12 / 22
駄犬、狂犬になる
しおりを挟む
その日は朝からよく晴れていた。
前国王の葬儀の為、聖女ルナリアの警護として随行していたライルがバレスデンへ戻って来る日だ。
総本部は聖女を出迎える為に朝から騒然としている。
アマンディーヌも枢機卿夫人としての務めがあり、ユラルもその手伝いとして忙しく振る舞っていた。
バタバタと動き回っていると余計な事を考えずに済んで良い。
ユラルは頭の中を空っぽにしてルナリアが到着する時間までやり過ごした。
やがて刻限となる。
少し前に聖女を乗せた馬車がバレスデン市街に入ったと連絡を受けた。
「そろそろ、ザマスね……」
アマンディーヌが椅子から立ち上がる。
それを合図としたかのようにロアンヌがユラルを気遣いこう告げた。
「ユラルちゃん、無理して出迎えなくていいのよ。ライル卿の様子は私達が見て来るから、貴女は部屋に居たら……?」
その言葉にユラルは返事と共に笑みを返す。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。自分の目できちんと見て、現実を受け入れます。まぁもちろん、釘バットで二、三発は殴る所存ですが」
アマンディーヌがユラルの肩を抱いて言った。
「ユラルさん……きっともうすぐ、全てが変わる日が来るザンス。捻じ曲げられ、歪められた想いから解放される時が来るザマスから、少しだけ耐えて欲しいザマス……」
「アマンディーヌ様……」
ユラルにはアマンディーヌの言葉の真意はよく分からなかったが、自分を気遣い勇気付けてくれているのだと思った。
そして聖女ルナリアを出迎える為に、アマンディーヌとロアンヌと共にエントランスへと向かう。
国教会関係者の馬車が次々と到着する。
やがて聖女を乗せた六頭立ての馬車が到着した。
馬車の扉が開き、数名の聖騎士が降りて来る。
そしてライルが他の騎士より後に降りて来た。
ーーライル……!
馬車を降りたライルは直ぐに馬車の出入り口の横に立ち、すっ…と手を差し出す。
そしてその手に白く小さな手が置かれ、聖女ルナリアが馬車から降りて来た。
ライルの手を取り、優しげにライルに微笑みかけている。
ライルは普段の彼からは想像もつかないような無機質な表情で淡々と聖女をエスコートしていた。
やがて聖女を筆頭に、本部の建物に入るべく一向は歩き出す。
ルナリアはアマンディーヌをはじめとする出迎えた皆に言葉掛けをしていた。
ユラルはその他大勢のギャラリーに紛れてその様子を遠く眺めていた。
平気だと言ったものの、やはり間近で聖女の神聖力により変わってしまったライルを見るのは辛い。
だからユラルは他の参拝者や教会勤めの者と一緒に居る事にしたのだ。
遠く離れた場所からライルを見つめる。
王都とバレスデン、物理的な距離は解消されたのにも関わらず、とても遠く隔たりを感じる。
感情が込められていないその瞳はもう、ルナリアしか映していないのだろうか。
ーーライル……
ユラルが大好きだったあの屈託のない笑顔を、もう向けてくれる事はないのだろうか……
目頭がじん…と熱を帯びる。
ーー泣いてはダメ。
こんな日が来ると分かっていて、それでもと執行猶予に同意したのはわたし自身でしょ!
ユラルは自分を叱咤した。
こんな所で、ライルの側で、こんな事の為に泣きたくない。
泣くのを許すのは自室に戻ってからだ。
ユラルは思わず、直ぐ隣に居た者でさえ聞き取れないような小さな声で呟いた。
「しっかりしなさい、ユラル……」と。
その瞬間、ライルがユラルの方を見た。
ぐりんと頭だけをユラルの方に向け、大勢の人間の中に埋もれたユラルを見た。
そして………
「ユラっ!!!」
辺りに響き渡る大きな声でユラルの名を呼んだ。
「………え?」
その途端にライルはもの凄い速度でユラルの元へと駆けつけ、もの凄い力でユラルを抱きしめて来た。
「ちょっ……!?ライルっ!?」
突然の事にユラルは状況が理解出来ない。
離れた所に居るアマンディーヌが驚いた顔をし、ロアンヌが嬉しそうに口元を押さえているのが見えた。
ライルはぎゅうぎゅうとユラルを抱きしめてくる。
「ラ、ライルっ、落ち着いて?みんなが見てるわ。と、とりあえず離してっ……?」
ユラルがライルの腕の中でそう告げると、ライルは切羽詰まった声で言い放った。
「イヤだっ!!俺は深刻なユラル不足で瀕死の状態だったんだぞっ!!ホントに甘く見過ぎていたっ!!十日なんて直ぐだろうと思っていた俺の、自分の甘さを痛感したっ!!!」
間近で大声で告げられ鼓膜が死ぬかと思ったが、それよりも何よりも……
「執事見習いに『甘く見ていた』と言ったのはソレっ!?」
ユラルは驚愕した。
突然自分の元を離れ、他の女を抱きしめるライルの姿を見たルナリアが驚き過ぎて素っ頓狂な声を出す。
「なにっ?ど、どうしたのっ?なぜライルはわたしの元を勝手に離れたのっ?ライル!戻って来なさいっ!」
ルナリアのその声かけにライルはユラルを抱きしめたまま言った。
「うるせぇぞブスっ!!」
ーーちょっ、ライルさん!?
「えっ?あの人今わたくしの事をブスと言った?」
「そんな!あり得ませんっ、絶対に聞き間違えです!」
「そうよね♡わたくしがブスなわけはないものね♡」
「当然でございます!」
「ルナリア様をブス呼ばわりする者がこの世に存在するわけがないっ」
ブスだなんて言われた事がない聖女と、彼女を盲信する聖騎士達が勝手に聞き間違いだと解決してくれた。
ーーいやライル間違いなく聖女をブスと言ってましたけど?
ユラルはライルにがっしりと囲われながら、心の中でツッコミを入れていた。
その瞬間、体の浮遊感を感じる。
「えっ?ぎゃっ!?」
ライルが徐にユラルを横抱きにして歩き出す。
「ちょっとっ?ライルっ?どこに行くのっ?貴方まだ勤務中でしょっ?」
「無理っ!!今すぐユラルを摂取せねば死ぬっ!!イチャイチャ出来る所に行くぞっ!!」
「イチャイチャ出来る所って何処っ!?何処に連れて行く気なのっ!?ライルっ?ライルーーーっ!!」
ーーヤバい。駄犬が狂犬になった!
もしかしてもしかしなくても貞操の危機っ!?
ユラルは必死の抵抗も虚しく、そのままライルにより何処かへと連れて行かれた。
そのあまりにもあり得ない珍事に、逆に呆然として見守るしかなかった人々にアマンディーヌは言った。
パンと手を叩いて、その場を締めるように。
「まぁまぁ!素晴らしい青春でゴザーマスわねっ!!さぁ、久々に会えた恋人同士の邪魔をするような野暮な事をして、プリンの角に頭をぶつけて死ぬのもバカらしいザンスよ!皆さま解散あそばすザマスっ!」
何故か不思議な説得力のあるアマンディーヌの掛け声。
それもそうだな、と誰もがアマンディーヌに従うのも不思議で仕方なかったが、とりあえずは本当に良かった……とロアンヌは胸を撫で下ろした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者サマ皆さま、いつも沢山のエールをありがとうございます!
もう嬉しすぎて嬉しすぎて……
もんどり打ってのたうちまわっている姿を、猫達に「ないわー」という目で見られております☆
それもまた良き……☆ ハァハァ♡
兎にも角にも皆さまにお礼を……!
本当にありがとうございます!
前国王の葬儀の為、聖女ルナリアの警護として随行していたライルがバレスデンへ戻って来る日だ。
総本部は聖女を出迎える為に朝から騒然としている。
アマンディーヌも枢機卿夫人としての務めがあり、ユラルもその手伝いとして忙しく振る舞っていた。
バタバタと動き回っていると余計な事を考えずに済んで良い。
ユラルは頭の中を空っぽにしてルナリアが到着する時間までやり過ごした。
やがて刻限となる。
少し前に聖女を乗せた馬車がバレスデン市街に入ったと連絡を受けた。
「そろそろ、ザマスね……」
アマンディーヌが椅子から立ち上がる。
それを合図としたかのようにロアンヌがユラルを気遣いこう告げた。
「ユラルちゃん、無理して出迎えなくていいのよ。ライル卿の様子は私達が見て来るから、貴女は部屋に居たら……?」
その言葉にユラルは返事と共に笑みを返す。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。自分の目できちんと見て、現実を受け入れます。まぁもちろん、釘バットで二、三発は殴る所存ですが」
アマンディーヌがユラルの肩を抱いて言った。
「ユラルさん……きっともうすぐ、全てが変わる日が来るザンス。捻じ曲げられ、歪められた想いから解放される時が来るザマスから、少しだけ耐えて欲しいザマス……」
「アマンディーヌ様……」
ユラルにはアマンディーヌの言葉の真意はよく分からなかったが、自分を気遣い勇気付けてくれているのだと思った。
そして聖女ルナリアを出迎える為に、アマンディーヌとロアンヌと共にエントランスへと向かう。
国教会関係者の馬車が次々と到着する。
やがて聖女を乗せた六頭立ての馬車が到着した。
馬車の扉が開き、数名の聖騎士が降りて来る。
そしてライルが他の騎士より後に降りて来た。
ーーライル……!
