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異世界ライフは甘くない
推しとモブ
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「う、うそだろ」
入学式後の教室。親交を深めましょうという担任の粋な計らいにより、一人ずつ自己紹介が始まったわけだが。その中の1人、ピンク色の紙を靡かせ琥珀色の瞳を輝かせる美少年に俺は釘付けになった。
「ミリエル・スノウと申します。至らぬ点も多いと思いますが、よろしくお願いいたします」
ふわりと花のような笑顔を浮かべると、教室中から感嘆の声が漏れる。例にもれず俺もその一人で、だらしのない緩み切った顔をお見せしてしまったわけだが、すぐに引き締めた。
そして教室中の視線を集める美少年を再び見る。
おいおい嘘だろ。これって、これってまさか……!
「な、なぁ、めっちゃ可愛くね?」
驚きで震えるしかない俺に話しかけてきた隣の席の男を睨む。先程の自己紹介ではサーブと名乗っていた。
やぁ、サーブよろしく。でも今お前に構っている暇はないんだ。
だって俺は気づいてしまったのだから。
「ここってまさかのゲームの世界?」
皆の視線を搔っ攫っていった美少年ことミリエル・スノウ。
俺はその名前に随分と心当たりがある。いや、心当たりなんてものではない。何を隠そう、彼は高校生の頃から俺がお世話になっていた抜きゲーの主人公なのだ。
抜きゲー。つまりは、おかずである。
彼のアへ顔が映し出されるディスプレイに何度己の精子をぶっかけたことか……!
「ゲーム? 何の話?」と話しかけてくるサーブのことはどうでもいい。お前なんかに構っていられるか。
今俺の目の前には、長年恋焦がれてきたミリたそがいるんだぞ!
前世の俺がそれはもう大変お世話になったミリたそは、R18BLゲーム『白き塔の恋人たち』の主人公である。その愛らしい顔立ちのせいで、学園中のいたるところで攻略対象(ときどきモブ)にあんなことやこんなことをされてしまう不憫な主人公だ。
嫌がりながらも快楽に身を投じる姿は、俺だけではなく全国の男を魅了しただろう。愛してるよミリたそ。
そして、そんなミリたそに不埒な行為を働くのは4人の攻略対象だ。
まず1人目。ダリウス・レイヴンウッド。
赤髪にオレンジ色の瞳が特徴である俺様キャラのダリウスは、ミリたそと同じクラスで、授業中にみんなが真剣に頭を回している中で、ミリたその中を掻きまわしていたド変態である。
授業中にそんな暴行を働いてもお咎めがないのは王族の次に地位が高い公爵家の子息だからだろう。知らんけど。
何はともあれ、授業中の衆人観衆公開プレイは大変お世話になりました。この調子でいけばあの素晴らしきM字開脚スチルを生で見れるということでしょうか。彼には是非とも頑張っていただきたい。
2人目は、ヴィクター・クロムウェル。
銀色の髪と碧い瞳が冷たい印象を与える彼は、その見た目とおり冷酷無比な男だ。礼節を重んじる教師と言えば聞こえがいいが、貴族たるものいかなる時も平常心を~とかなんとか言って生徒に手を出すカスである。
ちなみに、高校時代の担任を思い出すのでこの変態クソ眼鏡のことは嫌いだ。でもスチルは全部見た。めっちゃ抜けた。
3人目は、ジェイド・バードウェル。
緑色の髪にハニーブラウンの瞳を持つ彼は、この学校の保険医だ。
何かと大変な目に遭うミリたそに、治療と称してセクハラをかます変態だが、彼の優しいプレイはミリたその甘い声を存分に引き出してくれるので一番攻略していた。
自らが開発した媚薬漬けにする快楽エンドも非常にお気に入りである。
そして、最後。ガイル・ハーヴィンである。
