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名もなき子・霞 5
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集中治療室を飛び出した翔太は、どうしたら良いのか分からぬまま、光輝を抱いたまま、病院の中庭に来ていた。芝生が広がり、真ん中に噴水のある憩いの広場で、翔太は空いていたベンチに腰掛けた。
翔太が抱えていた光輝を隣に座らせると、光輝は目を輝かせ、キャッキャッ言いながら噴水に向かってヨチヨチと歩き出した。
翔太は頭が真っ白な状態で、飛び出してきたは良いものの、どう答えを出して、どんな顔して戻れば良いのかと悩んでいた。自分の世界に入り込んでしまっていたため、光輝が自分の側から離れていってることにも全く気が付かなかった。
光輝は、噴水に向かって一直線に歩いていた。この噴水は、回りの囲いが腰掛けられるようになっており、囲いと水面との間には柵などは一切無かった。
光輝は、囲いまで辿り着くと更に近付きたいがために、囲いを上ろうと足を伸ばし始めた。
「…はぁ、なぁ光輝…パパどうしたらいいかな?」
翔太はそう呟きながら光輝がいるであろう隣に目を向けたが、当然光輝の姿はなく、翔太は慌てて立ち上がって辺りを見回した。
「光輝!?光輝!?…あ!」
すると、視線の先に噴水の囲いの上にヨロヨロとバランスを取りながら立っている光輝を見つけ、慌てて噴水に向かった。
しかし、まだバランス感覚が十分に備わっていない光輝は、ヨロヨロ揺れながら、今にも噴水側に落ちそうだった。
「光輝!ダメだ!じっとしてろよ!」
翔太がそう声を上げた途端、突然の父親の大声に驚いた光輝は、身体をびくつかせ、その反動で噴水側に転落した。
「光輝ぃぃ!!」
すると、翔太よりも先に噴水に飛び込み、光輝を抱き上げて噴水から出てきた人物がいた。
片野医師だった。
片野医師は、水を飲んだのかゲホゲホしている光輝の背中を叩きながら、近くのベンチに寝かせた。そして、翔太はベンチに辿り着くと、光輝を抱き締めた。光輝は落ちた事が衝撃すぎて、泣くのを飛び越えて、何が起きたのか理解してない様子だった。
「光輝ぃ、ごめんな、目を離して。すみません、どなたか分かりませんがありがとうございました。」
翔太は光輝を優しく寝かせると、片野医師に向かって深く頭を下げた。
「いえいえ、私は言ってたんですよ。噴水には柵が必要だと。こういうことが起きるのは、病院側だって予測できたはずです。こちらこそすみません。」
何故か頭を下げる片野医師に、翔太は頭を上げて呆然としてしまった。
「とにかく、その子が無事で良かった。」
「すみません、考え事をしていて。子どもから目を離すなんて、親として失格ですよね。」
「そんなことはないですよ。それより、今日は暖かいとは言え、まだ3月の陽気です。一旦病院内に行きましょう。」
翔太たちは、片野医師に連れられ、誰もいない畳敷きの和室に通され、電気ストーブを付けた。
「車に着替えがあるんで持ってきます。」
翔太は、光輝を片野医師に託して急いで車へと向かった。
光輝は翔太が視界から消えたことで、少し不安そうな表情を浮かべたが、ストーブの赤い輝きと暖かさが興味をそそり、じっと見つめていた。
「隣失礼しますね。」
片野医師は、光輝の横に胡座をかいて座り、光輝の頭を優しく撫でた。
「ダァダ!」
光輝はストーブを指差して、何かを訴えた。
「ストーブ暖かいでしょ。今日はお父さんと二人できたのかな?」
「ダァダ!ダ!」
「そうか、そうか。」
