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第二幕
ナイスタイミング!
私は生まれながらにして選ばれた存在だったわ。
侯爵家の長女として生を受け、何不自由なく育てられて来たの。
母譲りの美貌と父譲りの才。
そんな私が次期国王の最有力候補だったシモン殿下の婚約者になるのは当然の事だったわ。
だって私以上に秀でた娘はいなかったのだもの。
私は未来の王妃となるべく育てられた。
逆にそれ以外の選択肢などあり得ないほど王妃として相応しく育てられた。
婚約者のシモン殿下は黒髪と赤い目が印象的な美形で、私はとても満足しておりましたの。
私と並んでも遜色なく、いつも王宮内でお似合いの二人だと褒め称えられていたわ。
けれども十三歳の時、王妃であるシモン殿下のお母上が亡くなり、後ろ盾として彼の地位を盤石なものにしていたお爺さまであらせられる公爵も亡くなった。
シモン殿下の地位を支えていた二人を同時に亡くし、そこから殿下が転がり落ちてゆくのは早かったわ。
我が侯爵家が婚約解消の申し出をしたのが止めになったのね。
陛下は彼を弱小国に婿入りさせるという体で、シモン殿下を廃嫡なされた。
せっかく私に相応しい婚約者だったのに突然失うなんて……私は悲しく泣いてしまったわ。
そしてシモン殿下が国を追い出されて間もなく、
私は現王妃が生んだ第二王子マイセル殿下の婚約者となった。
はっきり言って母親違いとはいえ、シモン殿下と兄弟だなんて信じられないくらい見劣りする方だった。
でもこの方が次期国王となられるのなら仕方ない。
だって私は王妃となるべき者なのだから。
どんな相手でも国王となる者に嫁ぐのよ。
にしたってマイセル殿下は酷かったわ。
お母上である現王妃様に甘やかされすぎなのね。
勉強も鍛錬も何一つ努力しない。
優しい気性といえば聞こえはいいけれど要は優柔不断で頼りないだけだった。
それでも仕方ないと我慢しておりましたの、入学式でシモン様に再会するまでは。
私を負かし、上級学園の試験で主席を取ったというシモン様を入学式の席で見た時、衝撃が走ったわ。
幼い頃から美形ではいらしたけれど美しさは変わらず、青年に差し掛かる精悍さを備えられ、思わず見惚れずにはいられなかった。
背も見上げるほど高くなられ、鍛え抜かれた筋肉を纏われ佇む姿はまさに王者の風格を漂わせていたわ。
やはりこの方よ……!
モルトダーンの国王となって私の夫となるのはこの方しかいないわ!
私はすぐに父に報告をした。
丁度都合よく父はマイセル殿下の為政者として才覚に見切りをつけていたし、王妃側との軋轢にもうんざりとされていたから、シモン様の優秀さを喜び、再び担ぎ出そうと早速動き出してくれたわ。
その間、私もただ黙って見ているだけのつもりはないわ。
せっかくステキな再会を果たしたのだもの。
彼は私のものだと学園の皆に知らしめる必要があるわよね。
シモン様は2年の間に随分と雰囲気が変わられたけれど、それはきっとイコリスで苦労をされたからね。
弱小国の王女に振り回されてもシモン様のお立場では逆らえませんもの。
それなのにあの女ときたら、調子にのってシモン様を私物化して。
早くあの女、ひいてはイコリスから救い出して
差し上げねばなりませんわね。
シモン様もあんな変な王女より私の方が相応しいとお分かりになっているはず。
それなのに……
何故?どういう事?
何故シモン様はあの女のそばに駆けつけて大切そうに抱き上げているの?
何故今さら自分の婚約者だと周りに知らしめているの?
貴方はモルトダーンの国王となり、私の夫になるべき方なのに。
命を狙われているといのに。
それよりもそんな女の方が大切なの?
私は慌てて二人を追いかけたわ。
そうしたらとんでもない言葉が耳に飛び込んで来た。
「お前が女王になった時、俺が王配になってお前を公私共に支えるんだろ」
私は知らず叫んでいた、
「それは一体どういう事ですのっ!?」
◇
「ル、ルチア様……」
わたしとシモンの目の前に怒りを露わにしたルチア様がいた。
信じられないものを見ているような顔をされ、怒りで顔を赤らめている。
憤怒というのはこういう事かと思うほど怒りに満ちた顔だった。
わたしは背筋に冷たい何かを感じ、思わずシモンの服を掴んでいた。
シモンが静かで落ち着いた声色で言う。
「どういう事なにも、俺たちは婚約者同士だ。何もおかしな事はしていない」
「今はまだ婚約者でも、すぐにそうではなくなるのですから、軽はずみな行動は慎むべきですわっ」
「今はまだ?そうではなくなる?再来年に婚儀を挙げるまではずっと婚約者のままだが?」
「な、何を仰っているのです……!?貴方はモルトダーンに帰って王太子となられるのですよ?」
「誰が決めた?」
「誰って……陛下がそう望んでおられますし、貴方の希望でもあるはずですっ」
「俺は望んでない。はっきり言って今さら迷惑だ」
「な、なんですって……?」
ルチア様は驚愕の顔をされている。
「俺はもうイコリスの地に根を生やした。俺の国はイコリスだ」
「シモン……!」
わたしはシモンの首に再びしがみついた。
なんて嬉しい事を言ってくれるのだ……!