焦げ茶の髪に緑の瞳という見た目からして誠実なこのキャラは、『白き塔の恋人たち』の良心と言われていた。ちなみに攻略難易度はトップクラス。理由はこのゲームの特性と彼の性格にある。
攻略対象の好感度を稼いでエンドを目指す一般的なゲームとは違って、『白き塔の恋人たち』では快楽度を稼ぐのだ。つまり、ミリたそは一番ヤリまくったキャラと将来を誓う。
ところがこのガイル、お前の理性は鋼でできているのかと疑ってしまうほどミリたそに手を出さない。こんなに可愛くてシコい人が間近にいるのに、だ。
そのため、ガイルエンドを目指そうにも、その前に他の攻略対象との快楽度が満タンになってしまうため、彼のエンドを終ぞ見ることはかなわなかった。無念。
全キャラ攻略後にシークレットルートが開放されるという噂は聞いたことはあるが、その真相も今となっては闇の中である。
「――……ン」
ちなみに、悪役キャラもちゃんといる。
この国の第4王子、カーティス・ダルクレインだ。甘やかされたこの王子は、何事も自分が一番じゃないと気が済まない質で、皆の視線を独り占めするミリたそを強姦に襲わせたり、娼館へ落としたりしようとするわけだが最終的に返り討ちに遭ってしまう。
俺はミリたそ一筋だが、彼の処刑スチルもなかなかに良かった。気の強い受けと言うものは最推しでなくとも抜けるというものだ。
まぁ、ミリたそが一番だが。これは決して浮気ではない。
「――……ヴ・レイン」
あぁ、そうそう。悪役と言えば、序盤で処刑されるキャラもいるんだよな。
校内のいたるところでおっぱじめるミリたそに、「はしたない!」というごもっともな意見をした結果、「嫉妬をするなんてなんと醜いやつなんだ、性根を叩きなおしてやる!」と快楽の刑に処されるなんとも可哀そうなモブだ。
しかも彼にはスチルなんてものはない。だというのに、毎回処刑されるのだから彼には幸せになってほしい。
名前もいかにも脇役って感じで、えーと、たしか……。
「モーヴ・レイン! 何度呼べばいいのですか? あなたの番だと言っているでしょう!」
眉を吊り上げる教師の声に俺は冷や汗を垂らした。
モーヴ・レイン。
その名前は『白き塔の恋人たち』の序盤で雑に処理される、脇役の名前である。そして、奇しくも今世の俺の名前と1字違わない。
「俺、処刑されるってこと……?」
入学式後の教室。親交を深めましょうという担任の粋な計らいにより、一人ずつ自己紹介が始まったわけだが。その中の1人、ピンク色の紙を靡かせ琥珀色の瞳を輝かせる美少年に俺は釘付けになった。
「ミリエル・スノウと申します。至らぬ点も多いと思いますが、よろしくお願いいたします」
ふわりと花のような笑顔を浮かべると、教室中から感嘆の声が漏れる。例にもれず俺もその一人で、だらしのない緩み切った顔をお見せしてしまったわけだが、すぐに引き締めた。
そして教室中の視線を集める美少年を再び見る。
おいおい嘘だろ。これって、これってまさか……!
「な、なぁ、めっちゃ可愛くね?」
驚きで震えるしかない俺に話しかけてきた隣の席の男を睨む。先程の自己紹介ではサーブと名乗っていた。
やぁ、サーブよろしく。でも今お前に構っている暇はないんだ。
だって俺は気づいてしまったのだから。
「ここってまさかのゲームの世界?」
皆の視線を搔っ攫っていった美少年ことミリエル・スノウ。
俺はその名前に随分と心当たりがある。いや、心当たりなんてものではない。何を隠そう、彼は高校生の頃から俺がお世話になっていた抜きゲーの主人公なのだ。
抜きゲー。つまりは、おかずである。
彼のアへ顔が映し出されるディスプレイに何度己の精子をぶっかけたことか……!
「ゲーム? 何の話?」と話しかけてくるサーブのことはどうでもいい。お前なんかに構っていられるか。
今俺の目の前には、長年恋焦がれてきたミリたそがいるんだぞ!
