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20.前進への第一歩
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この女に対してだけ感じる何か特別な感情が、この内にあるとするならば、それは恋ではなくただの同情でしかない。
もしくは一緒に寝所を共にするうちに芽生えた、一種の愛情のようなものである。
ただこの感情が、もしそのどれとも違うものであったとしたら。
遠い過去に置いてきたあの淡い感情を、いずれ呼び起こさなければならなくなる。
微かに忘れかけていた“あの記憶の一片”を、思い出さなくてはならない時がいずれ訪れるかもしれない。
それが今後の運命を左右することになるとしても。
部屋の襖を開けて一歩足を踏み込むと、女が目の前に立っていた。
思わず驚いて目を見張る。
「そんなところで何してる」
怪訝な顔持ちでスーツのジャケットを脱ぐと、女が無言で手を差し出した。
訝しみながら脱いだジャケットをその手に渡す。
ふわりとそのジャケットが女の鼻を掠めた瞬間、微かにその細い首を一瞬傾げたように見えたが、さほど気にも留めず手を下ろした。
しかし尚も女がその手を引っ込めないので、ネクタイの結び目にそろりと指を差し込んで、するりと引き抜いてから、外したネクタイもその上に乗せる。
ふと女の顔を見やると、無言無表情のままくるりと横を向いて、部屋端のパイプラックへと歩み出す。
何がしたいんだ?
ここに女が来て二週間程経つが、自ずと進んで何の策略もなく、俺と関わろうなどとしたのは初めてだ。
いや、それともまた何か良からぬことを考えているのかもしれない。
アンジーから貰ったワンピースは、やっぱりまだこの男の前で披露する気にはなれなくて、あの後そそくさと脱いでしまった。
でも彼の前で突然このような行動に出たのは、この部屋で私ができることを一つずつ見つけて、日課というものを作ろうと考えたからだ。
生活にリズムができれば、いろいろと気力が湧いてくるかもしれない。
それにこの男のことを知りたければ、まずは自分から歩み寄ることが先決だと思った。
…のだが。
彼が脱いだスーツのジャケットが鼻を掠めた瞬間、嗅ぎ慣れた煙草の臭いに混じって、ふわりと甘いバニラの香りが舞った。
女物の香水だと直感した。
母が好んで付けていた香水の香りによく似ている。
ハンガーに、手に持っていた黒いスーツのジャケットとネクタイを掛けてラックに戻す。
何だか、もやっとしたものが胸に渦巻いた。
ベッド脇のサイドテーブルに置いてある時計は、既に深夜0時を回っている。
カッターシャツを脱いで燭台の椅子に掛けて、スーツのベルトを緩めた。
そのままベッドに腰を下ろすと、片足をベッドに掛けてブーツの紐を解く。
女がなぜこんな時間まで起きているのか自体、謎だ。
いつもは早々と寝静まっているはずなのだが。
やはり釈然としないまま、ブーツをベッド下に脱ぎ捨てると、ズボンを下ろして部屋着やトレーニング時に使っているスウェットに履き替えてから、布団に納まった。
それを眺めるでもなく無関心な顔を寄越してから、女もベッドへと入った。
さすがに今夜ばかりは仕事とは言え、抱く気にはなれなくて女の方は向かずに目を閉じる。
その瞬間、女がそっと背中に顔を寄せた。
心なしか女がすんすんと鼻を鳴らしたような気がして、顔だけで振り返った。
「さっきから何がしたいんだ?!」
そう若干強い口調で諌めると、女が無表情のまま呟いた。
「いつもと違う匂いがする」
女の言葉についドキリと胸が鳴った。
「…外で浴びてきた」
嘘ではない。
「スーツもいい香りがした。香水の」
女のその言葉に、なぜか更にドキリと胸が跳ねた。
女が何を言わんとしているのか、さすがに聞き流すわけにもいかない。
はぁと小さく溜め息を漏らした。
もちろん妻などいた試しはないが、まるで妻に浮気の証拠を突き付けられたような心持ちだ。
別にこの女を裏切ったわけではないというのに、心臓が勝手に不穏な脈を打つ。
男の精神構造ほど、こんな単純明快なものはない。
思わず身体をわざわざ女の方に反転させてから、不愉快さを全面に押し出して吐き捨てた。
「俺がいつどこで誰と何をしようが、お前には一切関係ない!」
すると女がすぐ様顔を強張らせて、二、三度頷いてから身を翻して反対側を向いた。
これだから経験薄な子供は手に負えない。
大きく溜め息をついて、また女とは反対側に向き直ってから目を閉じた。
バカバカしい。
何で俺が自分の行動について、この小娘にとやかく責められなくてはいけないのか。
理解に余る。
背中合わせのまま、私はわなわなと怒りに震えた。
何なの?
