ミィとプヨ

雨木良

文字の大きさ
2 / 15

日常2 テレビって…

しおりを挟む
今日は久しぶりに飼い主が仕事に出掛けていった。

ミィは、テーブルの上に無造作に置かれたテレビのリモコンの電源ボタンを器用に肉球でポンと押した。

“さぁ、続いてのニュースですが…。”

「ミィ、いつものやつにしてぇ。」

本棚の上の金魚鉢の中で、水面から顔を出したプヨが大きな声で言った。

「わかってるよ。」

ミィはまた器用に肉球でリモコンのボタンをポンと押した。

テレビ画面は、ニュース番組から、子ども向け番組に切り替わった。

ミィはジャンプで本棚に飛び乗り、プヨの横に来ると、リラックスしてテレビ画面を見つめた。

「朝からニュースってやつ見るとさ、気分落ち込まない?」

プヨが呟いた。

「何で?」

「だってさ、暗い話ばっかりだし、明るい話っていうのも、よく知らない人間の男と女が仲良くなったとか、子どもが出来たとか、正直どうでもいいことばっかりじゃん。」

「なぁるほど。確かに、うちもニュースよりこっちの方が好きだなぁ。」

二匹は、しばらくテレビに夢中になっていたが、ふとミィがぼそりと呟いた。

「…テレビっていう箱の中の人間ってどうなってんだろ…。」

プヨは、その呟きに気が付き、水面から顔を出した。

「ねぇ、ミィ。今のどういう意味?」

「…え?あぁ、あのテレビって箱の中に、どうやってあんなに人間が入ってるのかなぁって。」

ミィは、テレビの仕組みを理解出来ていなかった。

「…え?」

プヨもテレビの仕組みなんて考えたことがなかった。

「この家に来てからさ、ずっとテレビを見てて、楽しいなって思ってるけど、よく考えたら、どうやってあの人間たちはあの薄い箱に入ってるのかなって…。」

真剣な眼差しでテレビを見つめながら話すミィに、プヨをテレビを見つめて考えた。

人間の頭脳は未知で、きっと凄い技術が使われているはずだとプヨは考え、一つの結論にたどり着いた。

「…ミィ。きっとさ、どっかから入れるんじゃない? 」

「え?入るって?」

「だからさ、きっとあのあの箱のどっかに中に入るスイッチか何かがあって、うまく説明出来ないけど、ギューッて吸いまれるんだよ!画面の中に!」

真剣に話すプヨの言葉を信じた純粋なミィは、本棚から飛び降り、ゆっくりとテレビに近付いた。

「どこかなぁ?」

「何かそれっぽいのない?」

プヨがそう言いと、ミィはテレビの裏側に回った。

「…うぇー。ゴホッ、ゴホッ。」

ミィは咳き込みながら、逃げるように裏側から出てきた。

「大丈夫?」

「ホコリが凄いよ。でもさ、裏側も見たけど線がいっぱい付いてただけで、それっぽいスイッチは無かったよ。ゴホッ、ゴホッ。」

ミィは咳き込みながらプヨの隣に戻った。ミィがプヨを見ると、プヨはじっとテレビ画面を見つめて考え込んでいた。

「…プヨ?」

「わかったぁ!!」

プヨが突然大声を上げたので、ミィはビックリして仰け反った。

「な、何さ!?」

「ふっふーん、わかったよ!」

得意気な表情に変わったプヨは、テレビ画面をヒレで差しながら言い放った。

「勢い付けて飛び込むんだ!あの箱に向かって飛び込むんだよ!!」

あまりに自信ありげに話すプヨに、ミィもそんな気がして、ゆっくりと本棚を降りると、テレビ画面の正面に距離を取って座った。

「…じゃ、じゃあやってみるよ。」

少しビビりながら話すミィ。

「大丈夫だよ!絶対…多分。」

「よ、よし!!…いっくぞぉぉぉ!!」

ミィは全速力でテレビ画面に向かって走り、画面に身体をぶつけるように飛び掛かった。

「ミィ、いっけぇぇぇ!!」

…ゴンッ!!!

鈍い音が部屋に響いた。

「…ごめん、ミィ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

処理中です...