11 / 63
異世界ライフは甘くない
治療はお早めに(前編)
しおりを挟む
「落ち着いた?」
「うん」
「よかった」と顔を綻ばせるジェイドに腕を引かれソファに座る。しかし、体重をかけただけで腫れあがった尻が悲鳴を上げたため、すぐに腰を上げた。
そんな様子を見て「待ってて」と言ったジェイドは棚の中を漁り、繊細な金細工のケースを取り出した。
複雑な文様を描く蓋に小さな宝石が埋め込まれた手の平サイズのそれは、現代日本の保健室を模したこの空間からハチャメチャに浮いているが、そんなことはどうでもいい。
そのケースを手に俺へ近づいてくるジェイドに思わずファイティングポーズをとってしまうのは許してくれ。
なにしろ、ジェイドが持っているそのケースは、スチルにも登場している炎症を抑える軟膏が入っているのだから。
そう、ジェイドはこの軟膏を使って、あんなことやこんなとこをミリたそにするのだ。
先程何もしないという言質をとったが嘘の可能性が出てきた。事実、この男は純粋なミリたそに嘯いていたし。
「な、何をするつもりだ!」
「何もしないよ。はい、軟膏。お尻痛いんでしょ? 触られるのに抵抗あるだろうし自分で塗ろうね」
「はい、どうぞ」と軟膏を差し出すジェイドに拍子抜けする。てっきり「塗りづらいだろうから俺が塗ってあげるよ」なんて言い出すと思っていたばかりに、間抜けな顔でジェイドを見上げた。
「……じ、自分で?」
「うん。……あれ、俺が塗った方がいい?」
「い、いい! 自分で塗る!」
ジェイドからひったくるように軟膏を奪い取る。警戒心をあらわにする俺を笑ったジェイドはソファに腰を下ろし、自分の隣をポンポンと叩いた。
……え、もしかしてここで塗るのか? この明るくて開けた場所で?
「あ、あっちで塗ってくる」
攻略対象はやはり頭のネジが1本抜けているのだと後ずさりながら、パーテーションで仕切られたベッドの方へ向かえば、「そう?」なんて言ったジェイドがついてくるではないか。
「何でついてくるんだよ!」
「何で、ってその軟膏結構強いやつでね、粘膜に塗るとまずいことになるんだよ。だから、見守っていてあげようと思って」
「ま、まずい……?」
「そ。中がヒリヒリして正気じゃいられなくなるんだ」
「中がヒリヒリ……?」
この男はそんな劇物をミリたその中に塗り込んでいたということか?
ゲーム内では知りえることのない新情報に俺は目の前の男を見上げるしかできない。
ミリたそが初めてにもかかわらず快感に溺れていたのは、てっきりお尻の才能に恵まれていたからだと思っていたが、ほぼ媚薬なこの軟膏の効能が原因だったらしい。
無害を装いつつどさくさに紛れてセクハラをされるのではないかと、ついつい疑ってしまったが、ただの親切心故だったのか。疑ってごめん。
何も知らずにケツ穴に塗ってしまったかと思うと末恐ろしい。
そういうことならと靴を脱いだ俺は、靴を脱いでソファに乗り上げた。
「ほら、そっち向きじゃ見えないよ」
「ぎゃっ」
ジェイドに頭を向けて丸まった俺を軽々と持ち上げたジェイドに身体を反転させられる。
いくら安全のためとは言え、他人に尻を見せつけるこの体勢はさすがに恥ずかしい。けれど、粘膜に塗り込んでしまい正気を保てなくなるよりはずっとましなので、羞恥を捨ててズボンと下着を最小限下ろした。
やけに豪華ケースの蓋を開け、白いクリーム状の軟膏を指先で掬う。思ったより緩めのテクスチャーのそれを落とさないように右腕を伸ばし、右側の尻肉に塗り広げた。
ヒリつく尻にひんやりとした軟膏は気持ちいいが、傷がついているのだろうか、時々ピリリと痛みが走る。
「んっ……」
痛みを我慢しながら慎重に塗り広げていると後ろからかけられる「そうそう、じょーずじょーず」という誉め言葉が気持ちいい。
何て言ったって、高校卒業後1年間の空白期間がある上に、バイト先を転々としているフリーターを褒めてくれる人などいないので。現代日本はもう少し社会的弱者に優しくあるべきだと思う。
恐怖で相手を支配するなんて昭和な慣習はさっさと捨てて、褒めて伸ばす戦法に移してほしい。いつか俺がまた日本人に転生する時までに。
ジェイドの掛け声に気分を良くしながら、ぐるぐると軟膏を塗りこむ。ちょっとばかり調子に乗ってしまった俺が、大胆に塗り広げたときだ。
「あ、垂れそう」
そんなジェイドの呟きに俺の平常心は消し飛んだ。
「うん」
