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最終話 ワケありのわたしでいいですか
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カレブさんがホール家にやって来た。
いつもの魔石の買い付けと予め頼んでいた品物の配達。
その中にわたし宛に家政婦ギルドのマスターからの手紙が入っていた。
ホール家の家政婦の手配をしたカレブさんのお爺さんの元に、マスターがわたしに渡して欲しいと手紙を持って来たそうなのだ。
ジュード様とカレブさんは魔石の話をしているので、わたしは早速手紙を開封した。
内容は……
もう離縁した後の婚家の事なので報せる必要はないかとも思ったのだが、わたしには知る権利があると思うので報せる事にしたと最初に触れてあった。
一体何事だろうと思って読み進めてみれば……
別れた夫がわたしと結婚する前から付き合っていた恋人、いや結婚後は愛人と呼んだ方が良かったのか、その愛人に子どもが出来た事でわたしは離縁された。
その後愛人を妻に迎え、生まれて来た子どもと
幸せに暮らしているのだろうと思っていたのだが
実はそうでもないらしい。
妻になった元愛人(ややこしいな)はろくに家事もせず家業も手伝わず、毎日家で自堕落な生活ばかり送っていたらしい。
まぁ妊娠中なので体がキツい所為だろうと元夫も元義両親も大目に見ていたのだが、出産後に問題が起きたという。
なんと生まれた子の肌は褐色で、明らかに異国の人間との混血だったというのだ。
元夫の家系にも元愛人の家系にも異国の血は入っていないので、先祖帰りという事でもないらしい。
という事は……
生まれた子は夫の子ではなかった、というわけで。
今、元夫と元愛人との間で裁判沙汰になっていて大変らしい。
………………ご愁傷様です。
この事を知らされても、不思議とわたしの心は凪いでいた。
もう自分には関係ない事だと自然に思えた。
それはきっと、
ジュード様に恋をしているからだろう。
今わたしの心はジュード様でいっぱいで、もう元夫が居座るスペースなどない。
だからこんなにも他人事として冷静に見ていられるのだ。
まぁもう実際に他人だしね。
手紙を読み終えてふと室内を見るとジュード様とカレブさんの姿がない事に気がついた。
どうしたのかしら……?
何が問題でも?
きっとお仕事の関係なんだろう。
でもその前に、今日もカレブさんが昼食を
食べて帰るのか確認だけしておきたい。
二人分でいいのか三人分でいいのか。
わたしは家を出て、周辺に二人が居ないか探してみた。
魔物の山とは反対側の方を見渡すと、
少し離れた所にいる二人の姿を見つけた。
鬱蒼とした木々が邪魔をして向こうからはわたしが見えないらしい。
仕方ないので近くまで行って確認する事にした。
こちらの方が風下だったからだろうか、そんなに近付いたわけでもないのに二人の会話が聴こえてくる。
カレブさんの声だった。
「ミリアが隣国から帰って来た。そしてお前を探してる」
ミリア……?
一体誰だろう。ジュード様を探してる?
「なぜ今になって……」
ジュード様の声だ。
わたしが居る位置では二人の姿は見えない。
でも声は鮮明に聞こえた。
「お前に会いたいと。あの時のプロポーズを受けたいと言っていた。とにかくお前に会って話がしたいそうだ」
「!!」
カレブさんのその言葉を聞き、わたしは瞬時に理解した。
ミリアさんというのはきっと、いや間違いなくいつかタイミングが合えば結婚しようと誓ったというジュード様の恋人だろう。
タイミングが合えば……
ジュード様は今もお一人だ。
タイミングも何もずっとミリアさんを待っていたに違いない。
タイミング……その時がようやく訪れたという事だ。
わたしはそれ以上聞いてはいけない、
いやそれ以上聞いていられなくて踵を返した。
ジュード様が……
長年待ち望んでいた人と結ばれる。
良かった。
おめでたい事だ。
あんなにいい人だもの。幸せになって欲しい。
幸せに………。
振り切るように歩いていたわたしの足が止まってしまう。
わたしは空を仰ぎ見た。
今日は朝からどんよりとした曇り空だ。
まるでわたしの心を映しているかのよう。
「雨が降りそうだな……」
そう呟くと目の前が滲んだ。
雨は降り出していないのに、わたしの頬が濡れてゆく。
大丈夫。
もともと一人だった。
それに戻るだけだ。
ジュード様という大きくて優しい木の側で雨宿りをさせて貰っただけだ。
わたしは涙を拭い、再び家に向かって歩き出した。
