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第4節 池畑 一輝
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ー 科学研究所 ー
13時02分
杉崎、池畑、溝口の3人は、実験を見届けるため佐倉の研究室に到着していた。佐倉は助手の3人と実験の準備を続けていた。
「なぁ、佐倉。例の装置ってこれか?」
池畑たちの目の前には胸の前で両腕で円を作った程度の大きさの機械が置かれていた。
「そうよ。あ、府川(ふかわ)くん、その子たちはこっちの机の上にお願い。」
助手の府川が持ってる籠にはハツカネズミが10匹程度入っていた。
「よし、準備完了!志澤(しざわ)さんは記録係、府川くんは撮影係、瀬古(せこ)さんは私の手伝いをお願いね。」
佐倉がそう言うと、助手たちは言われたポジションでスタンバイした。助手たちのスタンバイを確認すると、佐倉は池畑たちに向かって話を始めた。
「今日は杉崎課長までいらしていただき、ありがとうございます。もうじき上の者たちが来ますので、来たら実験始めますね。」
そう言ってる最中、研究室の扉が開き、二人の男性が入ってきた。
「いやぁ杉崎課長お待たせしちゃってすみません。お久しぶりです。」
「工藤(くどう)所長、お久しぶりです。所長まで立ち会うんですか。」
「それは佐倉くんから、世紀の発明だと聞き、是非にと言われてしまってねぇ。北野(きたの)副所長と一緒に参加させてもらいますよ。」
工藤たちと池畑たちは、互いに初対面の挨拶を交わし、実験を見守る位置に着いた。その様子を確認すると佐倉は、深呼吸で気合いを入れ直してから、再び話し始めた。
「では実験を始めます。今日の主役はこの装置です。まずはこの装置の中身や仕組みについて説明します…」
佐倉が細かく説明を始めた。池畑にとっては二回目の説明だが、相変わらず難しく、ちんぷんかんぷんだった。杉崎と溝口も頷ずきながら聞いてはいるが、恐らくわかっちゃいないだろうなという顔に見えた。
だが、工藤と北野は青天の霹靂のような表情をし、佐倉の話す言葉を真剣にメモに残していた。佐倉の説明の中で、何回か工藤と北野から質問が出たが佐倉は即答していた。勿論、そのやりとりも池畑たちにはちんぷんかんぷんだった。
「…ということで、言葉での説明はこれくらいにして、実際に目で見てもらおうかと思います。」
そう言うと佐倉は、一枚の写真を取り出した。
「この写真は、ここにいる10匹のハツカネズミのうちの一匹です。分かりやすいように、頬に赤い印をつけております。」
確かに写真のネズミと同じ特徴のネズミが籠の中にもいた。すると、佐倉はその写真を装置の真ん中にあるスペースに置いた。
「今からこのネズミを気絶させます。」
そう言うと佐倉は、装置の側面にあるスイッチを押し、装置の下部にある手形のスペースに両手をそれぞれ置いて、何かを念じているように眉間にシワを寄せ目を瞑った。
一分ほど経っただろうか、籠の中の頬に印のついたネズミだけ様子がおかしく見えた。
小刻みに震えだし、そのままおもちゃのように横に倒れ動かなくなったのだ。
「…マジか…。」
溝口が思わず声に出した。工藤と北野、助手たちは拍手喝采だった。安堵の表情を浮かべた佐倉は更に写真を取り出した。
「これはそこにいる池畑刑事の写真です。」
その写真は付き合ってる時期に佐倉が撮ったものだった。
「池畑さん、この部屋を出て最上階の8階にある喫茶室に行って、お好きな席に座って待っていてください。」
佐倉はそう言うと研究室の扉を開け、池畑を部屋から出した。再び扉を閉めると装置の前に戻り、池畑の写真をさっきと同じ装置の真ん中にあるスペースに置いた。
「今から池畑さんには、自ら水が入ったグラスを持ち、頭の上から水を被るように命じます。この実験は対象を人間にすることと、距離が離れても実現可能であることを証明する実験です。…では始めます。」
そう言うと佐倉は、先程と同じように両手を手形のスペースに置き、念じ始めた。
先程のハツカネズミの時より五分ほど長く念じ、ふぅと深呼吸して全てを終えた。
