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第2節 畑 賢太郎
(5)
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10月15日
ー 出版社 ー
9時10分
B会議室では、昨日と同じメンバーで例の企画ページの会議が行われてる中、畑は昨日の粟田のアイディアを自分のアイディアのように自信満々にプレゼンした。
班長の稗田が畑のアイディアに頷いた。
「呪い経験者にインタビューか!なかなかいいな。ただ、当てはあるのか?」
畑は自分のノートパソコンを開いて、画面を皆に見せながら話し出した。
「実は昨日の夜に、呪いに興味がある人が集まる掲示板に書き込みを多くしてるアカウントにメールを送るコンタクトをとってみました。」
「ほほぅ、行動が早いな。それで返事は?」
山本が聞いた。
「それが…未だに無しです。今日一日待ってみます。」
稗田は、畑の話に頷きながら、スマホをカチカチ操作していたが、スマホをテーブルに置くと畑の顔を見ながら話し出した。
「畑、お前のやる気と行動力は素晴らしい。まぁ、駄目だった場合はまた別の人を捜さないとな。
…すまんが、たった今大事な来客があったようで私と編集長は対応しないといけなくなった。会議は一旦終わりにして、また午後一に再開させてくれ。その間にその人と連絡が取れるとベストなんだけどな。
それに、その頃には判決が出てるだろう…じゃあ解散!」
稗田はそう言うと、山本を連れ急いで会議室を出ていった。続いて、畑たちも会議室から執務室へと戻った。
執務室では、朝から小音量でテレビが付けられており、いつ判決が出るかと皆気が気じゃなかった。
11時48分
“ピロリンピロリン”
テレビからニュース速報の音がして、皆が一斉にテレビを凝視した。山本は立ち上がり、テレビのリモコンの一番近くにいた三戸に音量を上げるように指示をした。
ニュース速報の内容を見た瞬間、皆が響動めいた。
テレビ画面には、“呪い殺人、桐生朱美被告に有罪判決。”の文字が映っていた。
畑は初め、自分が見ている速報内容が間違っているんじゃないかと思い、急いでテレビ画面に近づき、まじまじと確認した。
「…有…罪?…す、すげぇ。」
畑は、信じらないという気持ちで、息が抜けるような呟きを溢した。その畑の真横に来た足立は、驚いた表情で画面を見つめていた。
「うぉぉ、マジか!?畑!こりゃ今回の企画マジで注目されるぞ。俺も全力でサポートするから、頑張ろうな。」
有罪判決を流すテレビに夢中の畑に、稗田が肩を叩きながら言った。
「ケッ、今回の裁判官は正気か!?呪いだぞ!呪い。んなもん認めてたら、世の中の天変地異は全て呪いで説明付いちまうぞ。だいたい呪いが科学的に証明されたって、その詳しい説明してくんなきゃ、誰も納得できねぇよ。」
余程今回の判決が気に食わないのか、荒木が声を荒げた。
「荒木さん、今回の裁判長、来月退職らしいっすよ。おかしな話っすよ、絶対国から圧力がかかってますって。」
「生駒。荒木がまた機嫌悪くなるじゃないか、火に油を注ぐようなこと言うな。……皆集まってくれ。」
山本が三戸のシマと、稗田のシマのメンバーを集めた。
「あ、そうか村上くんはフレックスだったな。今頃家でびっくりしてるだろ。
……よし!!いいか、皆。今回の判決はビッグニュースだ。どのメディアでも大きく取り上げるだろう。特に我々の雑誌業界では、同じニュースでも切り口の違う記事にしなきゃ面白みがない。面白みがなきゃ売れないわけだ。
今回の稗田班長のシマの企画ページは畑くんに主担当をお願いしている。是非とも皆でバックアップしてやってくれ。
三戸班長のシマも、今回の裁判をネタにする方向が良いと思うが、内容は練らないとな。
…とにかくだ!しばらくは世の中呪い一色になるだろう。皆アンテナ高くして使えそうな面白いネタがあったら、必ず報告してくれ。以上だ。」
皆、バラバラと自席に戻っていった。
12時を告げるチャイムが執務室内に響くと、誰かが畑の肩を叩いた。畑が振り返ると、ニコっとした表情の足立が立っていた。
「ランチ、行く?」
「は、はい!もちろん!」
畑は嬉しそうに、鞄から財布を取り出し、スマホと一緒に手に取り席を立った。
「なぁんか、急に距離縮まったな、おたくら。」
生駒がニヤニヤしながら揶揄した。
「な、なぁに言ってるんすか!仕事っすよ、仕事!ハハハハハハ…。」
畑は、照れを隠すため、足立を置いて足早に執務室を出て行った。足立は、キョトンとした表情で畑を追い掛けた。
「生駒!若者の恋路を邪魔すんな!」
「…は、はい、すんません。」
三戸に注意され、生駒もそそくさと執務室を出て行った。
「…フンッ。」
