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策士、策に溺れる (会話のみ)
「とりあえず荷物を置いて、ロダン領の名産品を持ってアリッサに会えるか連絡をするよ。会えるとなったら、ルディアお前も来るんだろ?」
「もちろんよ。アリッサちゃんを紹介して欲しいわ。ふ、セオノアったら憑き物が落ちたような顔してるわね」
「実際に“憑き物”が落ちたからな。いや“付き纏いもの”か?」
「立てた策が上手くいってご満悦なわけね。ホントに大丈夫?“策士策に溺れる”という言葉が東方にあるけれど、そんな事にはならないでしょうね?」
「不吉な事を言うなよ。実際あの策は上手く功を奏しただろ?」
「はいはい。というかいつまで玄関先で話してるつもり?鍵を開けたんでしょ?早く中に入りなさいよ」
「ルディアが変な事を言うからじゃねぇか。……ん?」
「なに?どうしたの?」
「玄関ドアに設置されてる郵便受けに封筒が入ってる」
「封筒?中身は手紙でしょう?」
「……いや、え、鍵……?鍵が入ってる、これってこの部屋の鍵だよな……え?」
「どうして鍵が?……なに?今度はどうしたの?」
「え、ん?あれ?」
「なによ、どうしたのよ?急に部屋の中を家探ししてっ」
「……部屋の中がおかしい……サ梵天丸が居ない。えっ、アリッサの食器もないっ、写真立ても、えっ……?」
「ちょっと待って、部屋の中の物が消えているというの?」
「アリッサの私物だけが消えている……」
「……どういう事?まさか、ブノア家の仕業っ?」
「不法侵入までして、アリッサの私物だけ持ち去るのか?何のために?」
「わからないけど……あらセオノア、配達員が来たわよ、荷物のお届けですって」
「どーもー、こちらセオノア・ミドルさんのお宅で間違いないですか?お荷物のお届けでーす」
「……はい、間違いないですが。荷物?」
「こちらにサインをお願いしまーす。あ、こちらにお願いします。ハイありがとうございました毎度どーも!」
「ご苦労さまです……ん?アリッサから……?」
「え?その荷物の送り主はアリッサちゃんなの?」
「なんだろう……なんで急に……?」
「と、とにかく開けてみなさいよ」
「そ、そうだな」
「……ねぇセオノア。私、だんだん嫌な予感がしてきたんだけど」
「やめろよ、なんだよ嫌な予感って……えっ」
「何っ?中身はなんだったのっ?」
「なんでだ?ど、どうして?」
「だから中身は何なのよっ!?」
「本やアクセサリー……刺繍入りのブックカバーに猫の形をしたペーパーウェイト……これ、全部俺がアリッサに贈った物だ……」
「どうしてそれがまとめて荷物として?まるで送り返されたみたいじゃない」
「待て、手紙が入ってるっ……」
「そこに理由が書かれているはずよ。早く読んでみなさい」
「わかってるよっ……」
「ちょっ、セオノア、焦る気持ちもわかるけどもっと丁寧に封を切らないと中の手紙まで破れてしまうわよっ」
「……………………………」
「……………………………」
「……………………………」
「……ねぇ、何と書かれているの……?」
「っ………………………!」
「セオノアっ?あなた、顔色が真っ青を通り越して緑になってるわよっ?」
「っそんなっ………そんな事って……っ!」
「ど、どうしたの?」
「………っ………!」
「きゃあっ!?セオノアっ!?何!?どうしていきなり膝から崩れ落ちたのっ!?一体何があったのっ!?」
「…………ミナリラにルディアを婚約者として引き合わせたカフェに……アリッサが居たらしい……」
「え、」
「どうしても顔よりデカいパンケーキが食べたかったからだと……俺たちと少し離れた席に居たと書いてある……」
「ねぇ、……それって……」
「ルディアを婚約者だと紹介したのを、見ていたそうだ……」
「はぁぁっ!?アリッサちゃんには、今回の策謀の内容は聞かせていかなったのよね?アリッサちゃんに知られる事なく秘密裏に処理する策だったのよねっ?……じゃあ……それじゃあ……」
「……俺がアリッサを裏切って別の女と婚約したと思われたっ……」
「策士策に溺れまくってるじゃないのっ!!」
「やばい……!アリッサを誤解させたっ……!」
「手紙には他に何と書いてあるのよっ」
「思いがけず俺の婚約を知り、相手の女性に悪いので戴いた品物は全部返すと、捨てるなり換金するなり好きにしてくれと……それからわざわざ別れの挨拶は要らない、私は消えるからさっさと幸せになりやがれって……!」
「策に溺れに溺れて溺死してるんじゃないっ!このバカっ!!」
「なんてことだっ……!いやだけどこうしてる場合じゃないっ、俺、アリッサのアパートに行ってくるっ!」
「そうねっ、一刻も早く誤解を解いた方がいいわっ……あれからすでに二日も経っているのだから!」
「アリッサっ!!」
「あっ、ちょっと待ってセオノア!家の鍵っ……て、早っ!もう行ってしまったわ……アイツのあんな必死な形相、初めて見たわね……」
