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『勇者の剣』奪還編
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ロイが生きていることに加え、自分に傷の痛みが全くないこと…疑問だらけのグルトは、微笑むロイを見つめながら言った。
「…ロイ、説明してくれ。」
ロイは頷き、首元から服の中に手を入れ、紫色に光る石を取り出し、グルトに見せた。
「僕が持ってるこの石の力です。」
グルトは、ロイの石を初めて間近で見たが、拳ほどの大きさの滴の形をしている石からは、何とも言えないパワーを感じた。
すると、グルトは枕元に置かれた短刀を手に取り、無言でロイに渡した。ロイは、訳も分からずに受け取った。
「短刀裏返して、柄の部分を見てみろ。」
ロイはグルトの指示通りに見てみると、柄の部分に自分が見せた石と同じ物が嵌め込まれていた。ただ、色は紫色ではなく水色をしていた。
「…『ティアーズストーン』と呼ばれる魔法石だ。俺の短刀に付いているのは、『スカイブルーティアー』、通称『空の涙』…あらゆる気象現象を操ることが出来る石だ。」
「…石を剣に…こんな使い方があったんですね。気象現象…そうか、あの強い光はお日さまの光ですね。」
ロイが、スカイブルーティアーを触りながら言った。グルトは頷いて、ロイから短刀を返して貰い、短刀を見つめながら答えた。
「あぁ。あらゆる気象現象って言っても、俺にはまだ3つの力しか使いこなせていない。今ロイが言った強力な光、セルヴォーとテヒニクを倒すのに使った雷、そして、デストリュに傷を負わせたつむじ風だ。」
「そう言えば、デストリュは手に深い傷を負ってましたね。つむじ風であんな傷が?」
「つむじ風ってのは中心部に強力な力があってな。そこに触れると傷を負う。世の中では、かまいたちなんて呼ばれているが、正体は空気の圧さ。スカイブルーティアーの威力は、通常のつむじ風の数十倍…腕の切断だって容易さ。」
ロイは、グルトの説明を興味深々に聞いていた。グルトは、ロイの顔を見て、思い出したように言った。
「そうだ!俺の話なんかより、何でロイが無事で、俺の傷が治ってて…ん?まてよ…パープルティアー、確か色々と聞いたことがあるぞ。その力はティアーズストーンの中でも最強と言われ、有する力は不死身、奪略、破壊…どれが本当かはわからんが…。」
グルトの話にロイがニコリと笑って答えた。
「多分全部ですよ!でも、この石がパープルティアーって言われていることとか、グルトさんの石のような通称名とかは僕は知りません。この石は、父親から私が受け継いだ物で、詳しい話を聞く前に、父親は…急に…他界してしまいまして。」
グルトは驚いた。パープルティアーの能力、あらゆる物を奪略し、破壊し、不死身の肉体を授けるという噂が本当だったこと。そして、その最強と言われている石を、勇者とは言え、齢15歳の少年が持ち歩いているということに。
グルトは、ロイの目をじっと見つめた。
「…ロイ、もう一度聞く。ロイが生きていること、俺の傷が治っていること、全部説明してくれ。」
「…ロイ、説明してくれ。」
ロイは頷き、首元から服の中に手を入れ、紫色に光る石を取り出し、グルトに見せた。
「僕が持ってるこの石の力です。」
グルトは、ロイの石を初めて間近で見たが、拳ほどの大きさの滴の形をしている石からは、何とも言えないパワーを感じた。
すると、グルトは枕元に置かれた短刀を手に取り、無言でロイに渡した。ロイは、訳も分からずに受け取った。
「短刀裏返して、柄の部分を見てみろ。」
ロイはグルトの指示通りに見てみると、柄の部分に自分が見せた石と同じ物が嵌め込まれていた。ただ、色は紫色ではなく水色をしていた。
「…『ティアーズストーン』と呼ばれる魔法石だ。俺の短刀に付いているのは、『スカイブルーティアー』、通称『空の涙』…あらゆる気象現象を操ることが出来る石だ。」
「…石を剣に…こんな使い方があったんですね。気象現象…そうか、あの強い光はお日さまの光ですね。」
ロイが、スカイブルーティアーを触りながら言った。グルトは頷いて、ロイから短刀を返して貰い、短刀を見つめながら答えた。
「あぁ。あらゆる気象現象って言っても、俺にはまだ3つの力しか使いこなせていない。今ロイが言った強力な光、セルヴォーとテヒニクを倒すのに使った雷、そして、デストリュに傷を負わせたつむじ風だ。」
「そう言えば、デストリュは手に深い傷を負ってましたね。つむじ風であんな傷が?」
「つむじ風ってのは中心部に強力な力があってな。そこに触れると傷を負う。世の中では、かまいたちなんて呼ばれているが、正体は空気の圧さ。スカイブルーティアーの威力は、通常のつむじ風の数十倍…腕の切断だって容易さ。」
ロイは、グルトの説明を興味深々に聞いていた。グルトは、ロイの顔を見て、思い出したように言った。
「そうだ!俺の話なんかより、何でロイが無事で、俺の傷が治ってて…ん?まてよ…パープルティアー、確か色々と聞いたことがあるぞ。その力はティアーズストーンの中でも最強と言われ、有する力は不死身、奪略、破壊…どれが本当かはわからんが…。」
グルトの話にロイがニコリと笑って答えた。
「多分全部ですよ!でも、この石がパープルティアーって言われていることとか、グルトさんの石のような通称名とかは僕は知りません。この石は、父親から私が受け継いだ物で、詳しい話を聞く前に、父親は…急に…他界してしまいまして。」
グルトは驚いた。パープルティアーの能力、あらゆる物を奪略し、破壊し、不死身の肉体を授けるという噂が本当だったこと。そして、その最強と言われている石を、勇者とは言え、齢15歳の少年が持ち歩いているということに。
グルトは、ロイの目をじっと見つめた。
「…ロイ、もう一度聞く。ロイが生きていること、俺の傷が治っていること、全部説明してくれ。」
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