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回覧と青光そして答え《last.狼少年現代録》

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回覧と青光そして答え《last.狼少年現代録》

小説投稿サイト提供お題[嘘]に沿って制作。

登場人物
 仙 岳美(小説家・主人公兼語り)
 
 仙身 彰馬(彼氏・仙身一馬のモデル)

今回は小説の世界ではなく、現実の世界……

そして怪談です……


 ある日の夜、私は住まいのアパートから少し離れた森の中の一軒屋に回覧板を届けるため、片手に持つライトの光のみを頼りに暗く不気味に感じる落ち葉が積もる林道を1人歩いていた……

🔦
その目指す森の一軒家の事を私が聞いて知ってる範囲内で少しお話しをしとくと、その家は厄介な事に摺鉢状の地形の中心である、底に建てられており、まずは摺鉢の縁まで単調ながらところどころに石段混ざりの悪路な坂道を徒歩で上がらなければ到着する事ができず。過去には摺鉢底まで車で行く事ができる私設のトンネルがあったそうですが数年前に崩れて使えなくなってしまい、その事から宅配業者達の間では配達困難な場所として煙たがられ天然の要塞と呼ばれ有名だそうです。
縁まで登り切った所には、何故なのか? 胸に丸い穴が開けられたやや異様な不動明王だと思われる由来不明な古い石仏が祀られている。
後はそこからは単調な石段の下りが摺鉢の内側を逆時計回りに底の家の前まで続いている。少し前迄はアパートの1階に住む、志摩さんと言う登山家さんがその家まで喜んで回覧を回してくれてたんですけど越してしまったので今現在こんな感じになってます……ただ私は個人的に今から回覧を届けるお宅である[影山]という名字に過去に思い入れがあってその人に遭ってみたいとゆう思いもあり特に山道は苦痛に感じずどちらかと言うと心持ちはワクワクしている感じで毎回回覧を届けている。

上がり15分、縁から下り5分程で家というより屋敷と呼んだ方か相応しいその屋敷の敷地入り口前に設けられた手作り製の赤いポストの前に到着し、いつも通り回覧をそのポスト口に差し入れる、そして家に戻る為に再び来た道を引き返す。

回覧を届けたお宅は噂だと夜は留守な事が多く、自治会長から聞いた話しによると数年前迄は老夫婦が住んでいたが現在はおばあさんの方は介護施設に入ってしまい、おじいさんだけ住んでいるとの事だった。これは余談になると思いますが子供はおばさんの身体の都合であえて儲けなかったように聞いている。

私は晩のご飯を食べながら回覧の内容を確認し夜にこの家に届ける事が習慣になってしまっている。この事から私は夜間不在の老人の顔は見た事はなかったがその事よりも私はこの家を訪れるたびに見るある事が気になっていた、そのある事とは? そのお宅の玄関入り口である、スライド式ドアのガラス部分から漏れる青い光である、その光は家の奥の方で光っている感じで更にゆらゆら艶めかしく動き、その光を見つめているとなにか惹きつけられ呼ばれてる様な感じがする。
いつかはその青い光の正体を知りたいな~とか、考えながら空まで枝葉に覆われたトンネルの様な夜の林道をいつも歩いて帰る。ちなみに同居人の彼は単調作業のゲームは好んでやるのに家の事はめんどくさがって何もしない、最近は用事を頼む事自体、私は諦めてしまっている……🦉
少し前置きが長く成りましたがそんな日の回覧を届けた帰り道、不動明王の辺りに差し掛かった時、少し先の方にライトを片手にこっちに向かって道を登って来る人の姿が見えた。
双方が顔を確認できる位置まで来た時、確認したその姿は案の定、老人で先刻に回覧を置いて来た家の住人である事は間違いないと思いこちらから声をかけた、
「こんばんは、仙ですが回覧置いて気ましたのでお願いしますね、影山さんですよね?」
と話しかけたら
「お、あんたが仙さんかいつも悪いね、いなくて、ワシが影山じゃ」
「いえいえ」
老人は私の顔を見て少し間を置いた後、
「どうじゃせっかく会えたのじゃ、少し寄ってお茶でも飲んでいかんかね?」
私はその時、
『老人といえ男の人だしな~』
と少し不安は感じたけどその家の中の青い光の正体も気になっていた事もあり、素直にチャンスだと感じ、まぁ老人だしその可能性は極めて低いし最悪、襲われても私ならなんとかなるかな~と思い、お誘いに乗り、私は老人の後を付いてく形で道を引き返した。