「今から数分後に池畑さんは自ら水を被るはずです。皆さんで8階に行きましょう。」
そう言うと佐倉は皆を誘導し、エレベーターを利用し8階へと向かった。
8階に着くと、エレベーターから直ぐの場所に喫茶室があった。溝口が我先にと喫茶室の中を覗くと、タオルで顔やスーツを拭いている池畑の姿があった。
喫茶室の外で、メンバーからは響動めきがあがった。佐倉は一人喫茶室に入り、池畑に事情を説明し、一緒に店員に謝罪し喫茶室を出た。
研究室へ戻る道中に溝口が池畑に聞いた。
「何がどうなったんですか?」
「いや、なんつーか、知らぬ間に水を被っていた。普通に座ってボーッとメニューを眺めていたら、急に目の前の景色がさ、まるで居眠りから覚めたようにパッと切り替わった。
そしたら、何故か席を立って片手に空のグラスを持ち、頭から全身びしょ濡れになってる自分がいて………本当にそれしか説明の仕様がない。」
そんな池畑の感想を工藤たちは頷きながらメモに残していた。池畑は何がなんだか分からないという恐怖で寒気を感じていた。
研究室に戻ると再び装置の周りに皆が集まった。
「どうでしたか?実験は狙い通りの結果になりました。」
佐倉の言葉に皆からは拍手が起こった。そんな中、溝口が手を挙げて質問をした。
「あのぅ、池畑さんの時の方が、ハツカネズミの時より念じる時間が長かったように感じましたが、それは何故ですか。」
佐倉が即答した。
「理由は三つです。一つは対象物が大きかったこと、二つ目は距離の違い、そして三つ目は対象物の知能の違いです。
この装置は、対象物の脳に直接働きかけを行い、対象物の自我と戦いをすることになります。対象物は当然自分を守ろうとする。つまり、命を奪うような命令はよほど強い念を送り、相手の自我を負かす必要があります。
知能が高いものほど時間とエネルギーを要するのです。今回のは水を被るという内容で命に関わることじゃなかったため、エネルギー自体は大してかかっていませんが、やはりハツカネズミより池畑さんのが知能が高かったということですね。」
工藤たちは、最後のセリフに大声で笑ったが、杉崎たちは笑い所が分からずキョトンとしていた。溝口がまた手を挙げた。
「つまり、相手に負けて失敗することもあるということ。あと、相手の命を奪うような命令は大きなエネルギーがいるということですね。」
「その通りです。」
「エネルギーってのは何なんだ。」
びしょびしょにされて、どこか不機嫌の池畑が口を出した。さっきからの寒気は、恐怖ではなく水を浴びたことによるものだと悟っていた。
「エネルギーってのは、念じることによって発生するもので、如何にその対象物に対する感情があるかで大きさが変わるものだと考えています。
分かりやすく例を出すと、自殺してほしいという命令には、大きな怨みつらみがあるわけで、その感情がエネルギーになるわけです。
あ、そうだ一つ言い忘れてた。このエネルギーは熱をもっています。つまり、相手の脳に熱を与えることと同義なわけで、エネルギーが大きいほど、その熱量も上がります。相手を死に追いやるようなエネルギーは余程の熱量を帯びており、きっと脳自体にも何らかの症状が出てるはずです。」
「おまっ、俺の脳は大丈夫だろうな!?」
池畑が慌てて声を荒げた。
「今回のは熱量小さいから大丈夫よ。何にも影響はない…はず。」
“はず”ってと池畑は思ったが、何も言わなかった。ただただ単純に凄いと感心してしまった。
「佐倉くん、この装置を造ったのは君じゃない女性と言っていたね。その女性は何者なんだ?」
工藤が佐倉に聞いたが佐倉は答えをもっていなかったので、池畑が答えた。
「今、名前と住所を元に素性を捜査してます。しかし課長、これは本当に桐生が殺したかもしれませんよ。」
「あぁ、可能性はあるな。とにかくその女性の捜査を頼むよ。」
「わかりました。…佐倉、今日はありがとう。また何か新しいことがわかったら教えてくれ。」
「そっちも、桐生の正体わかったらよろしく。」
杉崎たちは工藤たちに礼を言い、職場に戻ることにした。
「あ、池畑刑事ちょっと待って。この写真、記念にどうぞ。」
