勇者と七つの涙

雨木良

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『勇者の剣』奪還編

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フルールは、セルヴォーよりも先にリュックを手に取り中身を調べた。

「…凄い。このリュックもアルドさんの魔導具ね。中が無限の空間だわ。」

フルールがリュックに上半身を突っ込むと、そこには薄暗い空間が広がり、無数の魔導具がまるでゴミの集積所のように、無造作に積み上げられていた。

「…アルド先生、魔導具の整理が苦手だったんだっけかな…。」

フルールはそう呟くと全身をリュックの中に入れ、中の空間に着地し、手当たり次第魔導具を調べた。

一方、背中に一撃を喰らったセルヴォーは痛みに耐え、ロイたちから距離をとった。

ロイたちには相変わらずセルヴォーの姿が見えていないが、痛みにより荒い気を発しているようで、セルヴォーのだいたいの位置は分かっていた。

「グルト。短刀が刺さっても血が出ないのかな。」

「いや、血も透明なだけだろう。俺の短刀にも見た目には血が付いていないが、触れば感触がある。…血の跡が見えれば姿も見えたも同然で楽なのにな。」

その時、ロイとグルトの間を何かが通り抜けた。セルヴォーとは違う何かに、二人は呆気にとられ硬直してしまった。

「グルト…今の何かな?」

「…さぁ。」

二人が目を逸らした次の瞬間、セルヴォーが剣を振り上げグルトに斬りかかった。

「…しまった。」

グルトは反射的に防御しようと身体を動かしたが、日頃からの癖で利き腕の右腕を振り上げてしまった。勿論、右腕は無いため、セルヴォーの刃を防ぐことはできない。

「…くそ。」

グルトは、覚悟し目を瞑った。

カキーン!

グルトがゆっくり目を開けると、ロイがグルトの顔ギリギリの所まで剣を伸ばし、セルヴォーの刃を受け止めていた。

「…ロイ。」

「このまま防御に徹するだけじゃ勝てないよね。」

ロイはそう言うと、目を瞑りセルヴォーの気配を読み取った。ロイは目を瞑ったまま、セルヴォーの気配に斬りかかった。

カキン!カキン!カキン! 

「…なんだ。何で私の攻撃が読める。」

「…焦ってるのか?セルヴォー。」

「くっ。ナメるなよ、ガキがぁ!」

セルヴォーは一旦距離をとると、左の鞘から剣をもう一本抜き、二刀流の構えでロイと対峙した。ロイたちは、剣を鞘から抜く音で、セルヴォーが二刀流になったと察した。

「ロイ。こっちも二刀流だ。」

グルトはそう言うと、ロイより先にセルヴォーに斬りかかった。

シュッ! 

間違いなくセルヴォーの身体目掛けて振り下ろしたグルトの刃は、剣で受け止められることもなく、スカしてしまった。次の瞬間、グルトはすぐ背後にセルヴォーの気配を感じた。

「…馬鹿な。」

慌てて振り向くも、その瞬間セルヴォーが二本の剣を振り下ろした。

ズザッ!ビシャッ!

「ぐっ。」

グルトは成す術なく、二本の刃をまともに胸に受け、血渋きが床に飛んだ。

「グルト!!」

ロイは、セルヴォーの背後から、剣を振り下ろした。

シュッ!

だが、やはり手応えはなく、ロイが戸惑っていると、すぐ背後に気配を感じた。ロイは、振り向き様に剣を横に振った。

カキン! 

セルヴォーは、剣でロイの一撃を止めた。

「…ふん。そっちのガキよりは出来るか…。」

ロイは、続けて斬りかかるが、またセルヴォーの気配が一瞬で消え、すぐ背後に感じた。ロイは再び振り向き様に剣を横に振った。

シュッ!

再び手応えがなく、また背後に気配を感じ、振り向き様に剣で斬りかかった。

シュッ!

「…ふん。反応がいいな。」

セルヴォーはそう呟くと、ロイと距離を取った。ロイは、セルヴォーの気配を近くに感じなくなり、不安な表情を浮かべた。剣を構えながら、一瞬グルトに視線を向けると、床にうつ伏せで倒れ、動かない姿が目に入り、更に焦りを募らせた。

シュルルル…。
「な、何だ!?」

次の瞬間、ロイは何かを身体に巻き付けられ、身動きが取れない状態になった。
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