🌳🏡🌲
程なくして到着したら老人はジャラジャラと音をたてながらポケに手を突っ込みベルトとシルバーチェーンで繋げてるある鍵を取り出した、鍵は鉄輪で一つにまとめられた束鍵だった、余談に成りますがその老人のチェーンは小さい髑髏を数珠みたいに繋げたデザインで少しオシャレだな~と思った。私も欲しいと思った。
老人は手慣れた感じでポストの鍵を解除し回覧を取り出し、そのまま流れ作業の様に玄関前迄小走りしスライドドアの鍵穴を回し、開いた入り口の脇に立ち。
私に笑顔で、
「レディファーストじゃ、どうぞ」
と少し意味不明な感じで手を振る動作で誘導する様に私を先に家の中に招き入れた、
「ではお邪魔しまーす」
とお邪魔し最初に見た光景は玄関から真っ直ぐ伸びる廊下だった、その廊下の突き当たりの台所に家の入り口である玄関と対面する形で水槽が置いてあり、中には見事な虹色に光る魚体のアロワナと言う名の大型な熱帯魚が1匹泳いでいた、その水槽上部に取り付けられた照明のライトが青かった。
私は『なんだ青い光の正体はこれだったかと』思いスッキリした様な残念だった様な感じがしボーとしてたら、
《パッチ》と後ろで老人が電気をつけた音がし、時命で切れかかっている様な薄明るい照明の光が廊下を照らした、
「ほれ! 上がれ突き当たりの右奥が客間じゃ」
と後ろに立つ老人に背を叩かれ、
「あっはい」と台所を抜け右に曲がり更に奥の床の間がある和式の部屋に案内された、
「ほれ座布団」と老人は押し入れから積まれた座布団を取り出し私の足元に投げ。
「お酒が良いか? ビールあるぞ」
「酔うと帰りがキツイのでお茶で」
「そうか布団はあるぞなんなら泊まっていっても構わんぞ」
『それ無理ー!』
私の渋った顔を見て老人は、
「冗談じゃよ、少し過ぎたかの勘弁してくれ、チョット待ってな」と、
そのまま冷蔵庫の方に行き中からペットボトルと小瓶2本、戸棚からは菓子袋を取り出し、
「すまん今ガス止まっててな冷たいので我慢してくれんか」(ガスを止められてるのに何故お茶に誘う?)
と老人は冷えたペットボトルのお茶と菓子(揚げ煎)それと……ニンニクマムシドリンク『何故に!?』を私しが座る円座卓の前に置き、私と対面する感じで腰掛けた、
私はとりあえず、魚を話題にして話しかけた、
「見事な鑑賞魚ですね」
と私をここまで導いたアロワナを見たら魚眼と目が合い少し笑っている様に感じた……

「あーあれか、あれは18年前に酔った勢いで買ったんだが思ったより長生きでの~今はあの魚がこの家の主だな」

「……」
私も勢いで来たもののネタが思いつかなく成り困っていたら何か刺さるような視線を感じた、その視線の方を見て見たらテレビの上に飾ってある小鳥の剥製から発生されてる物に感じた……
「剥製ですか」

「それはな婆さんが若い時に可愛がっていたカナリアじゃどうして埋める気がしないのでそうしてもらった様じゃ、気性が強い鳥でな、今は魔除け代わりじゃ」

『魔除け? その鳥の視線が私に刺さったんだけど、私って魔性なの?』
(私は内心、剥製は鳥くらい迄なら良いけど猫や犬は流石に無理かなーと思った、そしてあのカナリアの魂はまだあの体に留まりこの家に訪れる客及び侵入者を今だに見張っている気がたまらなくした👁️でも私みたいな何も悪い感情を抱いてない者にも不快な気を送り込んでくる事から恐らくもう呪物としては劣化し暴走期に入っていると思う、また慕ってる主である、おばあさんがもう家に戻る可能性が無いのなら、そろそろ処分する時期にも思える……)

それから老人の身のうち話しを40分程聞き青い光の謎を突き止めたし『もう十分かな~』と思い帰ろうとしたら急に腕を掴まれ!
「なーもう少しいてくれんかね、婆さんがいなくなってから少しその……」
時計を見たらまだ8時、
「じゃぁ後30分程でしたら……」
「30分か短いのう~もう少し9時頃までなんとかならんかね?」老人の目はヒカリ、口元はニヤリとした。
私はその時『おっ犯される』と思いビクビクしながら老人の動きに常に注意しつつ更に身のうち話しを聞いていたら老人は急に無口になり一言
「あーもう我慢できん! 限界じゃ! 許せ、すまん」と立ち上がった!
私はビックとし!
『来たー』と思い反射的に立ち上がり老人の方を向いたまま後方に飛び、老人と距離を取った! そして台所を背にした形で狂老人を迎え撃つためにかまえた!
「ダメよ!」
「なッ! 気持ちはわかるが譲れん! イカセテくれ頼む!」といい、
老人はこっちに走ってきた!
私は低く構え中段の突きを入れようと思ったが相手の年齢も考え直前で躊躇してしまった……「イャー!」
押し倒されると思い受け身を取ろうとしたら……老人はそのまま私の横を素通りした?
「え!?」
「そう言わずに先にいかしてくれ、若いあんたと違い歳を取ると我慢が効かんのじゃ! あ、そうそう、すまんが後~冷蔵庫の中に餌のコオロギが入ってるから2匹程水槽に投げておいてくれ」と言い暗い廊下に消えていった……
『なんだトイレか……』
『アレレ?』
気づいたら何故か私は仰向けて床に寝てる体勢だった。
(なんで私押し倒されてもいないのに自分から寝てるの? 胸のボタンも自分で外してた……だってまた付けるのめんどくさいじゃん! ……まぁいいや細かい事は気にしない、たぶん畳のせい、私は無意識に柔道の背負い投げをしようとしてたんだ~ここ台所だけど……)