「よかった」と顔を綻ばせるジェイドに腕を引かれソファに座る。しかし、体重をかけただけで腫れあがった尻が悲鳴を上げたため、すぐに腰を上げた。
そんな様子を見て「待ってて」と言ったジェイドは棚の中を漁り、繊細な金細工のケースを取り出した。
複雑な文様を描く蓋に小さな宝石が埋め込まれた手の平サイズのそれは、現代日本の保健室を模したこの空間からハチャメチャに浮いているが、そんなことはどうでもいい。
そのケースを手に俺へ近づいてくるジェイドに思わずファイティングポーズをとってしまうのは許してくれ。
なにしろ、ジェイドが持っているそのケースは、スチルにも登場している炎症を抑える軟膏が入っているのだから。
そう、ジェイドはこの軟膏を使って、あんなことやこんなとこをミリたそにするのだ。
先程何もしないという言質をとったが嘘の可能性が出てきた。事実、この男は純粋なミリたそに嘯いていたし。
「な、何をするつもりだ!」
「何もしないよ。はい、軟膏。お尻痛いんでしょ? 触られるのに抵抗あるだろうし自分で塗ろうね」
「はい、どうぞ」と軟膏を差し出すジェイドに拍子抜けする。てっきり「塗りづらいだろうから俺が塗ってあげるよ」なんて言い出すと思っていたばかりに、間抜けな顔でジェイドを見上げた。
「……じ、自分で?」
「うん。……あれ、俺が塗った方がいい?」
「い、いい! 自分で塗る!」
ジェイドからひったくるように軟膏を奪い取る。警戒心をあらわにする俺を笑ったジェイドはソファに腰を下ろし、自分の隣をポンポンと叩いた。
……え、もしかしてここで塗るのか? この明るくて開けた場所で?
「あ、あっちで塗ってくる」
攻略対象はやはり頭のネジが1本抜けているのだと後ずさりながら、パーテーションで仕切られたベッドの方へ向かえば、「そう?」なんて言ったジェイドがついてくるではないか。
「何でついてくるんだよ!」
「何で、ってその軟膏結構強いやつでね、粘膜に塗るとまずいことになるんだよ。だから、見守っていてあげようと思って」
「ま、まずい……?」
「そ。中がヒリヒリして正気じゃいられなくなるんだ」
「中がヒリヒリ……?」
この男はそんな劇物をミリたその中に塗り込んでいたということか?
ゲーム内では知りえることのない新情報に俺は目の前の男を見上げるしかできない。
ミリたそが初めてにもかかわらず快感に溺れていたのは、てっきりお尻の才能に恵まれていたからだと思っていたが、ほぼ媚薬なこの軟膏の効能が原因だったらしい。
無害を装いつつどさくさに紛れてセクハラをされるのではないかと、ついつい疑ってしまったが、ただの親切心故だったのか。疑ってごめん。
何も知らずにケツ穴に塗ってしまったかと思うと末恐ろしい。
そういうことならと靴を脱いだ俺は、靴を脱いでソファに乗り上げた。
「ほら、そっち向きじゃ見えないよ」
「ぎゃっ」
ジェイドに頭を向けて丸まった俺を軽々と持ち上げたジェイドに身体を反転させられる。
いくら安全のためとは言え、他人に尻を見せつけるこの体勢はさすがに恥ずかしい。けれど、粘膜に塗り込んでしまい正気を保てなくなるよりはずっとましなので、羞恥を捨ててズボンと下着を最小限下ろした。
やけに豪華ケースの蓋を開け、白いクリーム状の軟膏を指先で掬う。思ったより緩めのテクスチャーのそれを落とさないように右腕を伸ばし、右側の尻肉に塗り広げた。
ヒリつく尻にひんやりとした軟膏は気持ちいいが、傷がついているのだろうか、時々ピリリと痛みが走る。
「んっ……」
痛みを我慢しながら慎重に塗り広げていると後ろからかけられる「そうそう、じょーずじょーず」という誉め言葉が気持ちいい。
何て言ったって、高校卒業後1年間の空白期間がある上に、バイト先を転々としているフリーターを褒めてくれる人などいないので。現代日本はもう少し社会的弱者に優しくあるべきだと思う。
恐怖で相手を支配するなんて昭和な慣習はさっさと捨てて、褒めて伸ばす戦法に移してほしい。いつか俺がまた日本人に転生する時までに。
ジェイドの掛け声に気分を良くしながら、ぐるぐると軟膏を塗りこむ。ちょっとばかり調子に乗ってしまった俺が、大胆に塗り広げたときだ。
「あ、垂れそう」
そんなジェイドの呟きに俺の平常心は消し飛んだ。
251
あなたにおすすめの小説
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる