辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子

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3歳

気になることはまた、今度にできる?

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「いせかい、って、ぐたいてきにはどんなかんじ?」

「なんか、人の乗れる箱が走って行ったり、空を飛んだり?」

思わず、振り返りイシュトを見る。

「イシュトさん、めをつかってもいいですか?」

「ダメですよ。まだ体は治りきっていないんですから」

案の定、すぐに却下、というか、私にかぶせ気味に却下を食らう。
ぐは。
うぅ。気になるよぉ。

「とりあえず、僕の事は置いておいて。
 お嬢様の方が大事だねぇ~」

すっとシューヤさんに手を取られる。

「・・・うん、力が乱れてる。ゆっくりと息をして。
 体の中全体に均一に力が回るように。
 そうすれば、すぐに楽になるから」

言われたように深呼吸をしながら、血が体中を廻るイメージ。
しばらくすると、体がホカホカしてくる。

「うん、そうそう、上手。
 使いすぎて寝込んだ分落ちた筋力が戻るまで、魔力でカバーするようにすれば、
 今まで通り動けるようになるから。
 2日もすれば魔力でのカバーがいらなくなるから」

特になんとも思っていなかったが、少し前より体が楽になった気がする。

「では、一度失礼しますよ?」

後ろからイシュトが確認する。

「・・・よくなってますね。普通に戻っています」

「ただ、魔力を意識して動かしたのは初めてだよね?
 一度覚えてしまえば次からは無意識で力を使うから。
 まだ体も小さいことだし、無理はいけないよ?」

うーん・・・。

「シューヤさん、わたしのじゅうしゃになる?」

「「えぇ!?」」

「ネージュ様、いきなりなぜそんな話になるのですか?」

「そうだよ、そばに置く人間は、そんなに簡単に決めちゃいけないよ?!
 僕、非常識だし・・・」

「いや、なんかしばっておかないとどっかいっちゃいそうなかんじがするから」

糸の切れた凧のように、風に流されてどこぞへ行ってしまいそうな感じ。
つか、自分で自分の事、非常識って言うの?

「いまでも、イシュトはごえいけんおせわがかりになってるし。
 ただ、イシュトひとりじゃちょっときついよね、って、おとうさまとおはなししていたの。
 だから、まほうのせんせいけん、おせわがかり??」

「確かに話は伺っておりますが、誰でもいいというわけではないでしょう?」

あら、お父様はイシュトに話してあったのか。

「うん。でも、おとうさまはあいしょうもあるからあせってさがさなくてもいいとはいってた。
 けど、わるくなさそうでしょう?
 きになることもいっぱいあるし、まほうをならうのもちょうどいいし、たのしそう」

にっこり笑う。
探るようにイシュトがこっちを見ていたが、
やがてため息をついた。

「・・・ネージュ様の意向はわかりました。
 しかし、本人の意向と、領主様の許可も必要ですので、打診、という形で進めますよ。
 あなたの方はまだまだ本調子ではないでしょう?
 体が回復してから、それまで考えておいて頂いたらいいかと思います。
 領主様には私の方から話しておきますので」

「えぇ?!君も反対しないのか?!」

「私自身はネージュ様に仕えることを領主様に聞かれて、自分で選びましたので」

「そうだね。イシュトはおねがいして、いっしょにいてくれてるからね~」

「ちなみにネージュ様、ネージュ様ご自身との相性もそうですが、
 人数が増えた場合は仕える者同士の相性も考慮に入れておいてくださいね」

「わかった。そしたら、イシュトはシューヤさんとはどうかな?」

「・・・大丈夫、だと思われますよ?
 ある程度は自由奔放な人の扱いは慣れてますから。本人も一応弁えて頂けるでしょうし」

「僕すでにダメ人間の烙印押されてる?!」

私とイシュトが同時にシューヤさんを見る。
きっと両方ともから冷気の漂う目線であったであろうなぁ。

「「そりゃぁねぇ」」

「息ぴったりだ!!」

「まぁ、それはさておき。
 ネージュ様そろそろお時間ですよ」

ひょい、とソファから抱き上げられる。

「先程言った通り、領主様には打診をしますので、返事は領主様へお願いします。
 ネージュ様も、よろしいですか?」

「「はぁい」」

抱っこされて、体もぽかぽか。

さっきまでそうでもなかったのに、眠たくなってきたなぁ~
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