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中華の変〔付録01・狼少年現代録〕

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お題・嘘

登録人物
 たけみちゃん[=⭐︎=]
 元兵士の翁 [=⭐︎⭐︎⭐︎=]

※(しんがり)とは戦争で負けを認めた軍隊がその戦場からの撤退を決めた時、最後までその場に留まり迫り来る敵の部隊の足留め兼本隊が逃げ切る迄の時間稼ぎをする為に選ばれた兵士で編成された捨て駒的決死部隊をさす。当然その兵士達の生還率は極めて低い。


舞台は町中華・満腹仙人
 
私は煤と油で壁が汚れギッタ町の中華屋でその店の常連である翁の話しを聞きながら油マシマシマシギッタラーメンを啜っていた。
身体を私が座るテーブル席の方に向けカウンターから軽快に語りかけてくる、その翁は元陸軍で南方での武勇伝を頼んでも無いのに聞かせてくる、私はその話しに、
「本当ですか」
「壮絶ですね」
「現代人の悩みなんか全て甘く感じますよね」
と適当に返していた、その翁の口癖は
『俺は肝が据わっているいつもしんがりをしていた』
(大変頼もしい)
それから数日後のある夜、この店を訪れたら予想はしてたけどそのしんがり翁がカウンターに座っていた、入店した私をを見るなりツマミが来たと言わんばかりにニヤリとした。
私はやれやれと思いつつ、セルフの水をコップに注ぎ席に着き、その日も話しに付き合う事を心に決めた、その時、《ゴゴゴゴゴゴ》と地鳴りと共にコップの表面の水が揺れだした!
地震発生!《ガッチャーン!》と厨房の方でデカい何かが倒れる金属音が響き蒸気の煙が上がった!
すぐに揺れは治るかと思ったけど以外に長く激しさ増していく、カウンターの翁は腕を組み目を瞑り冷静に構えている(さすがしんがりだわと感じた)
《ドーン!!》
と更に下から突き上げる感じの衝撃が受けた!照明器具も点滅しだし消えた!
その状態に私は、
『わっは、けっこうデカい大きい興奮するー♡』と感じて
(地震が好きなイカれた女です)
私はマニュアル通りスグにテーブル下に潜ったその時に声が聞こえてきた、
「わー地震だ!」とその肝が座っているはずの翁がうろたえながら外に出ていく足が見えた……
『おっおい! しんがり!』
しばらくして揺れは治り、
「マスター生きてる?」
「おっお、スープー全部流れたがな、あのじいさん大丈夫かな?」
しばらくして翁は店の中に戻って来て私をチラッと見、気まずそうにテーブルに座った、顔をみたら転んだみたいで擦り傷ができていた血も少し滲んでいた……
(全然、肝座ってない……いつもそこに座ってるだけやん)
この翁が戦争を生き残れたのはこの逃げ足の……
とはいえこの翁が元は国の為に戦った兵士だった事には変わりはない、私は心の中で敬礼をし、その日は敬意を称し、レバニラ定食を頼んだ……[終]
付録02へ続く。
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