佐倉はニヤニヤしながら、実験に使った池畑の写真を池畑に渡した。
「こりゃ、どうも。」
池畑は苦笑いしながら乱暴に写真を奪いとると、一応胸ポケットに写真を仕舞った。
13時02分
杉崎、池畑、溝口の3人は、実験を見届けるため佐倉の研究室に到着していた。佐倉は助手の3人と実験の準備を続けていた。
「なぁ、佐倉。例の装置ってこれか?」
池畑たちの目の前には胸の前で両腕で円を作った程度の大きさの機械が置かれていた。
「そうよ。あ、府川(ふかわ)くん、その子たちはこっちの机の上にお願い。」
助手の府川が持ってる籠にはハツカネズミが10匹程度入っていた。
「よし、準備完了!志澤(しざわ)さんは記録係、府川くんは撮影係、瀬古(せこ)さんは私の手伝いをお願いね。」
佐倉がそう言うと、助手たちは言われたポジションでスタンバイした。助手たちのスタンバイを確認すると、佐倉は池畑たちに向かって話を始めた。
「今日は杉崎課長までいらしていただき、ありがとうございます。もうじき上の者たちが来ますので、来たら実験始めますね。」
そう言ってる最中、研究室の扉が開き、二人の男性が入ってきた。
「いやぁ杉崎課長お待たせしちゃってすみません。お久しぶりです。」
「工藤(くどう)所長、お久しぶりです。所長まで立ち会うんですか。」
「それは佐倉くんから、世紀の発明だと聞き、是非にと言われてしまってねぇ。北野(きたの)副所長と一緒に参加させてもらいますよ。」
工藤たちと池畑たちは、互いに初対面の挨拶を交わし、実験を見守る位置に着いた。その様子を確認すると佐倉は、深呼吸で気合いを入れ直してから、再び話し始めた。
「では実験を始めます。今日の主役はこの装置です。まずはこの装置の中身や仕組みについて説明します…」
佐倉が細かく説明を始めた。池畑にとっては二回目の説明だが、相変わらず難しく、ちんぷんかんぷんだった。杉崎と溝口も頷ずきながら聞いてはいるが、恐らくわかっちゃいないだろうなという顔に見えた。
だが、工藤と北野は青天の霹靂のような表情をし、佐倉の話す言葉を真剣にメモに残していた。佐倉の説明の中で、何回か工藤と北野から質問が出たが佐倉は即答していた。勿論、そのやりとりも池畑たちにはちんぷんかんぷんだった。
「…ということで、言葉での説明はこれくらいにして、実際に目で見てもらおうかと思います。」
そう言うと佐倉は、一枚の写真を取り出した。
「この写真は、ここにいる10匹のハツカネズミのうちの一匹です。分かりやすいように、頬に赤い印をつけております。」
確かに写真のネズミと同じ特徴のネズミが籠の中にもいた。すると、佐倉はその写真を装置の真ん中にあるスペースに置いた。
「今からこのネズミを気絶させます。」
そう言うと佐倉は、装置の側面にあるスイッチを押し、装置の下部にある手形のスペースに両手をそれぞれ置いて、何かを念じているように眉間にシワを寄せ目を瞑った。
一分ほど経っただろうか、籠の中の頬に印のついたネズミだけ様子がおかしく見えた。
小刻みに震えだし、そのままおもちゃのように横に倒れ動かなくなったのだ。
「…マジか…。」
溝口が思わず声に出した。工藤と北野、助手たちは拍手喝采だった。安堵の表情を浮かべた佐倉は更に写真を取り出した。
「これはそこにいる池畑刑事の写真です。」
その写真は付き合ってる時期に佐倉が撮ったものだった。
「池畑さん、この部屋を出て最上階の8階にある喫茶室に行って、お好きな席に座って待っていてください。」
佐倉はそう言うと研究室の扉を開け、池畑を部屋から出した。再び扉を閉めると装置の前に戻り、池畑の写真をさっきと同じ装置の真ん中にあるスペースに置いた。
「今から池畑さんには、自ら水が入ったグラスを持ち、頭の上から水を被るように命じます。この実験は対象を人間にすることと、距離が離れても実現可能であることを証明する実験です。…では始めます。」
そう言うと佐倉は、先程と同じように両手を手形のスペースに置き、念じ始めた。
先程のハツカネズミの時より五分ほど長く念じ、ふぅと深呼吸して全てを終えた。
「今から数分後に池畑さんは自ら水を被るはずです。皆さんで8階に行きましょう。」
