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と、いう訳なのであった
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体内に残っていた母の魔力により、魔力欠乏症の重篤な症状から脱する事が出来たクロード。
彼の意識が戻ったことは上官であるサブーロフからすぐに王家にも伝えられた。
しかしそれによる第二王子ジェラルミンの返答は、
「意識が戻ったこと、誠に重畳。アイリスの護衛騎士としての務め大義である。これからもその身を惜しむことなく励むように」
であった。
さすがにそれではとジェラルミンの側近の一人がクロードに褒美をと進言すると、サブーロフがその言葉を受けて王子に願い出た。
「それならばギルマンを自宅に戻してやってもよろしいでしょうか?長く妻と連絡が取れず、不安を抱えているようですので」
「他の者とて同じ状況であろう。なぜギルマンだけ特別扱いなのだ」
「ギルマンはまだ妻を娶って日が浅いのです。それに先だっての件でギルマンだけが長く任に就いております。そのままではギルマンが妻に見捨てられてしまう恐れが」
そのサブーロフの答えが気に入らなかったのであろう、ジェラルミンは切り捨てるように言った。
「王国の騎士であれば当然の務めであろう。王家の大事に比べれば、一家庭の問題など小事ではないか。夫の勤めを理解しない妻などこちらから離縁してやればいいのだ」
「殿下っ……」
サブーロフが尚も食い下がろうとするもジェラルミンは素気無く、それ以上全く聞き入れてはくれなかった。
しかし命の危機を顧みず務めを果たした部下に対し、なんの労いもしてやれぬのでは上官として示しがつかない。
サブーロフは今後の騎士団の士気にも関わると、あまり乗り気ではないが奥の手を使うことにした。
アイリスならば、あの気弱で優しい王女ならば、こちらの言い分を聞き遂げてくれるだろう。
異母妹に激甘な王子たちにアイリスからひと言頼んで貰えれば、サブーロフが進言するよりも容易に通るはずだ。
「アイリス殿下」
サブーロフは早速、アイリスに願い出た。
「まぁ、サブーロフ卿。いつも警護お疲れ様です。ありがとう」
その言葉にサブーロフは胸に手を当て軽く礼を執る。
「労いのお言葉、有り難く存じます」
「ギルマン卿とサブーロフ卿、それに騎士の皆さん、いつも私を守ってくれて本当に感謝してるんですよ」
花が綻ぶように微笑むアイリスを見ながら、サブーロフは「それでしたら……」と、自身の願いを申し出た。
それを聞き、アイリスは頬に手を当てて感嘆の声を上げる。
「まぁ……それではサブーロフ卿はギルマン卿と奥さんを会わせてあげたいと思っているのですね……!」
「はい。このままでは新婚夫婦の関係に亀裂が生じるのではないかと懸念しております。そうなる前に話し合う機会を設けねばなりません」
「そうですよね……それではギルマン卿が可哀想すぎます」
「私もそう思います。ですのでアイリス殿下からジェラルミン殿下へギルマンの一時帰宅をお願いしては頂けないでしょうか?」
「わ、私なんかの意見が通るかしら……」
自信なさげにそう答えるアイリスに、サブーロフがやや食い付き気味に言った。
「通ります!アイリス殿下に殊の外甘い兄上たちならきっと……!」
「わかりました……がんばってみますね」
そうしてアイリスに王太子、第二王子へと“おねだり”をしてもらい、「優しいアイリスがそう言うのであれば……」と簡単に帰宅が叶ったのであった。
なんとクロードだけではなくサブーロフや同じくアイリス警護に就いていた数名の騎士たちにもだ。
(妹に良い所を見せたい下心が見え見えであるが)
まぁもうこの際なんでもよい。
そしてサブーロフはその旨をクロードに告げた。
「やっと帰してもらえる……」
安堵の表情を浮かべるクロードにサブーロフは言った。
「一刻も早く新妻に状況を説明した上で詫びたい気持ちもわかるがな、とりあえずは城を辞する前に両殿下に回復の挨拶に行っておけ」
「そうですね、アイリス殿下にお礼を申し上げてきますよ」
「すまんが俺は先に下城させてもらう」
「卿も奥さんに平謝りですか?」
「ウチはもう諦められているが……そうだな……とりあえず城下で評判の菓子でも買って帰るよ」
かくしてクロードは中庭の東屋でお茶を飲んでいるジェラルミンとアイリスの元へと赴いた。
サブーロフは菓子店に寄るために城下に立ち寄ったところで偶然にもジゼルを見つけた。
そして懸念していたよりも遥かに冷めた目をしたジゼルに慌てたサブーロフは、思わず強引に城へと連れてきてしまったのであった。
ジェラルミンとアイリスへの謁見が終わったクロードにジゼルが王城へ来たことを知らせると、彼は急いで妻の待つ部屋へと駆け込む。
「他に愛する人ができた」と別れを告げられるものと身構えるジゼルを、感極まったクロードが抱きしめたのにはこのような経緯があったという訳なのであった。
───────────────────────
お待たせしました。
抱き寄せられたまま時間が止まっていたジゼル。
クロードの母からの手紙も受け取れるかな?