馬車を降りたライルは直ぐに馬車の出入り口の横に立ち、すっ…と手を差し出す。
そしてその手に白く小さな手が置かれ、聖女ルナリアが馬車から降りて来た。
ライルの手を取り、優しげにライルに微笑みかけている。
ライルは普段の彼からは想像もつかないような無機質な表情で淡々と聖女をエスコートしていた。
やがて聖女を筆頭に、本部の建物に入るべく一向は歩き出す。
ルナリアはアマンディーヌをはじめとする出迎えた皆に言葉掛けをしていた。
ユラルはその他大勢のギャラリーに紛れてその様子を遠く眺めていた。
平気だと言ったものの、やはり間近で聖女の神聖力により変わってしまったライルを見るのは辛い。
だからユラルは他の参拝者や教会勤めの者と一緒に居る事にしたのだ。
遠く離れた場所からライルを見つめる。
王都とバレスデン、物理的な距離は解消されたのにも関わらず、とても遠く隔たりを感じる。
感情が込められていないその瞳はもう、ルナリアしか映していないのだろうか。
ーーライル……
ユラルが大好きだったあの屈託のない笑顔を、もう向けてくれる事はないのだろうか……
目頭がじん…と熱を帯びる。
ーー泣いてはダメ。
こんな日が来ると分かっていて、それでもと執行猶予に同意したのはわたし自身でしょ!
ユラルは自分を叱咤した。
こんな所で、ライルの側で、こんな事の為に泣きたくない。
泣くのを許すのは自室に戻ってからだ。
ユラルは思わず、直ぐ隣に居た者でさえ聞き取れないような小さな声で呟いた。
「しっかりしなさい、ユラル……」と。
その瞬間、ライルがユラルの方を見た。
ぐりんと頭だけをユラルの方に向け、大勢の人間の中に埋もれたユラルを見た。
そして………
「ユラっ!!!」
辺りに響き渡る大きな声でユラルの名を呼んだ。
「………え?」
その途端にライルはもの凄い速度でユラルの元へと駆けつけ、もの凄い力でユラルを抱きしめて来た。
「ちょっ……!?ライルっ!?」
突然の事にユラルは状況が理解出来ない。
離れた所に居るアマンディーヌが驚いた顔をし、ロアンヌが嬉しそうに口元を押さえているのが見えた。
ライルはぎゅうぎゅうとユラルを抱きしめてくる。
「ラ、ライルっ、落ち着いて?みんなが見てるわ。と、とりあえず離してっ……?」
ユラルがライルの腕の中でそう告げると、ライルは切羽詰まった声で言い放った。
「イヤだっ!!俺は深刻なユラル不足で瀕死の状態だったんだぞっ!!ホントに甘く見過ぎていたっ!!十日なんて直ぐだろうと思っていた俺の、自分の甘さを痛感したっ!!!」
間近で大声で告げられ鼓膜が死ぬかと思ったが、それよりも何よりも……
「執事見習いに『甘く見ていた』と言ったのはソレっ!?」
ユラルは驚愕した。
突然自分の元を離れ、他の女を抱きしめるライルの姿を見たルナリアが驚き過ぎて素っ頓狂な声を出す。
「なにっ?ど、どうしたのっ?なぜライルはわたしの元を勝手に離れたのっ?ライル!戻って来なさいっ!」
ルナリアのその声かけにライルはユラルを抱きしめたまま言った。
「うるせぇぞブスっ!!」
ーーちょっ、ライルさん!?