全イコリスの民を代表してお礼を言いたい。
「父上にはハッキリとお断り申し上げるつもりだ。そのための算段もとってある」
「い、いつの間に……」
「俺が暗殺を恐れて何もしてこなかったと思うか?行動を制限されていても出来る事は必ずあるんだ」
「わ、私はどうなるのです……?」
「どうもこうもお前の婚約者はマイセルだろう。二人で支え合い、より良い国を治めてゆけばいい」
「あんな方では頼りなさすぎます!貴方でないと……!」
「相手の足りないものを補い合うのが伴侶だろう。マイセルに足らないものがあるのなら、お前が支えてやればいい。優秀なお前だ、出来るはずだ」
「貴方のような秀でた方にイコリスの王配など勿体ないだけですわっ」
「お前も、モルトダーン勘違いをしている。俺が秀でているというのなら、それは必要に迫られたからだ。もともと持っていた力ではない。ではなぜ力を必要としたか?それはこのポンコツを守り支えてやりたいと思ったからだ」
「「……!」」
シ、シモン……!
ダメ、わたし泣きそう。
もう『全わたしが泣いた!』って感じだわ!
わたしは今、心の底からポンコツで良かったと思える……!
ポンコツ最高!!
神さまありがとう!!
「わ…わけがわかりませんわっ、我が家が見捨てたら、貴方なんか一瞬で消されますわよっ。いくら武術の腕前がよくても関係ありませんわっ!暗殺方法なんて物理的なものだけではありませんものっ、呪いでも魔術でも、遠隔で貴方の命を奪う事などいとも簡単に出来てしまいますのよ!」
その言葉を聞き、浮上したわたしの心は一瞬で凍りついてしまった。
シモンが消される……?
一瞬で……?
呪いや魔術で……?
確かに剣やナイフ、弓などで物理的に殺害するより確実に相手の命を奪えるわ。
ダメ。
絶対にそんなの許さない。
「……シモン、下ろして」
「ニコ……?」
「足は大丈夫だから、下ろしてシモン」
シモンは不思議そうな顔をしながらも、わたしを下ろしてくれた。
わたしは直ぐにシモンと向かい合って立ち、自分の両手をシモンの胸に当てた。
そして目を閉じ、術式を詠唱する。
わたしとシモンが眩い光に包まれる。
わたしは術に心を込めた。
シモンを守って。
この世の全ての邪なものから
わたしの大切な人を守って。
物理攻撃は弾けないけど、
それ以外のものならなんでも祓う。
イコリスを守る国土結界と同じものを
シモンの身に施した。
やがて光は収まってゆく。
不安で乱れていたわたしの心が凪いでいった。
「ふう……」
「ニコ、これって……」
「シモンに結界を張ったわ。わたしが死なない限り、シモンにはどんな呪いも魔術も効かないわ」
今のわたしたちの一連の行いを見ていたルチア様がわなわなと震える出す。
「あ、貴女っ……魔力持ちだったのっ!?」
「まぁわたしの唯一の特技かな?」
「聞いてませんわよっ!」
なぜあなたに言わねばならない。
「……でもこれで暗殺の危機が去ったわけではありませんわ、王妃側がもうこれ以上、貴方を生かしておくとは思えませんもの。覚悟された方がよろしくてよ、我が侯爵家を含む有力諸侯の助力なくして貴方を守る勢力などありませんのよ!」
散々プライドを傷付けられた腹いせか、ルチア様はシモンの身に危険が迫ることを嬉々として語られた。
許せない。
さっきの試合、ルチア様も参加されればよかったのに。
そうしたら完膚なきまでに叩きのめしてやったのに。
シモンは殺させない。
シモンを守る勢力は………あるっ!!
わたしがそう思ったその時、聞き覚えのある声がした。
大陸でこの男の右に出る者はなし。
この男が何かする度に、「○○無双」と銘打たれる。
「お姫様ーー!不詳バックス!姫様のピンチをお救いするべく、馳せ参じましたぞーー!!」
「ナイスタイミング!ナイス熊ックス!!」
イコリス騎士団総団長、バックス・デューダーが
フィルジリア上級学園に参上した。
侯爵家の長女として生を受け、何不自由なく育てられて来たの。
母譲りの美貌と父譲りの才。
そんな私が次期国王の最有力候補だったシモン殿下の婚約者になるのは当然の事だったわ。
だって私以上に秀でた娘はいなかったのだもの。
私は未来の王妃となるべく育てられた。
逆にそれ以外の選択肢などあり得ないほど王妃として相応しく育てられた。
婚約者のシモン殿下は黒髪と赤い目が印象的な美形で、私はとても満足しておりましたの。
私と並んでも遜色なく、いつも王宮内でお似合いの二人だと褒め称えられていたわ。
けれども十三歳の時、王妃であるシモン殿下のお母上が亡くなり、後ろ盾として彼の地位を盤石なものにしていたお爺さまであらせられる公爵も亡くなった。
シモン殿下の地位を支えていた二人を同時に亡くし、そこから殿下が転がり落ちてゆくのは早かったわ。
我が侯爵家が婚約解消の申し出をしたのが止めになったのね。
陛下は彼を弱小国に婿入りさせるという体で、シモン殿下を廃嫡なされた。
せっかく私に相応しい婚約者だったのに突然失うなんて……私は悲しく泣いてしまったわ。
そしてシモン殿下が国を追い出されて間もなく、
私は現王妃が生んだ第二王子マイセル殿下の婚約者となった。
はっきり言って母親違いとはいえ、シモン殿下と兄弟だなんて信じられないくらい見劣りする方だった。
でもこの方が次期国王となられるのなら仕方ない。
だって私は王妃となるべき者なのだから。
どんな相手でも国王となる者に嫁ぐのよ。
にしたってマイセル殿下は酷かったわ。
お母上である現王妃様に甘やかされすぎなのね。
勉強も鍛錬も何一つ努力しない。
優しい気性といえば聞こえはいいけれど要は優柔不断で頼りないだけだった。
それでも仕方ないと我慢しておりましたの、入学式でシモン様に再会するまでは。
私を負かし、上級学園の試験で主席を取ったというシモン様を入学式の席で見た時、衝撃が走ったわ。
幼い頃から美形ではいらしたけれど美しさは変わらず、青年に差し掛かる精悍さを備えられ、思わず見惚れずにはいられなかった。
背も見上げるほど高くなられ、鍛え抜かれた筋肉を纏われ佇む姿はまさに王者の風格を漂わせていたわ。
やはりこの方よ……!
モルトダーンの国王となって私の夫となるのはこの方しかいないわ!
私はすぐに父に報告をした。
丁度都合よく父はマイセル殿下の為政者として才覚に見切りをつけていたし、王妃側との軋轢にもうんざりとされていたから、シモン様の優秀さを喜び、再び担ぎ出そうと早速動き出してくれたわ。
その間、私もただ黙って見ているだけのつもりはないわ。
せっかくステキな再会を果たしたのだもの。
彼は私のものだと学園の皆に知らしめる必要があるわよね。
シモン様は2年の間に随分と雰囲気が変わられたけれど、それはきっとイコリスで苦労をされたからね。
弱小国の王女に振り回されてもシモン様のお立場では逆らえませんもの。
それなのにあの女ときたら、調子にのってシモン様を私物化して。
早くあの女、ひいてはイコリスから救い出して
差し上げねばなりませんわね。
シモン様もあんな変な王女より私の方が相応しいとお分かりになっているはず。
それなのに……
何故?どういう事?
何故シモン様はあの女のそばに駆けつけて大切そうに抱き上げているの?
何故今さら自分の婚約者だと周りに知らしめているの?
貴方はモルトダーンの国王となり、私の夫になるべき方なのに。
命を狙われているといのに。
それよりもそんな女の方が大切なの?
私は慌てて二人を追いかけたわ。
そうしたらとんでもない言葉が耳に飛び込んで来た。
「お前が女王になった時、俺が王配になってお前を公私共に支えるんだろ」
私は知らず叫んでいた、
「それは一体どういう事ですのっ!?」
◇
「ル、ルチア様……」
わたしとシモンの目の前に怒りを露わにしたルチア様がいた。
信じられないものを見ているような顔をされ、怒りで顔を赤らめている。
憤怒というのはこういう事かと思うほど怒りに満ちた顔だった。
わたしは背筋に冷たい何かを感じ、思わずシモンの服を掴んでいた。
シモンが静かで落ち着いた声色で言う。
「どういう事なにも、俺たちは婚約者同士だ。何もおかしな事はしていない」
「今はまだ婚約者でも、すぐにそうではなくなるのですから、軽はずみな行動は慎むべきですわっ」
「今はまだ?そうではなくなる?再来年に婚儀を挙げるまではずっと婚約者のままだが?」
「な、何を仰っているのです……!?貴方はモルトダーンに帰って王太子となられるのですよ?」
「誰が決めた?」
「誰って……陛下がそう望んでおられますし、貴方の希望でもあるはずですっ」
「俺は望んでない。はっきり言って今さら迷惑だ」
「な、なんですって……?」
ルチア様は驚愕の顔をされている。
「俺はもうイコリスの地に根を生やした。俺の国はイコリスだ」
「シモン……!」
わたしはシモンの首に再びしがみついた。
なんて嬉しい事を言ってくれるのだ……!