前世の俺がそれはもう大変お世話になったミリたそは、R18BLゲーム『白き塔の恋人たち』の主人公である。その愛らしい顔立ちのせいで、学園中のいたるところで攻略対象(ときどきモブ)にあんなことやこんなことをされてしまう不憫な主人公だ。
嫌がりながらも快楽に身を投じる姿は、俺だけではなく全国の男を魅了しただろう。愛してるよミリたそ。
そして、そんなミリたそに不埒な行為を働くのは4人の攻略対象だ。
まず1人目。ダリウス・レイヴンウッド。
赤髪にオレンジ色の瞳が特徴である俺様キャラのダリウスは、ミリたそと同じクラスで、授業中にみんなが真剣に頭を回している中で、ミリたその中を掻きまわしていたド変態である。
授業中にそんな暴行を働いてもお咎めがないのは王族の次に地位が高い公爵家の子息だからだろう。知らんけど。
何はともあれ、授業中の衆人観衆公開プレイは大変お世話になりました。この調子でいけばあの素晴らしきM字開脚スチルを生で見れるということでしょうか。彼には是非とも頑張っていただきたい。
2人目は、ヴィクター・クロムウェル。
銀色の髪と碧い瞳が冷たい印象を与える彼は、その見た目とおり冷酷無比な男だ。礼節を重んじる教師と言えば聞こえがいいが、貴族たるものいかなる時も平常心を~とかなんとか言って生徒に手を出すカスである。
ちなみに、高校時代の担任を思い出すのでこの変態クソ眼鏡のことは嫌いだ。でもスチルは全部見た。めっちゃ抜けた。
3人目は、ジェイド・バードウェル。
緑色の髪にハニーブラウンの瞳を持つ彼は、この学校の保険医だ。
何かと大変な目に遭うミリたそに、治療と称してセクハラをかます変態だが、彼の優しいプレイはミリたその甘い声を存分に引き出してくれるので一番攻略していた。
自らが開発した媚薬漬けにする快楽エンドも非常にお気に入りである。
そして、最後。ガイル・ハーヴィンである。
焦げ茶の髪に緑の瞳という見た目からして誠実なこのキャラは、『白き塔の恋人たち』の良心と言われていた。ちなみに攻略難易度はトップクラス。理由はこのゲームの特性と彼の性格にある。
攻略対象の好感度を稼いでエンドを目指す一般的なゲームとは違って、『白き塔の恋人たち』では快楽度を稼ぐのだ。つまり、ミリたそは一番ヤリまくったキャラと将来を誓う。
ところがこのガイル、お前の理性は鋼でできているのかと疑ってしまうほどミリたそに手を出さない。こんなに可愛くてシコい人が間近にいるのに、だ。
そのため、ガイルエンドを目指そうにも、その前に他の攻略対象との快楽度が満タンになってしまうため、彼のエンドを終ぞ見ることはかなわなかった。無念。
全キャラ攻略後にシークレットルートが開放されるという噂は聞いたことはあるが、その真相も今となっては闇の中である。
「――……ン」
ちなみに、悪役キャラもちゃんといる。
この国の第4王子、カーティス・ダルクレインだ。甘やかされたこの王子は、何事も自分が一番じゃないと気が済まない質で、皆の視線を独り占めするミリたそを強姦に襲わせたり、娼館へ落としたりしようとするわけだが最終的に返り討ちに遭ってしまう。
俺はミリたそ一筋だが、彼の処刑スチルもなかなかに良かった。気の強い受けと言うものは最推しでなくとも抜けるというものだ。
まぁ、ミリたそが一番だが。これは決して浮気ではない。
「――……ヴ・レイン」
あぁ、そうそう。悪役と言えば、序盤で処刑されるキャラもいるんだよな。
校内のいたるところでおっぱじめるミリたそに、「はしたない!」というごもっともな意見をした結果、「嫉妬をするなんてなんと醜いやつなんだ、性根を叩きなおしてやる!」と快楽の刑に処されるなんとも可哀そうなモブだ。
しかも彼にはスチルなんてものはない。だというのに、毎回処刑されるのだから彼には幸せになってほしい。
名前もいかにも脇役って感じで、えーと、たしか……。
「モーヴ・レイン! 何度呼べばいいのですか? あなたの番だと言っているでしょう!」
眉を吊り上げる教師の声に俺は冷や汗を垂らした。
モーヴ・レイン。
その名前は『白き塔の恋人たち』の序盤で雑に処理される、脇役の名前である。そして、奇しくも今世の俺の名前と1字違わない。
「俺、処刑されるってこと……?」
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