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町からの退去
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魔族が町に乗り込んできてから三日が過ぎていた。そのあいだにエリオは、「ちょっと里帰りしてくる」とだけ言って、怪我を押して師匠である仙人に会いに行ってしまった。
「急になんだよ。パーティーの非常時に里帰りだなんて」
「非常時だからじゃない? エリオなりに今後の身の振り方を考えているのかもね」
「それってパーティー解散ってことか?」
「知らないわよ。でもエリオは仙人様の後ろ盾があるってことでしょ? あたしらとは違う道を進むつもりなのかなぁ」
少し寂しげにそう話すレミ。
(うそ! エリオさんとお別れってこと?)
ふたりの会話に聞き耳を立てていたハルカは心の中で嘆いていた。しかし、そんな仲間たちの心配の気持ちも知らず、エリオは二日後の昼にいつもと変わらぬ様相で戻ってきた。
緊急里帰りは療養ではなく、その理由もエリオから話されないまま。聞くのも気まずいために仲間たちはその話題に深くは触れることはしない。
エリオは怪我が完治していないため、帰宅後はずっとベッドで過ごしていた。
そんな彼に下されたのは、エリオパーティーの早急な町からの退去だ。魔族が死んでいない可能性を考慮してのこと。
とは言え、移転先も決めずに追い出すのはあまりに非道だと、ギルド長ゴレッドが町長に提案をする。そのことで、町から離れた場所にある長らく使われていない古い礼拝堂に行くことを進められた。
すぐに支度を済ませて町を出ようとするエリオたちを見送るのは、ギルド長とパール。そして一部の親しい冒険者ギルドの者だけだ。
「すまんなエリオ。力になれなくて」
ゴレッドは引退して日の長い自分の衰えを後悔し、エリオの登録抹消の件を謝罪した。
「あんなに強い魔族に狙われてしまったのだからしかたありませんよ」
「ギルドの主力たちが揃っていれば……」
「個人的な争いに命を懸けさせられません。彼らにそんな義務も義理もないですから。ギルドはあくまで冒険者稼業の者たちの組合に過ぎないことは重々承知しています」
今回は特殊なケースだが、こういったトラブルはおのおので対処するしかない。協力するかは個人の判断だ。
「エリオさん。これを」
ゴレッドの横から出てきた涙目のパールが革袋を差し出した。それを受け取り中身を確認したエリオの反応に、仲間たちも袋の中を覗きこむ。そこには紙幣の束と高額換金できる希少な宝石が入っていた。
「これは?」とエリオは彼女に問う。
「町長とギルドメンバーからです。今後の生活基盤を作るのに役立ててください。
「町長?!」
退去を命じた町長からというパールの言葉に驚くエリオたちに、ゴレッドが説明を付け加えた。
「町の今後のために下した決断で、お前らが憎くて追い出すわけじゃないってことだ」
少なからずあった町長に対するわだかまりが完全に消えたわけではなかったが、あらたな人生の転機に対する彼らの思いはより前向きになった。
名残惜しくも挨拶をして馬車に乗り込むエリオたち。その彼らを見送る者たちの中に、エリオをライバル視するセミールの姿はなかった。
「急になんだよ。パーティーの非常時に里帰りだなんて」
「非常時だからじゃない? エリオなりに今後の身の振り方を考えているのかもね」
「それってパーティー解散ってことか?」
「知らないわよ。でもエリオは仙人様の後ろ盾があるってことでしょ? あたしらとは違う道を進むつもりなのかなぁ」
少し寂しげにそう話すレミ。
(うそ! エリオさんとお別れってこと?)
ふたりの会話に聞き耳を立てていたハルカは心の中で嘆いていた。しかし、そんな仲間たちの心配の気持ちも知らず、エリオは二日後の昼にいつもと変わらぬ様相で戻ってきた。
緊急里帰りは療養ではなく、その理由もエリオから話されないまま。聞くのも気まずいために仲間たちはその話題に深くは触れることはしない。
エリオは怪我が完治していないため、帰宅後はずっとベッドで過ごしていた。
そんな彼に下されたのは、エリオパーティーの早急な町からの退去だ。魔族が死んでいない可能性を考慮してのこと。
とは言え、移転先も決めずに追い出すのはあまりに非道だと、ギルド長ゴレッドが町長に提案をする。そのことで、町から離れた場所にある長らく使われていない古い礼拝堂に行くことを進められた。
すぐに支度を済ませて町を出ようとするエリオたちを見送るのは、ギルド長とパール。そして一部の親しい冒険者ギルドの者だけだ。
「すまんなエリオ。力になれなくて」
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「あんなに強い魔族に狙われてしまったのだからしかたありませんよ」
「ギルドの主力たちが揃っていれば……」
「個人的な争いに命を懸けさせられません。彼らにそんな義務も義理もないですから。ギルドはあくまで冒険者稼業の者たちの組合に過ぎないことは重々承知しています」
今回は特殊なケースだが、こういったトラブルはおのおので対処するしかない。協力するかは個人の判断だ。
「エリオさん。これを」
ゴレッドの横から出てきた涙目のパールが革袋を差し出した。それを受け取り中身を確認したエリオの反応に、仲間たちも袋の中を覗きこむ。そこには紙幣の束と高額換金できる希少な宝石が入っていた。
「これは?」とエリオは彼女に問う。
「町長とギルドメンバーからです。今後の生活基盤を作るのに役立ててください。
「町長?!」
退去を命じた町長からというパールの言葉に驚くエリオたちに、ゴレッドが説明を付け加えた。
「町の今後のために下した決断で、お前らが憎くて追い出すわけじゃないってことだ」
少なからずあった町長に対するわだかまりが完全に消えたわけではなかったが、あらたな人生の転機に対する彼らの思いはより前向きになった。
名残惜しくも挨拶をして馬車に乗り込むエリオたち。その彼らを見送る者たちの中に、エリオをライバル視するセミールの姿はなかった。
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