片野医師がにこやかな表情で、光輝の相手をしていると、翔太が急いで戻ってきた。翔太は、すぐに光輝の濡れた服を脱がし、タオルで身体を拭き始めた。
片野医師は、その様子を眺めながら翔太に質問した。
「…失礼ですが、お子さんはダウン症ですか?」
「えぇ、もう3歳になるんですが、ようやく歩き始めたばかりで。…ここの先生ですよね?」
「はい。内科の片野と申します。そう言えば、さっきおっしゃっていたお悩みとは?患者さんの話でしたら、精神のケアも医師の務めでして…よろしかったらお話し願えませんか?」
翔太は真っ直ぐな目で見つめてくる片野医師を信頼し、光輝を着替えさせながら、霞の考えが正しいのか、自分はどうしたら良いのかを相談し始めた。
一方、集中治療室で保育器の中の赤ちゃんを見つめている霞は、翔太が中々戻って来ないことにイラついていた。
美枝子は、集中治療室の隅っこで鵺野医師を呼び、質問をしていた。
「先生、娘のしようとしてることは、法的には許されるんですか?」
鵺野医師は、保育器を見ている霞の背中を見つめながら答えた。
「お母さん、『安らかな死』って何だと思いますか?」
「え?…………。」
美枝子は黙り込んだ。
「延命措置をするかどうかは、あくまで現場の裁量に任されているのが、日本の医療の現状です。そして今の場合、産まれたばかりの未熟児に対して、手術をしても確実に助かるわけでもなく、助かっても重度の障害が残る可能性もあるという酷な条件です。迷ったあげく、何もせずに今のまま安らかに逝かせてあげたい…これも一つの正解だと私は思います。医者という立場上、どうしても少しでも長く生きさせてあげたいと考えてしまうのが性なんですが、それがいつも正しいとは限らない…私は今、娘さんに教えてもらった気がしています。ご主人様が戻って、最終的な結論が出たらまた近くの看護師に声を掛けてください。」
鵺野医師はそう言うと、頭を下げて集中治療室から出ていった。
「…命の期限を決める結論…何て残酷なことなのかしら…。」
美枝子は、霞の背中を見つめながら呟いた。
それから10分後、翔太が光輝を連れて集中治療室に戻ってきた。翔太は、まず目が合った美枝子に頭を下げた。霞は、翔太が戻ってきたことには気が付いていたが、無視して赤ちゃんをじっと見つめ続けていた。
翔太は、ゆっくりと霞の元に近づいた。
「か、霞。…急に飛び出してごめん。」
「………で、翔太の結論は出たの?」
霞はなおも翔太の方には振り向かずに聞いた。
「今、内科の片野先生に会ってさ。色々と話を聞いてもらってたんだ。…結論は…霞の考えに従うよ、いや、同意するよ。」
霞は振り返って翔太の顔を見た。
「……いいの?」
「あぁ。この子には、安らかに眠ってほしい。こんな小さな身体に無理に傷を付けて、それでも苦しみながら生きていく可能性があるのなら、このまま家族に見守られながら、自然に安らかに逝った方が、この子にとって一番良いことなんじゃないかと思った。…光輝、ここ座って。」
翔太は、霞の隣の丸椅子に光輝を座らせて、後ろから肩を支えながら、保育器の赤ちゃんを指差した。
「ほら光輝。お前の弟だよ。可愛いだろ?」
「ダァダ!ダァダ!」
光輝も翔太の真似をして、保育器を指差した。
「…小さいよな…ぐっ…うぅ…でも、今は頑張って…うぅ…生きてるだろ。」
「ダ!」
「…うぅ…ぐっ…。」
翔太は、光輝と並ぶ赤ちゃんの姿を見ていたら、涙が止まらなくなった。
「…翔太。この子の名前、私決めた。」
「…名前?」
「来世(らいせ)。…ごめんね…ママが早くお腹から出しちゃったから…うぅ、うぅ…。」
「…来世か。また俺たちのとこに産まれてきてくれるといいな…。」
