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日常1 彼がずっといる
「ねぇプヨ。彼はいつまでお仕事お休みなんだろ?」
ミィは、ソファに寝そべってテレビを見ている飼い主を見ながら言った。
「さぁ。ここしばらくずっと家にいるよね。お仕事辞めたのかな?」
金魚鉢の中でプヨが答えた。
ミィとプヨは、マンション7階の2LDKの部屋に30代の男の飼い主と一緒に住んでいる。
二匹は、今から半年前に、同じペットショップで飼い主に買われてきたマンチカンと真っ赤な金魚。
普通なら弱肉強食の世界が成り立つ二匹だが、初めて来た場所に不安を抱えていた同じ境遇の二匹は、自然と仲良くなった。
二匹は、毎日プヨの金魚鉢が置かれている、三段の本棚の上から飼い主を眺めたり、人間についてを語り合っていた。
さて、本日の二匹の話題は飼い主がここ数日間、ずっと家にいて、更には1日のほとんどをソファで横になって過ごしているということだ。
「あ、あれだよ。きっと今は寒いから、彼は暖かくなるのを待ってるのさ。」
プヨの言葉に、ミィは首を傾げた。
「でも、うちらはそんなことしないよ。」
「こないださ、テレビっていう箱で映ってるの見たんだ。えーと、何だっけかなぁ…。」
プヨは思い出せなくて、悔しい表情を浮かべた。
「あ、それってあれ?クマっていう超怖そうな生き物のやつ!?」
「そうそう!何だっけかなぁ。外が暖かくなるまで寝てるってやつ!」
プヨは、思い出せない自分が悔しくて頭をヒレでポコポコと叩いた。
「や、やめなよぉ!頭叩くとバカになるって、さっきとは違うやつでやってたよ。」
ミィの言葉に、プヨは静止した。
「え!?マジ?そりゃ困るな。でも思い出せないって何か気持ち悪いね。」
「うちもそういうのよくあるよ!例えばぁ、ご飯の時に、昨日の夜は何食べたっけって考えるんだけど、全く思い出せないの。」
「そ、そうなんだ。ハハハハハ…。」
プヨは、ミィは毎日全く同じキャットフードしか食べてないことを知っていたので、ミィの言葉を疑った。
「ほらまた今も!昨日食べたものが…。」
「ね、ねぇ!それよりさ、彼は結局何でずっとお仕事行かないのか考えようよ。」
ミィの言葉が本気か冗談か分からなかったプヨは、慌てて話題を元に戻した。
「うーん、何だろうね。あ、あとさ、彼がこんな時間まで起きてるのも珍しいね。」
ミィは、リビングのカーテンの隙間から見える外の景色と壁に掛かっている時計を見て、人間たちが気にする“時間”というものを少し理解していた。
「ほら、もう11時を過ぎたよ。」
「確かに、ミィの言う通り、今日は全然寝る部屋に行こうとしないね。…それにさ、彼は今日長い時間、ずっとお歌を歌うやつばかりを見てるね。」
「そうだね。ずっと同じようなの見てて面白いのかな?」
テレビでは、様々な歌手が男女交互に歌を披露していた。
“続いては、ユーミンこと松任谷由実さんです。”
テレビの声にプヨが反応した。
「とーみんだ!」
プヨが嬉しそうに発した言葉に、ミィはビクッとした。
「な、何!?」
「さっきのやつだよ!クマが暖かくなるまで寝てること!とーみん!!」
「あ、あぁ、とーみんか。彼もそれかな?」
「うーん、ここに来て寒い季節を過ごすのは初めてだからさ、彼のことはまだわかんないよね。」
二匹は、相変わらずソファに横になったままの飼い主を見つめていた。
それからしばらくして、窓の外から、ボーン、ボーンと鈍い音が街を包みこんだ。
“明けましておめでとうございまぁす!”