キッチンに戻り昼食の支度を始める。
カレブさんが食べて行くかはわからないけど、
予め用意しておけばいいだけの事だ。
手を動かしている時は余計な事を考えなくて済む。
昼食の支度が出来た後は二人が戻ってくるまでの間に紡いだ糸を使って編んでいる膝掛けの続きを編む事にした。
この家で冬を過ごした事はないけれど、きっと寒いんだろうな。
ジュード様が読書する時に使って貰えればいいと思って編み始めた膝掛け。
こんな物があったらミリアさんという方は気を悪くしてしまうかもしれない。
生まれも育ちも王都の方だというし、
こんな田舎くさい物など要らないだろう。
これは持って行こう。そして自分で使おう。
そんな事をぼんやり考えながら編んでいる時にジュード様とカレブさんが家に戻って来た。
開口一番、カレブさんが言う。
「わっ、いい匂いだ!今日の昼食?」
「はい、今日はキノコのシチューです」
カレブさんが隣に立つジュード様を見やる。
「いいなー、俺も食べたいなーーー」
ジュード様がため息を吐いてから言う。
「わかったわかった、お前も食って行け。
メイ、頼めるか?」
「はい、そう仰るだろうと思ってました。すぐにご用意しますね」
「やった!ありがとうメイちゃん!」
カレブさんがそう言うとジュード様が呆れたように言った。
「俺には礼はなしか」
「だって作るのはメイちゃんだもんね」
「……たしかに」
「ふふ」
わたしは二人のやり取りがおかしくて笑ってしまう。
そうして今日も3人で賑やかにテーブルを囲み、
楽しい時間を過ごした。
カレブさんと会うのも今日で最後になるだろう。
カレブさん、わたしが言う事ではないけれど、
これからもジュード様の事をよろしくお願いしますね。
その後もジュード様は何も言わない。
だけどきっとミリアさんが来るのを待ち望んでいるに違いない。
家政婦としての契約期間はまだ2ヶ月ほど残っているけど(最初は半年契約を結ぶ)多分更新はされないと思うし、わたしが居てはミリアさんが遠慮してしまうかもしれない。
丁度ジュード様が明日、用事で町に行くと言っていたのでその間に家を出ようと思う。
ここを去る理由を上手く伝えられる気がしない。
もしかして泣いてしまって彼に迷惑を掛けるかもしれない。
優しい人だから、無理にわたしを追い出したりはしないだろうけどそれではいけないのだ。
わたしはジュード様とミリアさんの邪魔を
する気はない。
そして二人が仲睦まじくされている姿を見たくない。
だから何も言わずに手紙だけを残してここを去るつもりだ。
だから今晩が最後。
腕によりを掛けて食事を用意する。
今日は最初にここで作ったチキンのトマト煮込みにした。
この料理で始まったのだ、この料理で終わりたい。
それにサラダと焼きたてのパン。
今日はデザートにジャムを入れたパウンドケーキも焼いた。
「今日も旨そうだ。この料理は最初に作ってくれた?」
「はい、そうです」
まさかジュード様が覚えていてくれたなんて思いもしなかった。
わたしは嬉しくて、でもちょっぴり寂しくて何とも言えない気持ちになる。
ジュード様は今日も旨い旨いと言って全部残さず食べてくれた。
食後のケーキを二人で食べている時に、ジュード様がわたしに告げた。
「明日の夜、キミに話したい事があるんだ。聞いてくれるか……?」
話……?
改まって言われるという事はあの話しかないだろう。
ミリアさんの事だ。
わたしはいつも通りを心がけ、笑顔を貼り付た。
「はい、わかりました」
明日の夜にはもうここにはいないけど。
その夜は眠れなかった。
明日は沢山歩くからちゃんと寝ないといけないのに。
結局明け方に少しうつらうつらしただけで、
起きる時間がきてしまった。
身支度をして朝食の用意をする。
ジュード様と最後の食事を共に摂り、
町に向かうジュード様を見送る。
「なるべく早く戻るよ」
「どうかお気をつけて」
家を出るジュード様の背中を見つめる。
これが最後だ。
この扉が閉まったら、
もう二度と会う事はないだろう。
わたしは彼の背中に呟いた。
「ジュード様、ありがとうございました」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ何も」
「そう、か……?」
ジュード様がわたしを見つめる。
「……メイ?……どうかしたか?」
「いいえ?ホラ、早く行かないと日暮れまでに帰って来れませんよ?」
わたしは極上の笑顔を貼り付けた。
やっぱり最後は笑顔で別れたい。
きっとすぐに忘れられるだろうけど、何かの折にふと思い出した時に、笑ってるわたしを思い出して欲しいから。
