める日がくるなんて……幸せすぎる』
『ルシアン……楽しんでいるだろうな。今度は俺も公園に連れて行ってやりたい』
『それにしても本当に美味い。お茶もビスケットも最高だ。ワイズのシェフもビックリの美味さだな』
「……ふふ」
侯爵家お抱えのシェフはハノンが作った焼き菓子で驚いたりはしないだろう。
だかそう思ってくれた事が素直に嬉しい。
フェリックスは口数が少ない方の人間だと思っていたが、心の中は意外と饒舌なようだ。
彼の心の声を聞いて変な蟠りが解けたハノンは、不安に感じている事を思いきって打ち明けてみた。
一緒に暮らすにあたり、いきなり人に傅かれる貴族の暮らしには馴染めないかもしれないということ。
本当は家族三人だけで慎ましやかに暮らしたいと思っていること。
そしてお茶やビスケットを美味しそうに食べてくれて嬉しかったと、ハノンはフェリックスに話した。
ハノンの話を黙って聞いていたフェリックスは優しげな笑みを浮かべ、全てハノンの希望通りに生活を調えるからと言ってくれた。
「ここのベランダから街を眺めて思っていたんだ。ハノンとルシアンにはこれまで馴染んできた暮らしがある。それに寄り添うのは俺の方だなと」
『二人を幸せにしたい。そのためなら何でもする』
心の声も含めて、フェリックスが言った言葉にハノンは嬉しくなった。
「フェリックス様……ありがとう」
「フェリックスと。敬称なんて必要ない、俺たちは夫婦になるんだから」
「うん……」
ハノンの心にじんわりと温かなものが広がっていく。
彼はちゃんと考えてくれていた。
思った以上に饒舌な心の中で。
生活習慣や価値観が違ったって、二人でなんでも話し合って解決してゆけばいいのだと、ハノンはそう素直に思えた。
その後、二人でお茶を飲みながら今後の暮らしの向けて様々な話をする。
フェリックスの心の声はいつの間にか聞こえなくなっていた。
「ね☆なかなか役に立つ付与だったでしょ?」
突然、青い髪の青年がメロディにドヤ顔で言った。
「ナニよいきなり」
「いや~☆ボク、またいい仕事したなぁ♪」
「ナニわけワカメなコト言ってんのかしら、この腹ぺこ青虫ちゃんは」
その後、ファビアンは公園でたくさんルシアンと遊んでくれた。
メロディもブランコや滑り台に全力で挑み、ファビアンとメロディは公園にいた子どもたちに大人気となった。
が、あの青い髪の青年はいつの間にかいなくなっていた。
バスケットに『ありがとう、ご馳走様。Fromイグリード☆』と書かれたメッセージカードが残されていて、ファビアンもメロディもイグリードという名に反応した。
「はて?なんかどっかで聞いたコトがある名前なのよネ~」
「俺もだ。どこで聞いた名だったか……」
それはきっといつかの新聞か、学生時代に読んだ魔導書か、西方大陸の歴史書だったのだろう。
だがその時のメロディとファビアンは思い出す事が出来なかった。
そして将来、立派な青年になったルシアンがかの高名な大賢者バルク・イグリードと対面した時に、イグリードに「いつかのサンドイッチは美味しかったよね☆」と話しかけられたとのだという。
おしまい☆
───────────────────────
最後はサイトの方のお話と結びは一緒です。
ボツになった方のお話も皆さんにご紹介できて良かったです。
さて、しばらくお付き合いいただきました書籍発売記念番外編もこれにて終了したいと思います。
来週からは元の時間軸に戻りますよ。
そろそろルシアンとミシェルのお話。
よろちくび~♡
レジーナのサイトで公開している番外編の途中からのifストーリーです。
サイトの方ではイグリードがそれぞれ皆に予言を呈し、そして幼いるちあんに加護を与えて終わりましたが、今回のお話はその別パターンで考えていたお話です。
文字数が制限を超えそうでしたのでボツにしました。
楽しんでいただけましたら幸いです。
○レジーナのサイトの番外編をお読みでない方へ。
