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ミニ番外編
賑やかなお勉強友達がいる日の授業風景☆
しおりを挟む「ノエルちゃん、今日もまず古代文字の練習からしましょうね」
週末の授業の日。
ツェリシアは魔術の勉強の基礎となる術式を学ぶにあたり、まずは多くの術式の構築の要となっている古代文字をノエルに教えていた。
古代文字を動物に見立てたイラスト付きの教本でノエルに教え、文字の形や意味に慣れたら実際に書いたり読んだりしてみる。
平日は家で古代文字に関する宿題もこなし、ノエルは少しずつ古代文字を覚えつつあった。
「じゃあまずは好きな言葉を古代文字で書いてみましょう」
(ちなみにツェリシアの好きな言葉は“カラ元気でも元気”である)
そのツェリシアの声掛けに答える声。
今日は二人分であった。
「「ハーイ!」☆」
ツェリシアはノエルの机の横にわざわざ自分の机を持ってきて一緒に授業を受けようとしているイグリードに向かって言う。
「どうしてバルちゃんも生徒なのかしら?バルちゃんはどちらかという先生ポジションなんじゃない?」
「だってせっかく今日はアルトが仕事で居ないんだよ?アルトの居ぬ間になんとやらって言うでしょ☆」
きゃはっ☆としてそう答えたイグリードにノエルが言う。
「バルちゃんせんせぇもおべんきょうがしたいの?ノエルのおべんきょうともだち?」
「そうだよ~☆今日はボクたち、クラスメイトさ☆」
「クラスメイトってなぁに?」
「アオハルの1ページを共に刻む魂の友達のことをいうんだよ☆」
「クラスメイトの解釈が正しいような違うような?まぁいいわ。じゃあ二人とも、好きな言葉を書いてくたさーい」
「「ハーイ!」☆」
そうしてノエルとイグリードはそれぞれ渡された紙に古代文で好きな文字を書きはじめた。
ノエルは“ママのマドレーヌ”と書き、
イグリードは“鬼の目にも涙”と書いた。
イグリードが書いた文字を見てノエルが小首を傾げる。
「バルちゃんせんせぇ、オニノメニモナミダってなぁに?」
「ん?これはね、東方の国の言葉なんだよ☆無慈悲なアルトも時には涙を流すこともあるっていう意味なんだ☆あ、そうだ、鬼と言えば…東方の国にはね、カミナリおこしっていう鬼の歯も折れちゃうような硬いお菓子があるんだよ☆」
(過剰広告)
「え~すごい!のえる、カミナリおこしがたべてみたい!」
ノエルがそう言うと、それを受けてツェリシアが頷いてイグリードに視線を向ける。
「ホントね。私も是非食べてみたいわ。そうだバルちゃん、今日のランチのデザートはそのカミナリおこしというやつにしたいから買いに行ってもらってもいいかしら?」
「もちろんいいよ!みんなで『ヤダかたぁ~い☆』って言い合いっこしながら食べよう!そうと決まれば、ボクちょっくら東方の国まで行ってくるね~☆」
「ありがとう。そんなに慌てなくてもいいから気を付けてね~」
ツェリシアがそう言うと、嬉しそうに「ハーイ☆」と元気にお返事をして去って行くイグリードを笑顔で見送った。
そしてその間(イグリードが居ない間)にツェリシアは魔法の勉強をさくさくと進めたのである。
それからランチの時間の少し前にイグリードはカミナリおこしを購入して、東方の国より戻ってきた。
三人でアルトが用意してくれていた昼食を和気あいあいと食べる。
今日は豚の塊肉をキャベツや香味野菜とじつくり煮込んだ料理だ。
これをアルトが朝早くから並んで買ってきてくれた人気ベーカリーのパンと合わせて食べる。
(行列に並ぶ大賢者の弟子)
そしてイグリードが買ってきたカミナリおこしを、三人で「かたーい!歯が立たなーい!」と言い合いながら楽しく食べたのであった。
そうしてまた午後の授業が始まる。
ツェリシアは机を並べて座るノエルとイグリードに向かって告げた。
「じゃあ午後からは転移魔法についてお勉強しましょうね」
「「ハーイ!」☆」
「まずは転移魔法の術式の仕組みから。それからなぜ、術式を唱えなくても使うことが出来るのかを学びましょう」
「「ハーイ!」☆」
ノエルと共に元気よくお返事をしたイグリードにツェリシアは言う。
「でもバルちゃんにはこんなの簡単過ぎるわね……そうだ、じゃあバルちゃんには亜空間転移の魔力展開理論を論文として提出してもらうわ」
「はーい☆ガッテンショウチノスケ!」
(東方の国に行った後はいつも東方の言葉をやたらと使う大賢者であった)
ツェリシア先生にこれまた元気よくお返事をしたイグリードは、転移魔法についてアレコレ学ぶノエルの側でせっせとレポートを記入し、一大スペクタクル大ロマン論文を書き上げた。
「ふぅ~☆我ながら凄い論文が書けちゃったもんね~☆」
と言いながらイグリードは満足そうにしいる。
その時、ツェリシアが部屋の掛け時計に視線を向けた。
「はい、じゃあ丁度お時間となりました。今日のお勉強はここまでです」
「「ハーイ!」☆……ん?アレ?」
アルトが居ぬ間にノエルと共にお勉強をする気満々だったイグリード。
でも終わってみれば東方までお使いをし、ノエルの授業中に大人しく論文を書いていた終わってしまったのだった。
まぁ要するにツェリシアによって上手いこと転がされていただけである。
結果的にはイグリード本人は授業の邪魔をする事なく楽しく過ごせたし、ノエルもきちんと授業を受ける事が出来た。
そして何より、邪魔は一切していないのだからイグリードがアルトにお説教されずに済んだのであった。
めでたしめでたし☆
「……なのかな?ま、いっか☆」
───────────────────
大賢者の論文。
喉から手が出るほど欲しいと思う人間は五万と居るんだろうなぁ。
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