そう言うと佐倉は皆を誘導し、エレベーターを利用し8階へと向かった。
8階に着くと、エレベーターから直ぐの場所に喫茶室があった。溝口が我先にと喫茶室の中を覗くと、タオルで顔やスーツを拭いている池畑の姿があった。
喫茶室の外で、メンバーからは響動めきがあがった。佐倉は一人喫茶室に入り、池畑に事情を説明し、一緒に店員に謝罪し喫茶室を出た。
研究室へ戻る道中に溝口が池畑に聞いた。
「何がどうなったんですか?」
「いや、なんつーか、知らぬ間に水を被っていた。普通に座ってボーッとメニューを眺めていたら、急に目の前の景色がさ、まるで居眠りから覚めたようにパッと切り替わった。
そしたら、何故か席を立って片手に空のグラスを持ち、頭から全身びしょ濡れになってる自分がいて………本当にそれしか説明の仕様がない。」
そんな池畑の感想を工藤たちは頷きながらメモに残していた。池畑は何がなんだか分からないという恐怖で寒気を感じていた。
研究室に戻ると再び装置の周りに皆が集まった。
「どうでしたか?実験は狙い通りの結果になりました。」
佐倉の言葉に皆からは拍手が起こった。そんな中、溝口が手を挙げて質問をした。
「あのぅ、池畑さんの時の方が、ハツカネズミの時より念じる時間が長かったように感じましたが、それは何故ですか。」
佐倉が即答した。
「理由は三つです。一つは対象物が大きかったこと、二つ目は距離の違い、そして三つ目は対象物の知能の違いです。
この装置は、対象物の脳に直接働きかけを行い、対象物の自我と戦いをすることになります。対象物は当然自分を守ろうとする。つまり、命を奪うような命令はよほど強い念を送り、相手の自我を負かす必要があります。
知能が高いものほど時間とエネルギーを要するのです。今回のは水を被るという内容で命に関わることじゃなかったため、エネルギー自体は大してかかっていませんが、やはりハツカネズミより池畑さんのが知能が高かったということですね。」
工藤たちは、最後のセリフに大声で笑ったが、杉崎たちは笑い所が分からずキョトンとしていた。溝口がまた手を挙げた。
「つまり、相手に負けて失敗することもあるということ。あと、相手の命を奪うような命令は大きなエネルギーがいるということですね。」
「その通りです。」
「エネルギーってのは何なんだ。」
びしょびしょにされて、どこか不機嫌の池畑が口を出した。さっきからの寒気は、恐怖ではなく水を浴びたことによるものだと悟っていた。
「エネルギーってのは、念じることによって発生するもので、如何にその対象物に対する感情があるかで大きさが変わるものだと考えています。
分かりやすく例を出すと、自殺してほしいという命令には、大きな怨みつらみがあるわけで、その感情がエネルギーになるわけです。
あ、そうだ一つ言い忘れてた。このエネルギーは熱をもっています。つまり、相手の脳に熱を与えることと同義なわけで、エネルギーが大きいほど、その熱量も上がります。相手を死に追いやるようなエネルギーは余程の熱量を帯びており、きっと脳自体にも何らかの症状が出てるはずです。」
「おまっ、俺の脳は大丈夫だろうな!?」
池畑が慌てて声を荒げた。
「今回のは熱量小さいから大丈夫よ。何にも影響はない…はず。」
“はず”ってと池畑は思ったが、何も言わなかった。ただただ単純に凄いと感心してしまった。
「佐倉くん、この装置を造ったのは君じゃない女性と言っていたね。その女性は何者なんだ?」
工藤が佐倉に聞いたが佐倉は答えをもっていなかったので、池畑が答えた。
「今、名前と住所を元に素性を捜査してます。しかし課長、これは本当に桐生が殺したかもしれませんよ。」
「あぁ、可能性はあるな。とにかくその女性の捜査を頼むよ。」
「わかりました。…佐倉、今日はありがとう。また何か新しいことがわかったら教えてくれ。」
「そっちも、桐生の正体わかったらよろしく。」
杉崎たちは工藤たちに礼を言い、職場に戻ることにした。
「あ、池畑刑事ちょっと待って。この写真、記念にどうぞ。」
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