そして私1人その和室に取り残される感じに成り、安心したのもつかの間、しばらくしても老人は戻ってこなかった……腕時計で時刻を確認したら9時は過ぎて半になりつつあった、私は不安になり落ち着きが無くなりキョロキョロとりあえず部屋を見渡したところ……よく見るとその部屋はあちらこちらの壁にホコロビが目立っていて、テレビ本体そのテレビを乗せてる台・今目の前にある座卓の上もよく見たら薄らとホコリが積もっていた……天井の角には蜘蛛の巣が張り更にヤナな予感がし出された菓子とペットボトルの消費期限を確認したところ予想通り消費期限が一月も過ぎており、老人が座っていた座布団は濡れていた……部屋の壁にかけてあるカレンダーも前月からメクられていない事にも気づき『コレは何かおかしい』と感じトイレ迄老人を確認しに行った、私は数回、トイレに篭る老人に声をかけたが返答は返ってこなかった……続けてトイレドア上部角に設けられいる小窓に目をやったら小窓からは照明光は漏れてなく、ドアの鍵はちゃんと中から掛けられており、総じて私の今までの不安は確信に変った、そして精神的にもスッキリしたいと思い、事の真相を確かめる事にし、思考した……今の家の状況から見て直感的にさっき迄私の目の前にいた老人は幽体で本体は一月前の日中にでも中で……と思い。
取り敢えず老人が成仏できない理由に感じる魚の餌やりをした後、
ここはトイレを開けて中を確認するのが義務かなと感じ、覚悟を決め、鍵のタイプを確認したら幸いにも止め金を裏から回しかける単純古風なタイプだったので私はわずかなドアの隙間に財布から取り出したカードを差し込み鍵を下から跳ね上げ解除しドアは簡単に開ける事に成功した、中を確認したら予想通り老人が便座に座ってうつむく感じで亡くなっていた……
私は手を合わせた……
その時!

「あ! イカン寝てしまった! すまんすまん」

『生きてた……そして座布団濡れてた……さてはやったな(漏らしたな……)』

「なんで電気つけないんですか!?」

「少し前に電球切れてな面倒なのでそのままにしておいたらいつ間にか心眼が開いたのか、それと何十年も住んでいる家のトイレだからか目を瞑っても問題なくな、そんな感じで今に至る。それに節約にもなるしのう」

『大変に! 紛らわしいかと! 思います!』
でも私は心から安心しその後、私は老人がお漏らした座布団を洗濯機で回し、掃除機で少し部屋を掃除をしてあげてから予備の電球もあったので交換してあげた。ちなみに漏らした老人は外の井戸水で身体を洗っていた(風邪引かないのかな?)

一通り済み帰ろうと玄関から奥座敷にいる老人に声をかけた、
「影山さんー帰るよ」

「おー帰るか、ちょっと待ってくれ」

と帰り際に老人があのカナリア持ってきた、
「仙さんは若い時の婆さんにソックリだからこのカナリアもらってくれんかのう、うまく言えんが仙さんなら持っていてくれても大丈夫だと思うじゃ……もうすぐこの家は売りにでる、魚は業者が引き取ってくれる事に今日決まったが、このカナリアの行き場は無い、俺は婆さんと同じホームに入る、ホームで剥製は縁起的にやがられてな、捨てるのも不憫に感じるんだ、いきなり無理を言ってすまんが頼む」
私は一瞬やだなと思ったけどそのカナリアはからはさっきと違い何か癒しの波動を感じたので引き継ぎ持ち帰る事にした……
そして森の夜道を今夜の出来事は良い小説のネタになるな~とか物思いに更けながら1人歩いて帰った。

そして後日に書いた小説の題名は[狼少年未来録]……

23:00
アパートの階段前には彼が私の帰りが遅い事に不安になったみたいで立ち尽くし待っていた。私の顔見るなり、
「遅かったね、どこかに寄り道してたの?」

「ちょっと未来の入り口見つけてさ覗いてきた」

「未来? また小説のネタ探してたの先生? それに手の鳥なんですかカモメの剥製ですか?」

「カモメにして小さい過ぎるでしょオカリナよ、それにいつまで私はあなたの先生なのよ、そろそろしっかりしてよね」

「はい、先生」

「もう、ほら中へ戻って風邪引くわよ、仙身君」

「あ、久しぶりの君呼び、なんか昔を思い出すな~」

と笑う彼の首に私は腕を回し一緒に階段を上がっていた。🌕

[現代録・完結]

付録01へ続く。

※嘘の怪談……

※ノンフィクションを交えた創作。

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