「えっ?あの人今わたくしの事をブスと言った?」
「そんな!あり得ませんっ、絶対に聞き間違えです!」
「そうよね♡わたくしがブスなわけはないものね♡」
「当然でございます!」
「ルナリア様をブス呼ばわりする者がこの世に存在するわけがないっ」
ブスだなんて言われた事がない聖女と、彼女を盲信する聖騎士達が勝手に聞き間違いだと解決してくれた。
ーーいやライル間違いなく聖女をブスと言ってましたけど?
ユラルはライルにがっしりと囲われながら、心の中でツッコミを入れていた。
その瞬間、体の浮遊感を感じる。
「えっ?ぎゃっ!?」
ライルが徐にユラルを横抱きにして歩き出す。
「ちょっとっ?ライルっ?どこに行くのっ?貴方まだ勤務中でしょっ?」
「無理っ!!今すぐユラルを摂取せねば死ぬっ!!イチャイチャ出来る所に行くぞっ!!」
「イチャイチャ出来る所って何処っ!?何処に連れて行く気なのっ!?ライルっ?ライルーーーっ!!」
ーーヤバい。駄犬が狂犬になった!
もしかしてもしかしなくても貞操の危機っ!?
ユラルは必死の抵抗も虚しく、そのままライルにより何処かへと連れて行かれた。
そのあまりにもあり得ない珍事に、逆に呆然として見守るしかなかった人々にアマンディーヌは言った。
パンと手を叩いて、その場を締めるように。
「まぁまぁ!素晴らしい青春でゴザーマスわねっ!!さぁ、久々に会えた恋人同士の邪魔をするような野暮な事をして、プリンの角に頭をぶつけて死ぬのもバカらしいザンスよ!皆さま解散あそばすザマスっ!」
何故か不思議な説得力のあるアマンディーヌの掛け声。
それもそうだな、と誰もがアマンディーヌに従うのも不思議で仕方なかったが、とりあえずは本当に良かった……とロアンヌは胸を撫で下ろした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読者サマ皆さま、いつも沢山のエールをありがとうございます!
もう嬉しすぎて嬉しすぎて……
もんどり打ってのたうちまわっている姿を、猫達に「ないわー」という目で見られております☆
それもまた良き……☆ ハァハァ♡
兎にも角にも皆さまにお礼を……!
本当にありがとうございます!
485
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
見捨てられたのは私
梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。
ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。
ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。
何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。
私の願いは貴方の幸せです
mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」
滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。
私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。
ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた
玉菜きゃべつ
恋愛
確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。
なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話
【完結】愛されていた。手遅れな程に・・・
月白ヤトヒコ
恋愛
婚約してから長年彼女に酷い態度を取り続けていた。
けれどある日、婚約者の魅力に気付いてから、俺は心を入れ替えた。
謝罪をし、婚約者への態度を改めると誓った。そんな俺に婚約者は怒るでもなく、
「ああ……こんな日が来るだなんてっ……」
謝罪を受け入れた後、涙を浮かべて喜んでくれた。
それからは婚約者を溺愛し、順調に交際を重ね――――
昨日、式を挙げた。
なのに・・・妻は昨夜。夫婦の寝室に来なかった。
初夜をすっぽかした妻の許へ向かうと、
「王太子殿下と寝所を共にするだなんておぞましい」
という声が聞こえた。
やはり、妻は婚約者時代のことを許してはいなかったのだと思ったが・・・
「殿下のことを愛していますわ」と言った口で、「殿下と夫婦になるのは無理です」と言う。
なぜだと問い質す俺に、彼女は笑顔で答えてとどめを刺した。
愛されていた。手遅れな程に・・・という、後悔する王太子の話。
シリアス……に見せ掛けて、後半は多分コメディー。
設定はふわっと。
カメリア――彷徨う夫の恋心
来住野つかさ
恋愛
ロジャーとイリーナは和やかとはいえない雰囲気の中で話をしていた。結婚して子供もいる二人だが、学生時代にロジャーが恋をした『彼女』をいつまでも忘れていないことが、夫婦に亀裂を生んでいるのだ。その『彼女』はカメリア(椿)がよく似合う娘で、多くの男性の初恋の人だったが、なせが卒業式の後から行方不明になっているのだ。ロジャーにとっては不毛な会話が続くと思われたその時、イリーナが言った。「『彼女』が初恋だった人がまた一人いなくなった」と――。
※この作品は他サイト様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる