31 / 78
『勇者の剣』奪還編
31
しおりを挟む
「はぁ…はぁ…はぁ…とりあえず、倒したのか?」
ロイは息を切らして、フラフラになりながら、デストリュの横を通過し、フルールの元に駆け寄った。
「フルール。大丈夫か?」
フルールは笑顔で頷いたが、ロイには無理している笑顔だと分かった。ロイは、フルールの下半身に乗っかっている瓦礫を退け、手を貸してゆっくりとフルールを立たせた。
「フルールのおかげだよ。本当に凄いな。」
ロイはフルールを抱き寄せて呟いた。
「…ロイ。もう一人の人は大丈夫なの?」
「あっ!!」
フルールの言葉に、ロイは慌ててグルトの元に駆け寄った。
「グルト、大丈夫?」
「…ったく。よくわかんねぇけど、可愛い子と見せ付けてくれるぜ。」
目を逸らしながら話すグルトに、ロイは慌ててグルトの身体を覆っている瓦礫を退かし始めた。グルトは首から上と短刀を持っている左手以外は全て瓦礫の下敷きになっていた。
ロイとフルールは、痛みに耐えながら瓦礫を少しずつ退かし、漸くグルトの上半身が姿を現した。ロイは、更にグルトの右腕を覆っている瓦礫を掴み持ち上げると、グルトが苦痛の表情を浮かべた。
「っぐぅぅ。…ロイ。俺の右手どうなってる?手を動かす感覚がねぇんだ。」
ロイはグルトの言葉に、急いで2、3個大きな瓦礫を退かすと、目の前の光景に言葉を失った。
グルトは、激しい痛みだけで動かしている感覚のない自分の腕の状態を見るのが恐ろしくなり、目を瞑って顔を逸らした。
ロイは、そんなグルトを気遣いながらも真実を告げずにはいられなかった。フルールもロイの後ろで、口元を押さえながら目を見開いていた。
「…グルト…その、腕なんだけど…ない…無いんだ。」
グルトは、涙声で話すロイの意味が分からなかった。意を決して視線を右腕にゆっくりと持っていった。
ロイの言葉の意味を理解した。
右肩から先が無かった。
デストリュの一撃で、右腕は押し潰され肩から先がもげてしまっていた。
その痛々しいものを直視し、グルトは痛みが更に増し、悶えるように身体を激しく動かした。
「ぐぅぅおぉぉぉ。…ちくしょう…ちくしょう。」
「グルト。落ち着け!先ずは止血しないと!」
ロイは、痛みで暴れるグルトを押さえつけたが、どうしたら良いか分からず、涙を流した。
「…ロイ。下がって!」
すると、フルールが背後からロイに退くように促し、杖をグルトの傷口に向けた。
「ソワン!」
フルールが呪文を唱えると、杖の先から緑色に輝く光の粉が生まれ、グルトの傷口に降り注いだ。
「簡易的な回復魔法よ。私のレベルじゃ、腕を復活させるような技術はないけど、止血して痛みを取るくらいなら、この魔法でできるわ。」
すると、グルトの傷口から滴り落ちていた血液が止まり、傷口自体も徐々に皮膚で覆われていった。
「…痛みがない。」
グルトは驚き、左手で塞がれた傷口をそっと触った。
「良かった。グルト…。」
バタンッ!