何が清丸は心を閉ざしてる、よ?
心を閉ざすどころか、せっせと他の女にも脚開かせてんじゃない!
もう既に進むべき方向、見誤ってんじゃないの?!
そりゃ私は彼女でも妻でも婚約者でも何でもないですよ!!
あなたがどこで誰と何しようが関係ない!!!
でも身体の関係がある以上、目の前の男が自分以外の女ともヤッてるなんて気分悪いんだもん!
…。
……。
………。
………そういうもんじゃないのかしら…?
経験がなさ過ぎて、このもやっと感が何なのか説明がつかない。
もしかしたら、元から彼女がいたのかもしれない。
いや、待って…
私が聞いてないだけで、もしかしたら結婚してる可能性だってないわけじゃない。
いやいや、いくら何でもそんな身の上の男をこんな任務に就かせたりしないでしょう。
そもそもアンジーが、是匡以外に守るべき人なんかいないって言ってたし…
それならやっぱり外にそういう大人な関係の女がいるんだ!
いや、でもそれでも私に関係ないと言えば確かに関係のない話で…
この男にとって、私とするのは任務でしかなくて…
他の女の人にはもっと優しくしてるのかも
とか
寝る時も私と同じように抱いて眠るのかも
とか
考えると何だかこう…もやもやーっと…!
…やっぱり何か
うまく言えないけど、何か納得いかないっ!!!
ぎゅっと目を瞑ると、背中を丸めて布団の中に潜り込んだ。
こんなんじゃ私から歩み寄るなんて、やっぱり無理!!!!!
しばらくして突然ガバっと女が布団に潜り込んだのが分かって、思わず身を起こして振り返った。
さっきから何なんだ、一体…
女が中で丸まってこんもりと盛り上がった布団を見つめて、もう一度溜め息をついた。
さっきの強張った女の顔が脳裏を過ぎる。
そのままゆっくりとまた女とは反対側を向いて横になった。
布団の中の女に背を向けたまま、静かに口を開いた。
「…五条院家(うち)と取引のある会社の社長秘書の女と食事をしてきただけだ」
え?
その声を布団の中で聞いてから、私は驚いてほんの少しだけ布団から顔を出した。
いきなり弁明?!