お話としてはるちあんがまだ三歳の頃、メロディとファビアンと公園に遊びにきていたルシアンはお腹を空かせた青い髪に黒い目をした不思議な青年と出会いました。
お腹を空かせたその青年にサンドイッチをあげた事により……?といった感じです☆
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「美味しいサンドイッチと、楽しいピクニックの仲間に入れてくれたお礼に……ふむふむ、君たち共通の大切な人に数時間だけ特殊な能力を授けよう☆」
青い髪をした青年がそう言った。
「特別な能力?ナニよソレ」
メロディが不思議そうに青い髪の青年に訊ねる。
「特殊な能力って言えば特殊~な能力だよ☆」
「ナニよイイ加減な事言っちゃって、この腹ぺこ青虫!」
「あはは☆上手いこと言うね☆」
「アタシたちの共通の大切な人って……ハノンしかいないじゃないっ、アンタ一体ナニをするつもりヨ!」
「悪い魔法じゃないよ?……いや、相手次第なのかな?」
「ナニよソレ!」
「とにかくふよふよ~って付与しとくよ☆」
青い髪の青年がそう言った同時刻、ハノンはなんだか耳がムズムズとむず痒くなった。
今は自宅アパートでフェリックスと一緒にいる。
息子のルシアンを兄とメロディが公園に連れて行ってくれたので二人っきりなのだ。
ハノンは朝に焼いたビスケットをお皿に盛りながらフェリックスをチラと見た。
彼はベランダから下町の風景を眺めている。
侯爵家の子息の目にこんな下町がどう映るのか。
生活音や人々が話す声がガヤガヤしていて騒がしいと思うのではないだろうか。
愛する息子の父親と……長年の想い人と結婚する事になったのは嬉しいけれど、きっとおそらく間違いなくフェリックスとは生活習慣や価値観が違う。
ハノンにとっては慣れ親しんだ平民としての暮らしは、フェリックスにとっては屋敷の使用人たちの暮らしだ。
───……やっぱりいきなり人に傅かれる貴族の生活になるのかしら……。
貧乏子爵家の出であるハノンは昔も今もそんな暮らしをした事がない。
ハノンが幼い頃には使用人が家にいたが、それでもメイドが一人にあとは一応は執事と呼ばれる雑用係の下男だけであった。
それがフェリックスと結婚する事になっていきなり「奥様」と呼ばれて大勢の人間に傅かれるなんて……
───不安しかないわ。
でもこんな貧乏じみた考えなんて、きっとフェリックスには理解して貰えない。
どうしたら良いものかとハノンは思い悩みながらお茶の支度を調えた。
「フェリックス様、お茶の用意が出来ましたよ」
ハノンが声を掛けるとベランダに居たフェリックスが「ありがとう」といいながら室内に入ってきた。
「……お茶もお菓子も安物しかないのが申し訳ないのだけれど……」
──我慢してもらうしかない。
絶対にいつも最高級のものを口にしているであろう侯爵家次男二十三歳にそう思いながら告げると、フェリックスは何でもない事のように返してくる。
「気にしないで。学生時代や騎士見習い時代には色んなものを口にしているから」
それでも絶対に今出しているものより品質がいいに決まっている……。
お茶を口に含むフェリックスを見ながらハノンがそう思った時、頭の中に声が響いた。
『ハノンが煎れてくたお茶と手作りのお菓子……最高だな』
「え?」
「ん?どうした?」
「い、いえ……なにも」
今、確かにフェリックスの声が聞こえた。
でもフェリックスはお茶を口にしていて話す事なんで出来なかった。
それに今の声は耳に聞こえたというより頭の中に響いた感じだった……。
───どういう事?
訝しげにするハノンの頭の中にまたフェリックスの声が響く。
『美味い。ハノンが淹れたお茶はなぜこんなにも美味いんだ?それにこのビスケットも初めて食べたがなんて美味いんだ。こんな美味いものをあの細くて繊細な指で作ったのか?なんて尊い……』
「………」
どういう訳だろう。
やはりフェリックスの声が直接頭の中に聞こえる。
本人は喋っていないのに。
───まさか、フェリックス様の心の声がわたしに聞こえている……?
そんなバカな。なぜ急に?
心を読むという高難度な魔法があるとは聞いた事があるがハノンにそんなものが扱えるわけが無い。
本当に何故こんな事になったのかはわからない。
わからないがフェリックスの心の声はどんどんハノンの頭の中に流れ込んでくる。
『ハノンとこうしてゆっくりとお茶が飲める日がくるなんて……幸せすぎる』
『ルシアン……楽しんでいるだろうな。今度は俺も公園に連れて行ってやりたい』
『それにしても本当に美味い。お茶もビスケットも最高だ。ワイズのシェフもビックリの美味さだな』
「……ふふ」
侯爵家お抱えのシェフはハノンが作った焼き菓子で驚いたりはしないだろう。
だかそう思ってくれた事が素直に嬉しい。
フェリックスは口数が少ない方の人間だと思っていたが、心の中は意外と饒舌なようだ。
彼の心の声を聞いて変な蟠りが解けたハノンは、不安に感じている事を思いきって打ち明けてみた。
一緒に暮らすにあたり、いきなり人に傅かれる貴族の暮らしには馴染めないかもしれないということ。
本当は家族三人だけで慎ましやかに暮らしたいと思っていること。
そしてお茶やビスケットを美味しそうに食べてくれて嬉しかったと、ハノンはフェリックスに話した。
ハノンの話を黙って聞いていたフェリックスは優しげな笑みを浮かべ、全てハノンの希望通りに生活を調えるからと言ってくれた。
「ここのベランダから街を眺めて思っていたんだ。ハノンとルシアンにはこれまで馴染んできた暮らしがある。それに寄り添うのは俺の方だなと」
『二人を幸せにしたい。そのためなら何でもする』
心の声も含めて、フェリックスが言った言葉にハノンは嬉しくなった。
「フェリックス様……ありがとう」
「フェリックスと。敬称なんて必要ない、俺たちは夫婦になるんだから」
「うん……」
ハノンの心にじんわりと温かなものが広がっていく。
彼はちゃんと考えてくれていた。
思った以上に饒舌な心の中で。
生活習慣や価値観が違ったって、二人でなんでも話し合って解決してゆけばいいのだと、ハノンはそう素直に思えた。
その後、二人でお茶を飲みながら今後の暮らしの向けて様々な話をする。
フェリックスの心の声はいつの間にか聞こえなくなっていた。
「ね☆なかなか役に立つ付与だったでしょ?」
突然、青い髪の青年がメロディにドヤ顔で言った。
「ナニよいきなり」
「いや~☆ボク、またいい仕事したなぁ♪」
「ナニわけワカメなコト言ってんのかしら、この腹ぺこ青虫ちゃんは」
その後、ファビアンは公園でたくさんルシアンと遊んでくれた。
メロディもブランコや滑り台に全力で挑み、ファビアンとメロディは公園にいた子どもたちに大人気となった。
が、あの青い髪の青年はいつの間にかいなくなっていた。
バスケットに『ありがとう、ご馳走様。Fromイグリード☆』と書かれたメッセージカードが残されていて、ファビアンもメロディもイグリードという名に反応した。
「はて?なんかどっかで聞いたコトがある名前なのよネ~」
「俺もだ。どこで聞いた名だったか……」
それはきっといつかの新聞か、学生時代に読んだ魔導書か、西方大陸の歴史書だったのだろう。
だがその時のメロディとファビアンは思い出す事が出来なかった。
そして将来、立派な青年になったルシアンがかの高名な大賢者バルク・イグリードと対面した時に、イグリードに「いつかのサンドイッチは美味しかったよね☆」と話しかけられたとのだという。
おしまい☆
───────────────────────
最後はサイトの方のお話と結びは一緒です。
ボツになった方のお話も皆さんにご紹介できて良かったです。
さて、しばらくお付き合いいただきました書籍発売記念番外編もこれにて終了したいと思います。
来週からは元の時間軸に戻りますよ。
そろそろルシアンとミシェルのお話。
よろちくび~♡
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