「あ、ああ……」
ジュード様はしきりに何かを気にされながらも
「行ってくる」と言って、町へと向かわれた。
「……行ってしまった……」
わたしはすぐに部屋に戻りトランクに荷物を
詰め込んでゆく。
ジュード様から頂いた服も、ウールポコで
紡いだ糸も、忘れずに持って行こう。
今回はもちろんパンの生地も
繕いかけの衣服も残していない。
わたしが使っていた食器も全て食器棚の
奥にしまって、わたしが居た痕跡は何も
残っていない。
この家に居たのはたったの4ヶ月ほどだったけど
何ものにも代え難い幸せな時間だった。
ありがとう、さようなら。
最後にテーブルの上に手紙を置き、わたしは家を出た。
来る時に馬車で来た道を今度は歩いて行く。
一番近い集落までどのくらいかかるだろう。
でもとにかく歩くしかない。
とにかく歩いて歩いて、前に進むしかない。
そうしないと立ち止まってしまいそうになるから。
歩かなくては。
一歩一歩を確実に踏み出さなくては。
ここに居てはジュード様の幸せの妨げになる。
もう充分優しくして貰った。
たくさん心を温めて貰った。
大丈夫。
きっと一人で歩いていける。
知らずわたしは口遊んでいた。
あの紡ぎ歌を。
ジュード様が好きだと言ってくれたこの歌を。
もう彼は聞いていないのに。
それでもわたしは心を込めて紡ぎ歌を歌った。
どれくらい歩いたのだろう。
疲れて少し休憩しようと立ち止まったその時、
蹄の音が聞こえたような気がした。
もしかして馬車が通るなら有り難い。
近くの集落まで乗せて行って貰えないだろうかと
期待を込めて音が聞こえた後ろを振り返る。
でも見えてきたのは馬車ではなく単騎だった。
しかもあれは……あの馬は……
その姿を確認したその瞬間、辺りに轟くような大きな声で名を呼ばれた。
「メイっ!!」
「……!?」
何故ここに?何故?
彼が向かった町とは別方向なのに。
何故……何故ジュード様がこちらに向かって馬を走らせて来るの?
わたしはわけが分からずただ呆然として近づいて来る彼を見つめた。
ジュード様はわたしの少し手前で馬を降り、
すぐに目の前に立つ。
額に汗をかき、焦ったようにわたしを見る。
どうしてそんな……
どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?
どうしてそんな……
何も言えずただ黙って見つめるわたしにジュード様が話し出す。
「……嫌な予感がしたんだ。なんだかキミが、このまま居なくなってしまうような。後ろ髪を引かれる思いで町へ向かっていたけど、ふとキミの歌声が聞こえた気がした」
「歌声……?」
「あの紡ぎ歌だ。もちろん幻聴なのはわかっている。でもどうしようもない焦燥感に駆られ、急いで家に戻った」
「あ……」
という事はあの手紙を読んだのだろうか。
「そうしたら、やはり手紙を残してキミは
居なくなっていた」
「……」
わたしは俯いた。
手紙には自分の想いは書いてはいない。
カレブさんとの話を聞いてしまった謝罪と、奥さまを迎えられるなら、誤解を招くような人間が
居てはいけないので早々に去る事にしたと書いた。
そして、今までの感謝とジュード様の幸せを願っていると……
「手紙を読んだ」
やはり……
挨拶もせずに出て行った事を咎められるのだろうか。
元騎士のジュード様なら礼節を重んじておられるだろうから……。
「勝手に出て行って申し訳ありません。でもジュード様が引き止めて下さるのは目に見えていましたから、わたしが……わたしが最初に行く当てがないと言ったから。だから何も言わずに去る事にしたんです。わたしの事なら心配要りません。またどこかで住み込みで働けばいいんですから」
だから気にしないで、とは言えなかった。
ジュード様に掻き抱かれたから。
強く抱きしめられる。
ジュード様は少し震えていた。
「違う、違うんだメイ……ミリアとは、元恋人とはとっくに終わっているんだっ……彼女は俺と別れた後にすぐ新しい恋人と隣国へ旅立ったんだ。そこで俺たちの関係は完全に終わったと言っていいのに、今更よりを戻したいなんて言ってきた」
「それはやはりジュード様の事を本当に愛しているからでしょう?ジュード様もミリアさんの事を変わらず愛しているから今まで独り身を続けていたのでしょう?」
「違う!俺が愛しているのはメイ、キミだ!!」
「……え?」
「突然こんな事を告げて驚かせてすまない。
でも俺は出会った時からもうずっと、メイへの想い
を募らせてきた。多分、一目惚れだったんだと思う……」
今、なんて……?
ジュード様は今、なんて言ったの……?