彼の意識が戻ったことは上官であるサブーロフからすぐに王家にも伝えられた。
しかしそれによる第二王子ジェラルミンの返答は、
「意識が戻ったこと、誠に重畳。アイリスの護衛騎士としての務め大義である。これからもその身を惜しむことなく励むように」
であった。
さすがにそれではとジェラルミンの側近の一人がクロードに褒美をと進言すると、サブーロフがその言葉を受けて王子に願い出た。
「それならばギルマンを自宅に戻してやってもよろしいでしょうか?長く妻と連絡が取れず、不安を抱えているようですので」
「他の者とて同じ状況であろう。なぜギルマンだけ特別扱いなのだ」
「ギルマンはまだ妻を娶って日が浅いのです。それに先だっての件でギルマンだけが長く任に就いております。そのままではギルマンが妻に見捨てられてしまう恐れが」
そのサブーロフの答えが気に入らなかったのであろう、ジェラルミンは切り捨てるように言った。
「王国の騎士であれば当然の務めであろう。王家の大事に比べれば、一家庭の問題など小事ではないか。夫の勤めを理解しない妻などこちらから離縁してやればいいのだ」
「殿下っ……」
サブーロフが尚も食い下がろうとするもジェラルミンは素気無く、それ以上全く聞き入れてはくれなかった。
しかし命の危機を顧みず務めを果たした部下に対し、なんの労いもしてやれぬのでは上官として示しがつかない。
サブーロフは今後の騎士団の士気にも関わると、あまり乗り気ではないが奥の手を使うことにした。
アイリスならば、あの気弱で優しい王女ならば、こちらの言い分を聞き遂げてくれるだろう。
異母妹に激甘な王子たちにアイリスからひと言頼んで貰えれば、サブーロフが進言するよりも容易に通るはずだ。
「アイリス殿下」
サブーロフは早速、アイリスに願い出た。
「まぁ、サブーロフ卿。いつも警護お疲れ様です。ありがとう」
その言葉にサブーロフは胸に手を当て軽く礼を執る。
「労いのお言葉、有り難く存じます」
「ギルマン卿とサブーロフ卿、それに騎士の皆さん、いつも私を守ってくれて本当に感謝してるんですよ」
花が綻ぶように微笑むアイリスを見ながら、サブーロフは「それでしたら……」と、自身の願いを申し出た。
それを聞き、アイリスは頬に手を当てて感嘆の声を上げる。
「まぁ……それではサブーロフ卿はギルマン卿と奥さんを会わせてあげたいと思っているのですね……!」
「はい。このままでは新婚夫婦の関係に亀裂が生じるのではないかと懸念しております。そうなる前に話し合う機会を設けねばなりません」
「そうですよね……それではギルマン卿が可哀想すぎます」
「私もそう思います。ですのでアイリス殿下からジェラルミン殿下へギルマンの一時帰宅をお願いしては頂けないでしょうか?」
「わ、私なんかの意見が通るかしら……」
自信なさげにそう答えるアイリスに、サブーロフがやや食い付き気味に言った。
「通ります!アイリス殿下に殊の外甘い兄上たちならきっと……!」
「わかりました……がんばってみますね」
そうしてアイリスに王太子、第二王子へと“おねだり”をしてもらい、「優しいアイリスがそう言うのであれば……」と簡単に帰宅が叶ったのであった。
なんとクロードだけではなくサブーロフや同じくアイリス警護に就いていた数名の騎士たちにもだ。
(妹に良い所を見せたい下心が見え見えであるが)
まぁもうこの際なんでもよい。
そしてサブーロフはその旨をクロードに告げた。
「やっと帰してもらえる……」
安堵の表情を浮かべるクロードにサブーロフは言った。
「一刻も早く新妻に状況を説明した上で詫びたい気持ちもわかるがな、とりあえずは城を辞する前に両殿下に回復の挨拶に行っておけ」
「そうですね、アイリス殿下にお礼を申し上げてきますよ」
「すまんが俺は先に下城させてもらう」
「卿も奥さんに平謝りですか?」
「ウチはもう諦められているが……そうだな……とりあえず城下で評判の菓子でも買って帰るよ」
かくしてクロードは中庭の東屋でお茶を飲んでいるジェラルミンとアイリスの元へと赴いた。
サブーロフは菓子店に寄るために城下に立ち寄ったところで偶然にもジゼルを見つけた。
そして懸念していたよりも遥かに冷めた目をしたジゼルに慌てたサブーロフは、思わず強引に城へと連れてきてしまったのであった。
ジェラルミンとアイリスへの謁見が終わったクロードにジゼルが王城へ来たことを知らせると、彼は急いで妻の待つ部屋へと駆け込む。
「他に愛する人ができた」と別れを告げられるものと身構えるジゼルを、感極まったクロードが抱きしめたのにはこのような経緯があったという訳なのであった。
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お待たせしました。
抱き寄せられたまま時間が止まっていたジゼル。
クロードの母からの手紙も受け取れるかな?
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