「仕事の話をして、その後で酔いを冷ますために食事をしたホテルのシャワーを浴びた。…もちろん一人で」
何を言っているのだと、自分で呆れながら尚も続けた。
背中を向けたまま、顔だけをおずおずと少しだけ女の方に向けた。
大きな瞳だけが布団から出て、じっとりとこちらを見つめている。
柄にもなく、言い訳めいた誰が聞いても分かるような見え透いた嘘を流暢に口から放っているせいか、目が枯渇してしまったのではないかと思うほど、瞬きを頻繁にしたくなる。
「五条院家の贔屓にしているホテルだから、フロントに言えば部屋はいつでも貸してくれる。たとえシャワーを使いたいだけの時でも…」
そこまで言ったところで、目だけを布団から出していた女が完全に顔を布団から出して振り返った。
ちょこんと俺の背中の前で正座した女の強張っていた表情が、みるみる緩んでいくのが分かった。
「それ、ホント?!」
ぱちくりと一度瞬きをしてから、思わずそう発してしまった。
「下手な嘘は言わない」
そう言われて、ずっと胸の中でもやもやと燻っていた嫌な感じが一気に晴れ渡った。
この男の言葉を完璧に信用したわけじゃないけど
本当は他に女の人が何人もいるのかもしれないけど
何だか誠意は見せようとしてくれたような気がして、今はそれだけで十分納得できるような気がした。
やっぱり本当に案外悪い人じゃないのかも…
すっきりとした顔で、今度はきちんと布団を胸の上まで引き上げてから真上を向いて目を閉じた。
女が満足したような顔で横になったのを確認してから、相変わらず女とは反対側を向いたまままた布団に納まった。
大ホラ吹きとは正にこのことだなと、心中で苦虫を噛み潰したような気分に苛まれた。
こんな明らかな嘘さえも信用するほどのお子様に、なぜこんな嘘をついたのか分からない。
女がショックを受けようが、安堵しようが放っておけばいい。
そう思っているはずなのに、くだらない嘘をついてまで必死に女の不安を取り除いてしまうなど、正気の沙汰ではない。
この女を目の前にすると、やっぱりどうも調子が狂う。
他の女を抱いた後ろめたさなのか、この女の明らかに傷心した様子を見るに耐えず、罪悪感を抱いてしまったからなのか。
こんな感情に囚われている自分が、本当に不思議でならない。
他の女が同じ行動をとったとして、果たしてこんな想いに駆られるとは到底思えない。
理屈じゃ説明できない感情が、そこには確かに存在するのだ。
女と時間を共有している時にチラつく、安らぎという馬鹿げた感情を、一刻も早く否定するために起こした行動が、こうも違う方向へ転ぶとは思いもよらなかった。
まったく、我が事ながらこの先が思いやられて仕方がない。
もしくは一緒に寝所を共にするうちに芽生えた、一種の愛情のようなものである。
ただこの感情が、もしそのどれとも違うものであったとしたら。
遠い過去に置いてきたあの淡い感情を、いずれ呼び起こさなければならなくなる。
微かに忘れかけていた“あの記憶の一片”を、思い出さなくてはならない時がいずれ訪れるかもしれない。
それが今後の運命を左右することになるとしても。
部屋の襖を開けて一歩足を踏み込むと、女が目の前に立っていた。
思わず驚いて目を見張る。
「そんなところで何してる」
怪訝な顔持ちでスーツのジャケットを脱ぐと、女が無言で手を差し出した。
訝しみながら脱いだジャケットをその手に渡す。
ふわりとそのジャケットが女の鼻を掠めた瞬間、微かにその細い首を一瞬傾げたように見えたが、さほど気にも留めず手を下ろした。
しかし尚も女がその手を引っ込めないので、ネクタイの結び目にそろりと指を差し込んで、するりと引き抜いてから、外したネクタイもその上に乗せる。
ふと女の顔を見やると、無言無表情のままくるりと横を向いて、部屋端のパイプラックへと歩み出す。
何がしたいんだ?
ここに女が来て二週間程経つが、自ずと進んで何の策略もなく、俺と関わろうなどとしたのは初めてだ。
いや、それともまた何か良からぬことを考えているのかもしれない。
アンジーから貰ったワンピースは、やっぱりまだこの男の前で披露する気にはなれなくて、あの後そそくさと脱いでしまった。
でも彼の前で突然このような行動に出たのは、この部屋で私ができることを一つずつ見つけて、日課というものを作ろうと考えたからだ。
生活にリズムができれば、いろいろと気力が湧いてくるかもしれない。
それにこの男のことを知りたければ、まずは自分から歩み寄ることが先決だと思った。
…のだが。
彼が脱いだスーツのジャケットが鼻を掠めた瞬間、嗅ぎ慣れた煙草の臭いに混じって、ふわりと甘いバニラの香りが舞った。
女物の香水だと直感した。
母が好んで付けていた香水の香りによく似ている。
ハンガーに、手に持っていた黒いスーツのジャケットとネクタイを掛けてラックに戻す。
何だか、もやっとしたものが胸に渦巻いた。
ベッド脇のサイドテーブルに置いてある時計は、既に深夜0時を回っている。
カッターシャツを脱いで燭台の椅子に掛けて、スーツのベルトを緩めた。
そのままベッドに腰を下ろすと、片足をベッドに掛けてブーツの紐を解く。
女がなぜこんな時間まで起きているのか自体、謎だ。
いつもは早々と寝静まっているはずなのだが。
やはり釈然としないまま、ブーツをベッド下に脱ぎ捨てると、ズボンを下ろして部屋着やトレーニング時に使っているスウェットに履き替えてから、布団に納まった。
それを眺めるでもなく無関心な顔を寄越してから、女もベッドへと入った。
さすがに今夜ばかりは仕事とは言え、抱く気にはなれなくて女の方は向かずに目を閉じる。
その瞬間、女がそっと背中に顔を寄せた。
心なしか女がすんすんと鼻を鳴らしたような気がして、顔だけで振り返った。
「さっきから何がしたいんだ?!」
そう若干強い口調で諌めると、女が無表情のまま呟いた。
「いつもと違う匂いがする」
女の言葉についドキリと胸が鳴った。
「…外で浴びてきた」
嘘ではない。
「スーツもいい香りがした。香水の」
女のその言葉に、なぜか更にドキリと胸が跳ねた。
女が何を言わんとしているのか、さすがに聞き流すわけにもいかない。
はぁと小さく溜め息を漏らした。
もちろん妻などいた試しはないが、まるで妻に浮気の証拠を突き付けられたような心持ちだ。
別にこの女を裏切ったわけではないというのに、心臓が勝手に不穏な脈を打つ。
男の精神構造ほど、こんな単純明快なものはない。
思わず身体をわざわざ女の方に反転させてから、不愉快さを全面に押し出して吐き捨てた。
「俺がいつどこで誰と何をしようが、お前には一切関係ない!」
すると女がすぐ様顔を強張らせて、二、三度頷いてから身を翻して反対側を向いた。
これだから経験薄な子供は手に負えない。
大きく溜め息をついて、また女とは反対側に向き直ってから目を閉じた。
バカバカしい。
何で俺が自分の行動について、この小娘にとやかく責められなくてはいけないのか。
理解に余る。
背中合わせのまま、私はわなわなと怒りに震えた。
何なの?
何が清丸は心を閉ざしてる、よ?
心を閉ざすどころか、せっせと他の女にも脚開かせてんじゃない!
もう既に進むべき方向、見誤ってんじゃないの?!
そりゃ私は彼女でも妻でも婚約者でも何でもないですよ!!
あなたがどこで誰と何しようが関係ない!!!
でも身体の関係がある以上、目の前の男が自分以外の女ともヤッてるなんて気分悪いんだもん!
…。
……。
………。
………そういうもんじゃないのかしら…?
経験がなさ過ぎて、このもやっと感が何なのか説明がつかない。
もしかしたら、元から彼女がいたのかもしれない。
いや、待って…
私が聞いてないだけで、もしかしたら結婚してる可能性だってないわけじゃない。
いやいや、いくら何でもそんな身の上の男をこんな任務に就かせたりしないでしょう。
そもそもアンジーが、是匡以外に守るべき人なんかいないって言ってたし…
それならやっぱり外にそういう大人な関係の女がいるんだ!
