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最終章 先生と透明
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「…先生、前に私と奏が、環奈の異変に気が付いたかどうか質問した時、知らないって嘘…つきましたよね?」
夏音の言葉に、朝倉は眉間にしわを寄せた。夏音が続けた。
「何で嘘付いたんですか?本当は、あの時、環奈がイジメに合っていたこと知ってたんじゃ。」
朝倉は正面を向き、ゆっくり答えた。
「…あぁ、知ってたよ。…僕だって、環奈を助けてやりたかった。…でも、あの子は僕に相談にすら来なかった。…きっと、僕に心配を掛けたくないと、気を遣ったんだと思う。…それでも、無理にでも事情を聞き出していれば…毎日後悔しているよ。」
朝倉が答える中、夏音は朝倉のイロカゲを確認した。嘘を表すネズミ色ではなく、言葉通り、後悔を表すイロカゲだった。
すると、朝倉は夏音の方を向き、目を見ながら言った。
「…環奈は僕の実の娘だったんだ。」
「!?」
「!?」
二人は同時に驚いた表情を浮かべた。夏音にとっては、朝倉の告白内容も衝撃的なものだったが、それ以上に朝倉のイロカゲが急に消えてしまったことに驚いた。だが、何故朝倉が、自分で話した内容に自分で驚いているのか、夏音には分からなかった。
対して、朝倉は夏音の表情を見て、ひとつの結論に達していた。
「…そうか。君も見えるのか?人に被さるように写る様々な色が。」
「え?君もって…。」
朝倉の言葉に、夏音はまた混乱した。つまり、朝倉にもイロカゲが見えているということだと理解するのに時間が掛かった。
「以前ね。環奈と同時にこの力を使った時に、お互いにお互いの色が見えなくなったことがあってね。…どうやら、能力者同士が、能力をオンにした状態で互いを見ると、相手の色は消えてしまうらしい。…詳しい理由はわからないがね。」
「…ちょっと待ってください。つまり、環奈にも同じ力が?」
夏音は、次々に判明する新たな事実に、襲われているような気分だった。それだけ、思考と気持ちが付いていけなかったのだ。
だが、思い返してみれば、環奈の絵は、正にイロカゲを描いているような作品ばかりだった。
「環奈と僕は少し能力の中身が違ってね。…僕は人の命の期限が見えて、環奈は人の感情が見える能力があったんだ。君は?」
「私のイロカゲは…あ、その…能力は…。」
「イロカゲ!なるほど、色が付いた影のようなものだからね。いいね!イロカゲって呼び方。今日から僕もそう呼ぶことにするよ。」
自分が付けた名前を誉められた夏音は、何だか照れくさかった。
「安直な名前です、すみません。…それで、私のイロカゲは…両方です。」
夏音の言葉に朝倉は、目を見開いた。
「り、両方!?」
朝倉のリアクションに、夏音は少しびっくりしたが、頷いて答えた。
「私の場合は、人の形をしたイロカゲが上半身と下半身、別々の色が見えるんです。…誰に聞いたわけでもないですが、物心付いた時から見えていたので、経験で学びまして、小学生高学年くらいの時に、上半身が人の感情で、下半身が人の寿命を表しているってことが段々と分かってきたんです。」
夏音はそう言うと、鞄から一冊のノートを取り出し、朝倉に手渡した。朝倉は、ペラペラと中身を見た。
「これって…もしかして、そのイロカゲの…。」
「はい。今までで判明している感情を表す色の意味を纏めたノートです。色はパッと見、同じに見えても、少し違うだけで意味も違うことが分かりまして…。それだけ人の感情ってのは複雑なんだなって理解しました。」
朝倉は、最後のページまで中身を見るとノートを閉じた。
「ホントに凄いな。ありがとう。」
朝倉はそう言うと、ノートを夏音に返した。夏音は、ノートを鞄に仕舞いながら、朝倉に聞いた。
「…先生は、この能力についてどう考えてますか?…私色々悩んでて。私は、イロカゲに助けられたこともありましたが、やっぱり人の感情や命の期限が分かってしまうってのは、正直生きづらい部分もあるなって。」
朝倉は、夏音の話を頷きながら聞き、朝倉も自身の考えを答えた。
「僕はね、この能力は神様が与えてくれた使命だと思ってるよ。必ず何かの役に立つ能力だって、そう思ってる。僕の能力は、人の命の期限、これは寿命とは違って、不慮の事故や災害で近い未来に亡くなってしまう人も分かるんだ。可能であれば、そういう人たちを救いたい。」
夏音は、正に神楽の時がそうだったと思った。自分の能力が人の命を救ったのだ。朝倉の言葉の通りなら、神様からの使命を少しだけ全う出来ている気持ちになれた。
「…ただ、環奈は悩んでいたよ。あの子は、まだイロカゲのコントロールが出来なかったみたいなんだ。…環奈が亡くなる二週間前、僕は環奈に実の父親だって告白した。もっと僕を頼って欲しかったんだ。環奈も薄々気付いていたみたいで、思ってたよりリアクションが薄かったよ。それから、イジメについての相談はなかったけど、イロカゲについての相談があった。その時、僕の能力も教えて、さっき言った同時に使ってみるって実験もしたんだ。」
悲しげな顔で話す朝倉の話を、夏音はじっと聞き入った。
胸の内に溜まっていたものを一気に吐き出すかのように、朝倉の話は続いた。
夏音の言葉に、朝倉は眉間にしわを寄せた。夏音が続けた。
「何で嘘付いたんですか?本当は、あの時、環奈がイジメに合っていたこと知ってたんじゃ。」
朝倉は正面を向き、ゆっくり答えた。
「…あぁ、知ってたよ。…僕だって、環奈を助けてやりたかった。…でも、あの子は僕に相談にすら来なかった。…きっと、僕に心配を掛けたくないと、気を遣ったんだと思う。…それでも、無理にでも事情を聞き出していれば…毎日後悔しているよ。」
朝倉が答える中、夏音は朝倉のイロカゲを確認した。嘘を表すネズミ色ではなく、言葉通り、後悔を表すイロカゲだった。
すると、朝倉は夏音の方を向き、目を見ながら言った。
「…環奈は僕の実の娘だったんだ。」
「!?」
「!?」
二人は同時に驚いた表情を浮かべた。夏音にとっては、朝倉の告白内容も衝撃的なものだったが、それ以上に朝倉のイロカゲが急に消えてしまったことに驚いた。だが、何故朝倉が、自分で話した内容に自分で驚いているのか、夏音には分からなかった。
対して、朝倉は夏音の表情を見て、ひとつの結論に達していた。
「…そうか。君も見えるのか?人に被さるように写る様々な色が。」
「え?君もって…。」
朝倉の言葉に、夏音はまた混乱した。つまり、朝倉にもイロカゲが見えているということだと理解するのに時間が掛かった。
「以前ね。環奈と同時にこの力を使った時に、お互いにお互いの色が見えなくなったことがあってね。…どうやら、能力者同士が、能力をオンにした状態で互いを見ると、相手の色は消えてしまうらしい。…詳しい理由はわからないがね。」
「…ちょっと待ってください。つまり、環奈にも同じ力が?」
夏音は、次々に判明する新たな事実に、襲われているような気分だった。それだけ、思考と気持ちが付いていけなかったのだ。
だが、思い返してみれば、環奈の絵は、正にイロカゲを描いているような作品ばかりだった。
「環奈と僕は少し能力の中身が違ってね。…僕は人の命の期限が見えて、環奈は人の感情が見える能力があったんだ。君は?」
「私のイロカゲは…あ、その…能力は…。」
「イロカゲ!なるほど、色が付いた影のようなものだからね。いいね!イロカゲって呼び方。今日から僕もそう呼ぶことにするよ。」
自分が付けた名前を誉められた夏音は、何だか照れくさかった。
「安直な名前です、すみません。…それで、私のイロカゲは…両方です。」
夏音の言葉に朝倉は、目を見開いた。
「り、両方!?」
朝倉のリアクションに、夏音は少しびっくりしたが、頷いて答えた。
「私の場合は、人の形をしたイロカゲが上半身と下半身、別々の色が見えるんです。…誰に聞いたわけでもないですが、物心付いた時から見えていたので、経験で学びまして、小学生高学年くらいの時に、上半身が人の感情で、下半身が人の寿命を表しているってことが段々と分かってきたんです。」
夏音はそう言うと、鞄から一冊のノートを取り出し、朝倉に手渡した。朝倉は、ペラペラと中身を見た。
「これって…もしかして、そのイロカゲの…。」
「はい。今までで判明している感情を表す色の意味を纏めたノートです。色はパッと見、同じに見えても、少し違うだけで意味も違うことが分かりまして…。それだけ人の感情ってのは複雑なんだなって理解しました。」
朝倉は、最後のページまで中身を見るとノートを閉じた。
「ホントに凄いな。ありがとう。」
朝倉はそう言うと、ノートを夏音に返した。夏音は、ノートを鞄に仕舞いながら、朝倉に聞いた。
「…先生は、この能力についてどう考えてますか?…私色々悩んでて。私は、イロカゲに助けられたこともありましたが、やっぱり人の感情や命の期限が分かってしまうってのは、正直生きづらい部分もあるなって。」
朝倉は、夏音の話を頷きながら聞き、朝倉も自身の考えを答えた。
「僕はね、この能力は神様が与えてくれた使命だと思ってるよ。必ず何かの役に立つ能力だって、そう思ってる。僕の能力は、人の命の期限、これは寿命とは違って、不慮の事故や災害で近い未来に亡くなってしまう人も分かるんだ。可能であれば、そういう人たちを救いたい。」
夏音は、正に神楽の時がそうだったと思った。自分の能力が人の命を救ったのだ。朝倉の言葉の通りなら、神様からの使命を少しだけ全う出来ている気持ちになれた。
「…ただ、環奈は悩んでいたよ。あの子は、まだイロカゲのコントロールが出来なかったみたいなんだ。…環奈が亡くなる二週間前、僕は環奈に実の父親だって告白した。もっと僕を頼って欲しかったんだ。環奈も薄々気付いていたみたいで、思ってたよりリアクションが薄かったよ。それから、イジメについての相談はなかったけど、イロカゲについての相談があった。その時、僕の能力も教えて、さっき言った同時に使ってみるって実験もしたんだ。」
悲しげな顔で話す朝倉の話を、夏音はじっと聞き入った。
胸の内に溜まっていたものを一気に吐き出すかのように、朝倉の話は続いた。
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