爆力! アルティメットガール ~戦いを終えたヒーローは、異世界の日常という非日常の中で幸せを求め、新たな人生を歩き出す~

プオン

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初めての嫉妬

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  アルティメットガールが好きだと告白したエリオの表情と紅潮する顔色が、言葉が持つ想いの強さに比例している。彼が発する心の色が好意ではなかったのは、自分に対して向けられた感情ではなかったからだと、遅ればせながらに気付くのだった。

「アルティメット……ガール……ですか……」

  まさかの展開から予想だにしない結果に、彼女のテンションは一気に下がった。

「凄まじい強さの女性だった。なびく髪とケープ。放つオーラに見合うあの強さ。凛々しく頼もしい声色」

(アルティメットガールが好きって言ってくれたのは嬉しいけど、悲しさはその十倍よ)

  目を輝かせて話すエリオを見て、ハルカはそう思って嘆いていた。

「強さもさることながら、人々のために力を振るうというその心に感銘を受けた。俺も人のためにって思いはある。それをギルドの依頼という枠の中でやってきた。でも、彼女は冒険者としてではなく、国のためでもない。ただ、世界の人のためにその力を使うんだ」

  ハイテンションで話すエリオをハルカは心で泣きながら笑顔で見つめていた。

「飛行の魔法や魔術とは違うあの能力。マサカーサーペントの動きに付いていく反応と動き。さらにはあの恐ろしい魔族を素手で殴り倒す力強さ。どんな修練を積めばあれほどの力が得られるんだろう」

  そう言ってエリオは目をつぶりながらアルティメットガールを思い出しているようだったため、ハルカの心の中には得も言われぬ感覚が湧きあがり、思わず口を挟んだ。

「彼女は世界の人々のヒーローですから。普通の女の子じゃありませんから。一般の人には手にあまる人ですから。手の届く存在じゃありませんから」

  この言葉を発するハルカの心も、エリオに対する恋心と同様に初めて生まれた嫉妬である。彼女の中で生まれたばかりのこの嫉妬心を向けた相手は、なんと自分自身だった。

  そんなハルカの心情も知らず、エリオはハルカの言葉からあることを察して問いかける。

「ハルカ。もしかして、彼女を知っているのかい?」

  優しくも強い質問。エリオのアルティメットガールへの恋心に対し、つい否定的なことを口走ったことにハルカは後悔した。

「アルティメットガールとはもしかしてハルカの世界の者なのか?」

  これは、彼女の言葉から十分に推測できる。

「……そう……です」

  基本的に嘘がつけない彼女は、渋々と肯定をした。

「やっぱりそうなのか! なんだよ、もっと早くに言ってくれれば良かったのに!」

  満面の笑みのエリオに、ハルカも作り笑顔で返す。

「教えてくれ。ハルカの世界での彼女のことをさ」

  そう言われては拒否できず、観念して話すことを承諾した。

(なにを話したらいいんだろう?)

  そう考えながら話し始めたハルカだったが、話し出せばスルスルと言葉は出てくるもので、いつしかエリオと笑顔で話していた。

「……アルティメットガールと宿敵が入っていった施設が爆発して……。それに巻き込まれたことで、わたしはこの世界にきたのだと思います」

「そして、彼女もこの世界に来ていたというわけか」

「そう……みたいです」

(わたし、なんか楽し気に話してるけど、これってライバルに塩を送る行為よね? バカバカ、アルティメットガールを持ち上げてどうするのよ!)

  ひと通り話が終わり、自分が楽しく熱中していたことに気付いたハルカが自己嫌悪していると、「ある意味良かったのかもしれないな」とエリオが言った。

「え、良かった?」

「宿敵との戦いが終わって生き残ったんだから、これからの彼女は自由だろ? 新たな自分の人生が生きれるじゃないか」

  それはハルカがこの世界に来たときに考えたことだった。エリオが自分と同じことを思っていることにハルカは喜びを感じ、よりいっそうエリオへの想いが加速する。しかし、エリオの心は寂しさや悲しさの色を発しており、ハルカは困惑してしまう。 

  エリオの想いを知りつつも、アルティメットガールは彼の前に現れたくはないのだ。それは、彼の想いに応えられないというだけではなく、ハルカ自身の人生を生きていくのだと決めたからでもなく、アルティメットガールという大き過ぎる力でこの世界にかかわり過ぎてはいけないという大前提が、ハルカの中にあったからだ。

「いろいろ話してくれてありがとう。それから聞いてくれたこともね。おかげでぐっすり寝られそうだよ」

  その言葉通りエリオは朝まで快眠する。

  反対にハルカは嬉しくも悲しいエリオの告白を聞き、自分に対する嫉妬というどうにもならない感情に悩まされる。そんな気持ちのまま同じ部屋で眠れぬ夜を過ごすのだった。
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