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アリスと古巣
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『それにしても不味い苺ね、練乳をタップりかけて潰さないと駄目だわ』
……
アリスは、そんなあまり甘くない野苺を口いっぱいにふくみながら、いつもの丘へ向かう野原の散歩道から少し外れた所に一枚だけ残る、古い壁の前に立っていました。
壁は大昔に、この野原に王様が建てようとし、その途中で何かしらの理由で崩壊した塔の遺跡と伝えられています。
その壁の後ろには、一本の大樹が生えていました。
かねてから、その木に登りたいと思っていたアリスは、
その壁の意味を無して無い壁の裏に周り、
その木を見上げると、木は雲を突き抜いてどこまでも天高く伸び、昔此処に建てそこなった塔の無念な思いを晴らすかの様に、その代わりをしている様にも思えました。
『絶対に、この上には、何かあるわ』と、アリスは思い、いざ、木に登ろうとすると、その木には、アリスの手や足が乗せられる低い枝が無い事に気づきました。
どうやら誰かが、誰かが登るのを、妨げる為に枝を切ってしまった様です。
とりあえず木にしがみつき、擦り上がる様に登ろうとしても、すぐにドスン! ブー……っと地に尻餅を着いてしまいます。
ただ、少し上の方に、ドリルの様にネジレた一本の垂れる蔦を見つける事ができました。
幸いにもその蔦は、壁の上に登り、手を伸ばせば、届く様に思える位置にありました。
壁は木と壁の隙間に両手両足を突っかえ棒の様にすれば上まで登れそうでした。
早速、アリスは試します。
「よっいしょ、よっこいしょ」
アリスは、上手く壁の上に立つことが出来ました。そして伸ばした手先でその蔦を手繰り寄せ、思い通り掴む事ができました。
あともう少しです。
アリスは、その蔦を引っ張り、その蔦が、しっかりと木に固着してる事が確認できると、その蔦を両手で持ち、足裏を木に押し付ける感じで、跳ねる様に登って行きました。
ある程度登るとアリスは手が疲れて来たので、蔦を股に挟む登り方に変え、さらに登っていきます。
ただ、その登り方に変えたら、そのうちなにか股間の辺りがムズムズしてきました……が我慢して登ります。
するとますます蔦と股間が擦れ……
「あっあっあっ」無意識に変な超えが、口から漏れ出て来て、手の力も抜け気味になり、危うく蔦を離しそうになり、下を見ると、もう雲が見えていました。
落ちたら終わりです。
アリスは、そこで初めて、
『私しヤバい所にいる』と認識し、
背筋がヒヤリとしました。
そして、よく考えてみたら、どこまで登り、そして登る意味も考えていませんでした。
アリスは、どうするか考えました、おまけに少しオシッコも出そうです。
アリスが、そんな感じで頭を捻らせ困っていたら。
頭上の方から声が聞こえて来ました。
「だれだい?、さっきから変な声を出しているのは、気になってユックリ寝てもいられない」
アリスが、その声がする上の方を見上げると幹から1本の枝が出ていました。その枝先には、大きな鳥の巣がありました、そこから白い何かが、頭らしきものを出し、アリスの方を見上げていました。
アリスは、その巣を目指しました。
その巣の上には、大きな少し青みかがった白い卵が置いてありました、いえ、居ました。と言うのが正解かもしれません。何故なら、その卵には口が付いていたからです。
目も付いていましたがその目は、瞑っていました。
「こんにちは」
アリスは、蔦にぶら下がりながら挨拶をしました。
「トイレありますか」
「見てわかるだろ、あるわけないだろ、僕は寝過ぎて孵化そびれた万年卵さ」
「あなたは、どのくらい、そこにいるの?」
「忘れたね」
「ずっーと、そこでひとりなの?」
「最初は、兄弟もいたさ、でも皆んな飛び立っていったね」
「そう、可哀想ね、あなた」
「……そう思うかい」
「ええ、とても」
「こっちに来なよ、オシッコなんか、この巣の上から下にぶちまけれるば良いのさ」
「そんな事して、いいの?」
「大丈夫さ、雲が吸ってくれるよ、ほら早く来なよ」
アリスは、その言葉に甘えて蔦からその枝に飛び移り、その枝の上を綱を渡る様に両手を水平に伸ばし、ユックリ歩き、向かいました。
アリスは無事に巣に辿り着きました。