「わ、たしの事、を……?」
問いかける声が震える。
ジュード様はわたしの目を真っ直ぐに見てもう一度言ってくれた。
「好きだ。メイ、キミを愛してる。
これからキミにも同じ気持ちを抱いて貰えるよう
努力するつもりだ。だからどうか、どこにも行かずに側にいて欲しい……」
ジュード様の言葉がわたしの心に沁み渡る。
さっきまで寂しさと切なさでカチカチに渇いて固くなってしまっていたわたしの心に、ジュード様の想いの篭った言葉が染み込んでくるようだった。
気付けば涙が溢れていた。
「ジュード…様っ…わたしも、わたしもあなたの事が好きです、大好きですっ。
あなたの優しさや温かさに触れ、好きにならずには
いられなかったっ、でもわたしはワケありですっ…あなたに相応しくはありませんっ……」
涙でぐちゃぐちゃになったわたしの顔を
ジュード様が両手で包む。
「ワケありってなんだ?ただ離縁しただけだろう?
そんな言葉でキミの為人や尊さは損なわれない。
俺はメイ、キミ自身が好きなんだ。だからそんなつまらない理由で俺を拒むのはやめてくれ」
「本当にいいんですか……?
ワケありのわたしでいいんですかっ……?」
「メイがいい。メイじゃなきゃダメだ」
「ジュード様っ……!」
どちらからともなく、わたし達は再び抱きしめあった。
嬉しい。
ホントに?
ホントに彼の側にいてもいいの?
その後わたしはジュード様の馬に相乗りしてホール家へと戻った。
そして想いが通じ合ったその夜、わたし達は身も心も結ばれた。
ジュード様の居場所を一切知らされず、
手紙のみで復縁をキッパリ断られたミリアさんが
その後どうなったのかというと、あっさり他の人と
結婚したそうだ。
手っ取り早く誰かと結婚したかっただけのようで、
15も年上の商人の後妻に収まったという。
人騒がせな。誰でもいいならジュード様とよりを戻したいなんて言わないで欲しい。
でもそのおかげで、わたし達は互いの想いを確かめ合うきっかけが出来たわけだけど……。
ジュード様が町へ行った理由、それは婚姻届を役所に受け取りに行こうとしたらしい。
その婚姻届を持って帰り、その夜にわたしにプロポーズをしようと思っていてくれたのだそうだ。
後日、今度は二人で婚姻届を取りに行った。
そしてその場で署名して提出し、わたし達は夫婦となった。
想いが通じ合い、晴れて夫婦となったとしても、暮らしぶりはとくには変わらない。
ジュード様…もうこう呼んではいけないのだった、
ジュードは山へ魔石を採りに行き、わたしは家を整えて帰りを待つ。
二人で食事をし、本を読んだり糸を紡いだりと
穏やかな時間を過ごす。
変わった事といえば、夜は一つのベッドで
一緒に眠るようになった事だろうか。
幸せだった。
本当に幸せだった。
その幸せは子どもが生まれる度に大きくなり、
子どものために家を別の場所に移しても
変わる事はなかった。
ワケありだったわたしにこんな幸せが待っているなんて。
全てを諦め、
様々な事を自分の人生から切り離していたわたしに
彼は幸せな日々を贈ってくれた。
ありがとう、あなた。
心から愛しています。
「お母さーん!お父さんが帰って来たよー!」
「おとーたーん!」
子どもたちが父親に駆け寄る。
「おかえりなさい、今日は早かったのね」
「なんだか腹が減って、早めに山を降りてきた」
「ふふ」
その理由にわたしが思わず微笑むと、
彼がわたしの頬にキスをした。
そしてわたしは愛する夫と子どもたちに
向けて言う。
「じゃあとりあえず、ゴハンにしましょうか」
終わり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて完結です。
最終話は詰め込み過ぎて、
長くなってしまいました。
6話完結にすれば良かったか……。
とにもかくにも家政婦と雇い主の恋のお話、
これにてお終いです。
登場人物を極力少なくを心掛けたので、
メイの元夫とジュードの元恋人は登場させませんでした。
この二人が出てくると絶対に話が長引く……と思いまして☆
とにかくシンプルなお話にしたかったのです。
読者さま皆さま、
最後までお読みいただきありがとうございました!
また感想もありがとうございます!
更新の励みにさせていただきました。
また何かの物語を書いた時は読んで頂けると光栄です。
早速ですが宣伝といいますか、告知といいますか予告といいますか……
月曜日か火曜日に(曖昧ですみません)
『後宮よりこっそり出張、廃妃までカウントダウンですがきっちり恩返しさせていただきます!』
の番外編を投稿します。
読者さまのご要望が多かった、
拗らせ国王の最側近のメガネくんの後日談です。
ランスロットが恋をするのかしないのか、
このまま一生グレアムのもう一人の女房として終わるのか、見届けてやって頂ければ嬉しいです。
それでは今作をお読みいただきありがとうございました!
