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方向転換で膝を怪我する女冒険者
膝の怪我リスクが高い上半身ポジション
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「オーケー、オーケー!次の練習だ!」
「ここまでは、最初に走った方向での減速だったけど、次は方向転換の部分をやっていこう!」
課題を探すために走って方向転換をしたり、まっすぐ走って止まったり、ウェイトを使ってデッドリフトをしたりと、ここまでは方向転換そのものを直接連想させるような練習ではなかった。やっと方向転換そのものに関する練習になるようだ。
「次は、横向きでのウォールドリルだ!壁を使ったトレーニングだぞ!」
ウォールドリルは、フジカルが良く利用する種類のエキササイズだ。
壁に寄りかかることによって、身体を斜めにすることができるので、立った状態では難しい身体のポジションを作ることができる。
「動きのなかではなく、停止した状態で壁に寄りかかって方向転換のときの身体の使い方を学ぶ方法だ!」
「横向きの方向転換をイメージしたウォールドリルは、今回は、こんな感じだ!」
「壁の横に立ち、右手を壁にかけ、少し腰を落とした状態で肩幅よりも広いスタンスで立って、壁側にある右側の足をあげてみよう」
「これは、左足を接地して方向転換するときの上半身の角度感などを覚える練習だ。」
右手を壁につけて、ウォールドリルをやってみるサリー。
すると、突如フジカルが指をさしながら指摘した。
「ここだ!腰が右側に流れて、頭が左側に寄ってしまっている!」
サリーは右手を壁について右足を浮かせている。サリーを身体の正面側から見たときに、持ち上げている右足側に腰が寄っており、頭は身体の中央よりも左側にある。壁に手をついて上半身を支えているので、頭を含めて肩から上の位置は変わらないが、肩から下は持ち上げた足の方向に流れてしまっている。
その状態が良くないとフジカルと指摘している。
「この上半身のポジションが、左膝前十字靭帯損傷の可能性が考えられるぞーーー」
サリーが質問した。
「なんで上半身のポジションが怪我に繋がるんだ?」
良い質問だと思ったときに、いつも親指を上げて"いいね"のジェスチャーをするフジカル。
「いい質問だねー。グッド、クエスチョン!」
そしてサリーの上半身のポジションが膝の怪我を誘発するリスクがある理由を説明し始めた。
「左足を接地した瞬間に、身体の正面から見て、次の進行方向である右側ではなく、左側に頭と上体が傾いてしまっている。これだと左膝に身体の重みが一気にかかってしまうのが理由だ。」
「左足に一気に体重がかかってしまって、膝がその負荷に耐えられなくなって、ブチっと逝ってしまうわけだ」
「横への方向転換を行う際の動き方として、リスクが高い動きをまとめた2019年の論文[DosSantos2019cmas]では、その上半身のポジションは怪我のリスクが高いとしている」
2019年の論文[DosSantos2019cmas]は、今回サリーが怪我をしたようなカッティング動作における危険度をスコア化した論文だ。その論文では、CMAS(Cutting Movement Assessment Score)を定義している。スポーツの現場など、身体の状態を考察するような現場では課題をあぶり出すための評価のことを"アセスメント(assessment)"と表現することがある。CMASのAはアセスメントであるが、CMAS全体を日本語で表現すると、"カッティング動作評価スコア"のような意味になる。
このCMASは、リスクが高いとされる動作がいくつかまとめられており、非常に参考になる論文だ。フジカルが異世界転生した2023年段階において、スポーツのために既にCMASを活用している組織もあった。
今回のサリーのカッティング動作も、CMASにおいてリスクが高いとされる内容だったのだ。
「そしてもうひとつ!方向転換のときに左膝が伸びきっているのも良くない。」
「膝が伸び切ってしまうと、怪我のリスクが上昇してしまう!」
「その動作も、2019年の論文では怪我のリスクが高いとされている」
「これも修正していきたい。」
そして、ウォールドリルがが終わった後に、また何度か土人形に向かって走ってからの方向転換を何度か繰り返して練習を終えた。
「地味な練習だ。。。」とサリーは思いながらも、2週間黙々と通って練習を続けた。
練習を続けるにつれ、徐々に方向転換のキレも増し、また、土人形に向かって走る速度も上昇していった。
止まる能力が上がれば、止まることができると身体が理解してくるので、おもいっきり柱に向かってスピードを上げて突っ込んでいける。
ストップの練習をすると、向かっていく速度が上がるのは不思議な感覚だった。
======
参考文献
======
[DosSantos2019cmas]
Dos’Santos, T., McBurnie, A., Donelon, T., Thomas, C., Comfort, P., & Jones, P. A. (2019). A qualitative screening tool to identify athletes with ‘high-risk’ movement mechanics during cutting: The cutting movement assessment score (CMAS). In Physical Therapy in Sport (Vol. 38, pp. 152–161). Elsevier BV. https://doi.org/10.1016/j.ptsp.2019.05.004
