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遠くへジャンプ!新人冒険者の薬草採取
CMJ(Countermovement Jump)
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「さて、次は、カウンタームーブメントジャンプだ!CMJと略されることが多いぞ」
CMJは、速く走ったり、高く跳ぶといった目的を達成するために行われる代表的なトレーニングのひとつだ。
「まずは、シンプルなところから始めるぞ。カウンタームーブメントジャンプ、CMJと言われているエキササイズだ!」
「今回は両手を腰に手をあてた状態で腕で勢いをつけずにジャンプするぞ!」
「速い反動をつけた、その場でのジャンプをするトレーニングだ!」
「やることは、非常にシンプルで、両手を腰にあてて真っ直ぐ立った状態から、瞬間的に腰を落として、すぐに垂直にジャンプしよう!」
CMJは、非常に多くの研究で採用されているエキササイズであると同時に、効果的なトレーニングでもある。
そして、最初に取り組むためには適切な負荷である場合も多いという点も良い。徐々に負荷や難易度を上げていけば良いのであって、最初はシンプルでも良い場合が多いのだ。
「まずは、3回ぐらいCMJのやり方を確認するために何度かやってみよう」
そう言われて、パタヘネとエリカは、その場でジャンプを繰り返す。
何度か繰り返しているときに、パタヘネが疑問を持って質問をする。
「これ、すごく簡単なんっすけど、本当に、こんなんでジャンプできるようになるんっすか?」
「CMJは、シンプルだが効果的なトレーニングだぞ!2007年の論文[Markovic2007]では、複数の論文を調査した結果として、CMJによって垂直飛びの能力が上昇するとしている。コツコツと適切に続けることができれば、ジャンプ力は上がるはずだ!」
パタヘネのような疑問を持つ人は多い。難しくてやりにくいトレーニングであったり、疲労困憊になるようなトレーニングだけがトレーニングではない。しかし、シンプルであればあるほど、飽きてしまって続けにくいという問題はあるかも知れない。シンプルな内容をコツコツと続けることそのものが、隠れたハードルなのかも知れない。
ちょうど良い感じの質問が出たこともあり、フジカルはCMJを行うときの要素を追加することにした。
「次は、目標の高さまで頭が到達することを目指してみよう!」
そう言ってからマミを呼んだ。
「マミーーー、軽いボールになって、これぐらいの高さで浮かんでいてくれ!」
フジカルが指定した高さは、パタヘネが現在ジャンプできるギリギリの高さよりも少し高いぐらいのところだった。
「パタヘネ、ここに浮いているボールに頭がつくぐらいジャンプしてくれ!」
とフジカルが呼んだが、次の瞬間、何かを思い出したようで、
「あ、そうだ、ちょっとした注意点があるんだった。マミ、ちょっと来て」
と言ってからマミに何やら耳打ちした。
ひそひそ話を聞いたあとに、「拝承なのですー」とマミは答え、また、指定の高さにふわふわと浮いた。
ボールに変身して浮いているマミに届くように頑張ってジャンプを繰り返すパタヘネを観察しつつ、フジカルは隣にいたエリカに小さな声で解説した。
「いま、やっているのはエクスターナルフォーカス、または、外部意識と呼ばれる方法で、外部にある何かに注意を向けさせるというものだ」
「浮いているボールまで届こうという外部フォーカスだ」
「エクスターナルフォーカスの逆はインターナルフォーカス、または内部意識で、自分の身体の動きなど内部的な部分に注目するという方法だ」
「2009年の論文[Wulf2009]では、エクスターナルフォーカスを与えられると、より高くジャンプできるようになったと述べている。その論文では、エクスターナルフォーカスによって効果的なジャンプの動作が促進されたと結論付けている。ジャンプのトレーニングでエクスターナルフォーカスは有用である可能性が高いと言えそうだ」
「あと、このトレーニングには、もうひとつ大事なポイントがあって、思いっきり本気になってジャンプするという点だ。そろそろ、次の仕掛けが発動するぞ」
すると、マミがパタヘネを罵倒した。
「やーい、やーい、ぜんぜん飛べてないでやんの!ダサぁ(笑」
すると、次の瞬間、パタヘネがムキになってジャンプし、ヘディングをするような形でボールになったマミを吹っ飛ばした。
パタヘネにヘディングで吹っ飛ばされたマミは、かつてフジカルにぶん投げられた時の事を思い出しながら飛んでいった。
「こんな感じで、ちょっとした声かけ、キューイングでトレーニングが変わるんだ」
フジカルが、そうエリカに解説した。
さらに、もう少し、マミを頭でふっ飛ばそうとするようなCMJを数度繰り返したのちに、フジカルが2人に声をかけた。
「よーし。いい感じでCMJができたかな。次は、軽めのプライオメトリクス的なトレーニングをしようか!」
======
参考文献
======
[Markovic2007]
Markovic, G., & Newton, R. U. (2007). Does plyometric training improve vertical jump height? A meta-analytical review * Commentary. In British Journal of Sports Medicine (Vol. 41, Issue 6, pp. 349–355). BMJ. https://doi.org/10.1136/bjsm.2007.035113
[Wulf2009]
Wulf, G., & Dufek, J. S. (2009). Increased jump height with an external focus due to enhanced lower extremity joint kinetics. Journal of motor behavior, 41(5), 401-409.