もう一度皆さまに感謝を込めて。
キムラましゅろう
いつもの魔石の買い付けと予め頼んでいた品物の配達。
その中にわたし宛に家政婦ギルドのマスターからの手紙が入っていた。
ホール家の家政婦の手配をしたカレブさんのお爺さんの元に、マスターがわたしに渡して欲しいと手紙を持って来たそうなのだ。
ジュード様とカレブさんは魔石の話をしているので、わたしは早速手紙を開封した。
内容は……
もう離縁した後の婚家の事なので報せる必要はないかとも思ったのだが、わたしには知る権利があると思うので報せる事にしたと最初に触れてあった。
一体何事だろうと思って読み進めてみれば……
別れた夫がわたしと結婚する前から付き合っていた恋人、いや結婚後は愛人と呼んだ方が良かったのか、その愛人に子どもが出来た事でわたしは離縁された。
その後愛人を妻に迎え、生まれて来た子どもと
幸せに暮らしているのだろうと思っていたのだが
実はそうでもないらしい。
妻になった元愛人(ややこしいな)はろくに家事もせず家業も手伝わず、毎日家で自堕落な生活ばかり送っていたらしい。
まぁ妊娠中なので体がキツい所為だろうと元夫も元義両親も大目に見ていたのだが、出産後に問題が起きたという。
なんと生まれた子の肌は褐色で、明らかに異国の人間との混血だったというのだ。
元夫の家系にも元愛人の家系にも異国の血は入っていないので、先祖帰りという事でもないらしい。
という事は……
生まれた子は夫の子ではなかった、というわけで。
今、元夫と元愛人との間で裁判沙汰になっていて大変らしい。
………………ご愁傷様です。
この事を知らされても、不思議とわたしの心は凪いでいた。
もう自分には関係ない事だと自然に思えた。
それはきっと、
ジュード様に恋をしているからだろう。
今わたしの心はジュード様でいっぱいで、もう元夫が居座るスペースなどない。
だからこんなにも他人事として冷静に見ていられるのだ。
まぁもう実際に他人だしね。
手紙を読み終えてふと室内を見るとジュード様とカレブさんの姿がない事に気がついた。
どうしたのかしら……?
何が問題でも?
きっとお仕事の関係なんだろう。
でもその前に、今日もカレブさんが昼食を
食べて帰るのか確認だけしておきたい。
二人分でいいのか三人分でいいのか。
わたしは家を出て、周辺に二人が居ないか探してみた。
魔物の山とは反対側の方を見渡すと、
少し離れた所にいる二人の姿を見つけた。
鬱蒼とした木々が邪魔をして向こうからはわたしが見えないらしい。
仕方ないので近くまで行って確認する事にした。
こちらの方が風下だったからだろうか、そんなに近付いたわけでもないのに二人の会話が聴こえてくる。
カレブさんの声だった。
「ミリアが隣国から帰って来た。そしてお前を探してる」
ミリア……?
一体誰だろう。ジュード様を探してる?
「なぜ今になって……」
ジュード様の声だ。
わたしが居る位置では二人の姿は見えない。
でも声は鮮明に聞こえた。
「お前に会いたいと。あの時のプロポーズを受けたいと言っていた。とにかくお前に会って話がしたいそうだ」
「!!」
カレブさんのその言葉を聞き、わたしは瞬時に理解した。
ミリアさんというのはきっと、いや間違いなくいつかタイミングが合えば結婚しようと誓ったというジュード様の恋人だろう。
タイミングが合えば……
ジュード様は今もお一人だ。
タイミングも何もずっとミリアさんを待っていたに違いない。
タイミング……その時がようやく訪れたという事だ。
わたしはそれ以上聞いてはいけない、
いやそれ以上聞いていられなくて踵を返した。
ジュード様が……
長年待ち望んでいた人と結ばれる。
良かった。
おめでたい事だ。
あんなにいい人だもの。幸せになって欲しい。
幸せに………。
振り切るように歩いていたわたしの足が止まってしまう。
わたしは空を仰ぎ見た。
今日は朝からどんよりとした曇り空だ。
まるでわたしの心を映しているかのよう。
「雨が降りそうだな……」
そう呟くと目の前が滲んだ。
雨は降り出していないのに、わたしの頬が濡れてゆく。
大丈夫。
もともと一人だった。
それに戻るだけだ。
ジュード様という大きくて優しい木の側で雨宿りをさせて貰っただけだ。
わたしは涙を拭い、再び家に向かって歩き出した。
キッチンに戻り昼食の支度を始める。
カレブさんが食べて行くかはわからないけど、
予め用意しておけばいいだけの事だ。
手を動かしている時は余計な事を考えなくて済む。
昼食の支度が出来た後は二人が戻ってくるまでの間に紡いだ糸を使って編んでいる膝掛けの続きを編む事にした。
この家で冬を過ごした事はないけれど、きっと寒いんだろうな。
ジュード様が読書する時に使って貰えればいいと思って編み始めた膝掛け。