翔太は、そっと霞を抱き寄せた。間に挟まれた光輝は、涙を流している両親を心配そうに見上げていた。
部屋の隅っこでその様子を見ていた美枝子は、涙を拭い、そっと集中治療室を後にした。
三時間後。
三人が見守る中、容態が急変した来世は、そのまま息を引き取った。
翔太が抱えていた光輝を隣に座らせると、光輝は目を輝かせ、キャッキャッ言いながら噴水に向かってヨチヨチと歩き出した。
翔太は頭が真っ白な状態で、飛び出してきたは良いものの、どう答えを出して、どんな顔して戻れば良いのかと悩んでいた。自分の世界に入り込んでしまっていたため、光輝が自分の側から離れていってることにも全く気が付かなかった。
光輝は、噴水に向かって一直線に歩いていた。この噴水は、回りの囲いが腰掛けられるようになっており、囲いと水面との間には柵などは一切無かった。
光輝は、囲いまで辿り着くと更に近付きたいがために、囲いを上ろうと足を伸ばし始めた。
「…はぁ、なぁ光輝…パパどうしたらいいかな?」
翔太はそう呟きながら光輝がいるであろう隣に目を向けたが、当然光輝の姿はなく、翔太は慌てて立ち上がって辺りを見回した。
「光輝!?光輝!?…あ!」
すると、視線の先に噴水の囲いの上にヨロヨロとバランスを取りながら立っている光輝を見つけ、慌てて噴水に向かった。
しかし、まだバランス感覚が十分に備わっていない光輝は、ヨロヨロ揺れながら、今にも噴水側に落ちそうだった。
「光輝!ダメだ!じっとしてろよ!」
翔太がそう声を上げた途端、突然の父親の大声に驚いた光輝は、身体をびくつかせ、その反動で噴水側に転落した。
「光輝ぃぃ!!」
すると、翔太よりも先に噴水に飛び込み、光輝を抱き上げて噴水から出てきた人物がいた。
片野医師だった。
片野医師は、水を飲んだのかゲホゲホしている光輝の背中を叩きながら、近くのベンチに寝かせた。そして、翔太はベンチに辿り着くと、光輝を抱き締めた。光輝は落ちた事が衝撃すぎて、泣くのを飛び越えて、何が起きたのか理解してない様子だった。
「光輝ぃ、ごめんな、目を離して。すみません、どなたか分かりませんがありがとうございました。」
翔太は光輝を優しく寝かせると、片野医師に向かって深く頭を下げた。
「いえいえ、私は言ってたんですよ。噴水には柵が必要だと。こういうことが起きるのは、病院側だって予測できたはずです。こちらこそすみません。」
何故か頭を下げる片野医師に、翔太は頭を上げて呆然としてしまった。
「とにかく、その子が無事で良かった。」
「すみません、考え事をしていて。子どもから目を離すなんて、親として失格ですよね。」
「そんなことはないですよ。それより、今日は暖かいとは言え、まだ3月の陽気です。一旦病院内に行きましょう。」
翔太たちは、片野医師に連れられ、誰もいない畳敷きの和室に通され、電気ストーブを付けた。
「車に着替えがあるんで持ってきます。」
翔太は、光輝を片野医師に託して急いで車へと向かった。
光輝は翔太が視界から消えたことで、少し不安そうな表情を浮かべたが、ストーブの赤い輝きと暖かさが興味をそそり、じっと見つめていた。
「隣失礼しますね。」
片野医師は、光輝の横に胡座をかいて座り、光輝の頭を優しく撫でた。
「ダァダ!」
光輝はストーブを指差して、何かを訴えた。
「ストーブ暖かいでしょ。今日はお父さんと二人できたのかな?」
「ダァダ!ダ!」
「そうか、そうか。」
片野医師がにこやかな表情で、光輝の相手をしていると、翔太が急いで戻ってきた。翔太は、すぐに光輝の濡れた服を脱がし、タオルで身体を拭き始めた。
片野医師は、その様子を眺めながら翔太に質問した。
「…失礼ですが、お子さんはダウン症ですか?」