いや、でもそれでも私に関係ないと言えば確かに関係のない話で…
この男にとって、私とするのは任務でしかなくて…
他の女の人にはもっと優しくしてるのかも
とか
寝る時も私と同じように抱いて眠るのかも
とか
考えると何だかこう…もやもやーっと…!
…やっぱり何か
うまく言えないけど、何か納得いかないっ!!!
ぎゅっと目を瞑ると、背中を丸めて布団の中に潜り込んだ。
こんなんじゃ私から歩み寄るなんて、やっぱり無理!!!!!
しばらくして突然ガバっと女が布団に潜り込んだのが分かって、思わず身を起こして振り返った。
さっきから何なんだ、一体…
女が中で丸まってこんもりと盛り上がった布団を見つめて、もう一度溜め息をついた。
さっきの強張った女の顔が脳裏を過ぎる。
そのままゆっくりとまた女とは反対側を向いて横になった。
布団の中の女に背を向けたまま、静かに口を開いた。
「…五条院家(うち)と取引のある会社の社長秘書の女と食事をしてきただけだ」
え?
その声を布団の中で聞いてから、私は驚いてほんの少しだけ布団から顔を出した。
いきなり弁明?!
「仕事の話をして、その後で酔いを冷ますために食事をしたホテルのシャワーを浴びた。…もちろん一人で」
何を言っているのだと、自分で呆れながら尚も続けた。
背中を向けたまま、顔だけをおずおずと少しだけ女の方に向けた。
大きな瞳だけが布団から出て、じっとりとこちらを見つめている。
柄にもなく、言い訳めいた誰が聞いても分かるような見え透いた嘘を流暢に口から放っているせいか、目が枯渇してしまったのではないかと思うほど、瞬きを頻繁にしたくなる。
「五条院家の贔屓にしているホテルだから、フロントに言えば部屋はいつでも貸してくれる。たとえシャワーを使いたいだけの時でも…」
そこまで言ったところで、目だけを布団から出していた女が完全に顔を布団から出して振り返った。
ちょこんと俺の背中の前で正座した女の強張っていた表情が、みるみる緩んでいくのが分かった。
「それ、ホント?!」
ぱちくりと一度瞬きをしてから、思わずそう発してしまった。
「下手な嘘は言わない」
そう言われて、ずっと胸の中でもやもやと燻っていた嫌な感じが一気に晴れ渡った。
この男の言葉を完璧に信用したわけじゃないけど
本当は他に女の人が何人もいるのかもしれないけど
何だか誠意は見せようとしてくれたような気がして、今はそれだけで十分納得できるような気がした。
やっぱり本当に案外悪い人じゃないのかも…
すっきりとした顔で、今度はきちんと布団を胸の上まで引き上げてから真上を向いて目を閉じた。
女が満足したような顔で横になったのを確認してから、相変わらず女とは反対側を向いたまままた布団に納まった。
大ホラ吹きとは正にこのことだなと、心中で苦虫を噛み潰したような気分に苛まれた。
こんな明らかな嘘さえも信用するほどのお子様に、なぜこんな嘘をついたのか分からない。
女がショックを受けようが、安堵しようが放っておけばいい。
そう思っているはずなのに、くだらない嘘をついてまで必死に女の不安を取り除いてしまうなど、正気の沙汰ではない。
この女を目の前にすると、やっぱりどうも調子が狂う。
他の女を抱いた後ろめたさなのか、この女の明らかに傷心した様子を見るに耐えず、罪悪感を抱いてしまったからなのか。
こんな感情に囚われている自分が、本当に不思議でならない。
他の女が同じ行動をとったとして、果たしてこんな想いに駆られるとは到底思えない。
理屈じゃ説明できない感情が、そこには確かに存在するのだ。
女と時間を共有している時にチラつく、安らぎという馬鹿げた感情を、一刻も早く否定するために起こした行動が、こうも違う方向へ転ぶとは思いもよらなかった。
まったく、我が事ながらこの先が思いやられて仕方がない。
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