67 / 78
『闇の世界』脱出編 ーオンブル国ー
66
しおりを挟む
「…どうしたの、グルト?」
シュドの姿を見たまま固まっているグルトに、ロイが心配そうに問い掛けた。
「…こいつ、デスラじゃないのか?」
「デスラ?」
「虎の姿をした魔族、ティーグル族の中で神と崇められている存在だ。1000年前ラマジ王国が滅んだきっかけとなった『二世界戦争』に参戦し、偉大な功績をあげたと讃えられている。」
グルトの話にロイは固まってしまっていた。その表情を見て、グルトは鼻で笑った。
「…わかってるよ、1000年前に生きてた奴が今も生きてるわきゃねぇって話だろ?俺もそう思うよ。だが、こいつの額の紋章と顔につけられた無数の傷は、俺が文献で見たデスラそのものだ。」
「よく知ってるじゃないか、小僧。」
突然背後から声がし、一斉に振り返った。
そこには、シュドと同じような出で立ちで、黒いマントを羽織った何者かが立っていた。
グルトとロイは直ぐに剣を構えて戦闘体勢を取った。
「ハハハ、まぁそう直ぐに争おうとするな。儂はウエスト、デヴィルド王に仕える西の番人だ。シュドはまだ死なすわけにはいかん故、回収に来ただけだ。」
「…お前ら、何故そう簡単にこの場所に来れるんだ?」
グルトの問い掛けに、ウエストは鼻で笑った。
「ハハハ、我々にとってお主らの気を感じることさえできれば、瞬間移動など容易いことだ。…退いてもらおうか。」
ウエストはそう言いながらシュドの元に向かってゆっくり歩きだした。
「待て!このシュドってのは、本当にあのデスラなのか?」
「…そうだ。我々、王の守護神『チュラトリー』は、1000年前の二世界戦争の際、功績を残しながらも命を落とした魔族の集まりだ。」
「…それって…つまり1000年前の死人を生き返らせたってことか…。」
ロイは驚き、ウエストに向けていた剣が震えていた。
テヒニクの治療に当たっていて身動きできないフルールも、ウエストの動きを警戒していた。
「…時間がない故、失礼するよ。」
ウエストは倒れているシュドに手を伸ばした。
「ま、待て!…そいつを渡すわけにはいかねぇ!…呼び込め、ベンティスカダガー!!」
グルトが剣から吹雪を起こすと、ウエストは剣をグルトに向けた。
「ニュイラージュ!」
すると、ウエストの剣が黒く変色し、切っ先から黒い何かが飛び出すと、瞬く間にグルトを闇のような靄で包み込んだ。
「…何だ?…うわああああああっ!」
「グルト!?」
靄の中からはグルトの悲鳴だけが聞こえていた。
「グルトに一体何をした!!」
ロイが震える剣をウエストに向けながら叫んだ。
「ハハハ、小僧のくせに強がるんだな。…いいだろう、…西の番人は夜の番人。夜は漆黒の闇。闇の中には恐怖しか眠っておらん。グルトとかいう小僧は、この世の恐怖を一身に受けているのさ。…このまま何十年、何百年と、この世の恐怖が無くならない限り、あの闇からは抜け出せやしない。…儂は戦闘は好まん。攻撃さえしなければ、儂からは何もせぬ。さっさと剣を仕舞いなさい。おっ、そうだ、失念するところだったわ。お主の持っているティアーズストーンを儂に寄越しなさい。」
ウエストはニヤリと微笑みながら、ロイに掌を差し出した。
シュドの姿を見たまま固まっているグルトに、ロイが心配そうに問い掛けた。
「…こいつ、デスラじゃないのか?」
「デスラ?」
「虎の姿をした魔族、ティーグル族の中で神と崇められている存在だ。1000年前ラマジ王国が滅んだきっかけとなった『二世界戦争』に参戦し、偉大な功績をあげたと讃えられている。」
グルトの話にロイは固まってしまっていた。その表情を見て、グルトは鼻で笑った。
「…わかってるよ、1000年前に生きてた奴が今も生きてるわきゃねぇって話だろ?俺もそう思うよ。だが、こいつの額の紋章と顔につけられた無数の傷は、俺が文献で見たデスラそのものだ。」
「よく知ってるじゃないか、小僧。」
突然背後から声がし、一斉に振り返った。
そこには、シュドと同じような出で立ちで、黒いマントを羽織った何者かが立っていた。
グルトとロイは直ぐに剣を構えて戦闘体勢を取った。
「ハハハ、まぁそう直ぐに争おうとするな。儂はウエスト、デヴィルド王に仕える西の番人だ。シュドはまだ死なすわけにはいかん故、回収に来ただけだ。」
「…お前ら、何故そう簡単にこの場所に来れるんだ?」
グルトの問い掛けに、ウエストは鼻で笑った。
「ハハハ、我々にとってお主らの気を感じることさえできれば、瞬間移動など容易いことだ。…退いてもらおうか。」
ウエストはそう言いながらシュドの元に向かってゆっくり歩きだした。
「待て!このシュドってのは、本当にあのデスラなのか?」
「…そうだ。我々、王の守護神『チュラトリー』は、1000年前の二世界戦争の際、功績を残しながらも命を落とした魔族の集まりだ。」
「…それって…つまり1000年前の死人を生き返らせたってことか…。」
ロイは驚き、ウエストに向けていた剣が震えていた。
テヒニクの治療に当たっていて身動きできないフルールも、ウエストの動きを警戒していた。
「…時間がない故、失礼するよ。」
ウエストは倒れているシュドに手を伸ばした。
「ま、待て!…そいつを渡すわけにはいかねぇ!…呼び込め、ベンティスカダガー!!」
グルトが剣から吹雪を起こすと、ウエストは剣をグルトに向けた。
「ニュイラージュ!」
すると、ウエストの剣が黒く変色し、切っ先から黒い何かが飛び出すと、瞬く間にグルトを闇のような靄で包み込んだ。
「…何だ?…うわああああああっ!」
「グルト!?」
靄の中からはグルトの悲鳴だけが聞こえていた。
「グルトに一体何をした!!」
ロイが震える剣をウエストに向けながら叫んだ。
「ハハハ、小僧のくせに強がるんだな。…いいだろう、…西の番人は夜の番人。夜は漆黒の闇。闇の中には恐怖しか眠っておらん。グルトとかいう小僧は、この世の恐怖を一身に受けているのさ。…このまま何十年、何百年と、この世の恐怖が無くならない限り、あの闇からは抜け出せやしない。…儂は戦闘は好まん。攻撃さえしなければ、儂からは何もせぬ。さっさと剣を仕舞いなさい。おっ、そうだ、失念するところだったわ。お主の持っているティアーズストーンを儂に寄越しなさい。」
ウエストはニヤリと微笑みながら、ロイに掌を差し出した。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる