無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳

キムラましゅろう

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ミニ番外編

ルシアン・ワイズ親衛隊(公式)

「イイ?アンタたち、親衛隊の隊則から少しでも逸脱したら即・追♡放だからネ!」

「もちろんですわ!」
「肝に銘じておきます!」
「ワイズ先輩マジリスペクトっす!」
「マナーをきちんと守り、推しの迷惑にならないように心掛けるのがファンの矜恃ですわ!」
「うぉぉ!ルシアン・ワイズ親衛隊万歳っ!!」

「……時折野太い隊員の声が混じるのが面白いわよネ♡」

放課後、メロディが勤務する医務室の控え室に数名の生徒たちが集まっていた。

彼らは公式メロディが認める、ルシアンを心酔し心から敬愛する者たちなのだ。

メロディが学園に勤め出してまず最初に行ったのが、全学年に存在するルシアンファンの仕分けであった。

仕分けは三段階。

●ただルシアンのルックスを愛でてキャーキャー言うだけのミーハーだが無害なファン。

●ルックスだけでなく次期ワイズ伯爵であり、それにいずれは王家の外戚となるルシアンの将来性も込みで他を蹴落としてでも婚約者の座を得ようとするハイエナファン。

●そして何かしらの理由でルシアンと接したきっかけでその人格に惚れ、彼を推しと崇めルシアンの幸せのために尽力したいと思うファン。

その三番目の純粋にルシアンという人間に惚れ込んだ生徒たちをメロディはルシアン親衛隊にスカウトした。

そして広い学園内、メロディの目と耳になって不穏な種や噂がないかを報告する役割を担った。

「入学したてで学園内を迷子になって、その時ワイズ先輩が道案内をしてくれたんです!」

「剣技の実技授業で上手く出来なくて居残り練習させられていた時に、たまたま通りかかったワイズ様が剣技をレクチャーしてくれたんです!優しかった!」

「ケージの掃除係の担当だった魔法生物が逃げ出したときに一緒に捕まえてくれました!」

「高位貴族の上級生たちにコシアンパンを買いにパシリにされそうになっていたところをワイズ君に助けてもらったんだっ!うぉぉ!彼は漢だっ!」

皆次々にルシアンのファンになったきっかけを口にする。

「うんうんヨシヨシ♡老若男女みんなが惚れる好青年、それがアタシのルッシーなのよ♡」

「メロディ先生もマジリスペクト!」

「一生ついて行きます姐御!」

「そのアタシが認めたルシアン親衛隊のアンタたちの使命を忘れちゃダメヨ?」

メロディが隊員の皆に流し目で告げると、皆が敬礼をして応えた。

「わたくし達の使命は、ルシアン様に関するあらゆる噂や情報を耳にした時にすぐにメロディ先生にお知らせする事です!」

「ウフフそうよ♡でもあくまでも見聞きしたものを教えてくれるだけでいいの。噂の出処を探ろうとしたり、変に相手を深追いして危険な目に遭うような事をしちゃダメ。わかったわネ?」

「ハイお姐さま隊長!」

鋭利な八センチピンヒールを履いても一ミリもブレない頑強な体幹を感じさせる歩き方でメロディは控え室の窓から外を眺める。

「そして……そんな我々がこれから注視するべき存在が現れたのはミンナも知ってるわネ?」

「はい。今年度から生徒会執行部入りをされたワイズ先輩と急接近中だと噂されるカメリア・ランバート生徒会長ですね……!」

「そうヨ。ハイラム王国辺境伯令嬢カメリア・ランバート。ルッシーの一学年上の先輩にあたり、執行部で会長副会長の間柄……学園内の行事等によりこのところ一緒にいる姿を多く見られ、早くも二人は特別な関係なのではないかと噂が流れ始めている……」

メロディの言葉を受け隊員の一人がつぶやくように言った。

「お二人が一緒に居るところ、私も見ました。美男美女で恐ろしくお似合いでしたわ……」

「我々の当面の活動はそのカメリア・ランバートがどのような人物かの観察ネ。ルッシーの側にいて害悪にならない人物か、そして今後ルッシーと恋愛関係に進展してゆくのか、そこを見極めなければならないワ……」

「な、なんかドキドキしますね……!」

「もし性悪オンナだった日にゃあ……この第二の母親であるアタシがケッチョンケッチョンにやっつけてやるンだから!」

「先生頼もしい!」

「隊長!」

「姐御!」

「フッ……」

隊員たちに賞賛を受けながら、メロディは窓の外を見続ける。
校舎の外では中庭を歩いて行くルシアンとくだんのカメリア・ランバートの姿があった。


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