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『勇者の剣』奪還編
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フルールは、突然何もない空間にロイが現れたことに驚き、叫びそうになった口に手をあて、目を見開いた。ロイは慌てて静かにと、ジェスチャーで伝えた。
フルールが落ち着きを取り戻し、口から手を話すと、ロイがゆっくり近付き頭を下げた。
「ごめんね、急に驚かして。フルールの姿を見て、声を掛けずにいられなくて。」
ロイとフルールは同じ地区に住む幼馴染みだった。フルールはロイより2つ年下で、背が小さくショートヘアの似合う可愛いらしい女の子だ。小さい頃に母親を病気で亡くし、父親と二人で仲睦まじく暮らしており、父親同士も仲が良く、ロイとは家族ぐるみの付き合いをしていた。
ロイは、自分が勇者として旅立つ前は、フルールは城の使用人などではなく、父親の仕事の手伝いをしていた記憶があったため、フルールがこの場にいることが不思議だった。
「…ロイ…だよね。」
フルールは、目を潤おわせながらロイに飛び付いた。
「良かった。…ロイ…処刑場所から姿を消したって聞いたから…生きてて嬉しい。」
ロイは、フルールの言葉で今の自分の立場を思い出した。この国では罪人扱いであり、しかも処刑場から逃亡した身だということに。
ロイは、優しくフルールを自分から引き離し、フルールの両肩を掴みながら目を見て聞いた。
「…フルール。君はどうしてここにいるんだ?家族は?」
フルールは、下を向き悲しげな表情で答えた。
「…父さん、この城の役人に連れていかれたの。ラマジ王国との戦いに備えるためにって…。父さんと離れたくなかった私は、城の使用人として雇って貰えるようにお願いして、それで…。」
「…そんなことが。ラマジ王国との戦い?確か、フルールの父さんって…。」
「考古学者だよ。…ラマジ王国の歴史の中に、ドミナ王の弱点があるはずだって、ティグル王が考えたみたいなの。…父さんは、今ラマジ王国に向かわされているわ。」
ロイは、涙を流しながら教えてくれているフルールを優しく抱き締めた。
「…フルール。僕がこの城での用事を済ませたら一緒にここを…。」
ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ。
ロイの言葉に重なるように、扉の向こうの廊下で、不気味な足音が近付いてくるのが分かった。フルールは、抱き締められているロイが小刻みに震えていることに気が付いた。
「…ロイ?」
「シ!静かに…。」
ヒタヒタヒタヒタ。
ロイは咄嗟にフルールの口を手で塞いだ。今まさに、扉の向こうにテヒニクがいる予感がしたのだ。
ロイは、フルールを抱き締めながら、息を殺してテヒニクの足音が遠ざかるのを待った。
ヒタヒタ…。
「………おかしいな。」
足音は、扉周辺をさ迷いながら、遠ざかるわけでもなく急に止んだ。
ロイは、そっとフルールを離し、調理場の奥へ行くよう促すと、ゆっくりと扉へと近付いた。そっと、扉に耳を当ててみたが、テヒニクの足音は聞こえなかった。
「………消えた?」
ロイは、フルールの元へ戻ろうと振り返ると、フルールは調理場の奥で座り込み、怯えた表情で扉の上の方を指差していた。
ロイがすぐさまフルールが指差す箇所をみると、扉の上にある換気用の隙間から、ギロリと光った二つの大きな目がこちらを睨んでいた。
「…テヒニク。」
「ガァキィ!!そこにいたのかぁ!!」
ロイは、フルールに危害が加わらないようにと、直ぐに剣を抜き、扉から廊下へと出た。
フルールが落ち着きを取り戻し、口から手を話すと、ロイがゆっくり近付き頭を下げた。
「ごめんね、急に驚かして。フルールの姿を見て、声を掛けずにいられなくて。」
ロイとフルールは同じ地区に住む幼馴染みだった。フルールはロイより2つ年下で、背が小さくショートヘアの似合う可愛いらしい女の子だ。小さい頃に母親を病気で亡くし、父親と二人で仲睦まじく暮らしており、父親同士も仲が良く、ロイとは家族ぐるみの付き合いをしていた。
ロイは、自分が勇者として旅立つ前は、フルールは城の使用人などではなく、父親の仕事の手伝いをしていた記憶があったため、フルールがこの場にいることが不思議だった。
「…ロイ…だよね。」
フルールは、目を潤おわせながらロイに飛び付いた。
「良かった。…ロイ…処刑場所から姿を消したって聞いたから…生きてて嬉しい。」
ロイは、フルールの言葉で今の自分の立場を思い出した。この国では罪人扱いであり、しかも処刑場から逃亡した身だということに。
ロイは、優しくフルールを自分から引き離し、フルールの両肩を掴みながら目を見て聞いた。
「…フルール。君はどうしてここにいるんだ?家族は?」
フルールは、下を向き悲しげな表情で答えた。
「…父さん、この城の役人に連れていかれたの。ラマジ王国との戦いに備えるためにって…。父さんと離れたくなかった私は、城の使用人として雇って貰えるようにお願いして、それで…。」
「…そんなことが。ラマジ王国との戦い?確か、フルールの父さんって…。」
「考古学者だよ。…ラマジ王国の歴史の中に、ドミナ王の弱点があるはずだって、ティグル王が考えたみたいなの。…父さんは、今ラマジ王国に向かわされているわ。」
ロイは、涙を流しながら教えてくれているフルールを優しく抱き締めた。
「…フルール。僕がこの城での用事を済ませたら一緒にここを…。」
ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ。
ロイの言葉に重なるように、扉の向こうの廊下で、不気味な足音が近付いてくるのが分かった。フルールは、抱き締められているロイが小刻みに震えていることに気が付いた。
「…ロイ?」
「シ!静かに…。」
ヒタヒタヒタヒタ。
ロイは咄嗟にフルールの口を手で塞いだ。今まさに、扉の向こうにテヒニクがいる予感がしたのだ。
ロイは、フルールを抱き締めながら、息を殺してテヒニクの足音が遠ざかるのを待った。
ヒタヒタ…。
「………おかしいな。」
足音は、扉周辺をさ迷いながら、遠ざかるわけでもなく急に止んだ。
ロイは、そっとフルールを離し、調理場の奥へ行くよう促すと、ゆっくりと扉へと近付いた。そっと、扉に耳を当ててみたが、テヒニクの足音は聞こえなかった。
「………消えた?」
ロイは、フルールの元へ戻ろうと振り返ると、フルールは調理場の奥で座り込み、怯えた表情で扉の上の方を指差していた。
ロイがすぐさまフルールが指差す箇所をみると、扉の上にある換気用の隙間から、ギロリと光った二つの大きな目がこちらを睨んでいた。
「…テヒニク。」
「ガァキィ!!そこにいたのかぁ!!」
ロイは、フルールに危害が加わらないようにと、直ぐに剣を抜き、扉から廊下へと出た。
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