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第三話生きると言うことを
しおりを挟む猿の腕が目の前まで迫る。
当たってはならないとそこから飛び退く。
まだ決意することができない。
命を奪うそんなことしていいのか。
許されざることではないか。
頑張れば逃げることもできるのではないか。
そう、殺さないために殺されないために逃げる。
しかし、逃げても逃げても死は追いかけてくるだろう。
殺せなければ逃げるしかない。
ここで逃げればもう立ち向かうことも出来なくなってしまうかもしれない。
それでいいのだろうか?
いいわけがない。
人生を死から逃げるだけの物にしたくない。
自分の人生は自分で切り開いてこそだろう!
「うおおおぉぉぉぉぉぉお!!」
何度も転がりよけて泥だらけになり疲れ果てた身体を鼓舞するように雄叫びをあげて今しがた何度目かの空振りをしてがら空きになった猿の懐に入り、ナイフを三つあるうちの一番上の目に突き刺す。
目に突き刺したのは一番柔らかそうだから。
そしてそれが功をそうしたのか猿は少し暴れたがさらにナイフを奥に刺すと事切れて静かになった。
殺した。生きている者をこの手で、自分のためだけに殺した。
いや、もう迷わない。
俺はこの訳もわからない異世界で生き抜いてやるぞ!!
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