こんな物があったらミリアさんという方は気を悪くしてしまうかもしれない。
生まれも育ちも王都の方だというし、
こんな田舎くさい物など要らないだろう。
これは持って行こう。そして自分で使おう。
そんな事をぼんやり考えながら編んでいる時にジュード様とカレブさんが家に戻って来た。
開口一番、カレブさんが言う。
「わっ、いい匂いだ!今日の昼食?」
「はい、今日はキノコのシチューです」
カレブさんが隣に立つジュード様を見やる。
「いいなー、俺も食べたいなーーー」
ジュード様がため息を吐いてから言う。
「わかったわかった、お前も食って行け。
メイ、頼めるか?」
「はい、そう仰るだろうと思ってました。すぐにご用意しますね」
「やった!ありがとうメイちゃん!」
カレブさんがそう言うとジュード様が呆れたように言った。
「俺には礼はなしか」
「だって作るのはメイちゃんだもんね」
「……たしかに」
「ふふ」
わたしは二人のやり取りがおかしくて笑ってしまう。
そうして今日も3人で賑やかにテーブルを囲み、
楽しい時間を過ごした。
カレブさんと会うのも今日で最後になるだろう。
カレブさん、わたしが言う事ではないけれど、
これからもジュード様の事をよろしくお願いしますね。
その後もジュード様は何も言わない。
だけどきっとミリアさんが来るのを待ち望んでいるに違いない。
家政婦としての契約期間はまだ2ヶ月ほど残っているけど(最初は半年契約を結ぶ)多分更新はされないと思うし、わたしが居てはミリアさんが遠慮してしまうかもしれない。
丁度ジュード様が明日、用事で町に行くと言っていたのでその間に家を出ようと思う。
ここを去る理由を上手く伝えられる気がしない。
もしかして泣いてしまって彼に迷惑を掛けるかもしれない。
優しい人だから、無理にわたしを追い出したりはしないだろうけどそれではいけないのだ。
わたしはジュード様とミリアさんの邪魔を
する気はない。
そして二人が仲睦まじくされている姿を見たくない。
だから何も言わずに手紙だけを残してここを去るつもりだ。
だから今晩が最後。
腕によりを掛けて食事を用意する。
今日は最初にここで作ったチキンのトマト煮込みにした。
この料理で始まったのだ、この料理で終わりたい。
それにサラダと焼きたてのパン。
今日はデザートにジャムを入れたパウンドケーキも焼いた。
「今日も旨そうだ。この料理は最初に作ってくれた?」
「はい、そうです」
まさかジュード様が覚えていてくれたなんて思いもしなかった。
わたしは嬉しくて、でもちょっぴり寂しくて何とも言えない気持ちになる。
ジュード様は今日も旨い旨いと言って全部残さず食べてくれた。
食後のケーキを二人で食べている時に、ジュード様がわたしに告げた。
「明日の夜、キミに話したい事があるんだ。聞いてくれるか……?」
話……?
改まって言われるという事はあの話しかないだろう。
ミリアさんの事だ。
わたしはいつも通りを心がけ、笑顔を貼り付た。
「はい、わかりました」
明日の夜にはもうここにはいないけど。
その夜は眠れなかった。
明日は沢山歩くからちゃんと寝ないといけないのに。
結局明け方に少しうつらうつらしただけで、
起きる時間がきてしまった。
身支度をして朝食の用意をする。
ジュード様と最後の食事を共に摂り、
町に向かうジュード様を見送る。
「なるべく早く戻るよ」
「どうかお気をつけて」
家を出るジュード様の背中を見つめる。
これが最後だ。
この扉が閉まったら、
もう二度と会う事はないだろう。
わたしは彼の背中に呟いた。
「ジュード様、ありがとうございました」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ何も」
「そう、か……?」
ジュード様がわたしを見つめる。
「……メイ?……どうかしたか?」
「いいえ?ホラ、早く行かないと日暮れまでに帰って来れませんよ?」
わたしは極上の笑顔を貼り付けた。
やっぱり最後は笑顔で別れたい。
きっとすぐに忘れられるだろうけど、何かの折にふと思い出した時に、笑ってるわたしを思い出して欲しいから。
「あ、ああ……」
ジュード様はしきりに何かを気にされながらも
「行ってくる」と言って、町へと向かわれた。
「……行ってしまった……」
わたしはすぐに部屋に戻りトランクに荷物を
詰め込んでゆく。
ジュード様から頂いた服も、ウールポコで
紡いだ糸も、忘れずに持って行こう。
今回はもちろんパンの生地も
繕いかけの衣服も残していない。
わたしが使っていた食器も全て食器棚の
奥にしまって、わたしが居た痕跡は何も
残っていない。
この家に居たのはたったの4ヶ月ほどだったけど
何ものにも代え難い幸せな時間だった。
ありがとう、さようなら。
最後にテーブルの上に手紙を置き、わたしは家を出た。