全イコリスの民を代表してお礼を言いたい。
「父上にはハッキリとお断り申し上げるつもりだ。そのための算段もとってある」
「い、いつの間に……」
「俺が暗殺を恐れて何もしてこなかったと思うか?行動を制限されていても出来る事は必ずあるんだ」
「わ、私はどうなるのです……?」
「どうもこうもお前の婚約者はマイセルだろう。二人で支え合い、より良い国を治めてゆけばいい」
「あんな方では頼りなさすぎます!貴方でないと……!」
「相手の足りないものを補い合うのが伴侶だろう。マイセルに足らないものがあるのなら、お前が支えてやればいい。優秀なお前だ、出来るはずだ」
「貴方のような秀でた方にイコリスの王配など勿体ないだけですわっ」
「お前も、モルトダーン勘違いをしている。俺が秀でているというのなら、それは必要に迫られたからだ。もともと持っていた力ではない。ではなぜ力を必要としたか?それはこのポンコツを守り支えてやりたいと思ったからだ」
「「……!」」
シ、シモン……!
ダメ、わたし泣きそう。
もう『全わたしが泣いた!』って感じだわ!
わたしは今、心の底からポンコツで良かったと思える……!
ポンコツ最高!!
神さまありがとう!!
「わ…わけがわかりませんわっ、我が家が見捨てたら、貴方なんか一瞬で消されますわよっ。いくら武術の腕前がよくても関係ありませんわっ!暗殺方法なんて物理的なものだけではありませんものっ、呪いでも魔術でも、遠隔で貴方の命を奪う事などいとも簡単に出来てしまいますのよ!」
その言葉を聞き、浮上したわたしの心は一瞬で凍りついてしまった。
シモンが消される……?
一瞬で……?
呪いや魔術で……?
確かに剣やナイフ、弓などで物理的に殺害するより確実に相手の命を奪えるわ。
ダメ。
絶対にそんなの許さない。
「……シモン、下ろして」
「ニコ……?」
「足は大丈夫だから、下ろしてシモン」
シモンは不思議そうな顔をしながらも、わたしを下ろしてくれた。
わたしは直ぐにシモンと向かい合って立ち、自分の両手をシモンの胸に当てた。
そして目を閉じ、術式を詠唱する。
わたしとシモンが眩い光に包まれる。
わたしは術に心を込めた。
シモンを守って。
この世の全ての邪なものから
わたしの大切な人を守って。
物理攻撃は弾けないけど、
それ以外のものならなんでも祓う。
イコリスを守る国土結界と同じものを
シモンの身に施した。
やがて光は収まってゆく。
不安で乱れていたわたしの心が凪いでいった。
「ふう……」
「ニコ、これって……」
「シモンに結界を張ったわ。わたしが死なない限り、シモンにはどんな呪いも魔術も効かないわ」
今のわたしたちの一連の行いを見ていたルチア様がわなわなと震える出す。
「あ、貴女っ……魔力持ちだったのっ!?」
「まぁわたしの唯一の特技かな?」
「聞いてませんわよっ!」
なぜあなたに言わねばならない。
「……でもこれで暗殺の危機が去ったわけではありませんわ、王妃側がもうこれ以上、貴方を生かしておくとは思えませんもの。覚悟された方がよろしくてよ、我が侯爵家を含む有力諸侯の助力なくして貴方を守る勢力などありませんのよ!」
散々プライドを傷付けられた腹いせか、ルチア様はシモンの身に危険が迫ることを嬉々として語られた。
許せない。
さっきの試合、ルチア様も参加されればよかったのに。
そうしたら完膚なきまでに叩きのめしてやったのに。
シモンは殺させない。
シモンを守る勢力は………あるっ!!
わたしがそう思ったその時、聞き覚えのある声がした。
大陸でこの男の右に出る者はなし。
この男が何かする度に、「○○無双」と銘打たれる。
「お姫様ーー!不詳バックス!姫様のピンチをお救いするべく、馳せ参じましたぞーー!!」
「ナイスタイミング!ナイス熊ックス!!」
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