──────────────────
今日はもう一話ありますよ♡
「もちろんよ。アリッサちゃんを紹介して欲しいわ。ふ、セオノアったら憑き物が落ちたような顔してるわね」
「実際に“憑き物”が落ちたからな。いや“付き纏いもの”か?」
「立てた策が上手くいってご満悦なわけね。ホントに大丈夫?“策士策に溺れる”という言葉が東方にあるけれど、そんな事にはならないでしょうね?」
「不吉な事を言うなよ。実際あの策は上手く功を奏しただろ?」
「はいはい。というかいつまで玄関先で話してるつもり?鍵を開けたんでしょ?早く中に入りなさいよ」
「ルディアが変な事を言うからじゃねぇか。……ん?」
「なに?どうしたの?」
「玄関ドアに設置されてる郵便受けに封筒が入ってる」
「封筒?中身は手紙でしょう?」
「……いや、え、鍵……?鍵が入ってる、これってこの部屋の鍵だよな……え?」
「どうして鍵が?……なに?今度はどうしたの?」
「え、ん?あれ?」
「なによ、どうしたのよ?急に部屋の中を家探ししてっ」
「……部屋の中がおかしい……サ梵天丸が居ない。えっ、アリッサの食器もないっ、写真立ても、えっ……?」
「ちょっと待って、部屋の中の物が消えているというの?」
「アリッサの私物だけが消えている……」
「……どういう事?まさか、ブノア家の仕業っ?」
「不法侵入までして、アリッサの私物だけ持ち去るのか?何のために?」
「わからないけど……あらセオノア、配達員が来たわよ、荷物のお届けですって」
「どーもー、こちらセオノア・ミドルさんのお宅で間違いないですか?お荷物のお届けでーす」
「……はい、間違いないですが。荷物?」
「こちらにサインをお願いしまーす。あ、こちらにお願いします。ハイありがとうございました毎度どーも!」
「ご苦労さまです……ん?アリッサから……?」
「え?その荷物の送り主はアリッサちゃんなの?」
「なんだろう……なんで急に……?」
「と、とにかく開けてみなさいよ」
「そ、そうだな」
「……ねぇセオノア。私、だんだん嫌な予感がしてきたんだけど」
「やめろよ、なんだよ嫌な予感って……えっ」
「何っ?中身はなんだったのっ?」
「なんでだ?ど、どうして?」
「だから中身は何なのよっ!?」
「本やアクセサリー……刺繍入りのブックカバーに猫の形をしたペーパーウェイト……これ、全部俺がアリッサに贈った物だ……」
「どうしてそれがまとめて荷物として?まるで送り返されたみたいじゃない」
「待て、手紙が入ってるっ……」
「そこに理由が書かれているはずよ。早く読んでみなさい」
「わかってるよっ……」
「ちょっ、セオノア、焦る気持ちもわかるけどもっと丁寧に封を切らないと中の手紙まで破れてしまうわよっ」
「……………………………」
「……………………………」
「……………………………」
「……ねぇ、何と書かれているの……?」
「っ………………………!」
「セオノアっ?あなた、顔色が真っ青を通り越して緑になってるわよっ?」
「っそんなっ………そんな事って……っ!」
「ど、どうしたの?」
「………っ………!」
「きゃあっ!?セオノアっ!?何!?どうしていきなり膝から崩れ落ちたのっ!?一体何があったのっ!?」
「…………ミナリラにルディアを婚約者として引き合わせたカフェに……アリッサが居たらしい……」
「え、」
「どうしても顔よりデカいパンケーキが食べたかったからだと……俺たちと少し離れた席に居たと書いてある……」
「ねぇ、……それって……」
「ルディアを婚約者だと紹介したのを、見ていたそうだ……」
「はぁぁっ!?アリッサちゃんには、今回の策謀の内容は聞かせていかなったのよね?アリッサちゃんに知られる事なく秘密裏に処理する策だったのよねっ?……じゃあ……それじゃあ……」
「……俺がアリッサを裏切って別の女と婚約したと思われたっ……」
「策士策に溺れまくってるじゃないのっ!!」
「やばい……!アリッサを誤解させたっ……!」
「手紙には他に何と書いてあるのよっ」
「思いがけず俺の婚約を知り、相手の女性に悪いので戴いた品物は全部返すと、捨てるなり換金するなり好きにしてくれと……それからわざわざ別れの挨拶は要らない、私は消えるからさっさと幸せになりやがれって……!」
「策に溺れに溺れて溺死してるんじゃないっ!このバカっ!!」
「なんてことだっ……!いやだけどこうしてる場合じゃないっ、俺、アリッサのアパートに行ってくるっ!」
「そうねっ、一刻も早く誤解を解いた方がいいわっ……あれからすでに二日も経っているのだから!」
「アリッサっ!!」
「あっ、ちょっと待ってセオノア!家の鍵っ……て、早っ!もう行ってしまったわ……アイツのあんな必死な形相、初めて見たわね……」
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今日はもう一話ありますよ♡
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