「初めまして、アリスです、あなたは」
「僕は、そうだなダンプティかな」
「ダンちゃん、オシッコするから少し向こう向いててくれる」
「僕は目を瞑っているよ」
「でも一応……」
「信用してないのかい……まあいいや……こうかい」
ダンプティは、アリスに背を向けます。
「うん、ありがとう」
…………
「終わったよ」
その鳥の巣でアリスは、ダンプティから、紙を裏から浅く押し上げ作った点を指先で感じ取る事で読み取る、面白くも不思議な感じがする文字を学びました。
その文字は横に並べたダイスの目の様な文字でした。
そのお返しに、下の世界の話をしてあげました。
「……アリス、君は、この上にまだ行く気かい」
「もう帰ろうかしら」
「よければ、僕も連れて行ってくれるかな?」
アリスは少し考え。
「あなたは、此処にいた方がいいわ、下に降りたら、茹で卵にされちゃうわ」
「茹で卵?」
「うん、それか目玉焼き」
そう言うとアリスはペロリと舌を出しました。
「……そうかい、なら此処にいるかな」
アリスは、また枝を渡り、蔦にぶら下がりました。
ダンプティは、悲しそうにこちらを向いていました。
「じゃぁね」
とアリスが言うと。
ダンプティは背を、向けてしまいました。
「ごめんねー、下の世界は、あなたにとって良くない怖い世界なのー」
「……」
アリスは、掴む蔦の力を少しずつ緩めながら降りて行きました。
ーーーーーーーー~・
「『!」』
その途中、目の前を白い何かが、通り抜け下に落ちていきました。
『……』
アリスが地上に戻ると、そこには、割れたダンプティが転がっていました。
アリスは思いました。
『わ、私が、そもそも登らなければ、良かったんだわ』
その、ダンプティの目と目が合い、アリスはハッとしました。
目の前のテーブルには、少し崩れた歪な目玉焼きが置いてありました。
チャリーンっと音がし、床を見ると、潰れた苺と苺スプーンも転がっていました。
少しして姉の声が聞こえて来ました。
「お母さーんー、アリスが、ご飯食べながら、お漏らししっちゃたよー」
お漏らししてしまいましたが、そんな事より、夢で良かったとアリスは思い、安心しました……窓からは、朝の日差しが優しく入り込み、アリスの指先を暖かく照らしていました。
[END]
24.7.14
……
アリスは、そんなあまり甘くない野苺を口いっぱいにふくみながら、いつもの丘へ向かう野原の散歩道から少し外れた所に一枚だけ残る、古い壁の前に立っていました。
壁は大昔に、この野原に王様が建てようとし、その途中で何かしらの理由で崩壊した塔の遺跡と伝えられています。
その壁の後ろには、一本の大樹が生えていました。
かねてから、その木に登りたいと思っていたアリスは、
その壁の意味を無して無い壁の裏に周り、
その木を見上げると、木は雲を突き抜いてどこまでも天高く伸び、昔此処に建てそこなった塔の無念な思いを晴らすかの様に、その代わりをしている様にも思えました。
『絶対に、この上には、何かあるわ』と、アリスは思い、いざ、木に登ろうとすると、その木には、アリスの手や足が乗せられる低い枝が無い事に気づきました。
どうやら誰かが、誰かが登るのを、妨げる為に枝を切ってしまった様です。
とりあえず木にしがみつき、擦り上がる様に登ろうとしても、すぐにドスン! ブー……っと地に尻餅を着いてしまいます。
ただ、少し上の方に、ドリルの様にネジレた一本の垂れる蔦を見つける事ができました。
幸いにもその蔦は、壁の上に登り、手を伸ばせば、届く様に思える位置にありました。
壁は木と壁の隙間に両手両足を突っかえ棒の様にすれば上まで登れそうでした。
早速、アリスは試します。
「よっいしょ、よっこいしょ」
アリスは、上手く壁の上に立つことが出来ました。そして伸ばした手先でその蔦を手繰り寄せ、思い通り掴む事ができました。
あともう少しです。
アリスは、その蔦を引っ張り、その蔦が、しっかりと木に固着してる事が確認できると、その蔦を両手で持ち、足裏を木に押し付ける感じで、跳ねる様に登って行きました。
ある程度登るとアリスは手が疲れて来たので、蔦を股に挟む登り方に変え、さらに登っていきます。
ただ、その登り方に変えたら、そのうちなにか股間の辺りがムズムズしてきました……が我慢して登ります。
するとますます蔦と股間が擦れ……
「あっあっあっ」無意識に変な超えが、口から漏れ出て来て、手の力も抜け気味になり、危うく蔦を離しそうになり、下を見ると、もう雲が見えていました。
落ちたら終わりです。
アリスは、そこで初めて、
『私しヤバい所にいる』と認識し、
背筋がヒヤリとしました。
そして、よく考えてみたら、どこまで登り、そして登る意味も考えていませんでした。
アリスは、どうするか考えました、おまけに少しオシッコも出そうです。
アリスが、そんな感じで頭を捻らせ困っていたら。
頭上の方から声が聞こえて来ました。
「だれだい?、さっきから変な声を出しているのは、気になってユックリ寝てもいられない」
アリスが、その声がする上の方を見上げると幹から1本の枝が出ていました。その枝先には、大きな鳥の巣がありました、そこから白い何かが、頭らしきものを出し、アリスの方を見上げていました。
アリスは、その巣を目指しました。
その巣の上には、大きな少し青みかがった白い卵が置いてありました、いえ、居ました。と言うのが正解かもしれません。何故なら、その卵には口が付いていたからです。
目も付いていましたがその目は、瞑っていました。
「こんにちは」
アリスは、蔦にぶら下がりながら挨拶をしました。
「トイレありますか」
「見てわかるだろ、あるわけないだろ、僕は寝過ぎて孵化そびれた万年卵さ」
「あなたは、どのくらい、そこにいるの?」
「忘れたね」
「ずっーと、そこでひとりなの?」
「最初は、兄弟もいたさ、でも皆んな飛び立っていったね」
「そう、可哀想ね、あなた」
「……そう思うかい」
「ええ、とても」
「こっちに来なよ、オシッコなんか、この巣の上から下にぶちまけれるば良いのさ」
「そんな事して、いいの?」
「大丈夫さ、雲が吸ってくれるよ、ほら早く来なよ」
アリスは、その言葉に甘えて蔦からその枝に飛び移り、その枝の上を綱を渡る様に両手を水平に伸ばし、ユックリ歩き、向かいました。
アリスは無事に巣に辿り着きました。
「初めまして、アリスです、あなたは」
「僕は、そうだなダンプティかな」
「ダンちゃん、オシッコするから少し向こう向いててくれる」
「僕は目を瞑っているよ」
「でも一応……」
「信用してないのかい……まあいいや……こうかい」
ダンプティは、アリスに背を向けます。
「うん、ありがとう」
…………
「終わったよ」
その鳥の巣でアリスは、ダンプティから、紙を裏から浅く押し上げ作った点を指先で感じ取る事で読み取る、面白くも不思議な感じがする文字を学びました。
その文字は横に並べたダイスの目の様な文字でした。
そのお返しに、下の世界の話をしてあげました。
「……アリス、君は、この上にまだ行く気かい」
「もう帰ろうかしら」
「よければ、僕も連れて行ってくれるかな?」
アリスは少し考え。
「あなたは、此処にいた方がいいわ、下に降りたら、茹で卵にされちゃうわ」
「茹で卵?」
「うん、それか目玉焼き」
そう言うとアリスはペロリと舌を出しました。
「……そうかい、なら此処にいるかな」
アリスは、また枝を渡り、蔦にぶら下がりました。
ダンプティは、悲しそうにこちらを向いていました。
「じゃぁね」
とアリスが言うと。
ダンプティは背を、向けてしまいました。
「ごめんねー、下の世界は、あなたにとって良くない怖い世界なのー」
「……」
アリスは、掴む蔦の力を少しずつ緩めながら降りて行きました。
ーーーーーーーー~・
「『!」』
その途中、目の前を白い何かが、通り抜け下に落ちていきました。
『……』
アリスが地上に戻ると、そこには、割れたダンプティが転がっていました。
アリスは思いました。
『わ、私が、そもそも登らなければ、良かったんだわ』
その、ダンプティの目と目が合い、アリスはハッとしました。
目の前のテーブルには、少し崩れた歪な目玉焼きが置いてありました。
チャリーンっと音がし、床を見ると、潰れた苺と苺スプーンも転がっていました。
少しして姉の声が聞こえて来ました。
「お母さーんー、アリスが、ご飯食べながら、お漏らししっちゃたよー」
お漏らししてしまいましたが、そんな事より、夢で良かったとアリスは思い、安心しました……窓からは、朝の日差しが優しく入り込み、アリスの指先を暖かく照らしていました。
[END]
24.7.14
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