無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳

キムラましゅろう

文字の大きさ
104 / 161
ミニ番外編

報告会

しおりを挟む
「学園内に潜伏しているマフレイン家の間者は恐らく二名ネ。いずれも用務員を装っているみたいヨ」

カメリア・ランバートに付き纏うマフレイン侯爵令息アーバンから、カメリアを守る会のメンバー同士の報告会が放課後の医務室で行われていた。

その中でのメロディからの報告がそれだ。
メロディがルシアン・ワイズ親衛隊の面々にも協力を要請し、交代制でカメリアの周辺を見張った結果の報告だ。

「メロディちゃんに、その二名の用務員がやたらとカメリア先輩の周囲にいる事が多いと聞いて、父さんに頼んで秘密裏に調べて貰ったんだ。そうしたらその二名の用務員は微妙に時期をずらしてはいるけれどそれぞれとある職業斡旋所の紹介で学園に採用されたらしい。その斡旋所の職員が、マフレイン侯爵家の息のかかる者だそうだよ」

ルシアンからの報告にメロディがすかさず言う。

「あらやだそんな事まですぐにわかっちゃうの?ワイズ家門の影だって充分怖いわネ~」

「相手が家の力を使うならこちらも同等のレベルくらいで対応しないとね」

「るっしーったらすっかりオトナになって……!」

感激しているメロディの隣の席でカメリアが眉を下げて皆に告げる。

「申し訳ない……ランバート家の者にも何かさせるべきなのに……」

「ハイラム王国はアデリオールから遠いですし、ランバート領はそのさらに最奥の地です。転移魔法を使えばすぐですが、わざわざ呼び寄せる必要はないと思います。アデリオール国営の学園にあまり他国の影を入れたくない、と父が言っていましたしね。カメリア先輩は付き纏いの被害者なんですから気にせず頼ってください。それよりその後、マフレイン侯爵令息の接触はありましたか?」

ルシアンの言葉に、カメリアは感謝の気持ちを告げてから答えた。

「本当にありがとう。あれから一人になる事がないからな、おかげさまで話しかけられたりもしないよ」

「そりゃそうだよ!ランバート先輩には必ず俺かルシが側でガードしてるんだから」

ルシアンの親友であるノアが胸をどんと叩いて言った。

「本当にありがたいよ。これからもよろしく頼む」

カメリアがノアにも礼を言うと、人差し指を揺らしてメロディがカメリアに指導を入れた。

「ダメヨ、カメチャン!話し方がまた堅くなってるワ!そーいう時は“ありガーターベルト♡によろちくび♡”って言うのヨ!」

「はい!そうでした!ノア・ジャクソン子爵令息!ありガーターベルト♡これからもよろちくび♡!」

ル・ノ「「…………」」

「イイ感じ~♡」

「やだ嬉ちくび~♡」

師匠と弟子できゃいきゃい盛り上がる側で、ノアがこっそりとルシアンに言った。

「……ルシ、ランバート先輩って医務室の大魔神メロディ先生と同じ人種の人だったんだな。ルシから話は聞いていたけど、いざ目の当たりにすると度肝を抜かれるぜ。よろちくびって何だ?嬉ちくびって何だよ」

「そのうち慣れるから」

「ルシ~ってば達観してんな~」

「とにかく、まずはその用務員の排除からだよね」

皆にそう告げるルシアンにカメリアが訊ねた。

「どうやって学園から追い出すの?」

「相手はプロだからね、そいつらの相手はこちらでやるって父さんが」

「え、るっしーのパパンが出張って来んの?ヤダ学園に血の雨が降っちゃう~」

メロディが大仰に大陸国教会の十字架をきる仕草をする。
それを見て吹き出しながら
ルシアンが答えた。

「ふふ、今度の学園祭を利用して保護者として学園に来るって。そこで処理するって言ってたよ」

「処理ってナニ?言い方が怖い~!やっぱり学園が血で染まルゥ~!」

ワクワクした表情のメロディを見て笑い、ルシアンはカメリアとノアに言った。

「でもその学園祭、マフレイン先輩が大人しくしているとは思えないんだ。多分、お祭りモードな学園の雰囲気の中で接触してくると思う。当日は生徒会執行部の仕事もあって忙しいけど、カメリア先輩はなるべく僕かノア、そしてメロディちゃんと一緒にいてください」

「わ、わかった」

カメリアが緊張した面持ちでこくこくと頷くとノアが威勢よく立ち上がる。

「よっしゃ!マフレインめぇ!望む所だ!かかって来やがれ!」

「そうヨ!間者がナニヨ!なんてボコボコにしてにしてやればイイのヨ!」

「間者と患者!さすがおネェサマ!冴えてます!」

「オーホッホッホ!」

「メロディちゃん、この頃ダジャレにも手を出すようになったんだね……」

「シモトークとダジャレか、すげぇな大魔神は」

そう言ってルシアンとノアは紅茶を飲み、それぞれメロディが用意した茶菓子に手を伸ばした。
奇しくも二人は同じ菓子を取ろうとして、若干早かったルシアンの手をノアが菓子ごと掴む形になってしまう。

「あっ!わ、悪いルシっ……!」

「ううんいいよ。はは、同じものを取ろうとしたんだね。この菓子、美味しいよね」

「あ、あぁ……そうだな」

不躾に手を掴む形となってしまったのに屈託なく笑うルシアンを見て、また胸がトゥンクしてしまうノアであった。

こうして、今日の報告会もまた賑やかに時間が過ぎていくのである。




───────────────────


くどいようですが、ノアくんは新たな扉を開く事はありません☆

しおりを挟む
感想 3,580

あなたにおすすめの小説

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?

狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」 「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」 「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」 「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」 「だから、お前の夫が俺だって──」 少しずつ日差しが強くなっている頃。 昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。 ……誰コイツ。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました

四折 柊
恋愛
 子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

(完結)あなたの愛は諦めました (全5話)

青空一夏
恋愛
私はライラ・エト伯爵夫人と呼ばれるようになって3年経つ。子供は女の子が一人いる。子育てをナニーに任せっきりにする貴族も多いけれど、私は違う。はじめての子育ては夫と協力してしたかった。けれど、夫のエト伯爵は私の相談には全く乗ってくれない。彼は他人の相談に乗るので忙しいからよ。 これは自分の家庭を顧みず、他人にいい顔だけをしようとする男の末路を描いた作品です。 ショートショートの予定。 ゆるふわ設定。ご都合主義です。タグが増えるかもしれません。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

婚約者に妹を紹介したら、美人な妹の方と婚約したかったと言われたので、譲ってあげることにいたしました

奏音 美都
恋愛
「こちら、妹のマリアンヌですわ」  妹を紹介した途端、私のご婚約者であるジェイコブ様の顔つきが変わったのを感じました。 「マリアンヌですわ。どうぞよろしくお願いいたします、お義兄様」 「ど、どうも……」  ジェイコブ様が瞳を大きくし、マリアンヌに見惚れています。ジェイコブ様が私をチラッと見て、おっしゃいました。 「リリーにこんな美しい妹がいたなんて、知らなかったよ。婚約するなら妹君の方としたかったなぁ、なんて……」 「分かりましたわ」  こうして私のご婚約者は、妹のご婚約者となったのでした。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。