来る時に馬車で来た道を今度は歩いて行く。
一番近い集落までどのくらいかかるだろう。
でもとにかく歩くしかない。
とにかく歩いて歩いて、前に進むしかない。
そうしないと立ち止まってしまいそうになるから。
歩かなくては。
一歩一歩を確実に踏み出さなくては。
ここに居てはジュード様の幸せの妨げになる。
もう充分優しくして貰った。
たくさん心を温めて貰った。
大丈夫。
きっと一人で歩いていける。
知らずわたしは口遊んでいた。
あの紡ぎ歌を。
ジュード様が好きだと言ってくれたこの歌を。
もう彼は聞いていないのに。
それでもわたしは心を込めて紡ぎ歌を歌った。
どれくらい歩いたのだろう。
疲れて少し休憩しようと立ち止まったその時、
蹄の音が聞こえたような気がした。
もしかして馬車が通るなら有り難い。
近くの集落まで乗せて行って貰えないだろうかと
期待を込めて音が聞こえた後ろを振り返る。
でも見えてきたのは馬車ではなく単騎だった。
しかもあれは……あの馬は……
その姿を確認したその瞬間、辺りに轟くような大きな声で名を呼ばれた。
「メイっ!!」
「……!?」
何故ここに?何故?
彼が向かった町とは別方向なのに。
何故……何故ジュード様がこちらに向かって馬を走らせて来るの?
わたしはわけが分からずただ呆然として近づいて来る彼を見つめた。
ジュード様はわたしの少し手前で馬を降り、
すぐに目の前に立つ。
額に汗をかき、焦ったようにわたしを見る。
どうしてそんな……
どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?
どうしてそんな……
何も言えずただ黙って見つめるわたしにジュード様が話し出す。
「……嫌な予感がしたんだ。なんだかキミが、このまま居なくなってしまうような。後ろ髪を引かれる思いで町へ向かっていたけど、ふとキミの歌声が聞こえた気がした」
「歌声……?」
「あの紡ぎ歌だ。もちろん幻聴なのはわかっている。でもどうしようもない焦燥感に駆られ、急いで家に戻った」
「あ……」
という事はあの手紙を読んだのだろうか。
「そうしたら、やはり手紙を残してキミは
居なくなっていた」
「……」
わたしは俯いた。
手紙には自分の想いは書いてはいない。
カレブさんとの話を聞いてしまった謝罪と、奥さまを迎えられるなら、誤解を招くような人間が
居てはいけないので早々に去る事にしたと書いた。
そして、今までの感謝とジュード様の幸せを願っていると……
「手紙を読んだ」
やはり……
挨拶もせずに出て行った事を咎められるのだろうか。
元騎士のジュード様なら礼節を重んじておられるだろうから……。
「勝手に出て行って申し訳ありません。でもジュード様が引き止めて下さるのは目に見えていましたから、わたしが……わたしが最初に行く当てがないと言ったから。だから何も言わずに去る事にしたんです。わたしの事なら心配要りません。またどこかで住み込みで働けばいいんですから」
だから気にしないで、とは言えなかった。
ジュード様に掻き抱かれたから。
強く抱きしめられる。
ジュード様は少し震えていた。
「違う、違うんだメイ……ミリアとは、元恋人とはとっくに終わっているんだっ……彼女は俺と別れた後にすぐ新しい恋人と隣国へ旅立ったんだ。そこで俺たちの関係は完全に終わったと言っていいのに、今更よりを戻したいなんて言ってきた」
「それはやはりジュード様の事を本当に愛しているからでしょう?ジュード様もミリアさんの事を変わらず愛しているから今まで独り身を続けていたのでしょう?」
「違う!俺が愛しているのはメイ、キミだ!!」
「……え?」
「突然こんな事を告げて驚かせてすまない。
でも俺は出会った時からもうずっと、メイへの想い
を募らせてきた。多分、一目惚れだったんだと思う……」
今、なんて……?
ジュード様は今、なんて言ったの……?
「わ、たしの事、を……?」
問いかける声が震える。
ジュード様はわたしの目を真っ直ぐに見てもう一度言ってくれた。
「好きだ。メイ、キミを愛してる。
これからキミにも同じ気持ちを抱いて貰えるよう
努力するつもりだ。だからどうか、どこにも行かずに側にいて欲しい……」
ジュード様の言葉がわたしの心に沁み渡る。
さっきまで寂しさと切なさでカチカチに渇いて固くなってしまっていたわたしの心に、ジュード様の想いの篭った言葉が染み込んでくるようだった。
気付けば涙が溢れていた。
「ジュード…様っ…わたしも、わたしもあなたの事が好きです、大好きですっ。
あなたの優しさや温かさに触れ、好きにならずには
いられなかったっ、でもわたしはワケありですっ…あなたに相応しくはありませんっ……」
涙でぐちゃぐちゃになったわたしの顔を
ジュード様が両手で包む。
「ワケありってなんだ?ただ離縁しただけだろう?
そんな言葉でキミの為人や尊さは損なわれない。
俺はメイ、キミ自身が好きなんだ。だからそんなつまらない理由で俺を拒むのはやめてくれ」
「本当にいいんですか……?
ワケありのわたしでいいんですかっ……?」
「メイがいい。メイじゃなきゃダメだ」
「ジュード様っ……!」
どちらからともなく、わたし達は再び抱きしめあった。
嬉しい。
ホントに?
ホントに彼の側にいてもいいの?
その後わたしはジュード様の馬に相乗りしてホール家へと戻った。
そして想いが通じ合ったその夜、わたし達は身も心も結ばれた。
ジュード様の居場所を一切知らされず、
手紙のみで復縁をキッパリ断られたミリアさんが
その後どうなったのかというと、あっさり他の人と
結婚したそうだ。
手っ取り早く誰かと結婚したかっただけのようで、
15も年上の商人の後妻に収まったという。
人騒がせな。誰でもいいならジュード様とよりを戻したいなんて言わないで欲しい。
でもそのおかげで、わたし達は互いの想いを確かめ合うきっかけが出来たわけだけど……。
ジュード様が町へ行った理由、それは婚姻届を役所に受け取りに行こうとしたらしい。
その婚姻届を持って帰り、その夜にわたしにプロポーズをしようと思っていてくれたのだそうだ。
後日、今度は二人で婚姻届を取りに行った。
そしてその場で署名して提出し、わたし達は夫婦となった。
想いが通じ合い、晴れて夫婦となったとしても、暮らしぶりはとくには変わらない。
ジュード様…もうこう呼んではいけないのだった、
ジュードは山へ魔石を採りに行き、わたしは家を整えて帰りを待つ。
二人で食事をし、本を読んだり糸を紡いだりと
穏やかな時間を過ごす。
変わった事といえば、夜は一つのベッドで
一緒に眠るようになった事だろうか。
幸せだった。
本当に幸せだった。
その幸せは子どもが生まれる度に大きくなり、
子どものために家を別の場所に移しても
変わる事はなかった。
ワケありだったわたしにこんな幸せが待っているなんて。
全てを諦め、
様々な事を自分の人生から切り離していたわたしに
彼は幸せな日々を贈ってくれた。
ありがとう、あなた。
心から愛しています。
「お母さーん!お父さんが帰って来たよー!」
「おとーたーん!」
子どもたちが父親に駆け寄る。
「おかえりなさい、今日は早かったのね」
「なんだか腹が減って、早めに山を降りてきた」
「ふふ」
その理由にわたしが思わず微笑むと、
彼がわたしの頬にキスをした。
そしてわたしは愛する夫と子どもたちに
向けて言う。
「じゃあとりあえず、ゴハンにしましょうか」
終わり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて完結です。
最終話は詰め込み過ぎて、
長くなってしまいました。
6話完結にすれば良かったか……。
とにもかくにも家政婦と雇い主の恋のお話、
これにてお終いです。
登場人物を極力少なくを心掛けたので、
メイの元夫とジュードの元恋人は登場させませんでした。
この二人が出てくると絶対に話が長引く……と思いまして☆
とにかくシンプルなお話にしたかったのです。
読者さま皆さま、
最後までお読みいただきありがとうございました!
また感想もありがとうございます!
更新の励みにさせていただきました。
また何かの物語を書いた時は読んで頂けると光栄です。
早速ですが宣伝といいますか、告知といいますか予告といいますか……
月曜日か火曜日に(曖昧ですみません)
『後宮よりこっそり出張、廃妃までカウントダウンですがきっちり恩返しさせていただきます!』
の番外編を投稿します。
読者さまのご要望が多かった、
拗らせ国王の最側近のメガネくんの後日談です。
ランスロットが恋をするのかしないのか、
このまま一生グレアムのもう一人の女房として終わるのか、見届けてやって頂ければ嬉しいです。
それでは今作をお読みいただきありがとうございました!
もう一度皆さまに感謝を込めて。
キムラましゅろう
390
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本当にありがとうございます✨
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mioMaoさんも体調にはお気を付けくださいね✨
本当にキムラましゅうさんの作品はどれも素敵なお話です!
ありがとうございます😭💕
お読みいただきありがとうございました!