「ここまでは、最初に走った方向での減速だったけど、次は方向転換の部分をやっていこう!」
課題を探すために走って方向転換をしたり、まっすぐ走って止まったり、ウェイトを使ってデッドリフトをしたりと、ここまでは方向転換そのものを直接連想させるような練習ではなかった。やっと方向転換そのものに関する練習になるようだ。
「次は、横向きでのウォールドリルだ!壁を使ったトレーニングだぞ!」
ウォールドリルは、フジカルが良く利用する種類のエキササイズだ。
壁に寄りかかることによって、身体を斜めにすることができるので、立った状態では難しい身体のポジションを作ることができる。
「動きのなかではなく、停止した状態で壁に寄りかかって方向転換のときの身体の使い方を学ぶ方法だ!」
「横向きの方向転換をイメージしたウォールドリルは、今回は、こんな感じだ!」
「壁の横に立ち、右手を壁にかけ、少し腰を落とした状態で肩幅よりも広いスタンスで立って、壁側にある右側の足をあげてみよう」
「これは、左足を接地して方向転換するときの上半身の角度感などを覚える練習だ。」
右手を壁につけて、ウォールドリルをやってみるサリー。
すると、突如フジカルが指をさしながら指摘した。
「ここだ!腰が右側に流れて、頭が左側に寄ってしまっている!」
サリーは右手を壁について右足を浮かせている。サリーを身体の正面側から見たときに、持ち上げている右足側に腰が寄っており、頭は身体の中央よりも左側にある。壁に手をついて上半身を支えているので、頭を含めて肩から上の位置は変わらないが、肩から下は持ち上げた足の方向に流れてしまっている。
その状態が良くないとフジカルと指摘している。
「この上半身のポジションが、左膝前十字靭帯損傷の可能性が考えられるぞーーー」
サリーが質問した。
「なんで上半身のポジションが怪我に繋がるんだ?」
良い質問だと思ったときに、いつも親指を上げて"いいね"のジェスチャーをするフジカル。
「いい質問だねー。グッド、クエスチョン!」
そしてサリーの上半身のポジションが膝の怪我を誘発するリスクがある理由を説明し始めた。
「左足を接地した瞬間に、身体の正面から見て、次の進行方向である右側ではなく、左側に頭と上体が傾いてしまっている。これだと左膝に身体の重みが一気にかかってしまうのが理由だ。」
「左足に一気に体重がかかってしまって、膝がその負荷に耐えられなくなって、ブチっと逝ってしまうわけだ」
「横への方向転換を行う際の動き方として、リスクが高い動きをまとめた2019年の論文[DosSantos2019cmas]では、その上半身のポジションは怪我のリスクが高いとしている」
2019年の論文[DosSantos2019cmas]は、今回サリーが怪我をしたようなカッティング動作における危険度をスコア化した論文だ。その論文では、CMAS(Cutting Movement Assessment Score)を定義している。スポーツの現場など、身体の状態を考察するような現場では課題をあぶり出すための評価のことを"アセスメント(assessment)"と表現することがある。CMASのAはアセスメントであるが、CMAS全体を日本語で表現すると、"カッティング動作評価スコア"のような意味になる。
このCMASは、リスクが高いとされる動作がいくつかまとめられており、非常に参考になる論文だ。フジカルが異世界転生した2023年段階において、スポーツのために既にCMASを活用している組織もあった。
今回のサリーのカッティング動作も、CMASにおいてリスクが高いとされる内容だったのだ。
「そしてもうひとつ!方向転換のときに左膝が伸びきっているのも良くない。」
「膝が伸び切ってしまうと、怪我のリスクが上昇してしまう!」
「その動作も、2019年の論文では怪我のリスクが高いとされている」
「これも修正していきたい。」
そして、ウォールドリルがが終わった後に、また何度か土人形に向かって走ってからの方向転換を何度か繰り返して練習を終えた。
「地味な練習だ。。。」とサリーは思いながらも、2週間黙々と通って練習を続けた。
練習を続けるにつれ、徐々に方向転換のキレも増し、また、土人形に向かって走る速度も上昇していった。
止まる能力が上がれば、止まることができると身体が理解してくるので、おもいっきり柱に向かってスピードを上げて突っ込んでいける。
ストップの練習をすると、向かっていく速度が上がるのは不思議な感覚だった。
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参考文献
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[DosSantos2019cmas]
Dos’Santos, T., McBurnie, A., Donelon, T., Thomas, C., Comfort, P., & Jones, P. A. (2019). A qualitative screening tool to identify athletes with ‘high-risk’ movement mechanics during cutting: The cutting movement assessment score (CMAS). In Physical Therapy in Sport (Vol. 38, pp. 152–161). Elsevier BV. https://doi.org/10.1016/j.ptsp.2019.05.004
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