「えぇ、もう3歳になるんですが、ようやく歩き始めたばかりで。…ここの先生ですよね?」
「はい。内科の片野と申します。そう言えば、さっきおっしゃっていたお悩みとは?患者さんの話でしたら、精神のケアも医師の務めでして…よろしかったらお話し願えませんか?」
翔太は真っ直ぐな目で見つめてくる片野医師を信頼し、光輝を着替えさせながら、霞の考えが正しいのか、自分はどうしたら良いのかを相談し始めた。
一方、集中治療室で保育器の中の赤ちゃんを見つめている霞は、翔太が中々戻って来ないことにイラついていた。
美枝子は、集中治療室の隅っこで鵺野医師を呼び、質問をしていた。
「先生、娘のしようとしてることは、法的には許されるんですか?」
鵺野医師は、保育器を見ている霞の背中を見つめながら答えた。
「お母さん、『安らかな死』って何だと思いますか?」
「え?…………。」
美枝子は黙り込んだ。
「延命措置をするかどうかは、あくまで現場の裁量に任されているのが、日本の医療の現状です。そして今の場合、産まれたばかりの未熟児に対して、手術をしても確実に助かるわけでもなく、助かっても重度の障害が残る可能性もあるという酷な条件です。迷ったあげく、何もせずに今のまま安らかに逝かせてあげたい…これも一つの正解だと私は思います。医者という立場上、どうしても少しでも長く生きさせてあげたいと考えてしまうのが性なんですが、それがいつも正しいとは限らない…私は今、娘さんに教えてもらった気がしています。ご主人様が戻って、最終的な結論が出たらまた近くの看護師に声を掛けてください。」
鵺野医師はそう言うと、頭を下げて集中治療室から出ていった。
「…命の期限を決める結論…何て残酷なことなのかしら…。」
美枝子は、霞の背中を見つめながら呟いた。
それから10分後、翔太が光輝を連れて集中治療室に戻ってきた。翔太は、まず目が合った美枝子に頭を下げた。霞は、翔太が戻ってきたことには気が付いていたが、無視して赤ちゃんをじっと見つめ続けていた。
翔太は、ゆっくりと霞の元に近づいた。
「か、霞。…急に飛び出してごめん。」
「………で、翔太の結論は出たの?」
霞はなおも翔太の方には振り向かずに聞いた。
「今、内科の片野先生に会ってさ。色々と話を聞いてもらってたんだ。…結論は…霞の考えに従うよ、いや、同意するよ。」
霞は振り返って翔太の顔を見た。
「……いいの?」
「あぁ。この子には、安らかに眠ってほしい。こんな小さな身体に無理に傷を付けて、それでも苦しみながら生きていく可能性があるのなら、このまま家族に見守られながら、自然に安らかに逝った方が、この子にとって一番良いことなんじゃないかと思った。…光輝、ここ座って。」
翔太は、霞の隣の丸椅子に光輝を座らせて、後ろから肩を支えながら、保育器の赤ちゃんを指差した。
「ほら光輝。お前の弟だよ。可愛いだろ?」
「ダァダ!ダァダ!」
光輝も翔太の真似をして、保育器を指差した。
「…小さいよな…ぐっ…うぅ…でも、今は頑張って…うぅ…生きてるだろ。」
「ダ!」
「…うぅ…ぐっ…。」
翔太は、光輝と並ぶ赤ちゃんの姿を見ていたら、涙が止まらなくなった。
「…翔太。この子の名前、私決めた。」
「…名前?」
「来世(らいせ)。…ごめんね…ママが早くお腹から出しちゃったから…うぅ、うぅ…。」
「…来世か。また俺たちのとこに産まれてきてくれるといいな…。」
翔太は、そっと霞を抱き寄せた。間に挟まれた光輝は、涙を流している両親を心配そうに見上げていた。
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