辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子

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始まり?

2歳になりました。②

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目を開けると、いつもの自分のベッドだった。

窓を見るとまだ明るくなりきってはいない。
冬の朝は明るくなるまでに時間がかかるのは、
どこの世界も共通らしい。

「おはようございますお嬢様。もう起きられますか?」

「おはようメルリィ。うん。おきるぅ」

眠い目をこすりつつ起きると乳母のメルリィが着替えを持ってきてくれる。
寝間着を脱いで、持ってきてもらった着替えを自分で着ていく。

なんか結構身分の高い生まれっぽいんだけど、
自分でやる。と主張すると結構何でも「ではどうぞ」と言ってもらえる。

イーっとなりだしたら、少しだけ助けてくれるけど、
ちゃんと見ていてくれてるし、
急ぐ時にはちゃんと説明してからしてくれる。

まぁ、子育てしてる時でもイヤイヤ期とか魔の2歳児、とかって話があったから、
こっちでも一緒なのかな?

本来なら着せてもらうような服を自分で着ていくものだから、
まだまだ不慣れ。


「メルリィ、できたー」

「今日は上手にできましたね、お嬢様」

「うんっ」

脱いだ寝間着はメルリィに手渡し、両親の部屋へ向かう。
屋敷、というのかなぁ?
西洋風のお城は外見を写真でしか見た記憶がないから、
あくまでも想像のお城、なんだけど・・・

「ネージュです」

ノックをした後名乗ると、すぐお母様の侍女がドアを開けてくれる。

「おはよう、おかあさま」

「おはよう、ネージュ」

いつもなら起きていて身支度を整えたお母様が抱っこしてくれるのだが、
今日はベッドの上で上半身を起こし座っている。

「おかあさま、どうしたの?」

「少し体がだるいの。もうすぐ起きるから心配しないで」

ベッドによじ登り、お母様にちょっと遠慮気味にくっつく。

お母様は笑って座った状態で抱っこをしてくれる。

・・・あれ?
お母様の顔の横に

ラティファ・ヴァン・オブライエン
オブライエン辺境伯夫人
状態:妊娠初期

って、ステータスみたいなものが見える・・・。

・・・ラノベ???
今まではそんなことなかったんだけど・・・
とりあえず、報告。

「おかあさま、おかあさま」

「何?ネージュ」

手で筒を作り、お母様の耳元に・・・
気づいたお母様は耳を近づけてくれる。

「あかちゃん、きたみたいだよ」

「えっ!?」

あ、驚いて耳が離れちゃった・・・
お母様の服を引っ張って、もう一回手で筒を作る。

「おとうさまにこっそりおしえてくるね」

耳打ちの後、ひょいっとベッドを降りる。

「メルリィ!おとうさまにあいたいの!
 おとうさまはどこ?」

「ネージュ、お父様は執務室にいるはずよ」

「わかった、おかあさま。
 メルリィ、しつむしつにつれてって~」

「は、はい」

「はやく、はやく!おかあさま、いってきますー」

ベットの上のお母様に手を振ると、お母様は驚いた顔のまま手を振り返してくれる。

メルリィをせかし、お父様がいる執務室へ。

「おとうさま、ネージュです!」

執務室のドアの前付近で声を上げる。
すぐにドアが開き、お父様が出迎えてくれる。

「ネージュ、どうした?こんな早くに。
 朝食は取ったのか?」

「おとうさま、おとうさま、ないしょのおはなし。
 おみみをかして!」

お母様にしたのと同じように手で筒を作ると
お父様に抱き上げられ、耳が近づいた。
うぉう、そうきたか。

「あのね、おかあさまにあかちゃんきたの」

「なに?」

お父様は私の顔を覗き込んでくる。
驚いた顔してるけど、
イカツイから結構怖いよ。
もう慣れてきたけど。

「あのね、あのね」

そのままの格好で話の続きをしようとすると、
手に耳を近づけてくれる。

「きょうね、おかあさまにあったとき、
 おかあさまのかおのよこにおかあさまのなまえと、
 じょうたい、にんしんしょきってかいてあったの。
 おかあさま、からだがだるいっていってたし、たぶんそうなの」

「・・・そうか。」

いつもイカツイ顔が少しだけ笑顔になって、嬉しそう。
・・・ただ、話をしておいた方がいいかもしれない。
この調子でいけば、いつかはお母様にはわかるだろうし、
両親の態度が豹変してしまえばその時はその時、か。

「あと、あとね・・・
 おとうさまとおかあさまだけに、
 ないしょのおはなしがしたいの」

お父様は再度私の顔を覗き込む。
お父様の瞳に映るのは・・・
不安そうな私の顔。

しばらく私の顔をじっと見ていたお父様。

「・・・わかった。今日のうちにでも時間を作ろう」

そう言うと私を下ろし、何やら机に向かい書き物を始める。

「ネージュ、朝食は食べたのか?」

「まだ、おかあさまがおきられないみたいだから・・・
 おとうさまにみたのをおはなししたくて」

「ネージュ、これをお母様に届けてくれるか?
 あと、しっかりと食事はとりなさい」

お母様宛ての手紙を手渡され、頭を撫でられる。

「おてがみ?わかった~。
 いってきまーす。メルリィ、おかあさまのおへやにもどろう!」

お母様のところへ行き、お父様から預かった手紙を手渡すと自分の部屋に戻る。
いつもなら朝食はお母様と取るのだが、今日は一人。
とはいっても、まだまだなのでメルリィが一緒にいて、食べさせてくれたりするのだが。

その後はいつもなら天気がいいなら散歩へ行くのだが・・・
今日はお部屋にお父様がやってきた。
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