「ねぇ、プヨ。どういう意味?」
「…さぁ。何がおめでとうなんだろ。」
二匹は互いに目を見合わせた。
ミィは、ソファに寝そべってテレビを見ている飼い主を見ながら言った。
「さぁ。ここしばらくずっと家にいるよね。お仕事辞めたのかな?」
金魚鉢の中でプヨが答えた。
ミィとプヨは、マンション7階の2LDKの部屋に30代の男の飼い主と一緒に住んでいる。
二匹は、今から半年前に、同じペットショップで飼い主に買われてきたマンチカンと真っ赤な金魚。
普通なら弱肉強食の世界が成り立つ二匹だが、初めて来た場所に不安を抱えていた同じ境遇の二匹は、自然と仲良くなった。
二匹は、毎日プヨの金魚鉢が置かれている、三段の本棚の上から飼い主を眺めたり、人間についてを語り合っていた。
さて、本日の二匹の話題は飼い主がここ数日間、ずっと家にいて、更には1日のほとんどをソファで横になって過ごしているということだ。
「あ、あれだよ。きっと今は寒いから、彼は暖かくなるのを待ってるのさ。」
プヨの言葉に、ミィは首を傾げた。
「でも、うちらはそんなことしないよ。」
「こないださ、テレビっていう箱で映ってるの見たんだ。えーと、何だっけかなぁ…。」
プヨは思い出せなくて、悔しい表情を浮かべた。
「あ、それってあれ?クマっていう超怖そうな生き物のやつ!?」
「そうそう!何だっけかなぁ。外が暖かくなるまで寝てるってやつ!」
プヨは、思い出せない自分が悔しくて頭をヒレでポコポコと叩いた。
「や、やめなよぉ!頭叩くとバカになるって、さっきとは違うやつでやってたよ。」
ミィの言葉に、プヨは静止した。
「え!?マジ?そりゃ困るな。でも思い出せないって何か気持ち悪いね。」
「うちもそういうのよくあるよ!例えばぁ、ご飯の時に、昨日の夜は何食べたっけって考えるんだけど、全く思い出せないの。」
「そ、そうなんだ。ハハハハハ…。」
プヨは、ミィは毎日全く同じキャットフードしか食べてないことを知っていたので、ミィの言葉を疑った。
「ほらまた今も!昨日食べたものが…。」
「ね、ねぇ!それよりさ、彼は結局何でずっとお仕事行かないのか考えようよ。」
ミィの言葉が本気か冗談か分からなかったプヨは、慌てて話題を元に戻した。
「うーん、何だろうね。あ、あとさ、彼がこんな時間まで起きてるのも珍しいね。」
ミィは、リビングのカーテンの隙間から見える外の景色と壁に掛かっている時計を見て、人間たちが気にする“時間”というものを少し理解していた。
「ほら、もう11時を過ぎたよ。」
「確かに、ミィの言う通り、今日は全然寝る部屋に行こうとしないね。…それにさ、彼は今日長い時間、ずっとお歌を歌うやつばかりを見てるね。」
「そうだね。ずっと同じようなの見てて面白いのかな?」
テレビでは、様々な歌手が男女交互に歌を披露していた。
“続いては、ユーミンこと松任谷由実さんです。”
テレビの声にプヨが反応した。
「とーみんだ!」
プヨが嬉しそうに発した言葉に、ミィはビクッとした。
「な、何!?」
「さっきのやつだよ!クマが暖かくなるまで寝てること!とーみん!!」
「あ、あぁ、とーみんか。彼もそれかな?」
「うーん、ここに来て寒い季節を過ごすのは初めてだからさ、彼のことはまだわかんないよね。」
二匹は、相変わらずソファに横になったままの飼い主を見つめていた。
それからしばらくして、窓の外から、ボーン、ボーンと鈍い音が街を包みこんだ。
“明けましておめでとうございまぁす!”
「ねぇ、プヨ。どういう意味?」
「…さぁ。何がおめでとうなんだろ。」
二匹は互いに目を見合わせた。
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