記憶の探索～記憶を探して男は冒険する

第二話決断の時

急げ急げー！
え？何故そんなに急いでるかって？
そんなもん決まってんだろ！

後ろからなんな目が三つある猿が追ってきてるんだよ！！

幸い余り移動は早くないようで徐々に距離が開いて行っている。
前を見ると木が迫ってきている。
そろそろ避けないと、

ゴチンッ！

「アベシッ！」

え？今何にぶつかったんだ？
ってあれ？まだもうちょい距離があったはずの木が目の前にある。

というか、今気づいたけども俺右目がなんか見えてねぇ！
遅い！気づくのが遅いぞ俺！

ってやばい！さっきまで距離のあった猿がもうすぐ後ろにいる！

くっ！馬鹿なことしてたせいでもう逃げ切れそうにない。
咄嗟に地面に落ちてた握りこぶしより若干大きめの石を投げつけた。

ヒュッ！
バコン！

うえ！？あんなトロイ猿だから雑魚かと思ってたらなんだあの力！
石を手で砕きやがった！
こ、これは本格的にヤバイかもしれない。

もう一度さっきより大きめの石を投げつける。
猿は立ち止まってそれをまた砕こうとした。
その立ち止まっている時間を利用して急いでリュックサックから折り畳み式のナイフを出す。
これならばまだ希望はあるかもしれない。

だけど、このナイフで刺せばあの猿は死ぬかもしれない。
幾らこちらを殺そうとしているとしても相手は生きている。
それをこの手で直接終らせる。
そんなことをが俺にできるのか？

そう考えると手が震えてきた。
息も荒くなる。
貧血で倒れそうになる。

そんことを考えている間に決断の時はもう目前まで迫ってきていた。