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第1章 少女と紫色
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夏音には、全ての人間の「色」が見えている。
その人の前面に、その人を型どった影のようなものが現れ、その影は人によって様々な色をしている。
また、必ず頭の部分からつま先にかけて、色が異なり、グラデーションのような色合いをしていた。
しかし、その影のような物体は常に夏音の目に見えているわけではなかった。とは言え、好きな時に見れるものでもなく、急に見え始め、気が付くと見えなくなっている事の繰り返しだった。
夏音は、その影のような物を「イロカゲ」と勝手に呼んでいた。
祖母の家に着いたお昼前には、祖母のイロカゲは、頭の部分が明るいオレンジ色でつま先にかけて、明るいねずみ色をしていた。4歳の夏音にも、オレンジ色は楽しい時や嬉しい時の気持ちを表していることが分かっていた。
それは、夏音の家庭では、そのオレンジ色のイロカゲが日々溢れていたからだ。夏音がお手伝いをしたり、面白いリアクションをすると、家族は喜んだり笑ったり、イロカゲは明るいオレンジ色になっていた。夏音は、そのイロカゲを見るのが好きで、毎日家族を楽しませる事や喜ばせる事を意識していた。
今日、祖母の家に着いた時も、祖母と一恵は明るいオレンジ色のイロカゲだった。
しかし、夏音はイロカゲを自分の好きな時に見ることができないため、田舎での遊びに夢中だった間は、イロカゲが現れることはなく、次に現れた時が、夕飯前の祖母の紫色のイロカゲだったのだ。
今、目の前で、優しくしてくれた大好きな祖母が、人形のように横たわり動かなくなっている現実を4歳の夏音は受け止めきれなかった。愛弓は、そっと夏音を抱き寄せ、夏音の目を塞ぐように、夏音の顔を自分にすり寄せた。
夏音の頭に、一滴の雫が落ちた。
「あーちゃん?」
夏音は顔を上げ、愛弓の顔を見つめた。愛弓は、横たわる祖母と、慌てふためく両親を見つめ、静かに泣いていた。
救急車が到着すると、祖母は直ぐに乗せられ、彰と一恵が付き添いで同乗し、家から15分程の公立病院へと向かって行った。
広い部屋には、すっかり冷めきった多くの料理と、夏音、愛弓、茜の三人が残り、茜は涙を拭いながら、気が抜けたように畳に座り込んだ。
「…ママ?おばあちゃん大丈夫だよね?」
愛弓が涙を流しながら恐る恐る茜に聞くと、茜は両腕を広げ、愛弓を抱きしめる仕草をした。愛弓は、涙や鼻水でぐしゃぐしゃの顔のまま、茜の胸に飛び込んだ。茜は、優しく愛弓の頭を撫でながら落ち着かせようとした。
夏音には、まだイロカゲが見えており、二人のイロカゲは温かさを感じる桃色をしていた。
「夏音ちゃんもおいで。」
茜の誘いに夏音も茜の胸に飛び込み、優しく頭を撫でられている内に、急に悲しさなのか、怖さなのか、よくわからない感情が押し寄せ、勝手に涙が溢れてきた。
三人はそのまま、20分後に彰から、祖母の死を告げる電話があるまで抱き合っていた。
その人の前面に、その人を型どった影のようなものが現れ、その影は人によって様々な色をしている。
また、必ず頭の部分からつま先にかけて、色が異なり、グラデーションのような色合いをしていた。
しかし、その影のような物体は常に夏音の目に見えているわけではなかった。とは言え、好きな時に見れるものでもなく、急に見え始め、気が付くと見えなくなっている事の繰り返しだった。
夏音は、その影のような物を「イロカゲ」と勝手に呼んでいた。
祖母の家に着いたお昼前には、祖母のイロカゲは、頭の部分が明るいオレンジ色でつま先にかけて、明るいねずみ色をしていた。4歳の夏音にも、オレンジ色は楽しい時や嬉しい時の気持ちを表していることが分かっていた。
それは、夏音の家庭では、そのオレンジ色のイロカゲが日々溢れていたからだ。夏音がお手伝いをしたり、面白いリアクションをすると、家族は喜んだり笑ったり、イロカゲは明るいオレンジ色になっていた。夏音は、そのイロカゲを見るのが好きで、毎日家族を楽しませる事や喜ばせる事を意識していた。
今日、祖母の家に着いた時も、祖母と一恵は明るいオレンジ色のイロカゲだった。
しかし、夏音はイロカゲを自分の好きな時に見ることができないため、田舎での遊びに夢中だった間は、イロカゲが現れることはなく、次に現れた時が、夕飯前の祖母の紫色のイロカゲだったのだ。
今、目の前で、優しくしてくれた大好きな祖母が、人形のように横たわり動かなくなっている現実を4歳の夏音は受け止めきれなかった。愛弓は、そっと夏音を抱き寄せ、夏音の目を塞ぐように、夏音の顔を自分にすり寄せた。
夏音の頭に、一滴の雫が落ちた。
「あーちゃん?」
夏音は顔を上げ、愛弓の顔を見つめた。愛弓は、横たわる祖母と、慌てふためく両親を見つめ、静かに泣いていた。
救急車が到着すると、祖母は直ぐに乗せられ、彰と一恵が付き添いで同乗し、家から15分程の公立病院へと向かって行った。
広い部屋には、すっかり冷めきった多くの料理と、夏音、愛弓、茜の三人が残り、茜は涙を拭いながら、気が抜けたように畳に座り込んだ。
「…ママ?おばあちゃん大丈夫だよね?」
愛弓が涙を流しながら恐る恐る茜に聞くと、茜は両腕を広げ、愛弓を抱きしめる仕草をした。愛弓は、涙や鼻水でぐしゃぐしゃの顔のまま、茜の胸に飛び込んだ。茜は、優しく愛弓の頭を撫でながら落ち着かせようとした。
夏音には、まだイロカゲが見えており、二人のイロカゲは温かさを感じる桃色をしていた。
「夏音ちゃんもおいで。」
茜の誘いに夏音も茜の胸に飛び込み、優しく頭を撫でられている内に、急に悲しさなのか、怖さなのか、よくわからない感情が押し寄せ、勝手に涙が溢れてきた。
三人はそのまま、20分後に彰から、祖母の死を告げる電話があるまで抱き合っていた。
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