CMJは、速く走ったり、高く跳ぶといった目的を達成するために行われる代表的なトレーニングのひとつだ。
「まずは、シンプルなところから始めるぞ。カウンタームーブメントジャンプ、CMJと言われているエキササイズだ!」
「今回は両手を腰に手をあてた状態で腕で勢いをつけずにジャンプするぞ!」
「速い反動をつけた、その場でのジャンプをするトレーニングだ!」
「やることは、非常にシンプルで、両手を腰にあてて真っ直ぐ立った状態から、瞬間的に腰を落として、すぐに垂直にジャンプしよう!」
CMJは、非常に多くの研究で採用されているエキササイズであると同時に、効果的なトレーニングでもある。
そして、最初に取り組むためには適切な負荷である場合も多いという点も良い。徐々に負荷や難易度を上げていけば良いのであって、最初はシンプルでも良い場合が多いのだ。
「まずは、3回ぐらいCMJのやり方を確認するために何度かやってみよう」
そう言われて、パタヘネとエリカは、その場でジャンプを繰り返す。
何度か繰り返しているときに、パタヘネが疑問を持って質問をする。
「これ、すごく簡単なんっすけど、本当に、こんなんでジャンプできるようになるんっすか?」
「CMJは、シンプルだが効果的なトレーニングだぞ!2007年の論文[Markovic2007]では、複数の論文を調査した結果として、CMJによって垂直飛びの能力が上昇するとしている。コツコツと適切に続けることができれば、ジャンプ力は上がるはずだ!」
パタヘネのような疑問を持つ人は多い。難しくてやりにくいトレーニングであったり、疲労困憊になるようなトレーニングだけがトレーニングではない。しかし、シンプルであればあるほど、飽きてしまって続けにくいという問題はあるかも知れない。シンプルな内容をコツコツと続けることそのものが、隠れたハードルなのかも知れない。
ちょうど良い感じの質問が出たこともあり、フジカルはCMJを行うときの要素を追加することにした。
「次は、目標の高さまで頭が到達することを目指してみよう!」
そう言ってからマミを呼んだ。
「マミーーー、軽いボールになって、これぐらいの高さで浮かんでいてくれ!」
フジカルが指定した高さは、パタヘネが現在ジャンプできるギリギリの高さよりも少し高いぐらいのところだった。
「パタヘネ、ここに浮いているボールに頭がつくぐらいジャンプしてくれ!」
とフジカルが呼んだが、次の瞬間、何かを思い出したようで、
「あ、そうだ、ちょっとした注意点があるんだった。マミ、ちょっと来て」
と言ってからマミに何やら耳打ちした。
ひそひそ話を聞いたあとに、「拝承なのですー」とマミは答え、また、指定の高さにふわふわと浮いた。
ボールに変身して浮いているマミに届くように頑張ってジャンプを繰り返すパタヘネを観察しつつ、フジカルは隣にいたエリカに小さな声で解説した。
「いま、やっているのはエクスターナルフォーカス、または、外部意識と呼ばれる方法で、外部にある何かに注意を向けさせるというものだ」
「浮いているボールまで届こうという外部フォーカスだ」
「エクスターナルフォーカスの逆はインターナルフォーカス、または内部意識で、自分の身体の動きなど内部的な部分に注目するという方法だ」
「2009年の論文[Wulf2009]では、エクスターナルフォーカスを与えられると、より高くジャンプできるようになったと述べている。その論文では、エクスターナルフォーカスによって効果的なジャンプの動作が促進されたと結論付けている。ジャンプのトレーニングでエクスターナルフォーカスは有用である可能性が高いと言えそうだ」
「あと、このトレーニングには、もうひとつ大事なポイントがあって、思いっきり本気になってジャンプするという点だ。そろそろ、次の仕掛けが発動するぞ」
すると、マミがパタヘネを罵倒した。
「やーい、やーい、ぜんぜん飛べてないでやんの!ダサぁ(笑」
すると、次の瞬間、パタヘネがムキになってジャンプし、ヘディングをするような形でボールになったマミを吹っ飛ばした。
パタヘネにヘディングで吹っ飛ばされたマミは、かつてフジカルにぶん投げられた時の事を思い出しながら飛んでいった。
「こんな感じで、ちょっとした声かけ、キューイングでトレーニングが変わるんだ」
フジカルが、そうエリカに解説した。
さらに、もう少し、マミを頭でふっ飛ばそうとするようなCMJを数度繰り返したのちに、フジカルが2人に声をかけた。
「よーし。いい感じでCMJができたかな。次は、軽めのプライオメトリクス的なトレーニングをしようか!」
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参考文献
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[Markovic2007]
Markovic, G., & Newton, R. U. (2007). Does plyometric training improve vertical jump height? A meta-analytical review * Commentary. In British Journal of Sports Medicine (Vol. 41, Issue 6, pp. 349–355). BMJ. https://doi.org/10.1136/bjsm.2007.035113
[Wulf2009]
Wulf, G., & Dufek, J. S. (2009). Increased jump height with an external focus due to enhanced lower extremity joint kinetics. Journal of motor behavior, 41(5), 401-409.
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