そんなやり取りを、荒木は自席で菓子パンを齧りながら不機嫌そうに見ていた。
ー 出版社 ー
9時10分
B会議室では、昨日と同じメンバーで例の企画ページの会議が行われてる中、畑は昨日の粟田のアイディアを自分のアイディアのように自信満々にプレゼンした。
班長の稗田が畑のアイディアに頷いた。
「呪い経験者にインタビューか!なかなかいいな。ただ、当てはあるのか?」
畑は自分のノートパソコンを開いて、画面を皆に見せながら話し出した。
「実は昨日の夜に、呪いに興味がある人が集まる掲示板に書き込みを多くしてるアカウントにメールを送るコンタクトをとってみました。」
「ほほぅ、行動が早いな。それで返事は?」
山本が聞いた。
「それが…未だに無しです。今日一日待ってみます。」
稗田は、畑の話に頷きながら、スマホをカチカチ操作していたが、スマホをテーブルに置くと畑の顔を見ながら話し出した。
「畑、お前のやる気と行動力は素晴らしい。まぁ、駄目だった場合はまた別の人を捜さないとな。
…すまんが、たった今大事な来客があったようで私と編集長は対応しないといけなくなった。会議は一旦終わりにして、また午後一に再開させてくれ。その間にその人と連絡が取れるとベストなんだけどな。
それに、その頃には判決が出てるだろう…じゃあ解散!」
稗田はそう言うと、山本を連れ急いで会議室を出ていった。続いて、畑たちも会議室から執務室へと戻った。
執務室では、朝から小音量でテレビが付けられており、いつ判決が出るかと皆気が気じゃなかった。
11時48分
“ピロリンピロリン”
テレビからニュース速報の音がして、皆が一斉にテレビを凝視した。山本は立ち上がり、テレビのリモコンの一番近くにいた三戸に音量を上げるように指示をした。
ニュース速報の内容を見た瞬間、皆が響動めいた。
テレビ画面には、“呪い殺人、桐生朱美被告に有罪判決。”の文字が映っていた。
畑は初め、自分が見ている速報内容が間違っているんじゃないかと思い、急いでテレビ画面に近づき、まじまじと確認した。
「…有…罪?…す、すげぇ。」
畑は、信じらないという気持ちで、息が抜けるような呟きを溢した。その畑の真横に来た足立は、驚いた表情で画面を見つめていた。
「うぉぉ、マジか!?畑!こりゃ今回の企画マジで注目されるぞ。俺も全力でサポートするから、頑張ろうな。」
有罪判決を流すテレビに夢中の畑に、稗田が肩を叩きながら言った。
「ケッ、今回の裁判官は正気か!?呪いだぞ!呪い。んなもん認めてたら、世の中の天変地異は全て呪いで説明付いちまうぞ。だいたい呪いが科学的に証明されたって、その詳しい説明してくんなきゃ、誰も納得できねぇよ。」
余程今回の判決が気に食わないのか、荒木が声を荒げた。
「荒木さん、今回の裁判長、来月退職らしいっすよ。おかしな話っすよ、絶対国から圧力がかかってますって。」
「生駒。荒木がまた機嫌悪くなるじゃないか、火に油を注ぐようなこと言うな。……皆集まってくれ。」
山本が三戸のシマと、稗田のシマのメンバーを集めた。
「あ、そうか村上くんはフレックスだったな。今頃家でびっくりしてるだろ。
……よし!!いいか、皆。今回の判決はビッグニュースだ。どのメディアでも大きく取り上げるだろう。特に我々の雑誌業界では、同じニュースでも切り口の違う記事にしなきゃ面白みがない。面白みがなきゃ売れないわけだ。
今回の稗田班長のシマの企画ページは畑くんに主担当をお願いしている。是非とも皆でバックアップしてやってくれ。
三戸班長のシマも、今回の裁判をネタにする方向が良いと思うが、内容は練らないとな。
…とにかくだ!しばらくは世の中呪い一色になるだろう。皆アンテナ高くして使えそうな面白いネタがあったら、必ず報告してくれ。以上だ。」
皆、バラバラと自席に戻っていった。
12時を告げるチャイムが執務室内に響くと、誰かが畑の肩を叩いた。畑が振り返ると、ニコっとした表情の足立が立っていた。
「ランチ、行く?」
「は、はい!もちろん!」
畑は嬉しそうに、鞄から財布を取り出し、スマホと一緒に手に取り席を立った。
「なぁんか、急に距離縮まったな、おたくら。」
生駒がニヤニヤしながら揶揄した。
「な、なぁに言ってるんすか!仕事っすよ、仕事!ハハハハハハ…。」
畑は、照れを隠すため、足立を置いて足早に執務室を出て行った。足立は、キョトンとした表情で畑を追い掛けた。
「生駒!若者の恋路を邪魔すんな!」
「…は、はい、すんません。」
三戸に注意され、生駒もそそくさと執務室を出て行った。
「…フンッ。」
そんなやり取りを、荒木は自席で菓子パンを齧りながら不機嫌そうに見ていた。
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