ロイは、涙を拭って安堵の表情を浮かべると、その場に倒れてしまった。グルトは、慌てて左手でロイを仰向けの体勢に変えた。
「…ロイ!!」
「大丈夫。ロイもデストリュの攻撃を喰らってたのに、無理してしまっただけです。同じ回復魔法で…。」
フルールはそう言いながら回復魔法をロイに向けたが、ふとグルトを見ると、目を見開いて視線をフルールの背後に向けていることに気が付き、フルールも後ろを振り返った。
すると、倒れているデストリュの様子をじっと見ているヨシミツの姿が視線に入ってきた。
「やれやれ、やはり石は壊れたかのぅ。」
ヨシミツはそう呟くと、身体の向きをグルトたちの方角に変え、 ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
ロイは息を切らして、フラフラになりながら、デストリュの横を通過し、フルールの元に駆け寄った。
「フルール。大丈夫か?」
フルールは笑顔で頷いたが、ロイには無理している笑顔だと分かった。ロイは、フルールの下半身に乗っかっている瓦礫を退け、手を貸してゆっくりとフルールを立たせた。
「フルールのおかげだよ。本当に凄いな。」
ロイはフルールを抱き寄せて呟いた。
「…ロイ。もう一人の人は大丈夫なの?」
「あっ!!」
フルールの言葉に、ロイは慌ててグルトの元に駆け寄った。
「グルト、大丈夫?」
「…ったく。よくわかんねぇけど、可愛い子と見せ付けてくれるぜ。」
目を逸らしながら話すグルトに、ロイは慌ててグルトの身体を覆っている瓦礫を退かし始めた。グルトは首から上と短刀を持っている左手以外は全て瓦礫の下敷きになっていた。
ロイとフルールは、痛みに耐えながら瓦礫を少しずつ退かし、漸くグルトの上半身が姿を現した。ロイは、更にグルトの右腕を覆っている瓦礫を掴み持ち上げると、グルトが苦痛の表情を浮かべた。
「っぐぅぅ。…ロイ。俺の右手どうなってる?手を動かす感覚がねぇんだ。」
ロイはグルトの言葉に、急いで2、3個大きな瓦礫を退かすと、目の前の光景に言葉を失った。
グルトは、激しい痛みだけで動かしている感覚のない自分の腕の状態を見るのが恐ろしくなり、目を瞑って顔を逸らした。
ロイは、そんなグルトを気遣いながらも真実を告げずにはいられなかった。フルールもロイの後ろで、口元を押さえながら目を見開いていた。
「…グルト…その、腕なんだけど…ない…無いんだ。」
グルトは、涙声で話すロイの意味が分からなかった。意を決して視線を右腕にゆっくりと持っていった。
ロイの言葉の意味を理解した。
右肩から先が無かった。
デストリュの一撃で、右腕は押し潰され肩から先がもげてしまっていた。
その痛々しいものを直視し、グルトは痛みが更に増し、悶えるように身体を激しく動かした。
「ぐぅぅおぉぉぉ。…ちくしょう…ちくしょう。」
「グルト。落ち着け!先ずは止血しないと!」
ロイは、痛みで暴れるグルトを押さえつけたが、どうしたら良いか分からず、涙を流した。
「…ロイ。下がって!」
すると、フルールが背後からロイに退くように促し、杖をグルトの傷口に向けた。
「ソワン!」
フルールが呪文を唱えると、杖の先から緑色に輝く光の粉が生まれ、グルトの傷口に降り注いだ。
「簡易的な回復魔法よ。私のレベルじゃ、腕を復活させるような技術はないけど、止血して痛みを取るくらいなら、この魔法でできるわ。」
すると、グルトの傷口から滴り落ちていた血液が止まり、傷口自体も徐々に皮膚で覆われていった。
「…痛みがない。」
グルトは驚き、左手で塞がれた傷口をそっと触った。
「良かった。グルト…。」
バタンッ!
ロイは、涙を拭って安堵の表情を浮かべると、その場に倒れてしまった。グルトは、慌てて左手でロイを仰向けの体勢に変えた。
「…ロイ!!」
「大丈夫。ロイもデストリュの攻撃を喰らってたのに、無理してしまっただけです。同じ回復魔法で…。」
フルールはそう言いながら回復魔法をロイに向けたが、ふとグルトを見ると、目を見開いて視線をフルールの背後に向けていることに気が付き、フルールも後ろを振り返った。
すると、倒れているデストリュの様子をじっと見ているヨシミツの姿が視線に入ってきた。
「やれやれ、やはり石は壊れたかのぅ。」
ヨシミツはそう呟くと、身体の向きをグルトたちの方角に変え、 ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい
和泉鷹央
恋愛
王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。
そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。
「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」
「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」
「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」
「えっ……!?」
「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」
しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。
でも、コンスタンスは見てしまった。
朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……
他の投稿サイトにも掲載しています。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる