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第4回
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太陽の内側には何があるのか。
僕は天国のような素晴らしい世界を夢見ていた。
だが、内側に入った途端、さっきまで見ていた神々しい光の世界から、闇に包まれた漆黒の世界へと成り変わった。
はたまた、ここが地獄なのか。僕は急に恐くなった。
そう言えば、地球にいる僕はいつになったら意識を取り戻すのだろう。失神なのだから、少し経てば大半は目が覚めるのではないか。早く目を覚まして、今見てきた光景を友人に教えてやらなければならない。これは、『死後の世界研究倶楽部』としては、大収穫である。
ただ、目を覚ました瞬間、今見てきた記憶が一切無くなるなんて事はないだろうか。そうでもなきゃ、今僕が見てきた光景は、何人もの人が見たことがあるはずで、もっと死後の世界に対する考えが、ハッキリとしているはずではないかと考えた。
漆黒の闇。僕は光の有り難さを思い知った。どうして光があるだけであんなに安心できるのか、どうして光があるだけで、あんなに暖かさを感じるのか。
今は感覚がないはずなのに、恐怖に加え寒さも感じてきた。きっと、気温的な寒さではなく、恐怖心からくる、内面での冷えなんだと僕は思った。
漆黒の闇でも、僕はまだ太陽の中心に向かって進み続けている。先に内側に到着しているはずの人の光はどうなったのか。僕はくるりと360度見回してみたが、それらしいモノは見つからなかった。
いや、目の前に白い点のようなものが見えた。僕は、何故だかわからないが無性にその白い点の場所まで行きたくてしょうがなかった。
身体は自然とその白い点を目指して進んでいる。すると、白い点は、段々と大きく見えてきて、白さも輝くように発光していた。まるで、閉じ込められた真っ暗な洞窟の中で、出口を見つけた気分だった。
きっと、あの光にたどり着けば、新しい何かが待ってるような気がした。もしかしたら、あの光が天国への入口なのかもしれない。
あれ?ちょっと待て。もしあれが天国の入口だとしたら、そしてそれを僕がくぐり抜けたら、僕は死んだことになってしまうのか。そうしたら、この素晴らしい体験を友人にも誰にも話すことが出来ないじゃないか。
僕は『死』というものを今、間近に感じた。そして、まだ死にたくないと心から思った。
僕は咄嗟に身体の向きを変え、白い光の入口から遠ざかろうと、身体を前進させようと試みた。
身体は前には進まなかった。手足は自由に動かせるので、前に向かって走るような動きをすることはできるが、身体は確実に後退していた。
あんなに真っ暗だった景色は一変して、今度は白い光一色の世界になった。
「やばい。」
僕は地球に帰りたい一心で、何とか闇に戻り、太陽の外を目指したかった。しかし、そんな気持ちは一切通じることはなかった。
僕の気持ちは泣いていた。実際には涙は出ていなかったが、僕は何年かぶりに恐怖に泣かされた。
しばらく白の世界を、更に太陽の中心に向かって進んでいると、移動するスピードが落ちてきているように感じた。
「あれ?止まるのか?」
僕は自分の意志ではないが、移動するスピードが徐々に減速しているような気がして、ついには止まってしまった。
「ここが太陽の中心…なのか。」
そこには、僕が期待していた天国のような世界はなかった。何も無かったのかと聞かれたら、そうではない。
360度白い光に包まれた世界の中で、僕の目の前には、まるで地球にある食品加工工場のような大きな建物が現れた。
ふと、建物の入口を見ると、宇宙空間で見た人の形をしたオレンジ色の光が、行列を作っていた。
僕は頭の中では、この光景を何かで見たことがあるような気がしていた。
「…あ!」
閻魔だ。僕はそう思った。死人は天国行きなのか地獄行きなのか、その判断を下す役目である閻魔がいる建物なのだと思った。
僕は自分の意志ではなく、その列の一番後ろに並んだ。
まだ、僕は自分が死んでしまったことを到底受け入れられないでいた。だが、もしこれが閻魔の裁きを下す列なのであれば、僕は天国になるだろうと思った。
列の進みは予想より早く、どんどんと進んでいった。この建物の入口は、重厚な扉で守られていた。扉の前には門番なのか、中世ヨーロッパの騎士のような鎧を全身に纏った何かが立っており、光を一つ中に入れては扉を閉め、しばらく待ってからまた扉を開けて、次の光を中に入れる動作を繰り返しているように見えた。
一体何が中で行われているのか、いちいち扉が閉まるため、中の様子が確認できなかった。そして、そうこうしている間に、僕の前の光の順番となった。
僕は、前の光が入るタイミングで、建物の中を覗いた。何かが揺れているのが見えた。
直ぐに僕の番が来て、まだ心の準備が出来ていないのに、無理矢理建物の中へと進んでいった。
中に入ると直ぐに背後の扉が閉まり、閉まった瞬間に僕の手足全てが四方から何かに掴まれ、身動きが取れない状態になった。正に、罪人が枷を手足に付けられているような感覚で、恐怖はピークに達した。
すると、僕はベルトコンベアのようなモノに乗せられ、手足の自由は利かないまま、コンベアが伸びる方向へと流されていった。
僕は天国のような素晴らしい世界を夢見ていた。
だが、内側に入った途端、さっきまで見ていた神々しい光の世界から、闇に包まれた漆黒の世界へと成り変わった。
はたまた、ここが地獄なのか。僕は急に恐くなった。
そう言えば、地球にいる僕はいつになったら意識を取り戻すのだろう。失神なのだから、少し経てば大半は目が覚めるのではないか。早く目を覚まして、今見てきた光景を友人に教えてやらなければならない。これは、『死後の世界研究倶楽部』としては、大収穫である。
ただ、目を覚ました瞬間、今見てきた記憶が一切無くなるなんて事はないだろうか。そうでもなきゃ、今僕が見てきた光景は、何人もの人が見たことがあるはずで、もっと死後の世界に対する考えが、ハッキリとしているはずではないかと考えた。
漆黒の闇。僕は光の有り難さを思い知った。どうして光があるだけであんなに安心できるのか、どうして光があるだけで、あんなに暖かさを感じるのか。
今は感覚がないはずなのに、恐怖に加え寒さも感じてきた。きっと、気温的な寒さではなく、恐怖心からくる、内面での冷えなんだと僕は思った。
漆黒の闇でも、僕はまだ太陽の中心に向かって進み続けている。先に内側に到着しているはずの人の光はどうなったのか。僕はくるりと360度見回してみたが、それらしいモノは見つからなかった。
いや、目の前に白い点のようなものが見えた。僕は、何故だかわからないが無性にその白い点の場所まで行きたくてしょうがなかった。
身体は自然とその白い点を目指して進んでいる。すると、白い点は、段々と大きく見えてきて、白さも輝くように発光していた。まるで、閉じ込められた真っ暗な洞窟の中で、出口を見つけた気分だった。
きっと、あの光にたどり着けば、新しい何かが待ってるような気がした。もしかしたら、あの光が天国への入口なのかもしれない。
あれ?ちょっと待て。もしあれが天国の入口だとしたら、そしてそれを僕がくぐり抜けたら、僕は死んだことになってしまうのか。そうしたら、この素晴らしい体験を友人にも誰にも話すことが出来ないじゃないか。
僕は『死』というものを今、間近に感じた。そして、まだ死にたくないと心から思った。
僕は咄嗟に身体の向きを変え、白い光の入口から遠ざかろうと、身体を前進させようと試みた。
身体は前には進まなかった。手足は自由に動かせるので、前に向かって走るような動きをすることはできるが、身体は確実に後退していた。
あんなに真っ暗だった景色は一変して、今度は白い光一色の世界になった。
「やばい。」
僕は地球に帰りたい一心で、何とか闇に戻り、太陽の外を目指したかった。しかし、そんな気持ちは一切通じることはなかった。
僕の気持ちは泣いていた。実際には涙は出ていなかったが、僕は何年かぶりに恐怖に泣かされた。
しばらく白の世界を、更に太陽の中心に向かって進んでいると、移動するスピードが落ちてきているように感じた。
「あれ?止まるのか?」
僕は自分の意志ではないが、移動するスピードが徐々に減速しているような気がして、ついには止まってしまった。
「ここが太陽の中心…なのか。」
そこには、僕が期待していた天国のような世界はなかった。何も無かったのかと聞かれたら、そうではない。
360度白い光に包まれた世界の中で、僕の目の前には、まるで地球にある食品加工工場のような大きな建物が現れた。
ふと、建物の入口を見ると、宇宙空間で見た人の形をしたオレンジ色の光が、行列を作っていた。
僕は頭の中では、この光景を何かで見たことがあるような気がしていた。
「…あ!」
閻魔だ。僕はそう思った。死人は天国行きなのか地獄行きなのか、その判断を下す役目である閻魔がいる建物なのだと思った。
僕は自分の意志ではなく、その列の一番後ろに並んだ。
まだ、僕は自分が死んでしまったことを到底受け入れられないでいた。だが、もしこれが閻魔の裁きを下す列なのであれば、僕は天国になるだろうと思った。
列の進みは予想より早く、どんどんと進んでいった。この建物の入口は、重厚な扉で守られていた。扉の前には門番なのか、中世ヨーロッパの騎士のような鎧を全身に纏った何かが立っており、光を一つ中に入れては扉を閉め、しばらく待ってからまた扉を開けて、次の光を中に入れる動作を繰り返しているように見えた。
一体何が中で行われているのか、いちいち扉が閉まるため、中の様子が確認できなかった。そして、そうこうしている間に、僕の前の光の順番となった。
僕は、前の光が入るタイミングで、建物の中を覗いた。何かが揺れているのが見えた。
直ぐに僕の番が来て、まだ心の準備が出来ていないのに、無理矢理建物の中へと進んでいった。
中に入ると直ぐに背後の扉が閉まり、閉まった瞬間に僕の手足全てが四方から何かに掴まれ、身動きが取れない状態になった。正に、罪人が枷を手足に付けられているような感覚で、恐怖はピークに達した。
すると、僕はベルトコンベアのようなモノに乗せられ、手足の自由は利かないまま、コンベアが伸びる方向へと流されていった。
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